青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2009.02.16
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カテゴリ: 担保・保証人
集合動産譲渡担保についての新判例

1 動産譲渡担保が重複設定されている場合において後順位譲渡担保権者による私的実行がで

  きるか

2 構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保の設定者が目的動産につき通常の営業

  の範囲を超える売却処分をした場合において処分の相手方は所有権の承継取得ができる

  か

という各論点について、最高裁が初めて判断を示した

事案の概要

魚の養殖業者Yは、訴外債権者Aに対し、いけす内の魚を対象とする集合動産譲渡担保を設定



他方、Yは、当該譲渡担保目的物である養殖魚を、本件契約1(譲渡担保と認定)及び本件契

約2(真正売買と認定)をもってXに譲渡し、占有改定の方法により引渡しをした。

この後、Yについて民事再生手続が開始された。

以上の事実関係のもとで、XはYに対して、所有権に基づき本件契約1、2の目的物となった

養殖魚の引渡しを請求した。


最高裁は、本件契約1について、譲渡担保契約と認定して所有権に基づく引渡請求(取戻権

の行使)を否定するとともに、上記論点1につき以下のように判断した。

譲渡担保を複数設定することは可能であるが、劣後する譲渡担保に独自の私的実行権限を認め

た場合には、配当の手続が整備されている民事執行上の執行手続が行われる場合と異なり、先

行する譲渡担保権者には優先権を行使する機会が与えられず、その譲渡担保は有名無実のもの

となりかねない。したがって、このような結果を招来する後順位譲渡担保権者による私的実行



次に、本件契約2について、真正の売買契約と認定した上、上記論点2について以下のように

判断した。

構成部分の変動する集合動産を目的とする対抗要件を備えた譲渡担保の設定者が、その目的物

である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該譲渡担保の目的である

集合物から離脱したと認められない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得する



 この点については、調査官解説によれば、個別の動産が集合物から離脱したかどうかにか

かわらず、集合動産譲渡担保権の負担付きで所有権が移転する(処分の相手方は物上保証人

と同様の立場になる)という法律関係を否定し、目的物が集合物から離脱していない現状で

は処分の相手方が目的物を承継取得することはないとの判断を示したものとされている。

 なお、通常の営業の範囲に関して、譲渡担保設定者の処分権限は、譲渡担保契約上明示され

ている場合も少なくないが、そのような定めの有無にかかわらず、集合物の性質から当然に

導かれるとされています。

しかし、予防法務的には、譲渡担保設定契約上明確に定義しておくことが望ましい。

 上記論点2については、集合動産譲渡担保の目的動産が通常の営業の範囲を超えて売却され

た場合に、目的物が集合物から離脱すれば処分の相手方は当然に所有権を承継取得すること

ができるのか、それとも即時取得が可能となるにすぎないのか、詐害的搬出に対してどのよ

うな対応が考えられるか、譲渡担保の追及効を認めえるのか等が残された問題であるとされ

る。

            最判小一平成18・7・20 判時1944・105 

                 宮坂調査官の解説(曹時60・6・224)

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Last updated  2009.06.09 10:20:47


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