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2006/07/22
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カテゴリ: 連続テレビドラマ
夏ドラマも始まって2~3週をむかえ,ちょっと遅くなってしまった感じだが……

ドラマ終了後に,「ささらさや」を再読し(日記は →こちらから ),「てるてるあした」を読んだ(日記は →こちらから )。

いまさら,ドラマが原作に忠実でない!! とか,雰囲気を壊している!! とかいう気は,もちろんない。

というより,今回のドラマは,原作の雰囲気もよく出ていたし,ドラマとしての独自性もあったし,「原作とのバランスがよくとれたドラマ」ということができるように思う。
-原作にかなり忠実だった「医龍」が,ドラマ独自の設定にした部分だけ妙に不自然だったのと好対照といえる-

久代が元教師であることは変わらないにしても,佐々良じゅうの誰も彼もが久代の教え子であるなんていうドラマの設定は原作にはない(笑)
また,笹野館などという下宿を経営してもいない。
原作の久代は狭い家を賃貸している,元教師のお婆さんであり,照代はそこで久代と暮らすことになる。

久代に下宿を経営させたのは,ドラマとしてすばらしい着想だったと改めて思う。
そうであって初めて,末広屋を始めいろいろな人物が不自然でなく照代と久代のまわりに集まってくることができる(原作ではサヤの家に婆さんたちとエリカそして照代も集まることになる,笑)。

また,最終1つ前の回の盛り上がりをいうまでもなく,「教え子だらけ」というのはドラマになんともいえないメリハリと温かみを与えていた。

佐々良の不思議にしても,原作では一部の人に幽霊(生き霊)が見えるだけだ。
「ゾンビ自転車」というタイトルの話はドラマにも原作にもあったが,ドラマでは自転車が歌を歌ったのに対し,原作ではおんぼろの自転車がまるでゾンビのように見えるというだけ。

いろいろな「不思議」を見せたのはドラマの脚色だった。

原作は不思議を「霊が見える」という1点に絞って,その他の点でリアリティを求めたのに対し,ドラマでは複数の不思議を出すことによって佐々良の特殊性を強調したともいえる。

ただ,どうせ複数の不思議を出すならば,毎回1つは必ず出すくらいの勢いでやってほしかったな。
「不思議」をけっこう楽しみにしていたのだ。特にガラスのりんごが不思議にからまなかったのが残念(笑)

原作のイメージを大事にする人は,ドラマの照代の容姿が整いすぎていたことに難を感じるかもしれない。
というのも,原作の照代は自分の容姿をかなり気にしていて,自分がかわいくないから人から好かれないとけっこう真剣に悩むし,そこも重要なポイントになっているからだ。

これはまあ,しかたのないことでもある。

ドラマの主役は容姿が整っていないと立たない(同時期に「ブス恋」をやってはいたが,笑)。
それに対して,小説ではどのような容姿だろうと主人公になることができる。

このギャップはけっこう大きく,小説がドラマ化された場合,ほぼどのようなキャスティングであっても,「原作のイメージが崩れる」との声があがることになる(イメージ崩れの原因としては,ほかに,小説では読者一人一人がキャラクターを勝手に想像しているという点もある)。

ドラマは「ささらさや」と「てるてるあした」2つの作品を1つに合わせ,黒川智花と木村多江2人の主役それぞれにスポットを当てていた。

「てるてるあした」だけよりは,サヤの見せどころが増えるので,それはそれでいいと思う。
ただ,残念だったのが時間の問題。

原作の流れから行くと,サヤの問題が解決(ドラマの「ささらさや」)してから照代が佐々良にくるまでに1~2年は経過している(生まれたばかりの赤ん坊がよちよち歩きをするようになるまで)。

問題を抱えている間(これはまた,夫の俊彦が誰かのからだを借りてサヤの前に姿を現す期間であるが,原作では1人につき1回しかからだを借りることができない)のサヤは,頼りない!! 読んでいて歯がゆくなるくらい頼りないし,だから俊彦も中途半端にこの世に残っている(笑)

エリカ母子を思いやることはできても,照代の秘密を知り,温かく見守る余裕などありそうにない。

ドラマでは,サヤの抱えた問題と照代の話を同時進行してしまった。

「作り」としてしかたなかったのかもしれないが,ドラマの後半になってサヤが「急に強くなってしまった」ことや,メールの主がサヤであったことの「ちょっとした」不自然さはここらへんからきたのだと思う。

最後になるが,最終回の結末がちょっと納得がいかないと思った人(けっこう違います,笑),だけでなくドラマをおもしろいと思った人にも,ぜひ原作を読んでほしい。

ドラマとはまた別の感動を味わうことができると思いますよ(微笑)

 テレビ番組  (てるてるあした)からごらんください。


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Last updated  2006/07/22 08:02:41 PM
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