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保証人が主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合に保証人が取得する求償権の破産債権該当性及び同求償権を自働債権とする相殺の可否(最高裁 平成24年5月28日第二小法廷判決)
「事案の概要」
Aらは、銀行業を営む被上告人との間で、それぞれ当座勘定取引契約を締結した。
一方、被上告人は、平成18年4月、Aらの委託を受けないで、Aらの取引先の株式会社との間で、Aらが取引先の株式会社に対して負担する買掛債務等につき、極度額を定めてそれぞれ保証する旨の保証契約を締結した。
ところが、Aらは、いずれも、平成18年8月、破産手続開始の決定を受け、承継前上告人らが、それぞれ、破産管財人に選任された。
一方、被上告人は、破産手続開始後の、平成19年3月、保証契約に基づく保証債務の履行として、Aらの取引先の株式会社に対し、債務を弁済した。
その後、承継前上告人らは、それぞれ、当座勘定取引契約に定められた手続により、本件各当座勘定取引契約を解約したが、被上告人は、承継前上告人らに対し、前記弁済により取得した求償権と当座勘定取引契約に基づきAらが被上告人に対して有する債権とをそれぞれ対当額において相殺する旨の意思表示をした。この相殺が許されるかが、本件の争点である。
「判旨」
保証人が主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合において、保証人が主たる債務者である破産者に対して取得する求償権は、破産債権である。
保証人が主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合において、保証人が取得する求償権を自働債権とし、主たる債務者である破産者が保証人に対して有する債権を受働債権とする相殺は、破産法72条1項1号の類推適用により許されない。
判例タイムズ1375号97頁
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