NEWSポストセブン より日本人一人当たりの 生産性の低さには この セロトニントランスポーターの量が 少ない人が多いことが 関係しているのではないかと思うことが しばしばある。 会社などの 業務や人事の管理の仕組みや 監督官庁の管理の仕組みは 本当にそれ自体の機能が 安定的に働くためと言うより 安定的に働かなくなる不安を 回避することを 優先しているように 思えることが結構ある。 例えば 報告、連絡、相談も 本当に必要だと思い込んでいるが 実務上の必要と言うよりは 上司なり同僚が 安心するためであったりする場合が結構ある。 管理するためだと思っているが その管理は安心するためで 仕事そのもの管理とは ちょっと違ってしまっている場合がある。 もちろん全てがそうだとは言わない。 しかし本当に必要な管理は 普通考えられているよりははるかに少ない。 欧米の企業では それほどは 不安に立脚していないから 日本だったら 数人のチームで行うようなことでも 一人に任せられ 裁量の範囲も広い。 日本だったら 任せる本人の能力や 信頼度とは関係なく 安心するために 複数の人員のチームが作られる。 そして 不安は不安を呼ぶところがあって 不安を避けるために 入念な作業や 確認のための細やかな検証が 効率や生産性より大きく優先する。 確かに 海外では日本では考えられないような いい加減な仕組みが普通であったり 場合によっては 日本人は不愉快な思いをすることもある。 しかしそれでも 社会全体としては 十分に成り立って 機能していて 日本人よりもはるかに 楽しそうで充実した生活を送っていたりする。 脳の仕組みがそうなっているのだから しょうがないと言えば もちろん確かにそうなのだが 知らず知らずに 不安感を出発点とした極端なことに 陥ることには 冷静に客観的にブレーキをかけたい。 安心は日本人が考えるほどは 価値が高くはないのだろう。 いじめも安心への欲求から起こると言うことだから。 しかしその場合 考えに含めておかなくてはならない 重要なことは いじめをする人間は 必ずしは悪意ではないかもしれないと言うことだ。 むしろ 集団を思う善意だったり 英雄的なナルシシズムだったり 悪を行うと言うよりは 本人側では 善を行なっている意識が強いかもしれない。 だとすれば それは確かにいじめは なくならない。 なくならないどころか そもそも人は 善意で行なったことには 反省はないから 黙っていれば どんどん増えてゆく。 そしてもっと言えば いじめが強く禁止される場では 不安になる人が多くなることだって 十分あり得る。 そこまで考えると どうしたらいいかわからなくなってくるが 必要なことは 特に日本人は 不安であることに 無防備ではいけないと言うことだ。 不安な時に その感情に押し流されるのではなく 不安に思う必要がないことを 客観的に しっかり証明することを 考えるべきなのだろう。 認知行動療法のようなやり方も 有効かもしれない。中野信子 貴乃花親方がいじめられ、小泉進次郎氏がいじめられない理由
いじめは大人の世界でも頻発している。 『ヒトは「いじめ」をやめられない』 を上梓した脳科学者の中野信子氏が 脳科学の観点から対策を説く。
猛獣と比べて 脆弱な肉体しかもたない人間が 地球上で生き残ってこられたのは、 集団を作って 高度な社会性を持ってきたからである。 この集団が存続するうえで もっとも脅威となるのは、 自分だけ楽をしたり、 集団に協力しなかったりする 「フリーライダー(タダ乗りする人)」だ。 放置すると集団が崩壊するので、 人間の脳には、 フリーライダーに制裁を加えて排除しようとする 「裏切り者検出モジュール」 という機能が備わっている。 人間の脳内では安心感を抱かせ、 やる気を出させるセロトニンという 神経伝達物質が分泌されているが、 日本人はセロトニンを再利用する セロトニントランスポーターの量が 少ない人が極めて多く、 世界一不安になりやすい民族といえる。 そのため、 「裏切り者検出モジュール」 の感度が高く、 フリーライダーとはいえない人までも 「将来的な不安の種」 と認識し、 過剰に排除してしまう。 これが「いじめ」のメカニズムだ。 いじめは 脳の機能で起きるものだから仕方ない などというつもりは毛頭ない。 メカニズムを知り、 それを対策に活かすことが重要だ。 いじめは大人の世界でも起きる。 昨年末、 世間を騒がせたあの“事件”はまさに いじめの構図だった。 横綱・日馬富士が平幕・貴ノ岩を 殴りケガを負わせた件で、 貴乃花親方が警察に被害届を出した際、 「横綱に対して失礼な態度をとった貴ノ岩も悪い」 「貴乃花は警察に届ける前に協会に報告すべきだった」 といった声が出て、 メディアも大きく取り上げた。 相撲フリークと呼ばれる人ほど、 貴乃花親方や貴ノ岩を批判していたのは象徴的だ。 角界を守るため、 秩序を乱す者を排除するという 「利他的懲罰」の面が強く出ていた。 しかし、 「暴力は良くないが、貴乃花のやり方も良くないよね」 というのは、 「いじめられる側にも問題がある」 というのと同じだ。 これを認めてしまうといじめはなくならない。 角界という特殊な世界だから そのような状況になったのではなく、 会社組織でも当たり前のようにいじめは起きる。 仲間意識の強い集団ほどいじめは起きやすく、 目立って、 集団から浮いた人が標的になりやすい。 よくあるのは、 「なんであいつだけ昇進できたのか」 「あいつだけ楽をしている」 「親が金持ちのお坊ちゃんだ」 などと周囲から思われる状況で、 集団の秩序を守るために 制裁を加えて排除すべきだというスイッチが入る。 こうしたいじめを回避する方法としては、 一つは、 誰にも手の届かないほどの存在になることだ。 青色LEDを開発した中村修二氏は 社内で研究に没頭できる環境を与えられ、 ある意味“特別扱い”だったのだろうが、 ノーベル賞を受賞し、 誰も批判できなくなった。 もう一つは、 致命的にならない程度に 自分の格好悪い姿や弱点をさらすことだ。 それにより、 相手の妬みを抑え、 秩序を乱す人間ではないという認識を誘導できる。 代議士の小泉進次郎氏は、 政治家一族の名門に生まれ、 容姿にも恵まれて 妬まれやすい立場にあるが、 自らを「客寄せパンダ」と敢えて認めてみせるなど、 周囲からの妬みを抑える努力をしている。 職場で活躍しようと思うならば、 同時に妬み対策も必要だ。 【PROFILE】なかの・のぶこ/1975年東京都生まれ。脳科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所にてニューロスピン博士研究員として勤務後、帰国。現在、東日本国際大学特任教授。近著に『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館新書)。
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