しかし、普通に考えてみても自分が所有する家の塀が倒れて誰かに怪我をさせたり、亡くなったりしたら、所有者としては責任を感じるだろう。
それが普通の感覚。
だが、普通は想定していない巨大地震だった、ということであれば想定外ということで、仕方ないということになるかもしれない。
ところが、現在の大地震など災害の想定はレベルが上がりすぎるくらい上がっているのが現状。
例えば、仙台地裁で1981年に地震で倒れたブロック塀の責任問題で損害賠償請求がなされた例があるのだけれども、このときには震度5程度で、想定外、とされているのだが、現在は震度6くらいは当たり前となっている。
したがって、当時は震度5は想定外だと言って理解されたかもしれないけれども、今の時代には震度6,7想定もあり、想定外と言えなくなっていることに注意が必要。
そのためには、仮にお金がないという事情があるにせよ、できる対策はしていた、という形にすることが必要になってくるだろう。
想定外の地震だったから仕方がないという世界はどんどん狭くなっているのだ。
また、建築基準法ではかつて基準が強化されるまえに作られたものについては、昔の基準をクリアしているのであれば、既存不適格として、なお現存することは構わないという制度になっている。
ある意味、建築基準法としては法律違反はない、ということが、この既存不適格とされる建築物など(ブロック塀を含む)については言えるのだ。
しかし、建築基準法違反ではないから、既存不適格のブロック塀が倒れて人が死んでも無罪放免とはいかないところが、また、難しい所。
なにかものを所有するということは、常に、管理の責任というものが生じてしまうのだ。
ブロック塀が心配という方なら、まずは1.2mよりも低くするように、上のほうから壊していくというのがもっともてっとり早く、効果的な取り組みだ。
参考)アトラス法律事務所より、
裁判年月日 昭和56年 5月 8日 裁判所名 仙台地裁 ... - アトラス法律事務所
https://atlaslaw.net/data/pdf/siryo-160717/s560508-sendai.pdf
参考)関口法律事務所より、
ブロック塀の危険性や、倒壊した場合の責任について
投稿日:2018年6月20日
https://sekiguchi-law.com/post-2242
災害の想定が大きくなればなるほど、想定している範囲内というのは広くなるのは困ったものだ。
被害を及ぼす側だけではあく、被害を受ける可能性のある人も、その危険性は予め分かっているはずなのだが。
参考)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/zmsrc/50746pdf/Q008.pdf
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