私はたいへんな臆病者のため、食ったら死ぬレベルの毒を含むこともある白、黒、黄色のきのこには原則手を出さないことにしている。この時点でだいぶ採取する対象が減ってしまうのだけれども、別にたくさんの種類のきのこを食いたいわけではない。ごく限られたうまいきのこをたくさん食えればそれでいい。
で、そういう対象となるのが今回のお題。コイツだー!
無造作に3発並べてみたが、すべて同じ個体である。で、傘のウラをご覧いただければわかるとおり、イグチである。きのこに詳しくない人のために親切にも説明を加えるなら、たとえばみなさん知っているシイタケのように傘ウラが「ヒダ」を形成するきのこに対し、傘ウラがスポンジ状になっているきのこもけっこうある。
このタイプを「イグチ」と呼ぶのが通例なのだ。で、このスポンジ状の部分のことを「管孔(かんこう)」と呼ぶ。イグチは非常に種類が多く、たとえばタマゴタケやシイタケやマツタケやクリフウセンタケのようにヒダ状のきのこよりもその素性が明らかになっていないきのこが多い印象もある。
それをいいことに、「イグチに毒なし」なんつーええ加減な標語も流布されている。とんでもないウソっぱちである。この前ちょっと書いたバライロウラベニイロガワリなんて食ったら死んじまうほどの強毒イグチなのだ。めちゃくちゃオイシイきのこにそっくりな毒菌の「ドクヤマドリ」なんていうきのこもある。まあこれはかなり標高が高いところにあるきのこだが・・・
そして忘れてならないのが、写真のきのこによくにている「ミカワクロアミアシイグチ」というとんでもねぇ強い毒を持つとされるきのこがある。これはコワイ。なんつってもあまりにも毒が強いため、どのくらいの毒がラットの致死量になるのか推定ができないというツワノモ毒イグチである。ラットも相当数無駄死にさせられたのだろう。
という具合に、「イグチに毒なし」はウソ。ウソどころか、毒ばっかりじゃねえかよイグチ・・・
てわけで、予想です。
◎ ススケヤマドリ
〇 ムラサキヤマドリ
▲ クロイグチ
△ ヤマドリタケモドキ(大穴)
× ミカワクロアミアシイグチ(単勝万馬券)
管孔の色(クリーム系)や全体の色合い(黒に近い紫)からして、食ったらうまいらしい「ススケヤマドリ」に近いかなーと判断した。ムラサキヤマドリやクロイグチについてはよく知らない。
ヤマドリタケモドキは大好きなきのこ。イグチきのこでは一番好きかなー。「香りマツタケ味シメジ」なんていうことわざもあるが、私はマツタケよりもこっちのほうが好きかもしれず、「香りヤマドリタケモドキ味アカヤマドリ」なんていつも言って・・・はいないなぁ。あ、マツタケはそんなに好きじゃないけどシメジは好きですよ。
で、そのヤマドリタケモドキを今年も無事ゲットしました!下の写真ですね。
山の入り口で見つけたためこれを手に持って歩いたのだが、けっこうな老菌だったこともあってか非常にかぐわしニオイを漂わせながらの散策となった。あまりに良いニオイなので途中で立ち止まっては何度も本体のニオイを嗅ぎながら恍惚としつつ歩いた。まるで山に出没した変態オヤジである。
もちろんその晩の酒のつまみはヤマドリタケモドキでした!けっこうゼイタクしてるでしょ!?
後日アカヤマドリもゲットしたので、そちらの写真も次のブログあたりで掲載します!
あ、ちなみに予想の黒いイグチは食べてません。たとえ優良食菌のイグチだったとしても、なんだかきったねぇ虫がブンブンたかっていたので食べなかったと思う。
あーっとそれと、上で挙げた「ドクヤマドリ」は、このヤマドリタケモドキに酷似するきのこなんだとか。私は見たことがない。これまでは100%ヤマドリタケモドキのほうだった。ただこの両者、生息する標高が違う(少なくともドクヤマドリは1000m以上でないと生息しないとされる)。
それに管孔を傷つけると変色するといわれるので、傷をつけても色不変のヤマドリタケモドキとはこの点でも異なる。もちろん私は毎回ヤマドリタケモドキに傷をつけて色が変わらないことを確認してから食っている。コイツらはほんと、いつだっておいしい。
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