疫学の三要素とは何かといいますと、実は、曝露を大きく3つに分けたものをいいます。つまり疾病の原因を大きく3つに分類したものなのです。このように3方向に曝露を分けて記述していくことで因果関係を明らかにしようとする方法は、記述疫学という最初に行うとされる基礎的な疫学調査で用いられます4)。
例えば、未知の疾病が流行しているときに、流行している地域の人々に対して、いつ(時間)、どこで(場所)、どんな人に(人)に疾病が生じるのかを調べて、その疾病の原因を推測して、因果関係の仮説を立てる研究が記述疫学という研究です。
なお、因果関係を検討しない集団の健康水準(健康の程度)を調べるような前段階的な研究においては、疫学の三要素を「曝露exposure」ではなく「分布distribution」と表現することもあります。例えば、ある時、ある場所で、ある罹患を調べましたというような場合です。具体的には、2000〜2003年に名古屋市在住の50歳代の男性の前立腺がんの罹患率を調べましたというような研究です。
このように、疫学3要因は曝露をいいますが、ときには分布とよばれます。そして、疫学研究では、基礎的な情報としてどのような研究でも「時間」、「場所」、「人」の三要素を常に示さなければならないことになっています5)。
以上のことから、疫学の3要因とは、3つの曝露または3つの分布をいい、その内容は「時間」、「場所」、「人」の3つをいいます。
4)日本疫学会監修「はじめて学ぶやさしい疫学—疫学への招待」南江堂、2007年、33−34項
5)中村好一 「基礎から学ぶ楽しい疫学」医学書院、2007年、47項
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