日本は、言葉にしなくても「相手のことを察する」ことでコミュニケーションをとってきたので、訓練して話す力を伸ばすという考え方はありませんでした。
このため、日本人は、論理的な考え方や、自己表現が苦手だと言われています。
でも今の世の中は、言いづらいこともはっきり言う、自己主張も必要になってきています。
本では、
腕力を使わずに自分の身を守るすべは、ことばしかない。
こう言っています。
この本では、「じぶん表現力」を伸ばすトレーニングを7つに分けて紹介しています。
私には、ここで紹介されているどの力も、今を生きる子どもたちに不足していて、これから社会に出ていくために必要なものだと感じながらこの本を読みました。
● 第1章 度胸を育てる
相手の不当な要求や行動に対して、「いやだ」と言う、「自分はこれがしたい」と相手に伝える力を伸ばす方法を紹介しています。
家の中では結構話すのに、外に出ると話すことができないと言う場合、親が子どもが会話するチャンスをつぶしているのかもしれません。
どんな場面でどんな風に、子どもが話す機会を持てるのかが具体的に分かります。
● 第2章 論理力を鍛える
論理力とは、筋道を立てて考える力のことです。
子どもたちが、文ではなく、単語で会話している場面をよく見ます。
主語の省略、ひどい場合は述語の部分まで省略して、何を言っているのか分からないこともしばしば。
このような会話をしていたのでは、国語力が伸びないのも納得出来ます。
論理的に考える力がないと、相手にあなたが伝えたいことが上手く伝わりません。誤解を生むこともあるでしょう。
それが、大きな問題になってしまう可能性もあります。
自分では、言いたいことが80%以上は相手に伝わると思い込んでいる人がたくさんいますが、実際に80%以上伝わることはないでしょう。
伝達ゲームと言うのをやったことがありますか。
人が1列に並んで、隣の人にことばを伝えていくゲームです。
1番前の人が、2番目の人に、他の人には聞こえないように指示された文を言います。
2番目の人は、3番目の人に、3番目の人は4番目の人はと伝えていって、最後の人が最初の人と同じことを言えるかどうかというゲームです。
このゲームの短い分でさえ、正確に伝わることはないのです。
相手に、誤解や勘違いをさせないで話の内容を理解してもらうためには、工夫が必要です。
それが論理的に考える力、それをどのように伸ばすのか紹介してあるのがこの第2章です。
● 第3章 理解力を養う
理解力とは、聞き取る力、読みとる力です。
活字離れ、本を読まない人が増えていることが問題になりますが、さらに問題なのは人の話を聞けない人の増加です。
「聞く」というのは、誰でもできることなので、「聞く力を伸ばそう」と考える人はほとんどいません。
※この場合、語学学習のリスニングは含みませんよ。
「聞く力」が無い人は、人の話をさえぎり、質問に対しても話題が理解できていないので、チンプンカンプンな返事をします。
学校でも、賛成の話を聞けないし、理解できません。
この本では、聞く力を伸ばすには、
話を聞くルールと態度を身につけさせること
として、どのようにしていけばいいのかを紹介しています。
第4章 及び第6章、第7章は省略して、
一番大切だと感じた、第5章について書きたいと思います。
● 第5章 語彙力をアップする
人は、言葉で考えます。
頭の中に言葉がない人は、何も考えることができません。
言葉が不足していて、「勉強ができない」という子どもが増えています。いくら分かりやすく、丁寧に説明しても、言葉を知らないので理解できないのです。
自分の言いたいことや気持ちもうまく伝わらないので、よく感情的になります。
語彙を増やすには、小さいときからの読み聞かせや読書が有効ですが、それ以前の問題として、親子の会話を大切にしてほしいと思います。
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