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2014年09月29日
いい事ばかりは ありゃしない @Seoul
おばちゃんたちに別れを告げ、また歩みを進めた。
時間がたつにつれ、暑さは割増になり、まさに夏陽気。
これじゃあ、シンガポール並みだな、
と他の人にはわかりづらい形容を思い浮かべながら、マウルを歩く。
丘に這うように巡らされた狭い路地は、ホトンドが行き止まりで、
数軒の軒先を眺めた後は、誰かの家の玄関先でジ・エンド。
路地を歩いては行き止まり、戻っては次の路地、を繰り返す。
狭い路地は風情があり、行き止まりとわかっていてもついつい潜り込んでしまう。
行き止まった先で写真を撮ってはまた歩いていると、
それほど広いエリアではないので日が高いうちに歩き尽くしてしまった。
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マウルのエリアを離れると、ギャラリーやオシャレなブティックが軒を連ねている。
大使館も多いエリアだけに、街の雰囲気自体はオシャレ。
カフェもこぎれいで、ネクタイ姿の外国人、スーツを決めた人たちが席を陣取っている。
そういえば宿であった日本人が明洞の土産店で働いているらしいのだが、
「例のインフルエンザ騒ぎで明洞から日本人の姿が消えましたよ」
なんていっていた。
ここ仁寺洞では観光バスが次々横付けされ、日本人の塊を吐き出している。
明洞じゃなくて、こっちに流れているのか。
韓流ファンにはあまり関係ないのかな。
「2、3月の閑散期より日本人少ないですからね、どうなってんでしょうね」
と彼が口にしていたのを思い出しながら、駅に向かった。
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仁寺洞からソウル駅を目指す。
特に目的があるわけではなく、食料品や土産の捜索。
駅に近いロッテ・マートに何かおもしろいものがあれば、と思って向かってみたが空振り。
日が落ち、ようやく暑さが和らいだ。
赤い夕日が心地いい。
駅から近い場所で「トンカツ屋」を発見。
なんとなく久しぶりだったのと混んでいたので飛び込んでみた。
ロースカツ定食¥7,000。
出てきたカツはハムカツのような心細いトンカツだった。
見た目や定食スタイルは日本スタイル、そのままなんだけどなあ。
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「韓国のカツってなぜかみんな薄いんですよ、ペラッペラ」
宿で会った彼がそう言っていたのを、今になって思い出した。
写真1; 居酒屋の前にあった瓶
写真2; 家は古式だが、人々は普通に生活している
写真3; 仁寺洞のオシャレなカフェ。欧米系のビジネスマンが多い
写真4; 携帯で撮ったトンカツ。店先のメニュー写真は日本のモノでした(笑
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2014年09月28日
こんなんなっちゃった @Seoul
路地に腰掛け、陽気な軍勢が去るのを待った。
ツアー・グループはスコールのようで、
一瞬、あたりを賑わしていくが少し待てば何もなかったかのような静寂を取り戻す。
時間帯が悪いと、次から次にスコールに見舞われることにもなるが、
人気の観光地ならそれもしかたない。
幸い、インサドン(仁寺洞)のマウル(韓屋)一帯はそれほどではないのだろう。
あるいはすでに午後なので、グループは他に流れたのかもしれない。
ちなみに有名な観光スポットってやつは、
午前中に行くとツアー・グループが目白押しなので、
韓国に限らず、要注意です。
朝からがんばって名所・遺跡巡りなんかした日には、
ずっとスコールに打たれ続けるハメになりますぜ。
5月上旬だというのに恐ろしいほど蒸し暑い。
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「ニホ〜ンのヒト〜?」
気の抜けた日本語で声をかけられた。
「そうですよ」
笑いながら答えた先には、地元のおばちゃんが日陰に腰掛け、涼んでいた。
「ミヤゲ〜、みてイッテ」
「土産屋があるの?」
「そうよ、ココはXXX住んでいた家よ〜。XXXのロケもしたトコロヨ〜」
キレイな日本語で説明されたが、出てきた俳優やドラマの名前はよくわからなかった。
こちとら、韓国ドラマも韓流もまったくといっていいほどわからないのである。
「アナタはダレのファン?」
「う〜ん、ダレでもないけど」
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どうやらこのあたりは冬ソナ(?)でもロケされた場所らしく、
日本からもこぞってファンが詣でているらしい。
おばさんは自宅を改造して、土産&グッズ・ショップを展開しているらしい。
ちょっとしたベンチャー化ですな。
「ミテイッテ〜」
「みないよ〜、わからないもん。それよりもなんか飲み物売ってないですか?」
「ウチは売ってないよ〜。ソレはアッチヨ」
指差した方向には地元の小さな売店があった。
冷えた缶コーヒーを買い求め、小休止。
おばちゃんがいた日陰を拝借。
「今日はすごい暑いですね。そうだ『暑い』ってなんていうの?」
ハングルのお勉強。
「トウォ」
おばちゃんが臨時の先生。
「トウォ〜〜、アジュ・トウォ〜」(アジュはとても〜の意)
デカイ声で言ってみるとおばちゃんがゲラゲラ笑う。
それを聞いて、道の向こう側で涼んでいたおばちゃんたちもゲラゲラ笑っている。
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「トウォ。トウォ、トウォ」
忘れないように繰り返し口にすると道の向こうでさらにウケていた。
こんなところでウケはとらなくていいのだが、なんだか知らない街角で笑われてる。
一人で歩いている日本人が馴れないハングルを口にしているのは確かに奇妙な光景だ。
写真1; マウルは狭い路地が多い、それも行き止まりの
写真2; どこかのロケ地らしい
写真3; 町なかののどかな東屋で井戸端会議中
写真4; 普通の民家にも色合いが残る
2014年09月27日
あきれて物も言えない @Seoul
人のいない路地をゆっくりと歩いた。
時折、欧米系の観光客とすれ違う程度で静寂は保たれていた。
アイサツを交わすと、子供は無邪気に手を振り、
親は熱心にマウル(韓屋)を眺めている、という家族連れが多い。
オリンピックが行われ、
仁川空港というアジア屈指のハブ空港が完成し、
ワールドカップが開催され、すっかりこの国は国際色豊かになっている。
街なかは観光客ばかりでなく、駐在や出張の外国人の姿も多くなった。
マウルは小高い丘にあるため、クルマがあまり入ってこない。
その上、ひと気がないので、ゆっくり写真が撮れる。
地べたに寝そべって撮っても気兼ねがないし、ヘンな人として見られることもない。
すっかりマウルと自分の世界に入り込んでいたが、それはあっさり打ち崩された。
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大通りに止まった大型輸送車は次々に兵隊を吐き出した。
威勢のいい指揮官の掛け声にあわせるように軍勢がマウルの狭い路地に押し寄せる。
旗を振る指揮官が決まったところで足を止めると集団に向かって声高に叫び声を上げた。
その声を待っていたかのように軍勢は一斉射撃をはじめる。
軍勢は少し歩いては集団を形成し、また道いっぱいに広がっては移動を繰り返した。
バスから降りた団体客だ。
おかまいなしに記念撮影を繰り返しては、大声で笑いあいながら歩みを進めていた。
マウルの路地は思いっきり日本語で埋め尽くされた。
日本人のツアー客に限らず、中国系だろうが、アメリカ人だろうが、
ツアー・グループってやつはひと塊でやってきては傍若に歩き回ってゆく。
雰囲気も空気もへったくれもなくて、
声高なガイドの説明と、
半ば意地で撮っているのかと思われる整列式の記念撮影を繰り返していく。
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なんともまあフシギな集団。
かつてはその集団を束ね歩いていたのだから、なんともまあフシギな仕事をしていたものだ。
こういうところに一人出歩いていると、かなり奇異の目で見られたりする。
ツアー・グループは一人旅の者をを訝しげに眺め、
一人旅の者はツアー・グループを煙たがる。
元「先導者」としては、そのあたりは気にせず、フランクに話し掛けたりしてみる。
「ドコからデスカ?」なんて尋ねると
「あら、日本人?」なんていわれたりことはよくある。
グループの人たちには「日本の人はツアーで旅するもの」という頭があるらしい。
「一人で歩いているんです」なんていうと植村直己張りの冒険者に見られたりする。
アメリカ人やヨーロッパの人の場合、アイサツを交わすと、
「ドコからですか?」なんて尋ねてみる。
その街の名物をあげてみるとこれがかなり喜ばれる。
どこの国の人も自分には思い入れが強いのですね。
アメリカ人の場合はそこのプロ・スポーツ・チームがわかりやすく、
ヨーロッパの場合はその街の有名な食べ物がウケがいい。
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中国系やアジア系の場合、
海外旅行に馴れてない、というのもあるだろうが、
基本的にシャイなので、話し掛けると驚かれることが多い。
なので会話で判断して、「ニイハオ」とか「ネイホー」「テレマカシー」なんて、
その国の言葉でイキナリ話し掛けると、ウケる。
観光地でウケをとる必要はないのだけれども、グループを見ると血が騒ぐのだろうか。
職業病が残っているのかもしれない。
2014年09月26日
雨上がりの夜空に @Seoul
雨は深夜になってまた降り出し、午前中も降り続いていた。
雨を理由に惰眠を貪る。
休養を兼ねた渡航なので、カラダを休めるのもアリだろうが、
旅行先で寝て過ごすなんて、旅行者の風上にも置けない振舞いかもしれない。
そういえば、前回の4月に訪問したときも到着日は雨。
空港から乗り継いだ地下鉄、
次から次へとズブ濡れの傘を持った客が乗り込んでくるので閉口していた。
重い荷物を背負い、知らない宿を探して歩くのはあまり楽しいことじゃない。
ところがこういうところは悪運強く、
地下鉄の階段を上がると雨はスッカリ上がっていた。
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今回もやっぱり雨を運んできてしまったが、
市庁でリムジンバスを降りた時に雨は上がっていて、
乗り継いだタクシーを降りたときも宿まで濡れずに済んだ。
夜中には宿の窓を叩く雨音がしていたので、悪運健在だ。
今回は前回と同じ宿。
シングルの安さと駅からのアクセスの良さに気をよくし、定宿化しようかと企んでいる。
シングルは4畳ぐらいの部屋にベッド、TV、机、冷蔵庫まで備わっていて、
共同シャワーなら22,000W。
シャワー付のシングルなら25,000W、
ドミトリーならもっと安いが、カメラを抱えた身としては、シングルが気楽。
3月に見つけ出した宿は設備は変わらないが、部屋のサイズがもう一回り狭く、
駅まで10分ぐらい歩くのがメンドウだった。
ここは駅まで3分ぐらいというアクセスがウレシイ。
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雨が止んだ昼に宿を出る。
「マウル」という韓屋の写真が撮りたくて、仁寺洞(インサドン)へ。
雨上がりの涼しい風が午後になると止まってしまい、
昨夜から続いていた蒸し暑さが割増でやって来た。
かつての王宮であった景福宮と昌徳宮に挟まれたエリアにマウルは並ぶ。
王宮に仕える高級仕官=両班(ヤンバン)が住居を構えたこの一帯は、
日本の金沢のような「武家屋敷」をイメージさせる。
今は大使館などが並ぶエリアに変貌、ギャラリーやブティックなどが連なるオシャレなエリアだ。
観光案内所で周辺の地図をもらい、みどころを尋ねる。
観光案内所が貸し出している3時間1,000W(≒¥70!)という自転車が魅力的だったが、
写真を撮るため、歩みを進めた。
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狭い路地に整った瓦屋根が並ぶ。
凝った造りの扉の金物が目を引く。
ひと気のない路地裏、ちょっとした異空間にしばらく浸っていた。
写真1; マウルの入口は鍵や扉具が装飾されている
写真2; ひと気もなく、閑静な佇まい
写真3; 門戸の前の鉢植えと
写真4; 新しく建てられた家も景観保存のため、韓屋の形式を模倣している
2014年09月25日
よォーこそ @Seoul
急ぎ足で入国審査へ。
外国人用の列、2人目を確保。
アッという間にスタンプをもらい、ターンテーブルを通過し、
税関で申告書を放り投げ、出口のドアを蹴破り、到着ロビーに踊り出た。
バス乗り場の番号を探し当て、表に出た。
ソコには数人の男性がいるだけでバスの姿はどこにもなかった。
すでに行った後か。
時計を見ると23:33。
目の前にいた男たちに行き先とバス・ナンバーを告げると、
「行った行った」「バス終わった終わった」という返答しかなかった。
こちらの英語を理解しているのかもわからず、
ハングルで聞きなおしてみても「バスはない」の一辺倒。
どうやら彼らはタクシー・ドライバー。
我田引水のセールス・トーク、当てにならない答えしか返ってこないようだ。
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到着機のドア・オープンから8分でたどり着いたが、願いは叶わなかった。
到着ターミナルは雨、梅雨時の蒸し暑さを割増にした熱気がまとわりついてくる。
重ねて迷える羊に狙いを定めるハゲタカ・ドライバーがまとわりついてくる。
彼らを振り払い、インフォメーションへ向かうと、
ロビーのエアコンが蒸し暑さも振り払ってくれた。
届かなかった願いにうちひしがれてる場合ではなく、次の手立てを探すのが肝要。
「23:30のバス、行っちゃったかな?」
英語でインフォメーションの女性に尋ねる。
「行っちゃいましたね。次のバスならあそこにいます」
カタコトの日本語で折り返してくれた。
「『OZ105バス』?ありがとう。それしかないよね」
「ないですね。あとはタクシーです」
「それはないな」
そういうと笑って返してくれた。
あきらめて「OZ105深夜バス」へ。
アシアナが深夜到着のこの便用に手配しているリムジンは、
バスはレンタルなのか、運行を委ねているのか、大韓航空のリムジンバスだ。
14,000Wを支払って、車内に進むと席はソコソコ埋まっていて、
ほどよく埋まると発車だという。
車内のエアコンに浸り、外気と早足で汗ばんだ身体を冷やした。
日付が変わる前にバスは動き出した。
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市内に入り、「麻浦」で数名を降ろし、終着の「市庁」へ。
深夜ということもあり、40分ほどで到着した。
バスが客を吐き出すとその横に次々タクシーがやって来る。
雨はすっかり上がっていた。
慣れた客に従うように並んだタクシーを捕まえ、ドアを開け、荷物を放り込んだ。
写真1; 街なか、どこでもかならずある屋台。
写真2; あらかじめお客さんがいる店のほうがハズレが少ない。
写真3; 光々と光る灯りになんとなく引き寄せられる。