青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2007.05.31
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カテゴリ: 賃貸借
事業用のビルの賃貸借契約が更新拒絶により終了した場合と転借人の地位

通常の賃貸借ないし転貸借・再転貸借においては、賃貸借契約が賃借人の債務不履行による

解除や期間満了により消滅すれば、有効な賃貸借の存続を基礎として成立している転貸借・

再転貸借も消滅するというのが民法上の大原則である。

しかし、学説、判例は、賃貸借の放棄や合意解除など当事者の意思により賃貸借が消滅する

場合には、転借人の保護のため、転借人に対して賃借権の消滅をもって対抗できないと解し

ている。

本件は賃借人からの更新拒絶であり正当の事由のあることを必要としないから期間満了によ

り賃貸借は終了することとなる。



学説では転借人がいるに拘らず賃借人が更新を希望するのは転借人の立場を不利にするおそ

れがあり合意解除と異ならないから多くの場合は信義則に反するとする見解がある。

しかし学説では賃借人からの更新拒絶は賃貸人からは防止できない事態であるので合意解除

とは同視することはできないとする見解があり、本件では特に賃借人の採算が取れずに撤退

するというものであり賃貸人の意思の入り込む余地がないので合意解除に準ずると解するこ

とはできないという見解がある。

最高裁平成14年3月28日判決は

「ビルの賃貸管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更

新拒絶により終了した場合において、賃貸人が、賃借人にその知識、経験等を活用してビル

を第3者に転貸し収益をあげさせることによって、自ら各室を個別に賃貸すること伴う煩わし

さを免れるとともに賃借人から安定的に賃料収入を得ることを目的として賃貸借契約を締結



該ビルの貸室の転借人及び再転借人が、右のような目的の下に賃貸借契約が締結され転貸及

び再転貸の承諾がなされていることを前提として、転貸借契約及び再転貸借を締結し、再転

借人が現にその貸室を占有していることなど判示の事実関係があるときは、賃貸人は、信義

則上、賃貸借契約の終了をもって再転借人に対抗することはできない」と判示した。

                 判例タイムズ1125号58頁 塩崎勤教授の解説





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Last updated  2007.06.08 06:53:54


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