松本清張の『 半生の記 』を読む。
その前にエッセイもあわせ読んだので、ちょっとした清張研究にはなったのだが、陰隠滅滅、正直なところあまりに暗くてわたしまで滅入ってしまい、まいったのであった。
清張の父は生まれてすぐ貧乏な家へ里子にやられずっと貧乏、長じても商売が下手でいつもギリギリの生活をしていた。母も学校へ行かなかったので字が読めないけれど勝気であったので、不和な家庭。
やっはり学費がないので高等小学校出の学歴になった清張。給仕から始めて版下工という印刷関係の専門職にたどりつくまでの苦労、職場の転々。
40歳までの一家を支える日々の慰めは読書、しかしそれも鬱々とした気分の時にはつらかったと言う。本で読んだ土地を箒売りをしながら旅行する喜びもだんだんむなしくなる。「そんなことして一体なんになるのか」という友人の言葉に傷つくのは痛ましい。
「そんなことして一体なんになるのか」
わたしにも言われたようでハッなってしまった。沢山本を読んで感想を書ける喜びも「そんなことして一体なんになるのか」
と暗い気持ちの伝染。気を取り直してやっと書こうかなという気になったのだから、少しは治ったらしいのだけど引きずりそう。
清張氏は立派な作家になられ、わたしはノー天気にならねばならない。
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
PR
カテゴリ
コメント新着
サイド自由欄
フリーページ
カレンダー
キーワードサーチ