青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2016.04.22
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カテゴリ: 民事訴訟法
送達すべき場所が知れない場合に当たるとは認められず、原審における訴状等の公示送達による送達は無効であるとして、原審に差し戻した事例(札幌高裁 平成25年11月28日判決)

「事案の概要」

Xは、Yから買い受け、自宅に取り付けた錬鉄器具、玄関ドアなどに瑕疵があったなどと主張して、平成23年5月、不法行為などに基づいて、再工事費用の支払を求める本件訴訟を札幌地裁に提起した。

原審担当書記官は、訴状記載のYの本店所在地に宛てて訴状などの特別送達を試みたが宛て所に尋ね当たらないことを理由に返送された。

そのため、同年8月、Yの代表者の当時の住民票上の住所地(代表者前住所地)に宛てて特別送達を試みたが、受送達者不在で配達できず、保管期間が経過したことを理由に返送された。

X訴訟代理人の調査結果では、Y代表者が「地方におり上京の際立ち寄る程度で常時居住しているわけではない」、「郵便受け内の郵便物については、帰宅の際、確認している様子がうかがえる」、「いつでも退去できるよう荷物はまとめてある」との状況であった。

Xは、送達をなすべき場所が知れないとして、同年9月、原審裁判所に対し、Yに対する関係書類の送達を公示送達によるべきことを申し立てた。

原審担当書記官は、同年10月、代表者前住所地に宛てて特別送達を試みたが、受送達者不在で配達できず、保管期間が経過したことを理由に返送された。

原審担当書記官は、同年11月、Yに対して訴状を公示送達の方法により送達した。



「判旨」

被控訴人代表者が代表者前住所に居住していた可能性が否定できない以上、原審担当書記官においては、控訴人に促して代表者前住所において執行官送達を試みたり、代表者前住所があるマンションの管理業者、被控訴人代表者が売却を依頼していた不動産仲介業者に対する調査嘱託を試みたり、普通郵便を送って返送の有無を確認するなど、同所に被控訴人代表者が居住しているかどうかを再度確認する措置を講じるべきであった。

このような措置を講じなかった以上、相当な調査が尽くされたとは認められず、被控訴人の住所等が知れない場合に当たるとは認められない。

したがって、原審における被控訴人に対する訴状副本、期日呼出状等の公示送達は、民訴法110条1項の要件を欠き、無効である。

判例タイムズ1420号107頁





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Last updated  2016.04.22 13:42:27


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