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2024.10.06
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カテゴリ: 昭和期・後半女性
『雪の練習生』多和田葉子(新潮文庫)

 多和田葉子といえば今は飛ぶ鳥を落とす勢い、というのは、わたくし、自分で書いておきながら何を書いているのかよくわかりません―。どうもごめんなさい。

 ガセネタっぽい話そのものでありますが、ちらっとだけ「解説」(「解説」ってなんやねん)いたしますと、失礼ながら、誠に失礼ながら、村上春樹はノーベル文学賞候補者としての「賞味期限」が切れたんでないか、という事であり……すみませんすみません、まことにすみません。

 ……とにかくそんなこんなで、多和田葉子です。
 わたくし、本書を古本屋さんで見つけまして、裏表紙の「宣伝文」を読みますと、野間文芸賞受賞作とありまして、わたくしは、あれ、と、ふーん、の真ん中くらいの感想を持ちました。

 あれ、と、ふーん、の真ん中というのもまた、説明のしづらい感想なんですが、簡単に言うと、もう、かなり前になってしまいましたが、同筆者の『献灯使』という小説を読みまして、そして、その小説がアメリカで割と大きな賞を受賞したということで、かなり話題になっていたと思います。

 で、今回の本書が、野間文芸賞受賞で、ふーん、多和田氏がまた名作を書いたのか、あれ、でもこの作品は話題にはあまりなっていないんじゃないか、という感想が、まー、一応、あれ、と、ふーん、であります。重ねてすみません。

 で、読んでみました。三部構成の小説なんですね。
 読み始めてしばらくして、……来ましたねー、がんがん、来ましたねー。
 もう、飛ぶ鳥を落とす勢い! 
 ごめんなさい、村上春樹ぶっちぎり!

 ……と、思ったんですね。
 これは凄い小説じゃないかと、読んでいてドキドキするように思ったのであります。
 小説でなければ表せないものを、物語世界を、縦横無尽に天衣無縫に飛び回っているような小説でした。高速走法、オーバードライブ、なんて言葉が浮かんだりしました。

 で、第2部に入って、展開について、人間社会、あるいはヨーロッパ近代史に対するシニカルな批評めいたものがかなりストーリーの前面に出てきつつあるように感じました。
 もちろんそれ自体が悪いわけではありません、しかし、その展開の変化に対して私がふと感じた違和感は、あの第1部の天翔けるような自由さドライブ感はどこへ行ったのだ、というようなものであったでしょうか。

 そして、話は第3部に進んでいきました。
 ……なんでしょうか、私としては、これは別のお話になってしまってはいないか、と。
 ……うーん、よーわからん。

 で、ふと、わたくし、思い出したのですが、本ブログにも何回か多和田氏の作品の報告を書いていますが、どれも、今一つよくわからないというものではなかったか、と。
 特にわたくし的には、終盤に失速感を覚えるというような感想ではなかったか、と。

 で、ちらちらと、自分の書いたブログの文章を読み直してみたんですね。
 やはり、そんなことが書かれてありました。『献灯使』なんて、未完じゃないのかなんて失礼なことが書かれてあります。

 『犬婿入り』も、思い出してきたのですが、その終盤の展開にあっけにとられた記憶があります。で、あまりに何だかわからなかったので、ちょっとネットで調べてみたら、芥川賞受賞時の各選考委員の感想の中で、河野多恵子が「最後の部分が文学的誠実さを失ってしまっている」と述べていたのを読んで、少し納得したのを思い出しました。

 ……しかし、これは何なんでしょうね。
 「お前の読み違えだ」と指摘をいただいたなら、そうかもしれないなあと思いもしたでしょうが、よくわからないのでぐずぐずあれこれ考えたりします。

 例えば、この筆者は物語の発想力にずば抜けたところはありながらも、飽きっぽい性格で、書いていていやになっちゃうんじゃないか、とか。

 あるいは、こんなこともわたくし考えたのですが。
 本作は三部構成で、各部の長さは文庫で100頁にほぼ統一してあります。三代にわたるホッキョクグマの伝記という形になっていますが、これ、分量まで統一する必要はあったのか、とか。

 もうひとつ、私としては、割といいアイデアだと思うのですが、1から3部の順番を全く逆にしてはいけないのか。そうすれば、ストーリーは後になればなるほど、どんどん盛り上がっていくんじゃないか、とか。

 ……いえ、まるでふざけてばかりいるわけではありません。
 そんな風にあれやこれや考えるほど、私にとっては第一部は素晴らしく、それだけに、私としては後の部分が十分納得がいかず、と。
 やはり、多和田作品とは、わたくし微妙に御縁がないのかもしれませんねえ……。
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Last updated  2024.10.06 12:07:46
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analog純文 @ Re[1]:父親という苦悩(06/04)  七詩さん、コメントありがとうございま…
七詩 @ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
analog純文 @ Re:方丈記にあまり触れない方丈記(03/03)  おや、今猿人さん、ご無沙汰しています…
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