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「事案の概要」
Y金融機関と預金取引を行っていたXが,家庭裁判所において保佐開始の審判を受けた後,Xの保佐人であるAの同意を得ずに預金の払い戻しを行ってこれを浪費したとして,Yに対してこれらの各払い戻しを取り消した上で,改めて同額の預金等の支払を求めた。本件口座に適用される預金規定には,補助,保佐,後見が開始された場合には成年後見人等の氏名その他必要事項を書面で届け出ること,及び届出前に生じた損害についてYは責任を負わないことが規定されている。
「判旨」
家庭裁判所の審判により補助,保佐,後見が開始された場合には直ちに成年後見人等の氏名その他必要な事項を書面によって届け出るよう求め,この届出前に生じた損害について金融機関は責任を負わない旨の預金規定の条項は,被保佐人等の保護と取引の安全の調和を図るための合理的な定めとして有効であり,被保佐人はこの届出をしない間に行った預金の払い戻しを取り消すことができない。
金融法務事情1949号 115頁