森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.12.18
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カテゴリ: 感情の法則
石原加受子氏は感じることと考えることは同時にできないと言われます。
意識が感情の方に向いているときは、あなたの思考は止まっています。
反対に思考しているときは、感情は止まっています。
どちらか一つしかできないのです。

よく考えてみるとその通りですが、それを普段意識していることはありません。
今日はこの関係を取り上げてみました。

思考するのは前頭前野です。これは人間だけが高度に発達しています。
動物が言葉を使って深く考え込むことはありません。

これからやろうとしていることに不安がある、今現在何らかの問題を抱えている、過去にミスや失敗をしてしまったことがある場合はミスや失敗を防止するために思考します。
前頭前野がフル回転して分析、検討しています。

感情は自然現象と言われています。
目の前の出来事に遭遇したとき、五感を通じて、苦楽、好き嫌い、快不快の感情が自然にわきあがってきます。これに直感を加えて六感という人もいます。
感情は自然現象ですから、思考のように取り扱うことはできません。

感情は一旦扁桃体に送られ、ふるいにかけられます。
苦、嫌い、不快と判定されたものは、ノルアドレナリンにより青斑核に伝えられます。青斑核は防衛系神経回路の司令塔です。

楽、好き、快と判定されたものは、ドパミンにより腹側被蓋野に送られます。
腹側被蓋野は報酬系神経回路の司令塔です。
どちらに送られるかでその後の展開が大きく違ってきます。

しかし、いずれにしても、感情は自然現象ですから、きちんと向き合い味わうことしかできないものです。
それなのに人間は前頭前野で是非善悪の価値判断をしてしまうのです。
前頭前野が自然現象である感情をコントロールし始めるととても厄介なことになります。好ましくない感情と戦いを始めるのですから勝ち目はありません。
人間の葛藤や苦悩はここから生まれるといっても過言ではありません。

森田では「純な心」を大切にしています。
最初に湧きあがってきた感情、素直な感情、本音、初一念のことです。
これは意識してキャッチしないとすぐに消え去ってしまうという特徴があります。
「純な心」が消え去った後に、すぐに前頭前野が出動してくるのです。
過去の経験を基にしてああでもないこうでもないと思考するようになるのです。
その時「純な心」は、忘却の彼方に飛び去ってしまっています。
つかまえようしても、もう時遅しという状態になります。

「純な心」をつかまえるには、まず「純な心」という感情が発生していることを意識する必要があります。
森田理論を学習している人はチャッチできる可能性が高くなります。

注意しておきたいことは、怒りなどのマイナス感情は、「純な心」とは言えないものである可能性が高い。ここは勘違いしやすいところです。
前段階として、自分の考えや行動が批判、否定されたという「悲しみ、失望」などの感情が隠れていることがあります。
この感情の存在に気付くと、買い言葉に売り言葉の対応は制御することができます。

例えば中学生の娘の帰宅時間が遅くなると親はとても心配します。
居てもたってもおられなくなります。
ところが返ってきた娘を見たとたん、怒りの感情へと転化してしまいます。
怒りの感情のままに行動すれば人間関係にヒビが入ります。
このとき最初に湧きあがった感情、つまり娘の身に何かあったのではないかという感情に気づくと「ああ、無事に帰ってきてくれてよかった」ということになります。親子の関係が険悪な関係に陥ることを防止してくれます。
雨降って地が固まるとはこのことです。

次にマイナス感情が湧き上がってきたとき、第三者的立場、客観的な立場に立って自分の感情を眺めてみることが有効です。
「あなたは今こんなことを感じている」というふうに、感情を外から眺められるようになると、感情と行動を切り離して扱うことができるようになります。

マインドフルネスの藤井英雄氏は、「マインドフルネスとは、「今、ここ」の感情に、リアルタイムかつ ​客観的​ にアプローチしていくことである」と言われています。これは訓練することで身に着けることができます。
これは森田理論が目指しているところだと思っています。

松山城です。道後温泉に正岡子規記念館があります。





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Last updated  2023.12.18 07:57:46
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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