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2021年12月25日

上野千鶴子氏 ルッキズムを辞められ無い男性は「地域社会で排除される」



上野千鶴子氏 ルッキズムを辞められ無い男性は 「地域社会で排除される」

「美しい人に 『美人』 と言っては行け無い理由」 を聞く



12-25-4.png 12/25(土) 7:15配信 12-25-4



12-25-1.jpg

ジェンダー研究で知られる東京大学名誉教授の上野千鶴子氏(写真 共同通信社)12-25-1


2021年は 〔女性蔑視〕 が厳しく追及される騒動が続いた。五輪組織委会長だった森喜朗氏は 「女性が沢山居る理事会は時間が掛かる」 と発言して辞任に追い込まれ、静岡県の川勝平太知事も 〔学力と容姿〕 を結び着けた発言で大炎上した。
 女性蔑視は許され無いが、違和感が在ったのが、福島県相馬市長の立谷秀清氏が、連合の芳野友子会長を 〔美人会長〕 と呼んで謝罪に追い込まれた一件では無かったか。

 前後の文脈を含めて批判されたとは云え、ソモソモ女性を 「ブス」 と貶(おとし)めるのでは無く 「美人」 と称える事の何がいけ無いのだろうか? ジェンダー研究で知られる東京大学名誉教授の上野千鶴子氏に、率直に質問をブツけた・・・

 上野氏は 「美人」 発言の問題点に付いて

「既に 『ブス』 と云う言葉がタブーに為りましたから、その対極に在る 『美人』 も言っちゃダメと云うのは、論理的にも当然の事ですよね」

 と指摘した上で、次の様に説明する。

「近年、ルッキズム(外見至上主義)と云う言葉が登場しました。この〔イズム〕と云うのは、セクシズム(性差別)レイシズム(人種差別)等の言葉にも使われて居る様に〔差別〕と云う意味です。
 ルッキズム(外見差別)と云う新しい概念の言葉が登場し、イズムが着いて居ると云う事は、外見に付いてトヤカク言うのは差別で在り 〔遣っては行け無い事〕 に認定されたと云う事です。それは 〔褒める〕 と云う行為でも同じ事。
 例えば妻やガールフレンドと一緒に歩いて居る男が、前から来る別の女を見て 『オ! 美人だナ』 とか 『オ! ブスだナ』 とか何気無く言ったりするでしょ。その瞬間に、女は一元的な序列の何処かにサッと位置付けられてしまう事に為る。
 そんな事頼んでも無いのに、当然、不愉快ですよネ。男と云うのは、そう遣って女をランキングする権力が自分に在ると無邪気に且つ傲慢に信じて居るのです。それが近年に為ってヤット 『そんな権利、アンタ達には無いよ』 と云う事が浮かび上がって来た」

 それ為らば、女性が男性に 「イケメン」 等と言う事も問題視されるべきでは無いのだろうか。

「好く在る反論ですが(苦笑)女の場合は一元尺度でランクオーダーされるのに対して、男は多元尺度なんです。例えばイケメンじゃ無くたって、学歴とか地位とか・・・そう云った尺度が男には在る。男の尺度の中で一番強力なのは金力(稼得力)で在り、イケメンか如何か何て事は、男に執ってはマイナー尺度です。詰まり男女のランクオーダーは非対称ですから 『女だって同じ事を遣って居るだろ』 とは為りません」


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五輪組織委会長だった森喜朗氏は「女性が沢山居る理事会は時間が掛かる」と発言して辞任に追い込まれる(写真 共同通信社)12-25-3


先ずは「建前」を変化させる

 只、幾ら女性を容姿でランク付けしては行け無いと説かれても、心の中で美人か如何か 〔評価〕 する事迄はナカナカ止められ無い。上野氏も 「オジサンの腹の中は死ぬ迄変わら無いでしょうネ」 と認めた上で男性達にこう釘を刺す。

「私は社会の変革と云うのは、本音の変化では無く建前の変化が重要だと思って居ます。オジサンの下心とか人間の卑劣さと云うのは、何時の時代も何処にだって存在するけれど、少なくとも公共の場でそう云う事を言ったら地雷を踏むと云う事は肝に銘じて欲しい。男は時代の変化に合わせて自分をアップデートし無ければ、自分が不利益を被る事に為ります」

 女性の容姿に全く触れ無いと為ると、同僚や友人とドンな話をしたら好いのか  「コレはセクハラかも?」「ルッキズムと言われるのでは?」 と怯えて居ては日常会話もママ為ら無い・・・そんな風にコミュニケーションが取り辛く為る事を危惧する声にはコウ応じる。

「若い女の子達からも、そう云う事はショッチュウ言われます。バイト先等でおニイさんやオジサン達が口を聞くのに神経を使って職場がピリピリしてしまう、とか。でも、もし彼等が神経を使わ無く為ったら何が起きるのか・・・オジサン達からスレ違い様にお尻や胸を触られる何て事がズッと続く事に為ります。そんな職場で女性は働きたいと思いますか?
 1989年に『セクハラ』が流行語大賞に為った時に男性週刊誌は堂々と 〔セクハラは職場の潤滑油〕〔(だから無く為ったら)職場がギスギスする〕 みたいな記事を載せて居ました。『週刊ポスト』にも在った筈です(笑)それに比べれば、セクハラがアウトに為ったのは大きな進歩。気を使って職場がピリピリする位が、丁度好いんです」


 ピリピリした結果 「女性に対して一切話し掛け無い」 と云う極端な選択を取る男性も出て来るが、上野氏は女性に配慮した 〔褒め方〕 〔コミュニケーションの取り方〕 がチャンと在ると言う。

「ジェンダー研究の世界では 〔女だから可愛い〕 とか 〔男だから泣くな〕 の様なジェンダーに依拠した説明や解釈の事を Doing Gender・ジェンダーを実践する と呼びます。逆にジェンダーに依拠し無い説明や解釈を Undoing Gender と言い、例えば 〔キミは根性が在るネ〕 の様に、男も女も関係無い言い方の事を指します。
 女性の事を褒めたい時には、この Undoing Gender の言い方にすれば好い。例えば 〔女子力が高いネ〕 では無く 〔気配りが出来るネ〕 と云う言い方にするんです。 〔可愛いね〕 と云う言い方で無く 〔チャーミングだね〕 と言えば好い。
 美人と云うのは一元的な尺度だけどチャーミングと云う表現には多様性が在りますからネ。人に依って意味合いは様々だし、男に取っても女に取っても最高の褒め言葉だと思いますよ」


 相馬市長の 〔美人〕 発言直後、本誌・週刊ポストは『美人論』著者で国際日本文化研究センター所長の井上章一氏に見解を聞いたが、ソコでは

〈オフィスで女性社員から『・・・さんは美人だよネ』と語り掛けられたら『僕もそう思う』と答えては行け無いのでしょうか?〉(週刊ポスト11月19・26日号)

 と疑問を述べて居た。その問いにはこう答える。

「そう云うシチュエーションでは、その女性の話には乗ら無い方が賢明でしょうね。女だって、男性的な価値観を内面化して居ますから、一元尺度でセルフランキング位しますよ。でも 『僕もそう思うよ』 とか言うと、女達は内心シラケてしまうと思う。
『マア、人ソレゾレだね』 とか 『そう云うキミも十分魅力的だよ』 位の返しをすれば好いのではないでしょうか」


週刊ポスト2022年1月1・7日号



 リタイア後の男性は家庭内での発言にも注意が必要に為って来ると云う。

「一人暮らしで無ければ、男は会社を退職した後も家庭とは関わり続ける事に為る。夫が常日頃から、他所の女性を見る度に 『オ、キレイなネーチャンだナァ』 とか発言したら、その都度妻の心は削られますよ。
 妻は長い間、ソレを受忍して来たのでしょうけど、歳を取ると受忍の限度がドンドン下がって行く。夫の方が先に要介護に為るケースが多いから、そう為ると妻の逆襲が始まり、コッソリオムツ交換の頻度を減らされるかも知れません(笑)家でも本音ダダ漏れは辞めた方が賢明です」
(上野氏、以下同)  

 一方で愛想を尽かした妻が離婚を切り出す事は意外に少ないと云う。

「離婚時年金分割が出来る様に為っても、妻が受け取れるマックスは2分の1なのに対し、遺族年金は夫の年金受給額の4分の3で、更に相続では資産も居住権も保障されます。離婚し無い方がトクと 『妻の座』 権は法律で手厚く保護されて居ます。
 但し、コレは妻の地位が上がった訳では無く 〔後チョット我慢して夫を看取った方がトクだよ〕 と妻に思わせ、夫が 〔看取り保障〕 を得て居るのだと私は解釈して居ます。マア、死ぬのを待って居ると、夫はナカナカ死な無いんですけどね(苦笑)」


 リタイア後の男性に取って家庭の他に居場所と為り得るのは地域社会だが、此処でも言動に気を着け無いと冷遇される可能性が在ると続ける。

「リタイア後の男性は、家庭の外の地域社会に関わるケースも在ります。男が地域社会で本音丸出し発言を繰り返したら、必ず地域の女性達から顰蹙を買い見放されます。  
 会社組織とは違い、家庭や地域等の利害の伴わ無い集団の場合は『美人』等と言って女性を分断する様な男は排除されてしまいます」


 地域社会で円滑な人間関係を築ける男性は、リタイア前の〔助走期間〕に共通点が在ると云う。

「今は人生100年時代で、65歳のリタイア後も人生はもう1ラウンド20〜30年続きます。そこにソフトランディングするかハードランディングするかは大きな違いです。  
 ソフトランディングする人達の共通点は、現役時代からチャンと人間関係のマルチチャンネルを作って居る。企業と云うのは軍隊の様な指揮命令系統の組織ですが、それとは関係無い人間関係を築いて居ます。そう云う事が出来る男に為るには、ルッキズムの様に人間を一元尺度で序列化する認識を持って居てはダメでしょうね」


 それでも貴方は 「美人」 と言い続けますか・・・上野氏は全ての男性にそう問い掛ける。



【プロフィール】 上野千鶴子(うえの・ちづこ) 1948年生まれ 東京大学名誉教授 認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長 著書に『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』『在宅ひとり死のススメ』などがある 

週刊ポスト2022年1月1・7日号




【管理人のひとこと】

 ダメな男は、通りすがりの女性を一目見て〔可愛い?〕〔美人かブスか?〕と咄嗟に判断してしまう。そして可愛く美人で在れば〔何か得をした様な〕楽しい気分に為る・・・ダメな男には、人には言え無いそんな密かな楽しみを持って居る。
 可愛いからと云って如何する訳でも無く、見ただけでも〔単に美人は得をする〕ので在る。女性を美醜で区別しては為ら無い・旧時代の悪しき産物だ・・・世の中では〔女性蔑視〕には途轍も無い〔しっぺ返し〕が待って居る。特に引退した老人には、社会全てが一つに為って〔老人排斥運動〕が始まり彼は社会から抹殺されるだろう。
 一度社会から引退した老人は、世の中から隠れる様にヒッソリと暮らさねば為ら無い。「貴方の実力を生かして欲しい」と何度頼まれてもその気に為っては行け無い。「世の中に生かさせて頂きます」と謙虚な心で感謝を捧げ乍ら暮らすのが丁度好いのである・・・お前達は存在するだけで社会の無駄なのだからと。











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