森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.02.27
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カテゴリ: 物の性を尽くす
水谷啓二先生は、時間は目に見えないが、その価値を大事にしなければならないと言われている。
水谷先生が駆け出しの新聞記者であった頃、先輩の老記者から「話は5分で片付けよ。重要な用件があって自宅を訪問したときでも30分以上長居をするな」と教えられたが、これは一般社会人にとっても大事な心がけである。
人々から迷惑がられているようでは何をやっても成功するはずはなく、社会人として落第である。
それから、森田先生は著作の読者などで、便箋に細字でぎっしりと10枚くらいも手紙を書き、 10円切手1枚封入して「大至急お返事をいただきたい」などと言ってくる人がある。
こういう人は、人の時間と労力を、何と思っているのであろうか。
ひどいのになると、 20円切手を貼るべきところを、 10円しか貼ってなく、こちらが不足分を払わされることがある。
こんなに非常識であるからこそ、神経質にもなるわけであって、他人の時間や労力を正しく評価できるようになれば、神経症も治るはずである。
(生活の発見誌 2018年2月号 13ページより引用)

時間は有限である。
自分のことならともかく、貴重な他人の時間を自分勝手に奪うようなことをしてはならない。
便箋に細字で10枚も自分の症状のことを長々と書いて、返信を催促するのは自己中心的である。
普通は相手のことを思いやって、控えめにするのが人情である。

森田理論に、 「物の性を尽くす」と言うのがある。
これは、自分、他人、物、お金、時間等をその持っている存在価値をとことんまで工夫して活かし尽くすということである。
森田理論を学習し、ものそのものになりきって行動・実践すれば実現できる。
時間について言えば、 1時間の時間を、2時間にも3時間にも有効に活かし工夫して使うようになれば、神経症は治る。
森田理論で、 「休息は仕事の中止ではなく仕事の転換にある」という言葉がある。
同じ仕事を続けていると、疲労が蓄積してくる。さらに飽きがくる。
それを解消するには、別の仕事に手をつけるとよいということだ。
そうすれば、新たな刺激が加わり、結果的に時間を何倍にも活かして有効に使うことができる。

会議や学習会などでは、普通の人は携帯電話の電源を切るか、マナーモードにしている。
ところが、時々携帯電話の着信音が鳴る人がいる。うっかり切り忘れているのなら仕方がない。
でもなかには、すぐに切るのではなくて、その場で会話を始める人がいる。
こういう人は会議や学習会の時間をどう考えているのだろうか。
自分のことを優先して考えているような気がする。

そのような考え方をする人は、 他方で「私の趣味はギャンブルです」などと公言される。
一度に使う資金は5万円にも及ぶことがあるという。もったいないという気は起こらないようだ。
時間の使い方に無頓着な人は、お金にも無頓着になるようだ。
森田先生は1000円のお金を、5000円にも10000円にも活かして使う工夫をしなければならないと言われている。
そういう人は自分、他人、身の回りの物などについても、その潜在能力を極限まで活かし尽くそうという考えは毛頭ないのではないか。
家で時間を持て余していると言われるので、家庭菜園でも始めたらどうですかというと、 「土いじりのような手が汚れるようなことはやるつもりはない」などと言われる。
森田理論の知識は豊富になっても、行動や実践が森田的になっていかないので、ますます神経症の泥沼に入っていくのではないかと思う。





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