死語にならないガフキーとカリニー
2018/8/3 倉原優(近畿中央胸部疾患センター)
呼吸器内科の世界では、喀痰の抗酸菌塗抹のことを「ガフキー」と言うと、
「今はもうガフキーなんて言わないんだよ」と諭されます。
そう、現在抗酸菌塗抹は(−)〜(3+)で表記されており、ガフキーと呼ぶのはもう時代遅れなのです。
多分。
今から18年前の2000年に発刊された『結核菌検査指針』が出てからというもの、次第にガフキーの名は消えるものと思われていました。
しかし、これがなかなか死語にならない。ならないどころか、バンバン使われています。
いや、別にガフキー先生が嫌いだから死語になれって言ってるわけじゃないんですよ。
みんなでこうしましょうと決めたのに、昔の言い方が残っているのってヘンだなぁと思うんです。
実は、呼吸器内科の世界では、ガフキー以外にもなかなか死語にならない用語があります。
それが「カリニ」肺炎です。
現在、カリニ肺炎はニューモシスチス肺炎という名称で呼ばれます。
これは、ラットから見つかったPneymocystis cariniiと、
ヒトで肺炎を起こすニューモシスチスは異なる種類であることが分かり、
ヒトに病原性をもつニューモシスチスはPneumocystis jiroveciiに命名し直されたことが理由です。
そのため、カリニ肺炎という病名は、現在死語になっているはずなんです。
いやー、しかしこれもなかなか死語にならない。学会でもバンバン「カリニ」という言葉が飛び交いますし、私が時折訪れる他病院の総合内科カンファレンスでもやはり「カリニ」という名称が使われています。
死語化の荒波を乗り越えて残っている用語って、なんだか強みを感じますね。果たしていつまで残っているだろうか……。
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2018年09月01日
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