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2006/03/05

T.R.Y.　トライ(大森一樹監督，2002)

テーマ：どんなテレビを見ました？(79837)

カテゴリ： TV・映画・コミックスなど

「騙し合い」がおもしろかった，

大森一樹監督の「T.R.Y.　トライ」

以下，ちょっとまとめようと思ったら長くなってしまい，ネタバレもたくさん(笑)

舞台は20世紀初頭の上海。清国政府が崩壊（1912）寸前ということなので，ちょっと前に書いた「フー･マンチュー」より少し前の中国ということ。

主人公伊沢修（織田裕二）は，自分が武器を調達したロシア人革命家の友人を失った過去をもつ，やや義に厚い，根っからの天才詐欺師。モットーは「ペテン師は仕事に命は賭けない，ヤバくなったら逃げる」。
相棒は半日抗争に参加していた兄を日本人殺されたパク・チャンイク（孫暢敏，ソン・チャンミン）。

中国人武器商人をペテンに→「赤い眉（チーメイ）」の殺し屋に狙われる→中国の革命家の関飛虎（邵兵，シャオビン）から助けられ，裏社会の李警部を通して「赤い眉」とも話をつけてもらう。

交換条件は日本陸軍から大量の武器弾薬を奪い取ることで最初は渋っているが，中華黎明会の若いメンバー陳思平（市原隼人），丁愛鈴（楊若兮，ヤン・ローシー）への情にほだされる形で引き受け，だましの第１舞台は日本。

上海参謀本部司令官として赴任予定の東中将（渡辺謙）には踊らせるネタが「金・女・出世」ではなく，中国への野望と見抜いた伊沢。
愛清覚羅載寧（松岡俊介）のニセモノ（チンピラの張）を使って，東が上海に武器を持ち込むように仕掛ける。

東の恩師であるドイツのメンゲル元帥からの偽手紙を持参して「フィリピン独立運動のために」といって近づき，相手に調べさせた上で，狙いが「清国皇族（満州）を援助するための武器調達」と思い込ませる手口や，士官学校での切り抜け方はおもしろかった。

舞台は上海に戻る。

軍部の了承も得て，大量の武器を持ち込んできた東中将と武器商人の三矢（伊武雅刀）を相手に取引を待つばかりの伊沢の前に現れたのは，中将の弟謙介（今井雅之）。素行不良で兄から勘当同然であり，上海暮らしの経験もある人物で，東京で載寧がニセモノと主張したのも彼だった。

謙介と待ち合わせた伊沢を襲ったのが，個人の意地で暗殺を続けている「赤い眉」の肖丁（ピーター・ホー）。

アクションシーン（あるいはスター）がほしかったのはわかる気もするが，短い時間なので，２回目以降の肖丁のシーンのないほうが，話が見えやすくなる気がした……

かろうじて振り切った伊沢を待っていたのは，伊沢が謙介に与えた葉巻から真相を知った東中将の「裏切り」への強要と，その晩戻らなかった中華黎明会メンバーの伊沢への不信だった。

最後の取引現場でも，だまし，だまされが二転，三転するが，最後の最後に革命を熱望する革命側の大勝利！！
民衆には蜂起の自信，中華黎明会には武器，伊沢と相棒のパクには東中将が三矢に渡すために用意した武器の代金！！

と，思わせておいて再び謙介の登場。
列車の衝突事故も加わって大量の武器・弾薬による爆発の饗宴と使えなくなった武器の乱舞！　伊沢は茫然！！

伊沢は，中華黎明会に武器の代金を残して中国を去る。ただし，手数料として３割は減っていたが。

伊沢がパリで自分を救ってくれた恩人だという立花の女将喜春（黒木瞳）に，手数料が３割と聞いて，「恩人」ではないといっていた愛鈴。
自分たちも３割とられたあとで，伊沢をどのように思っているのだろうか(笑)

光っていたのが謙介（今井雅之）の道化まわし，上海の情報屋汪沢田（夏八木勲）のしぶい役どころもよかった。

その他のキャストなどについては，映画「Ｔ.Ｒ.Ｙ.　トライ」の詳細情報をごらんください。

原作は井上尚登の小説「Ｔ・Ｒ・Ｙ」。小説を映像化して，おもしろさが減ることはあっても，増えた事例をあまり知らない。
ということで，原作への興味がかなりわいている。

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