昨年のノーベル平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN=International Campaign to Abolish Nuclear Weapons)が受賞した。この団体は2007年に発足した国際NGOである。
101カ国から468団体、日本からはピースボートなどが参加する。
核兵器の開発や使用を禁止する「核兵器禁止条約」が国連の会議で採択されるよう、各国に働きかけたり、世論を盛り上げたりといった活動で貢献したのが授賞理由だ。
核兵器禁止条約は、今年7月、国連で122カ国が賛成して採択された。
50カ国が批准すれば発効する。締約国には核兵器の開発、実験、生産のほか、核兵器を使った威嚇などを幅広く禁止している。
しかし、現在核兵器は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国を中心として15000発程度ある。
それ以外新興国も簡単に核兵器を保有できる時代に入っている。
これらの五大大国の大使は授賞式に出席していない。アメリカの同盟国である日本は、世界で唯一の被爆国でありながら出席していない。
私はそれらの国は今後も引き続いてこの活動に積極的に参加することはないと思う。
これらの国が参加しない核兵器廃絶運動はとん挫するだろう。
これらの国は武力を前面に押し出して、金融戦争、経済戦争を勝ち抜いて、世界の覇者になろうとしている国ばかりだからである。
世界の富を自分たちの国で独り占めにしようとしている国々ばかりである。
その先兵等いうべき、フォーチュン 500 に入っている国際多国籍企業はほとんどこれらの5か国で占められている。
それらの国々が、核兵器の後ろ盾を持たずに、互角に生きるか死ぬかの経済戦争を戦おうとしても、無理なことだ。だから絶対に核兵器を手放すことはないと考える。
今神経をとがらせているのは、新興国が破れかぶれになって核兵器を開発し発射することを阻止することだけだ。それは大人が飲酒やたばこを吸っているのに、未成年だからといって子供たちに禁止しているようなものだ。
ICAN は、今から世界中で草の根運動を展開して、5大大国の政府を動かしていくのだという。その手法は、サーロ節子さんのような、被爆体験者の悲惨な実体験を訴えていくやり方である。尊い活動ではあると思うが、これではうまくいかないと思う。
私は戦法を変えて取り組む必要があると考えている。
その際私たちが学習している、森田理論の考え方が一つの答えを持っていると思う。
森田理論の基本的な考え方は、生の欲望はどこまでも追及したほうがよいという考え方だ。 豊かな生活を求めて経済的に豊かになるという欲望を追及してもよいのだ。お金儲けの好きな人は、お金儲けをしてもよい。これこそが生きる証のようなものだ。
しかし、それを野放しに際限なく追及してはならない。
野放しに欲望を追及していると欲望の暴走が起きる。
一旦暴走し始めると、途中で反省して中止しようと思っても、すでに時遅しという状況に直面する。現在社会がもうその域に突入しているかの様相である。
森田理論では欲望が起きると、必ず不安が起きるといっている。
その不安を活用して、欲望の暴走に制御機能を持たさなければならないといっているのだ。それが不安の持つ大きな役割なのだ。
車の操作でも、アクセルがないと車は前に進まない。
しかしアクセルを制御するブレーキがなかったり壊れていると事故を起こしたり、大惨事を引き起こす。ブレーキの役割は重要だ。
これを今の金融資本主義社会でいえば、際限なく物質的に豊かな生活を追い求め続けること、人を不幸に陥れてでも自分の儲けを追及し続けるようなあくなき欲望の追及が無制御に行われていることが問題なのだ。
それを5大大国が国益の追及と称して血眼になって先導しているのだ。
もし草の根運動から、核廃絶運動をしようとするのならば、先進国に暮らしている我々自身の生活の仕方、あるいは国際多国籍企業の際限のない利潤追求の社会のしくみなどを修正していく必要があると考える。
そういう森田的な考え方を持てるような人が、世界中に増えてきて、自分自身の生活スタイルを変えて、経済活動や政治活動に影響を与えようになることが一番求められている。
そうしないと人類は支配者と被支配者に二極分解して、どんどんと生きづらさを拡大していくかもしれない。
最後には、一部の人の欲望の暴走が大爆発を起こして人類の滅亡の時を迎えるかもしれない。
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