森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.06.22
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改めて形外先生言行録を読み返してみた。
この本は森田先生の伝記を読んでいるような気持ちになる。
その内容は多くの人たちの森田先生との実際のやり取りから書かれている。
だから全体を読むと森田先生の人間像がありありと再現されるのである。

森田先生の外観は、蒼白で小柄で猫背で、田舎のどこでもいるおじいさんという感じだったようである。
喘息を患い、よく咳をされていた。健康には恵まれていなかった。
自宅を開放して神経症の回復のために全生涯をかけられた。
昭和4年からは毎月形外会という座談会も始められている。亡くなられる前年の昭和12年まで続いている。
この内容が森田正馬全集第5巻におさめられているのである。
森田先生の考え方は晩年に近づくに従って鋭さを増している。

森田一家にはプライバシィは全くなかった。常に患者と一体の共同生活をされていた。
また多額の寄付をよくされているのが印象的であった。
森田先生は気のついたことはなんでも口にされていたようだ。
人の気持ちを思いやるよりも、認識の誤りを早く自覚させてあげたいという気持ちの方が勝っていたように思う。
例えば熱海に行った時、原夫人が森田先生にご飯のおかわりをどうぞと勧められると、そんな親切心は自分の親切を押し売りしているようなものだと叱られている。
またよそに家に行って、そこの奥さんが水蜜桃の皮を包丁でむいていると、主人のいる前で、皮は手でむくものだと叱られている。
こんな調子で入院生にとっては叱られることは日常茶飯事であった。
恐ろしくて森田先生は近寄りがたいという人もたくさんおられた。
それに加えて森田先生の片腕として世話をしておられた、奥さんも大変厳しい人であったようだ。
それだけ人間教育の真剣さを感じるのである。

でも舘野という学生さんが試験勉強をしなければならないときに、庭で声楽の練習していた時は、「僕も試験勉強中に三味線を習っていたことがあります」
「何にでも手を出しなさい。僕の療法もあらゆる療法に手を出して、自然にできたものだ」と言われたそうです。
また森田先生は自分の洗腸の様子を弟子に見せて参考に供しようとされたり、自分の死体は慈恵医大に献体されたりしている。

便所のくみ取りも、ニワトリにやるくず野菜拾いも先生が自ら先頭に立たれている。
森田理論のポイントを外した言動は一切ないと言えるのである。

私はこの形外先生言行録は優れた森田療法の実践の指南書であると思う。
こういう本が絶版なっていることはとても残念なことである。

森田正馬先生の周りには多くの人たちが集まった。
もと入院患者、大学の先生、医者、慈恵医大の学生、その他学生、会社の経営者、軍人、会社員、農業、主婦まで幅が広かった。

だいたい神経症を克服した人が、その治してくれた医者を自分が亡くなるまで慕い続けるということが果たしてあるのだろうかと思う。
森田先生は医者というよりも求道者のような雰囲気がある。
それも一撤頑固な求道者である。
常に好奇心に導かれて横道に脱線することは日常茶飯事であったけれども、森田理論という人生観から外れたことは一度もない。
首尾一貫決して変わることはなかった。

私のまとめた森田理論の全体像も、森田先生の奇人変人と言われたていたエピソードで再度検証して補足して理論として強固なものに仕上げてゆかなければならないと考えています。
後世に残された私たちは、森田理論をさらに進化させなければ森田先生も浮かばれないのではないかと思うのである。
森田先生が今生きておられたら、どんなことを考え、どのように森田理論を進化させてゆかれただろうと考えることは楽しいものである。





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Last updated  2016.06.22 06:18:07
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