届いたものは「デコタンゴール」と表記されていました。
なんだ、デコポンと同じなんだ..と納得しました。確かにどう見てもデコポンなのです。
解説には品種名は不知火(しらぬひ)と説明されています。
どうして名前が違うんだろう?
不思議に思いちょっとだけ調べました。
そこには果樹栽培という分野に限定されないビジネス上の色々なヒントと課題が...
「デコポン」は商標であって品種ではない!
デコポンは熊本県果実連が商標登録したもので、一定の基準をクリアした「不知火(しらぬひ)」だけがその名称で販売できるように仕組みを作ったものなのでした。
この品種は「清見」と「ポンカン」を交配して作った品種なのですが、当初はその形と味で「こりゃ〜ダメだ...」と思ったらしいのです。
新しい品種を作ろうと取り組んでいたのは当時の農林水産省でした。
商標登録もせず放置しているうちにその苗が流出したらしく、熊本県不知火町(現在は宇城市)に渡りそこで栽培されました。
なんと、いまいちな味だと思っていたものが収穫してしばらく保管しておくと甘みが増していることに気づき、本格的に生産されるようになったというのです。
どうして「デコポン」という商標登録をしたのか?
デコポン開発秘話なるものが書籍にあるのかどうか知りませんが、あるとしたら人間社会にある悲喜こもごもがあったのだろうな、と思うのでした。
ここからは私の個人的な推測ですが、せっかく交配種として作った品種なのに、この形と味を評価出来ずに農林水産省は放置してしまったという事実が1点目。
そしてたとえ流出したとしても、この新しい品種に目をつけて商品化までこぎつけたのは、熊本県不知火町のアイデアなのでした。
あのデベソみたいな形を当時は欠点だと評価していたらしいのです。それを逆手に取ったネーミングセンスで商標登録してしまおうというアイデアが出てきたところが2点目です。
この果物をきっちり評価し、商品化したのは我々だ!という強い自負が熊本県果実連にはあるのでしょうね。
商標登録してライセンス事業化を思いついたところがすばらしい!
「不知火」と「Sumo」も同じって?ところで「Sumo」って何だ?
「デコポン」のライセンス事業化までは良かったのですが、なんと同じ品種の「不知火(しらぬひ)」がアメリカ・カリフォルニア州では「Sumo(相撲)※ なんだこのネーミングセンス 」という名称で販売されているらしいのです。
すごいのは価格です。3〜4ドル/個という高価格であるにもかかわらず売り切れになるほどの人気があるそうです。
110円/ドル(今現在)なので、単純に計算して330円〜440円/個という値段になります。
日本よりも値段が高い!※ 日本ならば200円〜250円/個がいいところかな...
これは熊本県果実連の販売戦略なのか?と思ったら全然違って、これもどうやら苗が流出して米国で商標登録されてしまった結果なのでした。
これらの事実からいろいろなことが頭をよぎった...
実は私が小学生のころ日米貿易摩擦が始まっていたことを記憶しています。
とくに米国は自国の農産品の輸入拡大を日本に迫っており、当時はオレンジの輸入拡大が水面下で交渉されていたと思います。
その時オレンジに負けない品種を開発しよう!という意気込みが農林水産省にあったのだろうなと推測できることと、柑橘類の栽培で生計を立てている農家が必死で米国産オレンジにどうやって対抗していくのか考えた結果が「デコポン」という商標登録だったのだろうと思ったのでした。
その当時の日本人の気概が伝わってくるような気分です。
そんなことより「デコタンゴール」!
のま果樹園は愛媛県今治市にあります。結構人口減で悩んでいるらしいです。
「デコポン」も「デコタンゴール」も同じ「不知火(しらぬひ)」なら、のま果樹園で購入する方がお買い得だし、地域支援にもなるのかなと思いました。
頒布会を申し込んだのは、果物とか野菜は食べごろがあって、それは生産者がいちばんよく知っているだろうという思いからでした。
旬の愛媛みかんを産地直送! 愛媛みかん専門店「のま果樹園」
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