青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2013.10.09
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カテゴリ: 損害賠償
ビル内の飲食店で飲食した者がビル内の下りエスカレーターの手すりに接触し、乗り上げ、転落して死亡した事故について、ビルの共有者・管理者の土地工作物責任、エスカレーターの製造業者の製造物責任が否定された事例(東京地裁 平成25年4月19日判決)

「事案の概要」

Y1が共有し管理するビルに、2階から1階に下る、Y3の製造に係るエスカレーターが設置されていた。Aは、平成21年4月8日夜、本件ビルの2階にある飲食店で、同僚らと会食した後、本件飲食店の出入り口のほぼ正面に位置する本件エスカレーターの乗り口付近にいたところ、右側の移動手すりの折り返し部分に接触し、これに乗り上げ、体勢を崩し、本件エスカレーターの外側の吹き抜けから一階床に転落し、翌日死亡した。

Aの両親X1、X2は、Y1のほか、本件ビルの賃借人で、Y1に管理を委託するY2に対して土地工作物責任に基づき、Y3に対して製造物責任に基づき損害賠償を請求した。

「判旨」

本件エスカレーターは、その本来の用法を前提とする限り、通常有すべき安全性を欠くものということはできず、本件事故は、意図して、本件移動手すりに接近し、身体の背面側の中心線をその折り返し部分に接着させ、後ろ向きにこれに寄りかかるという、エスカレーターの本来の用法からかけ離れたAの異常な行動の結果として発生したものというべきである。

したがって、本件エスカレーターには、本件事故発生当時、民法717条1項に規定する設置又は保存の瑕疵があったとはいえない。

本件エスカレーターは、関係法令等に適合し、広く普及した仕様の一般的なエスカレーターであると認められ、利用者が身体の背面側の中心線を移動手すりの折り返し部分に接着させて後ろ向きにこれに寄りかかるというのは、通常予見されるエスカレーターの使用形態であるとはいえず、そのような使用形態によって本件事故が発生したとしても、本件エスカレーターが通常有すべき安全性を欠いているものということはできず、これに欠陥があるということはできない。

判例時報2190号44頁





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Last updated  2013.10.09 10:31:03


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