森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.09.18
XML
カテゴリ: 認識の誤り
今日は、ネガティブな信念をポジティブな信念に置き換える方法について考えてみたい。

例えば、小さいときに、凶暴な犬が歯をむき出して吠えて自分を威嚇した。
そのうち自分に向かってとびかかってきて、身体のあちこちを噛み始めた。
自分を助けてくれる人が近くにいなかった。死ぬ思いを経験した。

こういう経験は一度でも体験すると、トラウマになる。
フラッシュバックが起きる。乖離現象が起きて、記憶が飛んでしまうかもしれない。

このような衝撃的な体験は、言葉と結びついて、脳内に強く記憶されてしまう。
そして次に犬を見たときに、その記憶をすぐに呼び出してしまうのだ。
つまり目の前いいる犬は、以前自分を襲った犬ではないが、その犬も以前の犬と同じように自分に危害を加えてくるに違いないと考えるようになるのだ。
これがネガティブな信念である。

客観的に観察すれば、犬には人を襲うような凶暴な犬も確かにいる。
しかし大半の犬は、人間に親しみを持ち、好意的に近づいてくる。
自分のつらさを分かち合ってくれる親友のような犬も多いのである。
あるいは介助犬、麻薬の検知犬、被災地で人命救助で役だっている犬もいる。

このようにネガティブな信念をポジティブな信念に転換できれば、これからの人生にとってよほど意義がある。どうすればポジティブな信念に転換できるか。
まず、公園などに行って、小さな子供たちが犬とじゃれ合っている様子を観察させる。
ペットショップに行って、生まれて間もない子犬を見せる。
あるいは飼い主にかいがいしく尽くしている盲導犬を観察してみる。
被災地で生きている人はいないかと懸命に捜索している犬を観察させる。
人間に替わって、羊の群れを決められた方向に誘導している犬を見せる。

この経験によって、犬の中には人間になついてくるかわいい犬もいるのだなと思うようになるだろう。
このような経験を数多く繰り返していくとどうなるだろう。

たしかに以前のトラウマは頑固に無意識の部分に心の心象現象としてこびりついている。
これは取り除くことは極めて困難だ。
別の方法を考えてみよう。その際参考になるのは信念の持つ特徴である。

信念はよく考えてみると、まず心にダメージを与えた衝撃的な体験がある。
この体験が言葉と結びついて、別の機会に自由に取り出せるものとして脳内に記憶されている。
それを呼び出して、その時々の対応を決めているのだ。

ここで大事なことは、ネガティブな信念にしろ、ポジティブな信念にしろ、信念には行動を促すエネルギーを持っているということだ。
エネルギーを持っているということが、ネガティブな信念を、ポジティブな信念に転換できる方法となるのである。

つまり、先に見てきたようなポジティブな体験を繰り返して積み重ねていく。
するとネガティブな信念の中にあるエネルギーは少しずつ勢力を失っていくのである。
反対に犬に対するポジティブな見方や考え方が少しずつついてくる。
ネガティブな信念の中に、ポジティブな見方や考え方が入ってくるということである。
最初のうちはネガティブなエネルギーの勢力が圧倒的であろう。
ところがそれを打ち砕くような行動を繰り返すことで、ネガティブな信念のエネルギーは次第にその勢力を失ってくるということなのだ。

考えてみてほしい。
その2つの持つエネルギーの勢力が同等になったとき、その人はいつまでもネガティブな信念に振り回されているだろうか。
多分そのネガティブな信念の中にある、行動を促すエネルギーは骨抜きにされているのではなかろうか。
勿論、無意識の部分には、べったりとネガティブな信念が残っているだろう。
でも、その信念は、ポジティブな信念によってエネルギーを吸い取られているために、実際の行動として表面化してこなくなるのである。
心の中の混乱ぶりが、実生活に多大な悪影響を与え続けるという事態を招くことがなくなったのである。
こういう状態はネガティブな信念に振り回されなくなったといえる。
ポジティブな信念に完全に転換されたというよりも、実際の生活が普通の人と同じようにできるようになったということである。
犬の例でいえば、警戒心一杯ではあるが、時には犬とじゃれ合う子供たちの輪の中にいることができるようになったということである。

ここで大事なことは、ポジティブな見方や考え方を身につけるためには、そのための実践や行動が極めて大切あるということだ。それが習慣になるまで続ける。
そのために、自分で努力することが欠かせない。
また周りの人も温かくサポートする必要がある。

そうは言っても、新しいことに取り組むことは大変が壁が立ちはだかっている。
ましてや習慣化するまで継続できることはもっと難しい。
それは人間に備わっているホメオスタシス(恒常性維持機能)がチャチャを入れて実行を困難にしてしまうからである。しかし人間には生の欲望の発揮という機能も同時に兼ね備えている。
生の欲望の力がホメオスタシスに打ち勝っていったときに、ネガティブな信念はポジティブな見方や考え方、実践、行動へと切り替わっていくのである。
ネガティブでつらい人生を余儀なくされている方は、その信念を変えていけば楽な生き方ができるようになることを忘れないでもらいたい。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2019.09.18 06:30:07
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: