日本映画の最高峰「七人の侍」
「良い城にはきっと隙がひとつある」
b.前回、型にはまって息苦しいって言うけど、「男はつらいよ」とか笑点なんて、ワンパターンの極致じゃないすっか、あれ息苦しくないんすか、
a.そうだよなあ、ダチョウさんのおでんネタやゴムヒモ芸、これ以上のワンパターンないもんなあ、でもなんでいっつも心が晴れ晴れするんだろう、彼ら観てると、不思議や、
b.なんでなんすか、
a.なじみの店とか、お気に入りの景色、そんなんと似てんのかなあ、いっつも同じなんやけど、そこに居るとココロがなごむような場所、
b.じゃあワンパターンもありなんすか、
a.型にはまって心地よい場合と、そうじゃなく息苦しくなる場合とふたとおりあるんじゃないか、ゼルダの伝説だって、これ以上ワンパターンはない、だけど、それを承知で数々やってきたのは、ワンパターンをある意味、期待してる、
b.じゃあ前回話してた最新作「Skyward Sword」の型苦しさって何なんすか?
a.あまりに良く出来過ぎてて隙(スキ)が無さ過ぎんのかなあ・・・思い出すのは日本映画の最高傑作「七人の侍」、良い城についてこんなセリフがあるんだけど、
b.野武士の略奪から村を守るため、守りを固める場面、
a.そのときひとつだけ守りの手薄な箇所があって、これについて聞かれてこう答える、「良い城にはきっと隙がひとつある。その隙に敵を集めて勝負をする。守るだけでは城は保(モ)たん。」
b.敵はひとつの隙を見つけて、ここに集まる、
a.でも、この隙はもともと用意されたスキ、このスキがあるから敵は油断して罠(ワナ)にかかるんだ、
b.じゃあ、型苦しさって、防護が鉄壁すぎる城みたいなもんか、
a.あまりに完璧を目指して隙を作り忘れると、受け手が跳ね返されて入っていけない、
b.美人すぎるより、どっかひとつコンプレックスみたいな部分があった方がより魅力的に見えるってことか、
a.工業製品は完璧でなきゃならない、完成度100%が求められるけど、芸能や芸術にはそれとはまた別の事柄が重要になる、もちろん作り手にとって完璧な仕上がりが大切なのはそうなんだけど、受け手が求めるのはもっと別次元の事柄、解放感であったり、懐(フトコロ)の深さであったり、その作品という城の中でどれほど長いあいだ飽きずに楽しめるか、ってことじゃないかなあ、
b.100%目指して芸を磨くだけじゃだめなんすか、
a.そうやって苦心して完成した芸術作品が、何気なく描かれた子供の絵にかなわない場合だってある、問題は作り手の苦労の先、受け手がこれを鑑賞してどれだけ日々の窮屈から解放されるのか、
b.やっぱり、例のとらえどころないココロってやつですか、大事なのは、
a.ココロとか、たましいとか、はっきり手にとって確認できない、でも、これほどハッキリとありふれた事柄もない、
b.考えると厄介な話しやなあ、ココロって、
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