そんな音楽たちの中で、“いい音楽”ってどんなもののことを言うのだろう?
きっと「正解」は無いんだろうな。
でもそれは「受け取る人」にゆだねられている部分が大きいと思う。
「作り手」が何を意図しようと、作った音楽が手を離れて誰かに渡ったら、それは「受け取る人」のモノになる。
「受け取る人」にとっての“いい音楽”。
ある人にとってはメロディが好きだから、とか、またある人にとっては歌詞がお気に入りとか。
また、何か特別なイベントに結びついていて大事な音楽。
沢山の人を感動させることのできる音楽。
色んな形の“いい音楽”があるんだろうな。
でも、「理由」を上手く説明できる事の方が少ないかもしれない。
大好きな音楽が沢山ある中で、そんな風に
はっきりした「理由」は分からないけど“いい音楽”だなって思う音楽がある。
2006年4月26日にリリースされた、邦楽バンド「藍坊主(あおぼうず)」のアルバム「ハナミドリ」。
“あたたかさ”をコンセプトにした彼らの3rdアルバムという事らしいけど、本当にアルバムを通して「人のぬくもり」や「温かさ」、「優しさ」、「息づかい」が感じられるような、正に「血の通った音楽」という印象。
サウンド的にはロックな一面もあるけどぜんぜん尖っていなくて、でもぜんぜん退屈させることもなく、しっかりと心に響いてくる何かがある。
曲調も素敵だし、また「歌詞の世界観」がすごく面白い。
歌詞は、ある時はストーリー仕立て、またある時は哲学的。
実際にはあまり意味を成していなくて、「言葉遊び」を楽しんでいるような歌詞もある。
歌詞カードは「小冊子」のような作り。表紙はしっかりした素材の紙で、内側に織り込まれてブックカバーのようになっている。
そして、まるで本を出版したみたいに“「ハナミドリ」創刊によせて”というあいさつ文まで付いているという、凝った作り。
“本”の最後にはあとがきも付いている。
歌詞のストーリーや哲学的思考を楽しめるだけでなく、
イラストも柔らかい色使いでかわいくて綺麗で、歌詞カードを読むだけでも楽しめるような感じがする。
でもやっぱりメインは音楽。アルバムの収録曲の視聴 ↓↓
トラック?B:【スプーン】
◎『スプーン』の歌詞の一部 引用
いつでもある笑顔に
「ありがとう」の一言を言い忘れてた気がするよ
「ただいま」とスプーンに話しても
疲れた自分が映るだけ
「おかえり」が待っている台所が
こんなに幸せだったなんて
トラック?F:【ジムノペディック】
◎『ジムノペディック』の歌詞の一部 引用
だから僕が君に言いたいのは
空き缶をつぶすように
伸びた爪をパチパチ切るように
喋らないでくれってこと
トラック?G:【泣いて】
こちらが藍坊主のアルバム「ハナミドリ」 ↓↓
新品価格 |
もしご興味がわいたら…
≪トラックリスト≫
1. 『桜の足あと』
擬音語が見事な形で散りばめられた歌詞。リリースが4月だったので、桜の季節にぴったりな感じの希望がわいてくるような柔らかい明るさの音楽。
2. 『テールランプ』
「黄色い首輪の年老いた犬」の物語。
年を取って早く走れなくなってしまった老犬。
大好きな「あの娘」に星を見せてあげたい。笑顔にしてあげたい。
でも運命は残酷だった。車にひかれてしまった「あの娘」。
3. 『スプーン』
家族が一緒という、普段は「あたりまえ」みたいに見えるけど、本当はすごく大切な「しあわせ」について。
4.『 ハニービースマイル』
沢山の名詞の羅列と疾走感で、凄くノリの良い音楽。
彼女を怒らせてしまった時の日常的ストーリーをコメディタッチで表現。
5. 『コーヒーカップと僕の部屋』
出会った時の真っ白な気持ちと、時の流れとともに心が行き違っていく様子。
恋愛(恋人)と自分の夢の選択という、人類の普遍的テーマ??について。
歌詞の一部 引用 ↓↓
“真っ白な心のままで惹かれ合った
十年後の未来を笑い話したね”
6.『0』
作詞者の佐々木健太さん独自の哲学的世界観。数字が生きているような、不思議な面白さ。
シンプルな音が不思議な浮遊感を感じさせる部分から、開放的なサビへつながるという曲調。
7. 『ジムノペディック』
一見普段と変わらない日常なのに、小さな不協和音が聞こえそうな違和感。
繊細なピアノの旋律が印象的。
8. 『泣いて』
トラック5の『 コーヒーカップと僕の部屋』とテーマの重なる部分もありそう。
誰かと共に歩む時、自分と相手のどちらを尊重するのか…。
「どちらかを尊重」という考えがあるうちは、共に歩むのは難しいのかもしれない。
9. 『ベンチで手紙を読む老人』
曲を一通り聞いて、歌詞の完結の仕方にびっくり。
昔、「ソフィの世界」という哲学的物語を読んだ時の事を思い出した。
10.『柔らかいローウィン』
「月の裏側で涙を流しているウサギ」の物語。
園児が見るファンタジーの物語を連想させるような、優しい音楽世界。
11.『マイホームタウン』
故郷を離れていた若者が、故郷へふと帰った時に感じたあたたかさ、みたいなストーリー。
人のぬくもりに溢れた、ほっとするような音楽。
トラック3の『スプーン』の連想かもしれないけど、「今日の夕ご飯は何だろう?」みたいに考えながら家路に着く夕刻のイメージ。そしてそのひと時は、とてもゆっくりと流れている。
温かい歌詞の一部 引用 ↓↓
“たばこ屋のおばちゃん 僕に向かって
「たばこは体に悪いよ。」って注意をした”
“矛盾の一言に呆れたけどちょっと
ポンっと背押されたようで
その一言がうれしい”
歌詞の世界観に心がすごくほっこりした。
「いい音楽だな」って思う「理由」を上手く説明できないけど…
いい音楽、素敵な音楽をありがとう、藍坊主!
【姉妹サイトのご案内】
いつもお越し下さり、ありがとうございます(^_^)
PaleBlue(=SAI)はもう一つの音楽ブログを運営してます!
それは⇒ 『素敵な音楽のご紹介♪』 (リンクして飛べます)
『井戸に差し込んだ光』より若干、新しめ、明るめなお話(^^;)??
よろしかったら遊びに来て下さい☆