2016年12月24日
ニコラス・ぺタス 「最強の武道とは何か」
吉田豪の『吉田豪の空手★バカ一代』でのニコラス・ぺタスのインタビューが面白かったので、インタビュー中に興味深いエピソードの引用元になった本書も読んでみた。
この本はNHKで海外向けに作られた番組に出演し、色々な武道を体験した事をニコラス・ぺタスの視点から書いた本。
ニコラス・ぺタスは17歳で来日し、大山倍達の最後の内弟子となったデンマーク人。K-1や空手の世界で何度もチャンピオンになった、トップクラスの実力者だ。
そんなニコラス・ペタスが実際に、他の武道のトップクラスとの体験するというのは凄い事だ。極真、Kー1、空手、柔道、相撲、合気道、剣道、弓道と様々な体験をするが、やはりそれをタレントがやったりするのではなく、あのニコラス・ペタスがやり、自分で本を書いたのだ。
内弟子として暮らした極真での日々、K−1での挫折と再起なんかの本人のエピソードはとても興味深く、大山倍達のエピソード目当てで買った私からすると最初は「極真は本の一章だけか」と思ったものの、予想以上に内容が面白く、大満足だった。
スポーツマンではなく、あくまで『武道家』であろうとするペタスは、大きくなりスポーツ化した極真に疑問を持つ。当然お金の問題は誰にでも付きまとうが、ペタスは武道、格闘技とビジネスは分ける。K−1での最初の試合でTKO負けし、一時空手を辞めて渡米してボクシング、キックボクシング、ムエタイを本格的に学ぶ。
本人に強い信念があり、結果も伴わせてきたからこそ、こういう事をハッキリと言う。これがまず素晴らしい。
そしてそんなペタスが金メダリストの井上康生や、横綱の白鵬と実際に体を合わせ、他流派の空手も体験し、合気道、剣道、弓道も初体験する。
そして、実際に自分がどう感じたか、それを分析するとどうなるか、これはどういう信念があり、どういうシステムによって培われてきたものなのか、というところまで考える。
予想以上に文章が巧く、ただ体験して感想を書くだけではなく深く考えているので、格闘技本としてハイクオリティな上、そこにそれをニコラス・ペタスが書いているという説得力も加わるので、これ、けっこう凄い本なんじゃないかな?新書だし、サラッと読めるけど。
しかし、立川談春の本にも通じるんだけど、師匠と弟子って関係には憧れるなぁ。
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