森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.11.04
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カテゴリ: 神経質の性格特徴
ビール業界ではキリンビールが一人勝ちという時代が続いていました。
1970年代に入るとシェアーが60%を超えて、独占禁止法に抵触するため、売りすぎないようにという通達が出るような状況だったとのことです。
ところが1987年アサヒが「スーパードライ」を発売してから、キリンの独壇場だったビール業界に大きな変化が起きました。
スーパードライは、発酵度を非常に高めた製品で、鮮度やコクとキレを前面に押し出して、爆発的なヒットとなりました。
そのため1997年のキリンの国内シェア63.8%でしたが、1995年には50%以下にまで落ち込みました。そして2001年には40パーセントを割り込みました。
そしてついにアサヒビールに首位の座を明け渡すことになりました。

これに対してキリンビールは危機感を持って消費者の意識調査を実施しました。
すると若者を中心として、キリンのラガービールは「苦い」「古い」というイメージが強いことが分かりました。従来のラガービールの特徴は、喉にガツンとくるコクと苦みが持ち味で多くのファンを掴んでいたのです。しかしこのままでは、スーパードライに対抗できないと経営者は結論づけました。
特に若者のラガービール離れが加速すると判断したのです。
そして安易に、苦みを抑えて若者好みの飲みやすいビールに変更したのです。

その結果どうなったか。
若者はスーパードライからラガービールに変えてはくれませんでした。
逆に昔からのラガービールファンのキリンビール離れに火がついたのです。
営業マンが訪問する先々で、「どうしてラガーの味を勝手に変えたんだ」といわれるのです。
仕事が終わり、よく冷えてコクがあり、苦みのあるビールを飲むことを楽しみにしていたお客様の信頼を裏切ることになったのです。
市場調査を基にして、弱点である若者層を取り込もうとして、大切な昔からのラガーファンを失っていったのです。一旦失ったお客さんは、アサヒのスーパードライに鞍替えしてしまいました。

キリンビールは戦略の立て方を間違えてしまい、アサヒの怒涛の快進撃を、指をくわえて呆然と眺めることしかできなくなりました。これが売れすぎて、売上制限をしていた会社の変貌のすべてです。
(キリンビール高知支店の奇跡 田村潤 講談社新書 参照)

この事実から私たちは何か学ぶことはないのでしょうか。
私たちは小さなことが気になる神経質性格を持っています。
この性格は、ちょっとしたことで不安や恐怖に襲われて、動揺して振り回されてしまいます。
そして、外向的で発揚性気質のような性格に生まれ変わりたいと考えるようになります。
元々神経質性格には、感受性が強い、まじめで努力家、分析力が優れているなどの長所があるのですが、それらはあって当たり前という気持ちが強いのではないでしょうか。
それらを放り投げてないものねだりをしていることはありませんでしょうか。
神経質性格の特徴で学んだように、性格にはプラスとマイナスの両面があります。
マイナス面にはある程度目をつむって、プラス面をさらに鍛えて、伸ばしていくことが肝心なのではないでしょうか。この社会は神経質者がいなくなると、暴走社会で厄介になると聞いたことがあります。
会社でもいけいけどんどんの人ばかりだといずれ破綻してしまいます。
私たちは自分に元々備わっている性格をはぐくみ育てていくという気持ちを忘れてはなりません。





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Last updated  2019.11.04 13:08:20
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