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2021年07月01日

明日への扉!「イノベーションのジレンマ」



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皆さんは「ジレンマ」と言う言葉をご存知でしょうか?

え?「馬鹿にすんな。ジレンマなどしょっちゅう感じてる」ですって?

確かに「ジレンマを感じる」って良く言いますよね。
でもどう言う状態がジレンマを感じている状態なのか、正確に理解していない方も多いかもしれません。


「ジレンマを感じる」=「じれったく感じる」
などと思っている方もいるようです。


正確に言うと、「ジレンマ」とは、

「二つ以上のことで板挟みになること」
「解決が非常に困難な難問にぶつかること」

を意味します。



ほら、小学生の時に良く言いませんでした?

「カレー味のうんことうんこ味のカレー、食べなきゃいけなくなったらどっちにする?」

ずおお、これこそ究極のジレンマ!
板挟みにも程がある!

暴力団かなんかに囲まれて、絶対どっちか食えと迫られたら、拳銃で頭撃ち抜かれた方がましと思う人も居るかもしれません。


しかしこのジレンマと言う言葉、うんことカレーとかだけで使われる訳ではないんですよー。


なんと立派に経済学でも使われているんです。

その中の一つが「イノベーションのジレンマ」。


大企業がおちいるうんこ…、ではなくジレンマの罠とは!?

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まず「イノベーション」って言うのが何か、説明します。

「イノベーション」=「技術革新」、なんて日本語化されています。


例えば音楽を聴く場合。

ジャックの若い頃はアナログレコードなんていうもので音楽を聴いておりました。

直径30?pくらいある黒い円盤をレコードプレーヤーにかけなければ音楽が聞けなかった時代です。

ジャックが何歳かとかは、どうでも良いので気にしない様に。

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それがある時、CDと言う技術が現れアナログレコードはCDに置き換わりました。

直径10?pくらいのディスクになった訳ですから、だいぶ持ち運び安く、プレーヤーも小さいのに高音質な音楽が楽しめます。
しかも車でかけられたりするので、音楽を楽しむ空間がグッと広がりました。

レコードを車で聞いたら針飛びまくって大変でしょうからね〜。


しかしこのCDプレーヤーにも弱点がありました。
レコードほどではないにしろ、振動があると音が飛んでしまうのです。


そこで次に登場してきたのが、iPodの様な音楽用の記憶デバイス(メモリー)です。

音楽をかけながら軽い運動をしても、ほとんど問題ありませんし、サイズもCDに比べ格段に小さくなりました。


 レコードプレーヤー → CD → iPod


音楽を楽しむ媒体だけとっても、これだけの技術の変遷があります。

これが技術革新、「イノベーション」です。

高音質を保ったまま、媒体はどんどん小さく、使う自由度はどんどん上がっていった訳ですね。

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ここでアナログレコードと、iPodなどの音楽用の記憶デバイスを作っていたメーカーを比べてみましょう。

レコードプレーヤー全盛期に、それを作っていたのは、主にビクターやパイオニア、オンキョーなどと言ったオーディオ専門メーカーでした。

音楽用の記憶デバイスを作っている会社の中にはこれらの社名はありません。

SONYやアップルなどが主流ですね。


オーディオ専門メーカーは、まさか数十年後に数センチ四方のポケットサイズの物で音楽再生が出来るとは思っていなかったでしょうね。
メモリー技術の開発に移り変わることが出来なかったため、それらのメーカーは撤退を余儀なくされた訳です。

メモリー技術と言う技術革新が、それまで爆発的に売れていたレコード・CDと言うドル箱アイテムを打ち負かした瞬間ですね。


この様に「技術革新」が「既存技術」を打ち破る現象、これが「イノベーションのジレンマ」です。


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「イノベーションのジレンマ」は、ハーバード・ビジネススクールの偉い教授であったクレイトン・クリステンセンという人が提唱しました。

同名の著作「イノベーションのジレンマ」に記されている、立派な企業経営の理論です。


この先生によると、時代の流れと本質をどれだけ読み切れるかが重要で、読み誤ると「イノベーションのジレンマ」に陥るということです。

しかも大企業であればある程、この状態になりやすいと言うのです。


著書の中にも記されている、ハードディスクの例を紹介しましょう。




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皆さんがパソコンを購入する時を考えてみて下さい。

おそらくはノートパソコンを選ばれる方が多いのではないでしょうか?

小型で小さく、持ち運びも出来るので家の中でどこの部屋でも使えるし、場合によっては学校などに持ってゆくことも出来ます。


しかしWindowsが出始めた頃は、まだまだ主流はデスクトップパソコンでした。

デスクトップパソコンに搭載されていたハードディスクは「5.25インチHDD」です。

ハードディスクの命は記憶容量ですよね。

当時の主流は40GB〜50GBでしたが、大手のハードディスクメーカーはこぞって大容量化を目指したものです。


その後、新規参入のハードディスクメーカーにより、「3.5インチHDD」が登場した後も、大企業は「5.25インチHDD」への注力をやめませんでした。

小型のハードディスクは当時の技術的限界から、大容量化が難しかったためです。
(その頃の小型ハードディスクの容量はわずか20GBでした)


この傾向は顧客の声に耳を傾ける大企業であればあるほど、顕著に現れました。

その頃の顧客の要望は「サイズはそのままで以前より大容量なものを」、の一点ばりだったためです。

顧客のサイドもパソコンはデスクトップと言う常識に縛られていたので、ハードディスクを小さくするメリットが無かったのです。


一方の新規参入メーカーは、小型ハードディスクに新たな可能性を感じつつ、その改善に努め、少しずつ技術を上げて行きました。


その後ノートパソコンのスペックが実用化に耐えうる様になるにつれ、小型のハードディスクに注目が集まる様になって行きました。

この段階でようやく、大企業は小型ハードディスクの開発に乗り出そうとしましたが、新規参入メーカーの小型化ノウハウに追いつくことが出来ず、最終的にはハードディスクからの撤退を余儀なくされる事になったのです。


既存の顧客の言う事を聞いていたにもかかわらず、市場撤退を余儀なくされた大企業。
なんか可哀想で納得出来ない結末ですよね〜。


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しかしどんな事にも原因はあります。
どの様な原因でこの様な結末になってしまったのでしょうか?

まずはっきりしているのは、「既存顧客の声に耳を傾ける」という事自体は良いことだと言うことです。

そりゃそうですよね。
メーカーが顧客の意見も聞かず、好き勝手なものを作っていても物が売れるわけありません。


問題だった点は、ハードディスクが「時代の変遷の影響を受けた」と言うことです。

ずっと未来永劫、パソコン=「主流はデスクトップパソコン」だと言うイメージから抜け出せなかったところに問題があったのです。


「ノートパソコン」がスペックアップして、デスクトップパソコンの性能を充分に凌駕する世界をイメージ出来なかったため、小型ハードディスクに向けて舵をきれなかった訳ですね。


さらに大企業は大口顧客を多数抱えています。

それ自体は有利な事ですが、大口顧客の意見が強力すぎて、そのしがらみから脱却出来ないとなると、これはまた問題です。


「小さくなぞせんでいい!とにかくなるべく早く容量を増やしてくれ!」

この様な要望に必死で対応するあまり、新たなサイズのハードディスクの開発にまで手が回らないと言う様な事はありがちですね。


その顧客もいずれは小さくて使い勝手が良い、小型ハードディスクを搭載したノートパソコンに興味を持っていってしまうのですから皮肉なものですね。


さらに新規参入メーカーの利点として、価格競争に対応しやすい機動力を持っていると言う点が挙げられます。

この点は若いメーカーであればあるほど強い傾向があります。


これらの事が積み重なり、対応出来なくなった大型ハードディスクのメーカーは、市場からの撤退を余儀なくされてしまうのでした。


「イノベーションのジレンマ」とはこの様に大企業を罠にはめます。

既存技術と技術革新の板挟みになり、大手の企業であればあるほど身動きが取れなくなってしまう訳なのですね。


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【これは手に入れなければ本当に損ですよ!】









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「イノベーション」には以下の二つがあります。

・持続的イノベーション
・破壊的イノベーション

それぞれどの様なものか説明してみましょう。


「持続的イノベーション」とは、評価基準が従来と同じ変化。
「破壊的イノベーション」とは、全く新しい評価基準に着目した変化。


ハードディスクの事例では、評価基準は「大きさ」です。

同じ大きさで容量を増やしてゆく技術革新が「持続的イノベーション」。
違う大きさ(小ささ)にすることにより、使い勝手を良くしてゆこうとする技術革新が「破壊的イノベーション」です。


ざっくり言うと、今までの技術をより良くして行こうとするのが「持続的イノベーション」。
視点を変えて全く新しい技術を取り入れたりするのが「破壊的イノベーション」です。


スープが美味しいと評判のレストランがあったとします。

そのスープのソースを、改良して改良してより美味しくし、お客を呼び込むのが「持続的イノベーション」。
そのスープの出汁を使って大評判の美味しいラーメンを作り、ラーメン屋に転身するのが「破壊的イノベーション」ですかね。


この「破壊的イノベーション」が起こる時に、業界勢力図が一変することもあると言われています。

企業経営において「イノベーションのジレンマ」への対策は、最重要事項と言っても過言ではないでしょうね。




本当にできる男はこれを使っています! 
Xserver







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「イノベーションのジレンマ」の事例は、iPodやハードディスクだけではありません。

以前「アンゾフの成長マトリックス」のところで紹介したカメラなんかもわかりやすい例ですね。


ちなみに水着のお姉さん…、ではなく「アンゾフの成長マトリックス」の記事はこちら〜。
  ↓

https://fanblogs.jp/jackshutro/archive/107/0


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昔はカメラと言えば「アナログカメラ」でした。

フィルムに感光させて風景を焼き付け、それを印画紙にプリントして、思い出などを記録し楽しんでおりました。

歴史的には1800年代の初めからその原型ができ、1850年頃から日本にも入って来ているので相当長い時期にわたり、アナログカメラはブイブイ言わせていた訳です。


やがて月日は流れ、このアナログカメラをデジタル化しようと言う「破壊的イノベーション」が起こります。

しかし当時のデジタル技術は、主に撮像素子の画素数の問題で、画質的な問題が山積みでした。

画像も当然粗いですし、色の再現性の点でもやたらギラギラしたなんとも言えない画像でした。

芸術的カメラマンも「デジタルカメラなど使い物にならん!」と一刀両断しとりましたね。


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しかしどんな技術も進歩はするもの。

いつしかデジタルカメラは相当細かな画像も撮影でき、微妙な中間色もはっきり区別し表現出来る相当良質なものになりました。


そうなってくると「アナログカメラ」の弱点がクローズアップされます。

一度撮影したフィルムは、上書きしたり写し直したりする事が出来なかったのです。

写した枚数分だけフィルム代が必要、と言うランニングコストの問題。
これは徐々に「アナログカメラ」の大きなデメリットになります。


一方の「デジタルカメラ」は失敗したら撮り直しがききます。

試し撮りも言わばやり放題!
ランニングコスト的には比較にならないくらい有利です。

このような事から「デジタルカメラ」への大きな転換点を迎えるわけですね。


しかしこの段階では、「アナログカメラ」を作っていたメーカーも変化の追付いが可能でした。

「アナログカメラ」から「デジタルカメラ」になってもシャッターの機構と光学系の機構は共通する部分がありましたので、技術的に活かせる部分も多かったのです。


問題はその次にやってくる「破壊的イノベーション」にありました。

携帯電話カメラ(携帯カメラ)の登場です。

藤原紀香さんが出ていた、J-phoneの「写メ」のCM、覚えてませんか?
(J-phone=今のソフトバンク)

手軽に写真を撮って、すぐに携帯メールで友達に送れるスタイルがウケて爆発的にヒットしましたよねー。


しかし、この携帯カメラもデジタルカメラの時以上に、初めはメチャメチャ粗い画像でした。


携帯電話自体が小型軽量のため、レンズも小さく、少ない画素数の撮像素子しか搭載出来なかったためです。

カメラメーカーは携帯カメラが自身のライバルになるとは考えてもいませんでした。


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しかしまたまた時代は変わり、携帯電話はスマートフォンになります。

そして登場したのが、iphoneを提供するアップルです。


アップルのiphoneに対する姿勢は、このスマホに生活に必要な物をとにかく全部入れちゃおう、と言うような感じでしたから、パソコンやカメラなんかは物凄くハイスペックなものを取り入れて行きました。

ジャックも当時ホームページを作る仕事をしていたのですが、取材にスマホカメラを使ってみて、「この写真で全く遜色ないな」と思ったのを良く覚えています。


スマホカメラの高画質化が進むにつれ、困ったのはカメラメーカーです。

誰もが常にスマホカメラを持っている状況になれば、それとは別にわざわざカメラを持って出掛ける必要があるのか!?

誰もがそう思いますよね。

旅行にカメラを持って行かない方が増え始めました。


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これに加えて、一般の方々の写真に対する向き合い方の変化が追い討ちをかけます。


写真の1番の楽しみは、今も昔ももちろん「思い出を撮っていつまでも楽しむ」です。

しかし最近では、「撮影・編集した物を自分の作品としてネットに掲示する」と言った新たな楽しみがつけ加わりました。
いわゆるInstagramです。

「写メ」時代の「写真をすぐに友人に送って一緒に楽しむ」の進化版とも言えましょう。


この用途が爆発的に増えるにつれ、カメラメーカーは段々と太刀打ち出来なくなって来ます。

通信機能やインターネット機能を持っていないと、この需要に対してはどうしょうもありませんからね。

こうしたカメラメーカーの中には市場撤退を余儀なくされたところも多く、市場はスマホメーカーの独壇場になってゆきました。


このカメラの場合の「破壊的イノベーション」に関しては、数十年前に予測できたメーカーはおそらくいなかったでしょうね。

スマホメーカーの側にしても、正確に予想できていたかどうかわかりません。


今後も様々な業界で「破壊的イノベーション」は繰り返されるでしょう。

少しずつ変わりつつある世の中をじっと観察し、常に変化に対応し続けられた会社のみが、唯一勝ち残って行けるのだと思います。




MuuMuu Domain!



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如何でしたでしょうか?

業界勢力図をも一変させてしまう「イノベーションのジレンマ」。
我々を取り巻く生活の中でも常に発生している訳ですね。

生活はどんどん良くなり、楽しみもどんどん増えてゆく陰で、その技術と必死に向き合う企業の方々がいます。


ジャックの大好きなドラマに「下町ロケット」があります。

まさにイノベーションの連続の様なドラマですが、見るたびに熱い思いを感じさせてもらえます。


我々からは見えにくい努力ですけど、たまにその苦労を思い出して、感謝の気持ちなど持ちたいものですね。










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2020年08月20日

アンゾフの成長ベクトルって? ★成長についての考察★


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成長って言葉、良いですよね。

なんとなく自分がエラくなれる様な気がして。

スポーツとかに打ち込んだ事のある人は、例えば「100m泳げるようになる」とか、「県大会で優勝出来る様になる」なんて言うのが成長でしょうか?

とにかく自分を成長させる事が出来れば、最終的に名誉や名声などを手に入れる事も出来、ひいては将来を約束されるなんて事もあるやもしれません。


これは会社についても同じ様な事が言えます。


お店や会社にとって、売上を伸ばしたりシェアを拡大したりする事は、これから先どれだけ安定した利益を得続けられるか大事な問題です。


会社をいかに成長させてゆくか?

この会社の成長を計るために欠かす事が出来ないのが「アンゾフの成長ベクトル」と言う手法なのです。



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「アンゾフの成長ベクトル」とはいったいナニモノなのでしょう?


「アンゾフの成長マトリックス」とも呼ばれ、イゴール・アンゾフというアメリカの学者が提唱した経済手法の事です。


会社には販売すべき「製品」や「サービス」とその売り先である「市場」がありますね。

この「製品」と「市場」について、それぞれの「新規」と「既存」を考えてみます。



「既存の製品」と言ったら今まで販売してきた製品そのままです。
これに対して「新規の製品」と言ったら、今までのものとは違い、新たに開発する製品のことですね。
同様に「新規の市場」と言ったら今まで販売してきた市場とは違った新しい分野の市場のことです。


これから事業を効率よく成長させるには、今持っている「既存の製品」を「既存の市場」に売るのが良い」のか、「既存の製品」を「新規の市場」に売り込んだ方が良いのか検討して行くわけですね。


★既存の製品を既存の市場に販売する
★新規の製品を既存の市場に販売する
★既存の製品を新規の市場に販売する
★新規の製品を新規の市場に販売する


と4つの方向性があるわけです。

それぞれの方向性が事業を展開する上での「戦略」で、名前もついています。


順に名前をあげて、説明して行きましょう。









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★ 「市場浸透戦略」
(既存の製品を既存の市場に販売する)

既存の顧客に対して、既存の製品をもっと買ってもらうための方法を考えます。
既存製品や既存市場の特性を良く洗い出し、効果的な広告宣伝を行ったり、キャンペーン価格を導入したりと、マーケティング的な手法を検討して効果を上げようとする戦略です。


★「新製品開発戦略」
(新規の製品を既存の市場に販売する)

既存の顧客に対して、新たな製品を投入する戦略です。顧客が何を欲しているか充分に調査し、相手を満足させる性能・価格を実現させる事が大切です。既存顧客の満足度を上げて関係性を深めてゆく必要があります。


★「新市場開拓戦略」
(既存の製品を新規の市場に販売する)

新規の顧客に既存の製品を購入してもらう方法を考えます。製品の持つ可能性を見極め、どの様な市場に生かせるか的確に見極める目が必要となります。もとは心臓の薬だったものを応用してほかの用途向けに販売し、爆発的に売れた例があります。「バイアグラ」です。


★「多角化戦略」
(新規の製品を新規の市場に販売する)

新規の顧客に新規の製品を投入していくため、初めて事業を立ち上げた時同様に大きなエネルギーが必要となり、リスクも高くなります。
一方で戦略が持つ可能性が最も大きいのもこの場合で、リターンも大きくなります。
また、少しでもエネルギーを低く抑え、また事業効果を上げるために、既存製品で利用できる部品、生産ライン、販促経路などを流用する工夫が必要です。
共通部品を利用すれば生産コストが低く抑えられますし、同じ販促経路に乗れば抱き合わせキャンペーンなどで何倍もの売上を上げる事が出来るかもしれません。
「シナジー」って言う言葉を聞いた事があるかもしれませんが、それがこの事です。
日本語に訳すと「相乗効果」ですね。




ふむふむ…、事業を成長させようとすると新規と既存の両面から検討してみればいいのね。

でもそれって当たり前じゃないの?

製品と市場については当然考えているし、新製品や新市場に目を向ける大切さはみんな知ってんじゃん。

今更「戦略」とかって言うほどのもんかなー?
本当に効果あるの?


などと言う意見もあるかもしれません。
言いたくなる気持ちもわかります。


それでは具体的に、ひとつの会社を想定して考えてみましょう。









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そこそこ販売実績がありますが、どうも業績が伸び悩んでいる会社があります。

そこで社長は考えました。

「これではいかん、新しい市場と新しい製品に目を向けてみよう。来月から新製品開発プロジェクトと新市場開拓プロジェクトの二つを立ち上げよう。営業と工場からそれぞれ優秀な人材を集めて両面から攻める。もちろん既存の製品も売れ行きを伸ばせないか、販促方法を考えてくれ。上手くすれば業績倍増も可能かもしれない…。」

と、社長は気合いっぱいで指示を飛ばします。

市場開発プロジェクトと製品開発プロジェクト。


なんかモチベーションが上がって、会社の業績もアップしてゆきそうな感じがしてきました。



でもこれ、ダメな例です。

全ての方向に向けて力を分散し、検討を進めてゆくのは最も効率が悪い方法です。


まずプロジェクトを立ち上げても、出来ることはたかが知れています。

課長クラスが10人ほど集まり頭を振り絞ったところで、びっくりする様な製品が出来たり画期的な市場が見つけ出せるとは思えません。

せいぜいが現状調査の延長線上で終わってしまうでしょう。

また優秀な人材をプロジェクトに抜かれてしまうと、現場の競争力が落ち、そこそこ売れていた既存製品の売り上げまで落ちてしまうかも知れません。

これではいけませんね。


必要なのは全社一丸となって「方向性を決める事」です。

まずは自社の持っている製品の可能性を、責任ある立場の人間の立ち合いのもとで充分に突き詰め、どの方向に舵を取るのかしっかりと決めてゆく事こそが成功の鍵なのです。



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少し前カメラ女子がはやりましたが、そのデジタルカメラを例にとって考えてみましょう。

一口にデジタルカメラと言っても、「画像が綺麗」「暗闇でも映る」「簡単で面白い画像加工が出来る」「バッテリーが長持ちする」「素早く立ち上がりシャッターチャンスを逃がさない」「Instagramに簡単にあげられる為のワイヤレス伝送機能がついている」…など、製品の持つ要素は数えきれないほどあるのです。

それらの要素を徹底的に洗い出して、どの要素が市場の中で求められているのか分析するところから始め、他の市場で有効にその強みを活かせると判断できた場合は、「新規市場の開拓」戦略をとります。


「バッテリーの持ち」や「立ち上がりの速さ」などの技術がカメラとは全然違った他の分野に活かせると考えられたら、それを使った新しい製品を立ち上げる「新製品開発」戦略に進むべきでしょう。


また、これらの要素にまだまだ伸びしろがありそれを伸ばすことが売上向上につながる最良の方法と考えられた場合は、既存の方向性に徹底的に販促する「市場浸透戦略」に進むべきと言えます。


この様に徹底した現状分析の結果、会社の進むべき方向性をしっかりと決めるのが何より大切なわけですね。







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そして世の中全般の環境変化に目を向けると言うのも重要な事です。


カメラの世界では最近、なんとインスタントカメラ「写ルンです」が再流行しています。

女子高生が「エモる〜」とか言ってウケているらしいですか、少し前には誰も予想していなかったリバイバルヒットですね!


もしも、写ルンです以上に「エモり」そうな製品のアイデアがあったら、それを立ち上げて新しい市場に売り込む「多角化戦略」を取るのも良いかもしれません。


しかしその「多角化戦略」にはリスクがつきものです。


エモりやレトロの流行が一気に収束した場合、全く売れない製品が残り、大打撃を食ってしまいますからね。


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如何でしたでしょうか?


「製品」「市場」を「既存」「新規」の方向性で戦略立ててゆく「アンゾフの成長ベクトル」。


企業や事業の成長性を見極めるための、大事な着眼点だと言うことが良くわかりますね!

しかもそれを、しっかりと方向性を見極める為に使わなければ意味がないと言う事も重要です。


水泳の北島康介が「背泳ぎ」が苦手(かどうか定かではありませんが)だったとして、「背泳ぎ」の練習ばかりしていたら、「平泳ぎ」で金メダルは取れなかったかも知れませんものね。


「平泳ぎ」の成長性を見極めた結果、その方向に突き進んだために成功した例と言えるでしょう。


何事についても、しっかりと方向性を見極めて、大きな成長に繋げてゆきたいものですね。





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