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最近封切のPERFECT DAYSを鑑賞しました。この映画は森田理論をテーマにしているのではないかというのが第一印象です。役所広司が公衆トイレの清掃員の平山を演じている。裕福な生活をしている妹は兄の生活ぶりに呆れている。親父との葛藤の過去を持っている。生涯独身だ。もう50代だろうか。家は押上の簡素なアパートだ。裸電球にスタンド。地震がきたら倒れるに違ないと思えるようなアパートだ。家具はほとんどない。古本はかなりあった。読書が趣味なのだ。主人公の平山の前半はほとんどセリフはない。無口なのだ。規則正しい生活を繰り返し描いている。その中に微妙な変化がある。平日は近所の女性が道を掃き清める竹ぼうきの音で目覚める。着替えを済ませて、歯をみがき、盆栽に霧を吹きかける。その辺にある草花を家に持ち帰り育てているのだ。まだうす暗い中自販機で缶コーヒーを1本買う。掃除道具を積んだ軽トラのバンでいつもの公衆トイレの清掃に出かける。その時古いカセットをかける。平山はルー・リードの曲が好きなのである。この映画ではアクセントのように何回も使われている。トイレ掃除は相棒と二人一組でやるのだが、相棒はお調子者だ。平山はトイレ掃除に手を抜くことは一切ない。トイレを綺麗にすることに無上の楽しみを持っている。相棒が「そんなにしなくてもすぐ汚れるのに」とあきれている。昼はいつも木漏れ日がキラキラ輝く公園でサンドイッチと牛乳だ。その時フィルムカメラで木漏れ日を撮影するのを日課にしている。今時フィルムカメラはどうかと思ったが、気に入ったものをいつまでも大事にする。木漏れ日は大きな木の葉がゆらゆらと揺れたときにキラキラと輝く一瞬の太陽の光だ。それを美しいと感じる感性を持っているのが素晴らしいと思った。森田の「今、ここ」に通じるものがある。仕事が終わると決まってなじみの立ち飲み屋でハイボールと簡単な食事をとる。家に帰ると自転車に乗り換えて近くの銭湯に行く。たまには小料理屋にも行く。石川さゆりがママ役で出演している。家に帰ると寝床でしばらく本を読む。古本である。映画では幸田文の「木」を読んでいた。この映画は賛否両論だという。アクションがない、ドラマがない、物語の起承転結がない。平凡な生活が淡々と描かれているだけだ。刺激や変化に慣れた現代人は退屈するかもしれない。森田をやっている人は、この映画の価値が分かるのではないかと思う。この映画の主人公は規則正しい生活を楽しんでいる。結婚したいとか、もっと豊かな生活をしたいとかという欲が全くない。今の生活に満足している。それ以上何も望んではいない。こんな人を無欲の欲というのだろう。今の生活に楽しみや癒しを見つけて人生を楽しんでいる。だから葛藤や苦悩がないようだ。私ならもっと楽しい刺激のある生き方を探し求めると思うが、平山さんにはそんな気持ちは無いようであった。そんな生き方をかたくなに守っている平山さんがある意味でうらやましいと思いました。この映画は小津安二郎作品を連想させる。小津作品も好きな人と嫌いな人がいることは承知している。この作品は巨匠ヴィム・ヴェンダース監督作品ですが、森田理論に通じる感性を持った外国人がおられることに驚いた次第です。森田の人生観を理解できる外国人が世界中に間違いなくおられるはずだと思う。
2023.12.31
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森田理論は理論と行動が車の両輪と言われています。理論学習に片寄って、理論の応用・活用面が不十分になりやすい傾向があります。バランスをとるためには、この際森田理論の応用・活用面に専念するというのは如何でしょうか。応用・活用は何から取り組んでもよいのですが、何らかの指針があったほうが取り組みやすいと思います。最適な参考書があります。帚木蓬生氏の「生きる力 森田正馬の15の提言」です。この本は森田理論を実践するための本といっても過言ではありません。帚木蓬生氏は応用・活用面を15点に絞って提案されています。1、一瞬一生・・・過去や未来ではなく、「今、ここ」に集中する生き方。2、見つめる・・・じっと見つめていると、感情が動きだして、気づきや発見、興味や関心が高まってくる。手を出すと、積極的、建設的生き方に変わる。3、休息は仕事の転換にあり・・・時間の性を尽くす生き方。4、外相整えば内相自ずから熟す・・・症状は不問にして、形を整えることを優先する。5、いいわけ・・・他人に見つかっては困るような事実から逃げる。隠蔽する、ごまかす、責任転嫁をするような行動を慎む。承服しがたい事実に従う生き方。素直な心を身に着ける。6、目的本位・・・気分本位の態度を改める。課題や目標から目を離さない生き方に転換する。7、無所住心・・・いつまでも意識や注意を一点に集中しないで、絶えず四方八方に注意を向ける生き方に転換する。不安が湧き上がり、一旦注意を向けても、用事が済んだら、すぐに離れる。8、即・・・0か100、良いか悪いか、白か黒かという二分法的な見かたを修正する。両面観のものの見方を身に着ける。9、なりきる・・・不安を取り除く、逃げる生き方から、不安をあるがままに受け入れ、不安と一体化した生き方を目指す。10、自然服従・・・感情を含めた自然現象に敵対しない生き方。そのまま受け入れる生き方。11、生の欲望・・・課題、目標、夢、希望を持った生き方。12、不安常住・・・不安の特徴や役割を見直し、不安と欲望のバランスを意識した生き方に転換する。13、事実唯真・・・観念優先の態度から事実優先の態度を身につける。14、あるがまま・・・不安を抱えたまま「なすべきをなす」生き方15、生きつくす・・・物、己、他人、時間、お金の性を尽くす生き方これらはすべて森田理論実践の核心部分だと思います。最初はこの中から1つか2つに絞って自分のものになるまで取り組むことがよいかと思います。私は現在14の「あるがまま」を身に着けることに取り組んでいます。「あるがまま」は不安を持ちこたえるという側面がありますがこれがなかなか難しい。「なすべきをなす」ことで、「あるがまま」を身に着けることができないでしょうか。私は仕事をしている時に、小さな問題点、課題、改善点、改良点、楽しみ、感動を見つけることを心がけるようにしました。一つでも見つかったら宝物としてすぐにメモしています。目標や課題が生まれて、工夫やアイデアが出てくるようになりました。すると仕事をすることが面白くなり意欲的になれました。結果的に不安を抱えたまま行動できるようになりました。つまりことさら意識しなくても「あるがまま」の実践ができるようになりました。
2023.12.30
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親との人間関係を引きずっている人が多いようです。親が子どもをきちんと育ててくれなかったから、私は生きづらさを抱えて苦難の人生を送ることになった。どうしてくれるんだという親を怨む気持ちがいつまでも付きまとってしまう。私の場合父親との関係が最悪でした。父親からは物心ついたころから叱られてばかりでした。気に入らないことがあると家から追い出されそうになったこともあります。このまま死んで仕返しをしてやろうと考えたこともありました。優しい言葉、励ましの言葉をかけてもらったことは記憶にない。父親は子どもと一緒の生活を楽しむという気持ちは持っていなかった。また厳しく育てて、自立心旺盛な子どもに育てようという気持ちも持ち合わせていなかった。今考えると父親も人間関係に問題を抱えて苦しかったのだと思います。子供を立派に育てて自立させようというところまで気が回らなかったのだと思います。アル中で肝硬変になり突然心不全で亡くなりました。自分としても後悔の多い無念の人生だったことでしょう。その結果私は他人が信頼できなくなりました。怖いのです。他人は自分を傷つける生き物だという気持ちが強くなりました。いつもビクビクしながらかろうじて対人関係をこなしていました。人と付き合うと気を遣い過ぎて疲れ果ててしまうので、一人で過ごすことが気が楽だと思うようになりました。また気が乗らないこと、納得できないこと、イヤなことからすぐに逃げ回るようになりました。仕事や人間関係など様々なトラブルが予想されることから逃げ回るので、問題ばかり起こすようになりました。外向性、自立性、積極性はなく、内向的、依存的、消極的な人間になりました。生きていることが辛くて苦しいことばかりという気持ちが付きまとうので、生きることは地獄にいるようなものです。本能的、享楽的な癒し効果のある快楽を探し求めてなんとか生きているようなものです。そして始末が悪いことに今度は自分の子どもに父親と同じような対応をとっていました。最近多少心境の変化がありました。父親を否定しても何も生まれてこない。むしろ自分益々がみじめになるだけだと思うようになりました。父親は人間としてこの世に生まれるきっかけを作ってくれたことは感謝しなければいけないのではないか。そして大きくなるまで育ててくれたことは紛れもない事実です。高校にも、大学にまで行かせてくれたのです。自分たちの生活で一杯一杯だったにもかかわらず、無理をして支えてくれたことは間違いない事実です。それに対して感謝したことはあるのか。親にお返しをしたことがあるのか。恨みつらみだらけの自分に愕然としました。親孝行したいときに親はなしまた父親は、はぐくみあいのある神経質性格を与えてくれた。神経質性格にはマイナス面ばかりではなく、プラス面もあります。ことさらマイナス面ばかりを取り上げて非難するのはバランスが悪い。森田では否定するところからは何も生まれない。事実を素直に受け入れて、感謝するところから未来は開けてくると学びました。森田理論を学習して神経質性格ほどはぐくみあいのある性格はないと思っています。心配性で不安にとらわれやすい。気分本位で行動力がないという面は確かにあります。しかしそれ以上に多くのプラス面を持っている。私は好奇心が極めて強い。興味や関心を持てる範囲がとても広くて大きい。目標に対する執着性が強い。神経が繊細で感受性が鋭い。そのほか思考力、論理的、問題解決能力、分析力を持っている。神経症にはなりましたが、そのお陰で森田理論にもめぐり合いました。こんな幸運を与えてくれたのも父親です。今後は父親から頂いたものを最大限に活かして残りの人生を悔いのないように生きていきたいと考えるようになりました。それがせめてもの父親に対する恩返しと考えております。
2023.12.29
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赤ちゃん鳴き声分析器というものがあるそうです。赤ちゃんが泣いたとき、人間に代わって機械が分析する。今泣いたのは、空腹か、退屈か、不快か、眠たいのか、ストレスがあるのか瞬時に見分ける機械である。親は機械の分析結果に基づいて、対応すればよいことになります。親は赤ちゃんを観察する必要がなくなる。育児の手間を省くことができるようになります。何も考えなくても的確な対応が可能になります。その結果、親と赤ちゃんのスキンシップが少なくなります。親は子育てを機械的に処理するようになります。子育ての中での気づき、発見、喜び、感動は希薄になります。この考え方を推し進めていくと、親が育児にかかわらなくても、育児専門職の人が多くの赤ちゃんをまとめて世話した方が効率的だという考え方になります。親は仕事を続け、あるいは自分のやりたいことに専念した方がよい。赤ちゃんにとっても親にとってもメリットが大きい。効率重視の考え方ですがそれで問題はないのでしょうか。実はこの考え方に基づいて、イスラエルのキブツで保育士による集団育児の実験が行われた。母親は体力が回復するとすぐに働きに出た。授乳の時だけ施設に立ち寄って母乳を与える。母親との接触時間はごくわずかだった。生まれたての子どもを、母親と切り離して、多くの大人がかかわりを持ち、かわいがり、十分なスキンシップをしたが、安定した愛着が育つことはなかった。この実験から得られた教訓は、赤ちゃんはすくなくとも生後1年6か月の間は母親がつきっきりで身の回りの世話をする必要がある。母親は赤ちゃんの欲求を感じとり、欲求に応じて速やかに対応しなければならない。これは他人に肩代わりしてもらうことはできない。母親とのスキンシップが人間同士の信頼感、安心感を作り出す。なんらかの理由で親子のスキンシップが遮断されると、他人は自分に危害を加えるかもしれないという被害妄想で苦しむことになる。これは愛着障害と呼ばれている。愛着の形成に失敗すると後で取り戻そうとしても非常に困難となる。この時期を無難に過ごし、いったん愛着の絆が形成されると、それは容易に消されることはない。心の中に「安全基地」「ベースキャンプ」を持っていて、そこを足がかりにして冒険に出かけることが可能になります。子を持った親は子育ての学習をする必要があります。ただ食事を与えていれば、健康に育つというのは短絡的です。生活の発見会でもファミリー集談会というのがあります。今の社会、子育てはほとんど個人に任されていますので、生活の発見会の集談会などで子育てについて話し合うことは大切だと思います。
2023.12.28
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11月号の生活の発見誌に他人の思惑が気になって生活に支障が出ている人のお悩み相談がありました。きっかけは、以前アルバイトをしていた時に、同期の人から「パソコンを打つのが遅い」と厳しくプレッシャをかけられたことだったようです。自分なりに何とかしようと努力されたそうです。しかし思えば思うほど泥沼にはまっていき、そのうちに出勤する前は、血圧が上がり動悸がするようになりました。他人との関係で気を遣い過ぎる人は、自分の気持ちを相手に伝えることができない。そんなことをすれば相手とけんかになり人間関係が壊れてしまうことを恐れています。言い争いになると自分がいつも負けてしまうという先入観を持っています。他人は自分に危害を加える恐ろしい存在とみなしているのです。そのうち苦手な人から逃げ回るようになります。逆に格下の相手に対しては傍若無人の態度をとる傾向があります。さらに自分の弱みや欠点を人前にさらすことは、相手につけ入るすきを与えてしまうので隠すようになります。最終的には、人との接触を避けるようになり孤立していきます。こういう人の心理は、他人に負けたくない。勝ちたがりなのだと思います。できるならば相手を意のままにコントロールするような人間になりたい。すべての面で相手の上に行きたい。絶えず優越感を味わって生活したい。高良武久先生は他人の思惑が気になる人に対して、自分の出来ること、自分が興味や関心があるもの、自分が好きなことに寝食を忘れるくらい一生懸命に取り組みなさいと言われています。一つのことにわき目を振らずに10年くらい取り組むとその道では専門家になります。専門家になると、他人から一目置かれるようになります。すると自己信頼感、自己肯定感が生まれてきます。その時人の思惑に振り回されている状況は一変してきますと言われている。これ以外に短期的に効果があるものがありますのでご紹介します。相手が感じていることは、自分ではどうすることもできないものです。頭の中が人の思惑に乗っ取られたようなものです。つまり100%対人関係のことを考えているのです。その割合を90%、80%・・・と減少させていく方法をとることです。その方法は規則正しい生活を習慣化することです。基本的に毎日同じ時間に同じことをする習慣を作り上げる。ルーティンワークを作り上げて丁寧に取り組むことです。まず起床時間、就寝時間を決めることです。次にメインの作業を割り当てます。仕事がある人は仕事がメインになります。家事中心の人は、食事の準備、洗濯、掃除、整理整頓がメインになります。大枠が決まったら、身支度、動植物の世話、趣味、学習、習い事、近所付き合いなども組み込みましょう。これらが習慣化すれば、他人の思惑ばかりに振り回されることは格段に少なくなります。それは前頭前野が悩みだす前に、身体のほうが無意識のうちに動きだすからです。考えることと、行動することは同時に行うことは難しいです。行動することによってネガティブな感情は流れていきます。さらに行動することによって弾みがついて、生産的、建設的、創造的なことに悩むようになります。
2023.12.27
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11月号の生活の発見誌の「私らしく生きる」という記事は大変参考になりました。この方は20代半ばから65歳まで予備校の講師として働いたそうです。その後は実家の稲作農業を継がれました。「農家は良いイメージが無かったのですが、米作りを始めてみると、神経症と米作りはすごく相性が良いことが分かりました。神経症の回復に効くんです。私はもともと観念的な人間なので、考え込んで行動せずに終わってしまうことが多いタイプ。でも、米作りは考えている暇がありません。天候次第なので、考えるよりも行動しなければならないパターンが圧倒的に多いんです。型にはまった形式はなく、毎年、その場その場の勝負です。雨が多く降れば水を抜かなければならないし、降らなければ水を入れる方策を考えなければならない。考える時間は多く取れません。考えるより行動する仕事なので、私には合っていますね」確かに農作業は段取りを組んで手足を動かすことが主力ですからね。神経症的な悩みは、農作業が終わってからにしようと思っているうちにいつの間にか流れてしまいます。私は田舎の畑で自家用野菜作りに力を入れています。楽しみが多いです。運動にもなりますし、すぐに成果が出る。特に収穫時はうれしいです。このブログで紹介している通りです。たくさん獲れた野菜は料理を工夫しています。その他、梅の木、柿木、栗の木、ゆずなども育てています。梅は梅酒にしています。柿は甘くてとてもおいしい。庭木には金木犀、シャクナゲ、カイズカイブキ、マキなどがあります。草刈りを兼ねて畑や田んぼに出ているときはとても楽しいものです。それは頭を休ませてリフレッシュしているからかも知れません。この方には写真と川柳作りの趣味があるそうです。特に毎年正月に企画される「発見会川柳」では最優秀賞を7回も受賞されている。タナカサダユキさんのイラスト原画が並んでいるという。10月中頃から、「川柳モード」に入るという。実体験を元に思いつくまま句を書き留め、何度も練り直して応募されているそうです。私も1回最優秀賞をもらったことがあります。2匹目のドジョウを狙っているのですが、なかなかいませんね。私は大阪の串カツが好きです。ここはいつも行列ができている。
2023.12.26
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私に定期的にエッセイを送ってくださる方より「ホスピタルアート活動」のエッセイが届きました。ホスピタルアートは、「医療施設にアートを取り入れることで、患者さんや医療従事者の癒しや気持ちを和らげる効果がある」と言われています。「生きがい療法ユニオン」の伊丹仁朗先生はアメリカのホスピタルアート財団の理事をされているということです。今年は2050年8月10日生まれのスヌーピー(73歳)にちなんで、「世界の病院にスヌーピーの絵を送る企画」を開催することになったという。いつもながら伊丹先生は患者に寄り添った素晴らしい活動をされている方だなと感じております。私の周りには絵画や写真や書や人形あります。絵画は富士山の絵、孫の作品などです。写真は生後間もない孫の写真、笑っている犬の写真。広島カープの優勝のときの胴上げシーン。書は相田みつを。人形はモンチッチ、子供の人形。その他自分で作った金魚ちょうちんが20個ぐらいあります。これらはすべて癒し効果があります。その他、ユーモア小話、川柳の収集がたくさんあります。イヤなことがあった時はすぐ取り出してみます。気分転換になります。ベランダには四季の花が咲き乱れ、メダカが泳いでいます。冬は何といってもシクラメンですね、世話をするものがあることは、大切なことだと思います。
2023.12.25
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次のような状況に置かれた場合、あなたならどう対応しますか。あなたは昼間のお客様のクレーム対応で心身ともに疲れてしまいました。今日は定時で帰宅して心身の回復を図ろうと考えていました。そんな時、上司から明日の会議で使う資料を急いで作ってくれと頼まれました。上司の依頼をきっぱりと断るか、しぶしぶ引き受けるのか。私がいつもとっていた態度は次のようなものでした。どうして帰ろうとしていた直前に指示を出すのだよと思いましたが、断ると上司の叱責が予想されると思って、「分かりました」と返事していました。でも心の中では不平不満でイライラしてしまいます。昼間私がクレー対応で大変だったのは上司だって知っていたじゃないの。こんなに疲労困憊なのにどうして自分に振ってくるのだよ。このとき私の心の中には、「疲れている自分」と「感情的になっている自分」がいます。今の私は、上司の存在・言葉にとらわれているために、疲れている自分を感じていません。上司と対立することを恐れて、心身ともに疲労困憊している自分には鈍感になっています。このような状態で、上司の指示に無理やり従おうとしているのです。自分が感情的になったのは、上司が自分をイライラするようなことを言ったからだと思っています。でも本当のところは、疲れている自分を労わることができていないから反抗的になっているのです。他者に気を取られ、それへの対応に追われていて、自分を労わることができないので、自分の本音、潜在意識が「それはおかしいよ」と反発しているのだと思います。ここで大事なことは、湧き上がってくる感情にきちんと向き合っていたかどうかということです。湧きあがってきたマイナス感情を批判、非難、否定するのではありません。マイナス感情をありのままに受け入れるようにすることが必要です。売り言葉に買い言葉的対応は人間関係を悪化させます。「今日は疲れていてエネルギーが尽き果てているので、今から上司から指示された仕事に取り組むことはきついなと感じているんだね」と認めることです。自分のマイナス感情にきちんと向き合うことができれば、次の展開がまるっきり変わってきます。有無を言わずに上司の指示に従うことはなくなると思われます。無視して疲れている自分を叱咤激励するようなことはしません。可能ならば今日は早く帰宅して体調の回復を図ることを優先するはずです。あるいは上司に対しては次のように提案できるかもしれません。「今日はクレーム処理でイライラしていて仕事が向かう気持ちになりません」「心身を労わらないと仕事に対して悪影響が出てくることが予想されます」「申し訳ありませんが他の人をあたっていただけないでしょうか」「明日の朝までに充電して、早朝出社してやらせてください」「どうしてもといわれるなら、気持ちを切り替えるまで、しばらく休ませてもらってもいいですか」すると上司は「そうか、分かった。他の人をあたってみる」「じゃあ明日の10時の会議には間に合わせてください」ということになるかもしれません。自分のマイナス感情にきちんと向き合うことができるようになると人間関係は大きく改善できます。
2023.12.24
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10月29日の瀬戸内支部研修会に参加した。以前は1泊2日で行われていたが、コロナ後はZOOMで行われている。この研修会は年1回行われているが今年は28回目である。この研修会は兵庫、中国、四国を中心として全国から参加者がある。私はほぼ毎回参加した。記録をきちんとまとめていなかったのが残念である。成果としては、全国の森田理論を極めた人の話が聴けたことである。その他著名な精神科医の貴重なお話も聴けた。これは普段の集談会ではとても期待できないことである。さらにこの研修会に継続参加している仲間との交流の輪が広がった。年1回しか会っていなくても集談会で毎月顔を合わせている以上の親しみを覚える。幅広く森田を学習し、森田を応用・活用している人たちと知り合いになれたことは私の財産となっている。森田理論学習は自助グループに参加して、切磋琢磨しながら身に着けていくものだということをひしひしと感じている。今回は関東の会員の方の体験発表と今後の学習の提案があった。2つとも素晴らしい内容であった。この方はリモート懇談会(JUPITER)を立ち上げた方であった。JUPITERはZOOMを活用して、ネットで開催される全国規模の集談会のことです。生活の発見会の会員でなくても参加できます。しかも無料です。顔なしで音声だけの参加も可である。私もさっそく登録して参加することにした。JUPITERは目的によって8つの部屋に分かれています。メインのJUPITER、対人の部屋、パニックの部屋、発見誌の感想を述べあう部屋、49歳以下の部屋(NOAH)、火曜日平日、平日夜間、居酒屋があります。基本的にはどれに参加するのも自由です。驚いたのは、生活の発見誌はとっているが集談会には何らかの原因で参加していない人たちが3割いらっしゃるということでした。また年齢層を見ると、30代から50代の人も多く参加されている。リアルの集談会が高齢化しているのとは対照的です。興味のある方は生活の発見会のホームページで検索してみて下さい。
2023.12.23
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2023年11月号の生活の発見誌より高良武久先生のお話です。不安や恐怖というものがあってはならないというのは、思想の矛盾であります。あるのがあたりまえであって、ないというのはそれを否定することであり矛盾でありまして、そういう矛盾は生活にプラスに作用しないで、葛藤を起こすことになるわけでございます。この不安や恐怖を受け入れて、そうしてそれに刺激されて前に進んでいく。これを私は「あるがままで進む」というふうに言っております。ただ、「あるがまま」といいますと、誤解する人がよくありまして、自分は不潔恐怖で手を洗いたいからあるがままに洗うんだ。あるいは対人恐怖で人に会うのがいやだから、なるたけ会わないように逃げていくのがあるがままである。または、病気恐怖がこわいから、病気にかかっているかいつも調べたくなって、何度でも医者通いをする。これが「あるがまま」であるというふうに誤解する人があります。振り返ってみると私はなかなか「あるがまま」にはなれなかった。理論としては、不安や恐怖に振り回されないで、目の前の必要なことやなすべきことに手を出していくことは耳にタコができるほど分かっていたつもりでした。現実は不安、恐怖、違和感、不快感を目の敵にしていた。取り除こうとしている。どうすることもできないときは逃げまくっていた。目の前の必要なこと、なすべきことは放棄して、刺激的な楽しみを追い掛け回していました。これは取り組み方が分からなかったからだと思っています。最近「あるがまま」の体得はきちんとしたステップを踏めばそんなに難しくはないと感じています。「あるがまま」というのは「あるがまま」になろうと思っているだけでは、「あるがまま」にはなれません。「あるがまま」というのは、後で振り返ってみたら、意識しないうちに自然に「あるがまま」になっていたということだと思います。「あるがまま」には2つの側面があります。一つ目は不安をそのまま受け入れるという側面です。これから取り組むのはかなり難しい。二つ目はなすべきをなすという側面です。行動には意志の自由が効きますのでやろうと思えばできます。神経質者の場合自己内省的に考えることは得意ですが、フットワークよく行動することは苦手です。なんとかしてその壁を打ち破ることが肝心です。そのために有効な手段は、月並みですが規則正しい生活を続けることだと思います。毎日のルーティーンワークを確立することです。毎日同じ時間に同じ行動を心がけることです。3ヶ月も続けていると習慣化します。習慣化すると、そのパターンが崩れると居心地が悪くなります。次に規則正しい生活の中から、問題点、課題、改善点、改良点、小さな楽しみ、小さな感動を発掘するようにする。見つかったらそれを宝物として扱う。そうすれば気づき、発見、工夫、アイデアが次々に浮かんでくるようになります。感情が動き出して、行動意欲が高まり、行動に弾みがついてきます。これらが軌道に乗ってくると、不安に振り回されている状態から脱皮できます。客観的に見ると、不安を受け入れて、「あるがまま」の生活が身についてきたということになります。毎日の生活に張りが出てきます。関心のある方はぜひ取り組んでみて下さい。広島県呉市は戦艦大和の故郷です。現在は巨大タンカーのメンテナンスをしています。
2023.12.22
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皆さん、こんな経験はありませんか。ドライブしている時にCDを流しているとします。それがお気に入りのCDで何回も繰り返して聴いている場合、ある曲が終わったときに次の曲を口ずさんでいることがあります。意識していないにもかかわらず、間違いなく次の曲を正確に予測しているのです。脳のどこにそのような仕組みが備わっているのか気になります。楽器の演奏の場合も同じことです。私はアルトサックスの演奏をすることがありますが、同じ曲を何百回も繰り返していると、楽譜は必要なくなります。手先が自動的に正確にリズムを刻んでくれます。余計なことを考えないで無心の状態の時が正確に演奏ができるのです。少しでも頭に不安がよぎってくるといけません。無意識の行動は脳の運動野、側頭葉に蓄えられた記憶から直接指示が出されていると聞きました。無意識というこの脳の働きは、自覚はできませんが大変重要な役割を果してくれています。ここで肝心なことは前頭前野から指示命令が出されているわけではないということです。前頭前野は不安や心配があるときに、それを解消する時に盛んに活動します。そして過去の経験などと照らし合わせて、最善の対策を提示する役割を持っています。迷っているとき、不安な時、原因が分からない時に前頭前野がフル回転してくれることはとても大切なことです。しかしいざ本番に入っているときに、前頭前野で余計なことを考えていると、練習で身に着けたパフェ―マンスが発揮できなくなってしまいます。人前で恥をかきたくない、称賛を浴びたいなどという不安があるとき前頭前野が出てきます。規則正しい生活、ルーティン作業を確立した人は無意識の脳がフル回転していると思われます。習慣化された行動が流れ作業のようによどみなく次々と続いていきます。その時は前頭前野は休んでいるのでしょうか。完全に休んでいるわけではありません。例えば会社に行くとき、戸締り、ガス、電気のスイッチなどの確認は誰でもしています。つまり不安が湧き上がってくると、いったんそこに注意や意識を向けています。安全が確認できれば、その注意や意識はすぐに離れていきます。基本的生活は無意識的行動によって淡々と流れているのです。そこに気になることが発生すると、適度に前頭前野が働いて処理している。安心安全が確認されると、また無意識的行動に移っている。車の運転をする人はよくお分かりだろうと思いますが、交差点で右折する時は歩行者や対向車の動きに細心の注意を払っています。無事に交差点を通過して、直線道路に戻るとほぼ無意識運転に戻っています。私たちの生活は規則正しい無意識的なルーティンワークを確立することがとても大切だと思います。この次に何をしようかなどと考えながら生活している人は、絶えず前頭前野を使って生活していることになります。小説家の帚木蓬生氏は5分以上考えると脳が傷むといわれています。ですから悩みや心配は、5分以上頭の中でひねくり回してはいけない。お勧めしたいのは陶芸家の河井寛次郎氏が実践されている「手考足考」です。(生きる力 森田正馬の15の提言 帚木蓬生 朝日新聞出版 34、45、61ページ)
2023.12.21
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次のようなことは多かれ少なかれ多くの人が経験されていると思います。交通違反でパトカーに追われて切符を切られた。仕事で取り返しのつかないミスや失敗をした。ネットの詐欺に引っ掛かった。煽り運転の車に追われた。パソコンが突然フリーズした。楽器の演奏で間違えてしまった。胃潰瘍になった。ぎっくり腰になった。五十肩になった。ガンや脳梗塞になった。交差点で交通事故を起こしてしまった。仕事で取引先からひどい仕打ちを受けた。神経症に陥った。これらの問題やトラブル、事故に遭ったときどんな気持ちになりますか。普通は思っただけでもぞっとするのではないでしょうか。逃げ出したくなるのも無理もありません。叱責されます。非難されます。責任を取らされます。解決のためにはかなりのエネルギーが必要になります。多くの時間もお金もかかります。努力しても元の状態に戻らないかもしれません。状況が益々悪化することもあります。このように考えると、人生は重い荷物を背負って坂道を登るようなものだと考えるのも無理はありません。これを逆に捉えて、神様が解決すべき課題や目標を与えてくれたと考えることはできないでしょうか。解決のために立ち向かうことになれば、問題やトラブルは突然宝の山に変わります。神経症に陥ったことは大変つらい出来事でしたが、神経質性格を活かしたこれからの生き方を考えるきっかけになったと考えれば感謝できます。毎日の日常生活や仕事では、小さな問題やトラブルはつきものです。誰もこれらから逃れることはできません。これに対して見て見ぬふりをすることもできます。敢えてしんどい思いをするよりも、そのまま見過ごして楽をする方法もあります。一時的にはホッとできますが、将来につながるものは何もありません。人生に小さな問題やトラブルがつきものならば、むしろそれらを意識して積極的に掴まえるようにするのは如何でしようか。日常生活や仕事のなかに、きっと問題点、課題、改善点、改良点、楽しみ、感動することが隠れているはずだと意識して見るようにするのです。そういう意識を持っていると事実をよく見るようになります。問題点、課題、改善点、改良点が見つかれば、行動のための意欲が高まり、工夫やアイデアが泉のように湧いてくるようになります。つまり生きがいというものはこのようにして生まれてくるということです。森田理論に「努力即幸福」という言葉があります。これは目的を達成したから幸福であるという意味ではありません。問題や課題や目標をもって何とかしたいと一心不乱に努力している状態そのものが幸福だという意味です。この路線に乗るためには、意識して積極的に問題点、課題、改善点、改良点、楽しみ、感動を捕まえにいくことではないでしょうか。道後温泉
2023.12.20
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令和元年に結婚した人は59万9007組でした。逆に離婚した人は20万8796組でした。実に3組に1組は離婚しているということになります。毎年同じような傾向が出ています。特に30代までの離婚率が高い。原因としては性格の不一致が多い。この人と一生涯生活を共にしようという結婚したはずですが、顔を見るのもイヤになるほど人間関係が破綻してきたということになります。離婚すると子どもに対する悪影響は計り知れません。また経済的に行き詰まることも多い。普通に考えると、育ちも考え方も違う人が一つ屋根の下で生活することは難しいです。特に自己主張の強い人同士の場合は、相手の言動をののしり合うようになります。お互いが譲ったり譲られたりという努力を怠れば大変なことになります。お互いに不平や不満を持ちながら人間関係を維持するために心掛けることは何でしょうか。結婚する前に、考え方や行動に問題が出てきたときの対応方法について取り決めをしておくことだと思います。アメリカでいうクリナップ契約を締結しておくことです。恋愛結婚の場合、お互いが舞い上がって、あばたもえくぼに見える特に結婚してしまう。一緒に生活するようになると、小さな不満がとてつもなく大きな問題に膨れ上がってくることを考慮しないといけない。一般的には、相容れない考え方や行動の溝が出てきたとき、話し合いによってその溝を埋めていくことになります。相手の間違いや非を否定するのではなく、話し合いによって解決するのだという合意を取り付けておくことが肝心です。それを文章にして署名しておくことです。実際にはお互いがwin winの関係になるまで話し合いを続ける。一致しない場合は双方が許せる範囲を模索して妥協する。ある時は譲り、ある時は譲られるという関係を築いていく。夫婦の人間関係を破綻させないためには双方の努力が欠かせません。次に森田理論の不即不離を活用していく。基本的にはそれぞれの生活を尊重する。束縛しないで自由に行動させる。協力した方がよいところは、積極的に助けてあげる。生活費、家事、料理、掃除、整理整頓、子育て、親戚や近隣との付き合いなどは、分担を決めて助け合う。それから感情の法則を活用していく。森田では不快な感情と行動は別物として扱うというのがあります。ここで感情の法則を応用・活用していかなくては宝の持ち腐れになります。不快な感情にきちんと向き合い、時の経過にまかせるだけで夫婦の人間関係が破綻することを食い止めることができます。行動はその時、その場で適切な行動を選択して実行に移す。結婚する前は相手の欠点や弱点を否定するのは自由ですが、一旦結婚したら相手が気分を悪くするようなことを言ってはいけない。ウソでもいいから、相手の言動をほめる、相手をいたわる、相手を励ますことが必要です。本心でなくても相手の気持ちを逆なでするようなことを口に出してはいけません。
2023.12.19
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石原加受子氏は感じることと考えることは同時にできないと言われます。意識が感情の方に向いているときは、あなたの思考は止まっています。反対に思考しているときは、感情は止まっています。どちらか一つしかできないのです。よく考えてみるとその通りですが、それを普段意識していることはありません。今日はこの関係を取り上げてみました。思考するのは前頭前野です。これは人間だけが高度に発達しています。動物が言葉を使って深く考え込むことはありません。これからやろうとしていることに不安がある、今現在何らかの問題を抱えている、過去にミスや失敗をしてしまったことがある場合はミスや失敗を防止するために思考します。前頭前野がフル回転して分析、検討しています。感情は自然現象と言われています。目の前の出来事に遭遇したとき、五感を通じて、苦楽、好き嫌い、快不快の感情が自然にわきあがってきます。これに直感を加えて六感という人もいます。感情は自然現象ですから、思考のように取り扱うことはできません。感情は一旦扁桃体に送られ、ふるいにかけられます。苦、嫌い、不快と判定されたものは、ノルアドレナリンにより青斑核に伝えられます。青斑核は防衛系神経回路の司令塔です。楽、好き、快と判定されたものは、ドパミンにより腹側被蓋野に送られます。腹側被蓋野は報酬系神経回路の司令塔です。どちらに送られるかでその後の展開が大きく違ってきます。しかし、いずれにしても、感情は自然現象ですから、きちんと向き合い味わうことしかできないものです。それなのに人間は前頭前野で是非善悪の価値判断をしてしまうのです。前頭前野が自然現象である感情をコントロールし始めるととても厄介なことになります。好ましくない感情と戦いを始めるのですから勝ち目はありません。人間の葛藤や苦悩はここから生まれるといっても過言ではありません。森田では「純な心」を大切にしています。最初に湧きあがってきた感情、素直な感情、本音、初一念のことです。これは意識してキャッチしないとすぐに消え去ってしまうという特徴があります。「純な心」が消え去った後に、すぐに前頭前野が出動してくるのです。過去の経験を基にしてああでもないこうでもないと思考するようになるのです。その時「純な心」は、忘却の彼方に飛び去ってしまっています。つかまえようしても、もう時遅しという状態になります。「純な心」をつかまえるには、まず「純な心」という感情が発生していることを意識する必要があります。森田理論を学習している人はチャッチできる可能性が高くなります。注意しておきたいことは、怒りなどのマイナス感情は、「純な心」とは言えないものである可能性が高い。ここは勘違いしやすいところです。前段階として、自分の考えや行動が批判、否定されたという「悲しみ、失望」などの感情が隠れていることがあります。この感情の存在に気付くと、買い言葉に売り言葉の対応は制御することができます。例えば中学生の娘の帰宅時間が遅くなると親はとても心配します。居てもたってもおられなくなります。ところが返ってきた娘を見たとたん、怒りの感情へと転化してしまいます。怒りの感情のままに行動すれば人間関係にヒビが入ります。このとき最初に湧きあがった感情、つまり娘の身に何かあったのではないかという感情に気づくと「ああ、無事に帰ってきてくれてよかった」ということになります。親子の関係が険悪な関係に陥ることを防止してくれます。雨降って地が固まるとはこのことです。次にマイナス感情が湧き上がってきたとき、第三者的立場、客観的な立場に立って自分の感情を眺めてみることが有効です。「あなたは今こんなことを感じている」というふうに、感情を外から眺められるようになると、感情と行動を切り離して扱うことができるようになります。マインドフルネスの藤井英雄氏は、「マインドフルネスとは、「今、ここ」の感情に、リアルタイムかつ客観的にアプローチしていくことである」と言われています。これは訓練することで身に着けることができます。これは森田理論が目指しているところだと思っています。松山城です。道後温泉に正岡子規記念館があります。
2023.12.18
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神経質な人は他人に何かをお願いすることに苦痛を感じることが多いように思います。それは断られたときに自尊心が傷つくことを恐れているからです。断られると自分の考えや行動を否定されたように受け取るのです。相手は都合があって断っているのですが、そうではなくて自分を攻撃しているように受け取ってしまうのです。断られてイヤな思いをするくらいなら、自分でした方がよい。その方が自分の負担は増えるが、非難、否定、無視されないので自分が傷つくことはない。つまり相手と関わらない方が自分が傷つかない方法だと決めつけているのです。一時的にはホッとするかもしれませんが、そのうちキャパオーバーになってイライラするようになります。身動きが取れなくなり、その不満をストレスとしてため込んでしまう。他人にその不満をぶちまけるようになるかもしれません。人間関係にひびが入ってしまうと容易には元に戻すことはできません。集談会で「世話係」を依頼する時に心掛けることは何でしょうか。相手の対応は主に次の3つに分かれます。1、快く引き受けてもらえる。2、私には無理ですとさまざまな理由をつけて断られる。3、突然なので少し考えさせてくださいと態度を保留にされる。他人に依頼するときは、結果は上記3つに分かれるという認識を持っておくことが肝心です。①②③がそれぞれ三分一ずつと考えておくのは如何でしょうか。人にお願いすることが苦手な人は、どうせお願いしても結果は目に見えていると考えています。そういう人は自分の要求を相手に押し付ける傾向があります。相手の都合で拒否されると気分が悪くなるのです。絶対に引き受けてもらわなければ、運営に支障をきたしてしまう。無理やり何度も強引な説得工作をしてしまう。結果として②のようなことになりやすい。こうなると最悪です。人間関係にひびが入ります。相手はそのうち集談会に来なくなる可能性もあります。②の場合は、「そうですか。全然問題ありませんよ」と言ってすぐに引き下がることが必要です。相手には相手の気持ちや考え方があるのですから、自分の考えているようなわけにはいきません。この考え方が身に着いている人は、他人にものを頼むことが苦にならなくなります。「断られるのが当たり前、上手くいけば儲けもの」という気持ちになると気が楽になるのです。③の場合は、性急に結論を出さないで、時間を置いてまた依頼してみる。たまに「いいですよ」という人もいます。しかし後で、「よく考えてみたのですが、今はちょっと無理です」という場合も多い。その場合は「それではまた状況が変わったらお願いします」と引き下がるしかない。①の場合はありがたいことです。但し時々安請け合いをして、十分にその責任を果たしてくれない人がいます。仕事の内容や意義を十分に説明して、軌道に乗るまでは付添う気持ちが必要です。この方法はハードルが高いという人は、交渉事の上手な人に肩代わりしてもらうという手があります。特に不安タイプの人は、対人恐怖の人ほど苦にならないようです。こういう人が幹事の中にいらっしゃれば、肩代わりしてもらうのです。居場所が与えればその人の活躍の場が確保されることになります。全体としてうまくいく場合が多いと思います。
2023.12.17
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集談会がマンネリで面白くないという話を聞くことがあります。参加することが苦痛になっている状態です。参加することを取りやめたいのだが、世話係をしているので取りやめることができない。また取りやめても神経症の苦しみが続くと思うので二の足を踏んでいる。なんとかマンネリ状態を打破できないものでしょうか。今日はこの問題を取り上げてみました。マンネリに陥っている状態は、イヤイヤ仕方なしではありますが、行動できている状態です。気分本位になって逃げていない。この点は大いに評価できます。この状態は低空飛行をしている状態です。墜落しているわけではありません。何とか前に向かって飛び続けているという点がよいところです。一旦墜落してしまうと、体勢を立て直すのは容易ではありません。ここでの問題は、慣れてきて緊張感がなくなっているということです。差し迫った問題がないために、精神が弛緩状態に陥ってしまっているのです。森田では精神的には、緊張状態と弛緩状態のバランスを意識することが大切であるといわれています。この場合は、精神を緊張状態に切り替えることが必要になります。そのために森田理論を応用することをお勧めいたします。森田の行動の原則に「見つめ、感じる」というのがあります。「見つめる」というのは、不安や心配でいっぱいのときでも、まず自分の周囲の状況に視線を向けてみることです。「感じ」が湧いてくるまで目を向けてみましょう。何をどう見つめ、感じるようにすればよいのか。今は集談会にイヤイヤ仕方なく出席しているわけですが、その中にきっと不具合、問題点、課題、改善点、改良点があるはずだという意識を持って見るようにするのです。なにか一つそういうものを見つけようという意識があれば、事実を今まで以上によく見るようになります。見つかったら手帳などにすぐに書き留めておくことです。これは宝の山ですからみすみすとり逃してはもったいないところです。するとしだいに精神が緊張してくるはずです。弾みがついてきて、その他こまごましたことに気づくようになります。これがマンネリから脱出するコツになります。次にそれを整理してみましょう。・すぐに出来ること・時間がかかるもの・時期をずらす必要があるもの・他人の協力が必要なもの・他人に任せた方がよいもの・資金が必要なもの・能力や技術の習得が必要なものとりあえず取り組みやすいものを一つに絞って即実践していく。それが呼び水となって行動に弾みがついてくると思います。このようにして精神が緊張状態に転換してくれば、マンネリ化は打破されて、集談会に参加して学習することが楽しいと思えるようになります。
2023.12.16
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本多信一さんは、学生時代になすべきは、「自分本来の個性を発見すること」だ。それができればもう十分だと言われています。この指摘に同感です。早い段階で自分の将来の好きなものを見つけた人は幸せな人です。それが一生涯携わる仕事だったら申し分ありません。私はそういう意識を持ち合わせていませんでした。私の大学時代の友人たちの多くは公務員になりました。そのための準備を早くから始めていました。私は大学卒業間際になって深く考えることなく仕事を決めて失敗しました。訪問販売の仕事、営業窓口の仕事、中間管理職の仕事をしてきました。本音と建前が一致していない仕事を選択するとその後苦労するというのが実感です。適職につくためには、自分の性格や能力を見極めることが大切です。そのために興味のあることには何でもトライしてみることも必要です。アルバイトをする、本で調べる、人の話を参考にするなどです。そうしないと何が自分に合っているのか見当もつきません。学校で友だちがたくさんいて、仲間と一緒になって一つの目標を目指すことが好きな人は、将来営業の仕事やマネージメントの適性があると思います。学校の先生は子どもと接することが何よりも楽しいという人に向いています。子どもにものを教えること好きというという人にも向いています。リーダーシップをとって人を統率する能力も必要になると思います。他人が怖いという社交不安障害の人は難しいかも知れません。対人関係に問題を抱えている人は、その特性を自覚すればよいと思います。自分を否定する必要はありません。修正する必要もありません。神経質性格のプラス面を意識することです。マイナス面には手を付けない。そして好奇心を刺激するもの、興味や関心があるものを探すことです。営業、指導者、マネージメント以外の仕事の中から自分の適職を探せばよいと思います。例えば、研究職、パイロット、電車やバスなどの運転手、シェフ、職人、自営業、農業、士業、芸術家など対人関係よりは、仕事の出来具合をより重視されるような仕事がいっぱいあります。12000種の仕事の中から適職を見つけることに全エネルギーを投入する。親はそのために全力でサポートをすることが必要になります。自分が持っている性格や能力を活かす、自分の得意な分野を伸ばす、自分の好きなものを早く見つける。見つけたらそれに磨きをかけてさらに伸ばしていくように努力していく。この道を歩むことが幸せな人生につながります。
2023.12.15
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良寛さんは若いころ岡山玉島の円通寺で修業されていた。そこに仙桂和尚という20歳以上年上の僧がおられた。この方は僧侶たちの食事を作る、菜園で野菜などを作る典座という仕事をされていた。その頃の良寛さんは、寺で一途に読経・参禅する。禅語録に触れることが修行であり、立派な僧侶になるためにはそれ以外のことにうつつを抜かしてはならない。修行に打ち込んでいるとそんな余裕はないはずだ。台所で食事を作り、菜園を耕すなどの仕事をする人は下男か作男ぐらいにしか思っていなかった。その良寛さんが越後の五合庵で暮らすようになって、そのような考え方を改めている。「仙桂和尚こそは、真の仏道者である。彼は黙して語らず、朴訥にしてうわべを飾らぬ人であった。30年間、国仙和尚のもとにあっても、参禅もせず、読経もせず、宗門の教えの一言も口にせず、ただ畑を耕して雲水たちを供養していた。円通寺当時、私は仙桂和尚を見ていながらも真の姿をみていず、遇っていながらも真の心に遇っていなかった。ああ、今になって彼にならおうとしても、もはやどうすることもできない。誠に仙桂和尚は真に仏道を会得した人であった」この考えは森田理論学習にも通じるところがあります。いくら森田理論を極めて整然と説明できるだけでは森田を身に着けたとは言えない。それは必要条件ではあるが十分条件とはなりえない。森田理論には車の両輪があると言われています。理論の車輪が小さいときは小さいなりに森田理論の活用と応用が必要になります。理論の車輪がステップアップしていけば、活用・応用の車輪を一回り大きなものに付け替えていく必要があります。2つの車輪のバランスをとりながら前進しないと、空回りしてしまいます。森田理論学習のみに偏っていると、期待していたような効果はありません。むしろ停滞を加速する原因となります。そして森田理論を恨むようなことになります。森田理論の学習をしている人からこんな話を聞くことがあります。ネットゲームが好きで夜遅くまでやっています。休みの日は昼近くまで寝ていることがあります。部屋の中は埃だらけです。掃除や整理整頓する気持ちにはなりません。食事は外食が中心です。鍋や包丁はほとんど使いません。家で食べるときは、おいしそうなお惣菜を買ってきて食べています。アルコール中心の食事です。間食のスイーツやお菓子はよく食べています。土曜日や日曜日は身体を休めることに専念しています。森田理論を活用・応用している人からは次のような話を聞きます。規則正しい生活、凡事徹底、ものそのものになる生活を送っています。起床時間と就寝時間が決まっている。雑仕事、日常茶飯事のルーティンワークに丁寧に一心不乱に取り組んでいる。バランスのとれた食事作りや後片付けを大切にしている。掃除が行き届き、洗濯も滞りなくなされている。土曜日や日曜日はやるべきことをメモしたリストに従って行動している。森田理論を学習して生活ぶりが変化しているのです。
2023.12.14
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パソコンはできるだけ有効活用したいものです。私の活用方法をご紹介します。・プリンターには両面印刷があることに気づきました。両面印刷を使えば90ページの森田のテキストでも45ページで印刷できます。両面印刷の「長辺を閉じる」にして使います。これは常識ともいえることですが、私は先日まで知らなかったのです。・パソコンの今の画面のハードコピーを取りたいことがあります。これもフリーソフトがあります。これを起動すればいくらでもハードコピーがとれます。・グーグルドライブに写真、動画、テキストを保存すれば、パソコンを買い替えてもそのデータをそのまま使える。ファイルを作って保存すれば、すぐに取り出せる。15Gまでは無料で使える。私は有料の100Gで使っている。これ以外にも同様のサービスがあるそうです。・You Tube動画には、区間を区切って同じところを何回も再生してみたいことがあります。これはLOOP機能をONにするフリーソフトをインストールする。次にLOOPを押し込むと、範囲指定のワクが出てきます。両端の赤い丸をリピート再生したいところに動かすと、自動的にリピート再生します。分からない方は「You Tube動画区間リピート再生」で検索してみて下さい。私は一人一芸の所作を覚えるのにこれが重宝しています。・You Tube動画を見ていると途中で広告がいっぱい入ります。音楽を聴いているときに広告が入ると興覚めです。私は「You Tube premium」に入っていますので、広告なしの音楽を聴くことができます。ただしこれは月に1280円の経費が掛かります。ちょっと高いと思いますが、音楽が好きなので利用しています。その他無料で非表示にする方法があると聞いています。この方法はよく分かりません。・小さなノートパソコンは持ち運びには便利ですが歳をとると見づらいです。大きなモニターに接続すればとても見やすくなります。25インチぐらいになるととても見やすいです。・パワーポイントのスライドショウは会合、同窓会などのイベントのときとても喜ばれます。パソコンに詳しい人に聞けばすぐに習得できます。私は商工会議所のパソコン教室に通って身に着けました。ここでいただいたテキストがとても役に立っています。アニメーションもできるようになりました。音楽やフリーの動画を挿入すればとても楽しいものになります。・集談会の会場にはWi-Hiの設備があります。パソコンをインターネットにつなぎ、プロジェクターでスクリーン投影すると映像投影で楽しい勉強会になります。メンタルヘルス岡本記念財団の見逃し配信の講話は集談会で活用できます。私のところでは以前忘年会の時に、You Tubeのカラオケにつないで、カラオケ大会を行いました。その他パソコンの活用方法は無限にあると思います。集談会にはパソコンに詳しい人がいますので、活用方法について情報交換すると楽しいです。こんなことをやってみたいという項目を明確にして質問すればほとんど解決すると思います。私は現在zoomの活用に凝っています。そのうち使いこなすようになりたい。
2023.12.13
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キューリング恵美子さんはドイツ人と結婚してドイツに住んでおられます。その方がドイツ人の特徴について説明されています。「残業はしない」「有給休暇は完全取得する」「通勤はジーンズにウィンドブレーカーを羽織る」「自分の気持や考えをしっかりと相手に伝える」「好き嫌いをはっきりと伝える」「女性でも人と会う時にメイクはしない」「ビールを注ぎ合わない」「誕生日は自分が周囲をもてなす」「土曜日、日曜日は店はクローズしている」「子供は幼児のときから別の部屋で寝る」「子どもの成績が悪くても責めない」次にドイツ人と日本人の考え方の違いも分かってきたそうです。生まれてからずっと、私は他人の目が気になり、自分の思いや主張を閉じ込めて、まわりのことばかり優先してきた。他人からどう思われるのか恐怖で、自分は間違っているのではないかといつも不安だった。結局のところ、私は私のものでない「他人の人生」を送っていたのだと気づいた。(ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか キューリング恵美子 小学館新書 41ページ)たとえ「自分の人生」で躓いても、他人が責任を取ってはくれることはありません。まわりを気にしながら選択したり、人の意見を聞いて選択した結果、躓いたとしても、それを選んだのは自分自身です。だからこそ、「自分のための」「自分が選択した」「自分で責任が取れる」「自分の人生」を生きなければいけないと気づきました。(同書42ページ)おもしろいデータがあります。2019年内閣府の調査によると、「自分自身に満足している」日本人は45.1%、ドイツは81.8%と大幅に差がついている。「自分には長所がある」と思っている日本人は62.2%、ドイツ人は91.4%である。ドイツ人は他人のことを気遣うよりも、自分の気に入った生活スタイル、自分の気持ちや感情をなによりも大事にしているようです。また他人の心の中に断りもなしに踏み込む方ことは大きな問題だと考えています。森田でいう不即不離の人間関係作りが自然にできている。日本ではそんな人は、空気の読めない人、気遣いのできない鈍感な人とみなされ、仲間外れにされることさえあります。そのために本音を軽視・無視して、建前で仕事や生活をしている。自分の仕事が終わったにもかかわらず、「お先に失礼します」という対応が取れない。自分の人生を生きるよりも、他人の人生を生きてストレスをため込んでいるようにみえます。その結果、毎日イライラして、うつ状態や神経症に陥っている。森田では人の気持ちを思いやることは大切であるといわれています。それができるのは日本人のよいところだと思います。そこは大いに伸ばしていきたいものです。しかし他人の気持を忖度することばかりに注意や意識を向けているのはいかかなものでしょうか。その前に、自分の感情、気持ち、欲求、欲望、希望、夢を尊重する態度を持つことが大事になるのではないでしょうか。自分の意思が曖昧なままになると、空中をさ迷う風船玉のようなふらついた生き方になってしまいます。森田でいう「生の欲望の発揮」を軽視する人生は、後悔だらけの人生で終わってしまうのではないでしょうか。
2023.12.12
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最近糖尿病にかかっている人の話をよく聞きます。糖尿病は慢性的に高血糖状態の人がかかります。現代病と言われています。糖尿病にかかると血管が傷つけられます。眼、腎臓、神経に十分な血液が流れなくなります。その結果、失明、人工透析、心筋梗塞、脳卒中、感染症の危険性があります。さて、血糖値を上げるホルモンは少なくとも6つあります。成長ホルモン、甲状腺ホルモン、コルチゾール、アドレナリン(エビネフリン)、ノルアドレナリン(ノルエビネフリン)、グルカゴンです。これに対して、血糖値を下げるのは、すい臓から出るインスリンの一つです。人間の体はとてもうまくできているのに、このアンバランスはどうしたことでしょうか。これは人類の歴史と関係があります。人類の歴史は600万年前にさかのぼると言われています。そのほとんどの期間、人類は飢餓との闘いでした。つまり血糖値を上げるホルモンがとても重要であった。血糖値を下げるホルモンはほとんど役に立たなかったのです。つまり血糖値を上げるホルモンが多くて、下げるホルモンが少ないというのは人間が生き延びていくため必要不可欠な身体の仕組みであったということになります。状況に対応してバランスがとれていたということになります。ところがここ100年くらいの期間で、飢餓と決別する人たちが忽然と出現してきた。日本、欧米、発展途上国の富裕層と言われる人々である。世界中から食料を買い集めて好きなものを好きな時に飽食三昧する人たちが出てきたのです。その結果血糖値が乱高下して制御不能に陥っている人たちが増えてきたのです。人間の身体のほうが、急激な変化に対応できないで右往左往しているのです。この変化に対応するためには、どうすればよいのでしょうか。人間の身体の仕組みを変更することはほぼ不可能です。人間の身体の仕組みに合わせた食事内容に変更していくことは可能です。ですから意識して食の暴走を制御していくほかはありません。必要な時に、必要最低限の食べ物を口にする。暴飲暴食はきっぱりとやめる。腹八分目を心がけることです。つまり食の欲望を制御していくことです。その土地で獲れるものを基本にした食生活に変更する。地産地消の考え方です。料理の工夫、豊かな加工食品作りを目指す。食をほどほどのところに抑えて、人間の身体の仕組みと合致させるという考え方は、人間の生き方の問題になります。人生観があやふやなままだと、納得できる人生を送ることは不可能となります。森田先生は神経症が治るのは人生観が確立されたからだと言われています。森田でいう「あるがまま」の生き方が目指すべき方向になると思われます。
2023.12.11
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仕事を面白くするコツは大きく分けると2つあると思います。森田では「見つめよ」と言います。仕事の中で問題点や課題を見つけることができると、改善・改良したいという意欲が出てきます。意欲的に取り組むようになると仕事は趣味のようなものに変化してきます。もう一つは仕事を給料をもらうために最低限の義務を果たすものだと考えるのをやめることです。仕事は他人に感動を与えるものだと考えることです。仕事を義務として考えていると、効率的に手抜きをして必要最低限の仕事をすれば十分だと考えるようになります。お客様からすると、時として期待外れの商品やサービスを買わされることになります。するとお客様はすぐに離れていきます。リピート客を呼び込めなくなるとどんな仕事もじり貧になってしまいます。お客様の喜ぶ顔を見たいという気持ちで仕事に取り組んでいると、その気持ちはお客様に伝わります。行列のできるお店はお客様を感動させる何かを持っています。その一例をこのブログの中から見つけました。2013年11月19日の投稿です。銀座で最高に美味しいビールを提供し続けて38年の海老原さんのお話です。海老原さんは、「おいしいビールは洗浄に始まり、洗浄に終わる」と言われています。1000リットル入りのタンクが6つあるそうですが、そのうちビールが入っているのは4つのタンクです。後の2つのタンクは洗浄の為に空にしている。海老原さんはそのタンクの中に入り込み、1本あたり40分かけて丁寧に洗浄するという。次は地下のタンクからビヤホールまでに伸びているホースの洗浄を行う。ホースの内部に少しでも汚れがあると、ジョッキの泡が粗くなるという。最後はジョッキの洗浄だ。しっかり洗う。そしてビールを注ぐ直前まで氷水の中に漬けておく。布で拭いたり、乾燥させるとどうしても埃がついてしまう。埃や汚れはきめ細かな泡の敵であるという。仕入れたビールはすぐには出しません。炭酸ガスを落ち着かせるため、丸一日タンクで休ませます。おいしいビールをお客様に提供するために、よいと思ったことは手間がかかることでも丁寧に取り組まれています。お客様の喜ぶ顔が見たいという仕事ぶりは、リピート客を引き付けて、商売の方も順風満帆です。
2023.12.10
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本を読む人はポストイットを使っている人が多いと思います。とても便利で大いに役に立っています。ポストイットはアメリカの3Ⅿという会社で作られました。接着剤という点では完全な失敗作だった。あるときスペンサー・シルバーという商品開発者が、強力な接着剤を作ろうとして、極めて弱い接着剤ができてしまった。それを同僚のアート・フライに「これは何かに使えないか」と言ったが、その時はよい考えが浮かばなかった。ある日アート・フライが教会で賛美歌を歌っていた時、歌詞の間に挟んでいた「しおり」がひらりと床に落ちた。それを拾い上げようとして、瞬間的にひらめいたのである。あの弱い接着剤を使ってすぐに落ちない「しおり」が作れないだろうか。このひらめきがきっかけで、今や世界中で利用されているポストイットが生まれました。このエピソードは失敗や欠点は、裏を返すと宝の山に変わる可能性があるということではなかろうか。それも犬も食わないような失敗や欠点のほうが大きな宝ものになる可能性がある。普通は失敗や欠点を毛嫌いしてしまいます。恥ずかしいものと考えます。そのために人目につかないように隠す、ごまかそうとします。人目につくと言い訳をする。責任転嫁する。ポストイットの接着剤の場合でいうと、忌まわしい失敗作として封印されてしまいます。二度と陽の目を見ることはなくなります。このエピソードの場合は、接着力が弱いということを逆手にとって活用方法を探したというところがポイントです。これは一つの事象には清濁両面が含まれているということを意味します。こういう考え方は、森田理論学習で両面観の考え方を身に着けた人でないとむずかしいと思います。両面観のものの見方を身に着けるために次のように提案いたします。神経症で苦しんでいるときは、心配性の神経質性格をマイナス評価しているのではないかと思います。森田理論で神経質性格の特徴を学習すると、どんな性格でもマイナス面とプラス面の両方を持っていることが分かります。神経質性格も類まれな優れた性格特徴を持っています。理解できたら自分場合はどこに焦点を当てて伸ばしていけばよいのかを考えてみましょう。心配性というのは細かいことによく気が付く高性能レーダーを標準装備しているようなものです。リスク管理力に優れている。感性が鋭い。分析力に優れている。リーダーシップのある人とタッグを組めば組織運営がうまくいく。責任感が強い、生産的、創造性に優れている。粘り強い。などいろいろと優れた面があります。それを仕事や生活に実際に活かしていくことが大切です。神経質性格を両面観で考えて応用することができるようになると、性格以外のことも両面観で見ることができるようになります。考え方に柔軟性が出てくるのです。
2023.12.09
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スポーツ×ヒューマンという番組で、大リーグのボストン・レッドソックスで活躍している吉田正尚選手を取り上げていた。吉田選手はプロ野球選手の中では小柄な方である。どうしてヒットだけではなく、ホームランも打てるのか気になるところである。森田理論を学習している私達にも参考になるところがありましたので取り上げてみました。1、吉田選手は先のWBCで13打点をあげた。これは新記録だそうです。ふつう初めて対戦する投手に対してアジャストすることは難しい。吉田選手は初めて対戦する場合でもよい成績をたたき出す。その秘訣は他の一流バッターよりも1mくらい長くポール見ることができるからだそうだ。長い間ボールを追いかけると、クオリティの高い情報が手に入ると言われています。時間にすればごくわずかですが、この差が打撃成績に大きく影響している。私達は森田理論学習で事実をよく観察するということを学んでいます。吉田選手に学び今よりももう少しだけ事実観察を徹底することを心がけたいと思います。その能力が身についてくると、事実本位の生活に近づいていきます。2、吉田選手はレッドソックスに移籍して、最初はヒットを量産していたが、そのうち相手チームから徹底的にマークされるようになった。内角球と低めゾーンが弱いと分析されて、途端に打率が1割台まで落ち込んだ。特に内角球のさばき方に問題があった。自分ではどこをどう修正すればよいのか分からなくなった。その時コーチから、今よりももう少し顔を投手のほうに向けることを提案された。そのために、正対しないと投手が見えない眼鏡を使用することになった。その結果、懐が深くなり、内角球が難なくさばけるようになった。自分一人では解決策が見つからないときは、素直に他人の助言に耳を傾けることが必要になる。森田は自助組織に入って助けたり、助けられたりの人間関係を築くことが大切になります。3、吉田選手はメンタル面ではハンマー投げの金メダリスト室伏広治氏の指導を受けている。室伏氏は、現状に満足すると次はないという。現役生活がすぐに終わってしまう。新たな課題や目標を設定して、挑戦し続けることが大切だという。吉田選手は今までファーストストライクは見逃すことが多かった。これを繰り返していると、簡単にワンストライクを相手に与えてします。最終的に難しい球で打ち取られてしまうことが多かった。この傾向を自覚してから、カウントを取りに来るファーストストライクを積極的に打ちにいくようになった。打撃成績がすぐによくなった。吉田選手は向上心と反骨心がなくなると、野球をやめる時だと言われている。これは私たちでいえば、生の欲望の発揮ということだと思います。特に規則正しい生活、凡事徹底の中で取り組むことが肝心です。
2023.12.08
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「本阿弥行状記」にこんな話がある。あるとき、本阿弥光徳が徳川家康から正宗の脇差を見せられた。徳川家康は自慢げに次のように言った。「この刀は代々、足利公方家の宝とされてきたもので、足利尊氏公の直筆の添え状まである。いかがなものか」光徳は家康を前にして、脇差を鑑定した。刀は確かに正宗だが、何度も焼き直しをしていて使い物にならない。光徳は正直に鑑定した結果を述べた。家康は腹を立てて以後光徳を召し抱えることはなかったという。光徳は家康の逆鱗に触れて、手打ちを覚悟の上鑑定したのである。それは刀の目利きに命をかけて精進し、生計を成り立たせてきた。それなのに、家康の威厳を恐れて、いい加減な目利きをしたとなると、自分の存在価値に傷がつくことを恐れたからである。今日はこの逸話をもとにして「正直」ということについて考えてみました。光徳は正直に鑑定結果を家康に報告した。自分の信念に従って正しいことを言ったので自己満足している。たとえそれで命を失うことがあっても構わない。家康だったから命だけは助かったが、織田信長だったらどうだろうか。多分生きながらえることはなかったと思われる。そして家族が路頭に迷うことは目に見えている。最悪本阿弥家は反逆者としての汚名を末代まで受けることになりかねない。赤穂藩主の浅野内匠頭は、江戸城松の廊下で自分を侮辱した吉良上野介に切りかかった。目的を果たすことなく、本人は即日切腹、御家断絶の処分を受けた。その結果多くの家臣を路頭に迷わすことになった。自分の気持に正直に行動した結果、取り返しのつかない結果を招いてしまったのである。怒りの感情を解放したので一時的にホッとしたが、周囲の人たちを道連れにして奈落の底に落ちたのである。自分の感情や気持ちに素直になるということは、よいことだというのが一般的な考え方のようですがはたしてそうでしょうか。森田先生は正直さよりは人情が優先されなければならないと言われています。会社で嫌いな人には挨拶もしない、無視するというやり方は問題です。また博打をしていた父親を警察に訴え出るような子どもは低能者か意志薄弱児だと言われています。父親が悪いことをしていても、子は親をかばうのが当然だ。高良先生は顔色の悪い人を見て、「あなたはガンかなにか重大な病気にかかっているに違いない」などと軽率なことをいってはならないと言われています。行動する時は正直さにとらわれて、それを前面に押し出してはいけないということだと思います。相手の気持ちを思いやると相手を傷つけるような発言は思い留まることができます。相手の気持ちや感情を逆なでするようなことを言うと、直ちに禍が自分に降りかかってきます。不平不満の感情などを相手にぶっつけると、その弊害ははかり知れない。森田では感情と行動はきちんと区別する必要があるといいます。相手が気分を悪くするようなことを平気で口にしてはいけない。正直に生きるというよりも、相手の気持ちを思いやることを優先する人は人間関係で躓くことは格段に少なります。せっかく森田で学んだことですから、ぜひとも応用したいものです。
2023.12.07
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森田でいう「かくあるべし」の弊害について、石原加受子氏が分かりやすく説明されています。「○○しなければならない」「○○すべきだ」「○○したほうがよい」これらはすべて「思考」です。しかもこれは、あなたが自分の感情を基準に決めたことではなく、自分の「借り物」を基準にしています。こんな借り物の思考を、あなたの意識のコンピューターに入力設定するとします。さらに「これをすると決めたら、最後までやり遂げなければならない」と入力設定します。けれども途中で、あなたは設定通りのことが実行できなくなりました。あなたというコンピューターは、どんな言葉をはじき出すでしょうか。恐らく、「私はダメだ。能力がない」「いくつも挑戦したが、いつも最後までできたためしがない」あるいは「根気がない。根性がない。忍耐力がない。継続性がない」などと、自分を責める言葉ばかりが自動的に口をついて出てくるでしょう。これほど不合理なことはありません。あなたの人生にこんな「思考」が入力設定されていれば、それだけで、あなたはもろもろのことに積極的に臨むのが怖くなるでしょう。なぜなら行動しようとするたびに、「もし失敗したら」という思考が、自動的に生まれてしまうからです。強調しておきたいのですが、「自動的な思考」で、怖れが生まれるのです。(傷つくのが怖くなくなる本 石原加受子 PHP文庫 33ページ)観念の世界に身を置いて現実否定をしていると、予期不安で一杯になり、そのうち手も足も出なくなるというのは多くの人が経験されているのではないでしょうか。森田理論では、思考の世界に立ち位置を固定して、事実の世界を自由自在にコントロールしようとする態度が、人間に葛藤や苦悩をおびき寄せていると説明されています。前頭葉があまりにも高度に発達した人間はその呪縛から逃れられないのでしょうか。森田では、思考を優先するのではなく、自分の感情、気持ち、意思、行動、欲求、欲望、希望などを大切に取り扱う必要があると説明されています。建前ではなく本音を明確にして、そこを出発点にすることが大事になります。
2023.12.06
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第二次世界大戦の時にアウシュヴィッツ収容所から生還した人の中にV・E・フランクルという精神医学者がいた。フランクルは人間が人間らしく生きるために必要なことが3つあると言っている。1、人間はクリエイティブに何かを創る、生産することで生きがいを持って生きられる。2、人間は他の動物と違い、何かを愛することによって生き生きとする。3、逆境に耐えることによって、より人間らしくなる。これを森田理論に沿って考えてみました。1、ほとんどの人は三度の料理を作っています。栄養のバランスを考えて家族が喜んでくれる料理を作ることは生活の基本となります。自分で食材を作る。食材を集める。料理方法を学習する。料理教室に通う。貯蔵や加工食品を作る。調味料を揃える。料理の道具をそろえる。きちんと収納する。後片付けをする。冷蔵庫や冷凍庫を整理する。料理を作ることは家でいえば基礎を作るようなものだと思います。基礎がきちんと作られていないと、いくら立派な建物を立てたとしても不安定です。2、子供の世話をする。親の介護をする。身体や精神を病んでいる人に寄り添う。自然災害のときのボランティア活動をする。生活の発見会の集談会で世話活動を行う。町内会の世話活動を行う。同窓会やOB会の幹事をする。ペットを飼う。花卉や盆栽を育てる。果樹や庭木を育てる。自家用野菜作りに精を出す。他人や物の世話をするものを持っことは、自分の精神の健康維持に大いに役だっています。3、自分の運命、境遇に対して反発ばかり繰り返しているとますます苦しくなります。過酷な状況を受け入れて、そこから自分のできることを見つけた人は、苦しみから解放され、生きる勇気が生まれてきます。神経症に陥った人は、そのおかげで森田理論に出会うことができました。学習を続けることで、人間としてどう生きていくべきかという答えを見つけることができました。神経症でやりきれない苦しみを味わったおかげで、今があると考えるのは如何でしょうか。そして感謝の気持ちを持って日々の生活を楽しむようにしたいものです。
2023.12.05
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森田では事実を大切に扱うことを目指しています。頭で考えたことよりも、現実、現状、事実を優先するという考え方です。事実を重視するとどんなメリットがあるのか。過去の投稿記事からご紹介します。ある鋳物製造工場で、非常に歩留まりの悪い製品があった。40%は不具合があった。手直しして30%は完成品にこぎつけた。あと10%は廃棄という状態だった。これでは採算に合わなかった。管理者や生産技術の人たちが改善に取り組んでいたが一向に成果が上がらなかった。そこへ親会社から一人の管理職がやってきた。この問題を知った管理職は次のような対策をとった。毎日の不良品の現物のすべてを、工場の中の最もみんなの目につきやすい場所に並べ立てる事であった。これによる職場の人へのショックは大きく、工場の中はたちまちにして蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。不良の現物の山を目のあたりにして、関係者全員がじっとしていられなくなったのである。その結果、長い間なんともならなかった不良品が、3、4ヶ月で10%にまで劇的に減少したのです。オペレーターを含めた全員が改善のために立ち上がったのである。しばらくすると返品率は1、2%にまで下がった。私達は頭で理解し、納得しない限り行動に移らないという特徴があります。失敗してもともと、うまくいかないのが当たり前。ミスや失敗を経験していない場合の成功は、本当の成功とは言えない。ミスや失敗を数多く経験して、それを積み重ねていけば、成功のための足場を固めることになる。ミスや失敗を積み重ねた上の成功は喜びも倍増します。
2023.12.04
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昨年全滅したニンジンは今年は豊作でした。但し丁寧に間引きをしなかったので小ぶりでした。ダイコンは半分しか芽が出ませんでした。原因がよく分かりません。白菜は鍋物で使うので、来年は10本ほど植えようと思います。現在は11月に植えつけたタマネギがほぼ根付いていました。来年5月の収穫が楽しみです。これは自動水やり装置のおかげかなと思っています。趣味と実益を兼ねてとてもよい一日となりました。
2023.12.03
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自己肯定感のある人は、自分で自分を認めることができます。雲の上に居座っている自分が、現実で四苦八苦している自分を否定するようなことはありません。自分にはそこそこの力があり、まわりの援助も期待できる。将来ピンチに陥ってもなんとか乗り越えていけるだろうという感覚を持っている人です。自己信頼感、自己有用感・効用感がある人です。これは親の影響を強く受けます。親が自分の後ろ盾になってくれた人は自己肯定感が育ちます。信頼感のある親のもとで、小さな成功体験を積み重ねた人は自己信頼感が育ちます。たとえ失敗をくり返しても、粘り強く挑戦して成功をつかみ取ることができます。前向きに努力する習慣が身に付きます。一方、自己肯定感が育っていかないと、生きていくことが苦しくなりますので、何とか解消しようとします。その方向は次の4つに分かれます。1、辛い気持ちをなんとか紛らわせようとする。その結果依存症に陥る傾向があります。依存症にはアルコール、薬物、ギャンブル、ネットゲーム、買い物、風俗などがあります。2、他人を支配する方向に向かう。いじめ、DV、ハラスメント、怒りの感情の爆発など。3、他人の批判を極度に恐れるようになります。自分のことを非難・否定する人から逃げ回るようになります。4、過度な称賛・評価を期待して、背伸びをするようになる。これらが行き過ぎると、自己破産、家庭崩壊、健康破壊、人間関係の破綻、社会からの孤立を招きます。自己肯定感が低い人は、生活を立て直すことが必要になります。規則正しい生活、凡事徹底の生活を取り戻すことです。その中から小さな問題点や課題を見つけてものそのものになって取り組む。小さな成功体験を積み重ねることで、ささやかな楽しみや感動を味わうことです。森田的生活を続けている人は、自己肯定感が出てきます。もう一つは世話活動をすることです。労力を提供して、人の為に役立つことを心がけることです。親の介護、子供の世話、集談会での世話活動。犬や猫、鳥や金魚などを飼って世話をする。草花を育てる。自家用野菜を作る。私は集談会の世話活動を30年以上続けてきました。これが自己肯定感を育てていくことにつながったように思います。
2023.12.03
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生活の発見誌2023年12月号にとても良い記事がありました。『「神経質の本態と療法」を読み返して』(70ページ)という記事です。神学者のラインホルド・ニーバーは、コントロールできるものとできないものについて次のような心構えが大切だと述べています。1、変えることの出来ないものについてはそれを受け入れるだけの冷静さを、2、変えることの出来るものについてはそれを変えるだけの勇気を、3、そして変えることの出来るものと変えられないものとを識別する智恵を持ちなさい。この記事を書かれた方は、人間が意のままにコントロールできないものは次のようなものがあると紹介されていました。a、大自然の自然現象・・・台風、土砂災害、地震、津波、雷、雨、雪、竜巻b、他人の思惑c、自分自身の才能d、種々の感情・・・喜び、悲しみ、憎しみ、妬み、恨み、不安などe、神経症の症状f、恋愛感情g、身体的な容姿、体型、老い、病気おっしゃる通りだと思います。この中でも「種々の感情」ですが、森田では感情は自然現象であって、人間の意志によってコントロールできるものではないと言われています。しかし行動は意志によってコントロールすることができると言われています。これを実践すれば神経症になることは防止できると思われます。神経症で苦しんでいる人は、この区別ができていないのだと思われます。コントロールできないにもかかわらず自在にコントロールしようとしている。不可能なことに挑戦して、自ら葛藤や苦悩を生み出している。ひとり相撲を取って勝った負けたと騒いでいるようなものです。行動することによって今の問題ある状態を改善・改良できるならば手を付けた方がよいと思います。将来明るい展望が期待できるものは、逃げてはいけない。積極的に行動するべきです。また人様が喜んでくれるもの、人の役に立つことは極力手を出した方がよいと思います。例えば地震に備えて耐震化工事をする。避難訓練をする。土砂災害に備えて堤防を作っておく。不慮の災害や事故や病気に備えて保険に入っておく。病気に備えて生活習慣病検診を受けておく。困った人がいれば、力になってあげる。自分の能力の範囲内で、最大限に努力をする。生老病死はあるがままに受け入れて、自然体で生きていく。神経症で苦しんでいる人の為に自分の体験を伝えていく。森田では神経症的な不安や恐怖は、その裏に欲望があるから生まれると言われています。不安や恐怖は変えることができないものですから、取り除こうと考えてはいけません。逃げることもダメですね。生の欲望の発揮のほうに全力投球すべきです。神経質者としては「凡事徹底」に取り組むことをお勧めいたします。
2023.12.02
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ある保険のセールスマンのお話です。彼の営業成績は中の下から抜け出せないような状態でした。その彼がトップセールスマンになりました。その原因はターゲットを開業医に絞って営業活動を始めたからです。開業医は何時ごろ起きて、どういう雑誌を読んで、どういう趣味を持って、所得はどれくらいで、どういう悩みを持っているのか、2年の歳月をかけて、徹底的に開業医のことを調べたのです。彼が焦点を当てたのは、開業医に特化した節税のための保険でした。開業医は忙しくて税金のことを考える時間がない。そのために税金を多く取られているという点に目をつけたのです。この点にスポットを当てて、節税に適した保険とフィナンシャルプランニングのサービスを行いました。彼はそうしたものをまとめたレポートまでつくってセールスのたびに置いていったので、開業医の間で「彼と会うだけでもメリットがあるし、保険に入れば年間300万円も節税できる」と大評判になったのです。(加速成功 道幸武久 サンマーク出版 123ページ)普通保険のセールスの分野でトップになりたいと思った場合、1日中セールスのことばかり考えています。またノルマを果たすために多くのお客さに会っています。数多くの人に営業をかければチャンスが拡大するからです。道幸氏はそれらは必要だと認めたうえで、それだけでは心もとないと言う。対象者を絞る。その人たちの動向の中から潜在的なニーズをつかむ。保険の売り込みを前面に出さないで、まず彼らの抱えている問題解決のための提案を行う。彼らのニーズと保険の接点について説明する。結果として保険に入ってもらえる。噂が広まり紹介営業でお客様が増える。自分の欲望を前面に出すのではなく、相手の役に立つことに特化していくと、結果としてセールスも上向いてくる。この話は森田療法で神経症を克服したい場合も応用することができます。高良武久先生は対人恐怖症の人にこんな話をされています。対人恐怖症を克服したければ、自分が興味のあるもの、得意なことを伸ばすように努力しなさい。それを愚直に10年くらい続けていると、その道では専門家になれます。専門家になると、自信と自己肯定感が生まれてきます。そうなれば対人恐怖症に振り回されることは少なくなります。対人恐怖症と格闘しているだけでは、叶わなかった夢が、いつの間にか実現してくる。私の場合は、老人ホームの慰問活動を長らく続けてきた結果、神経症のことを考える割合がどんどん少なっていったように思います。集談会では症状のことを考える割合が、90%、80%、70%・・・と減ってきて、50%くらいになってくればもう神経症の克服宣言をしてもよいのではないかと教えてもらいました。対人恐怖症で振り回されることが少なくなれば人生を楽しむことができます。またその経験を神経症で苦しんでいる人に伝える活動をすれば、それが生きがいになります。
2023.12.01
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