森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.03.02
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私は経営コンサルタントの仕事は、その会社の問題点を見つけ出して、経営改善の提案をすることかと思っていました。

堀紘一さんはその考え方は間違っているといわれています。
コンサルティングという仕事は、企業や経営者に向かって「答えはこうしなさい」と教えることではないそうです。

「経営者により深く考えてもらう」のが仕事なのです。

たとえコンサルタントが戦略を練り、計画をつくってそれを実行しろと企業に強制しても、相手にとってそれは所詮、無責任な他人の計画にしかすぎず、実行するにしても熱が入らない。
やはり自分で頭を絞り、考え出したものでなければならないのだ。

ただ、自分一人で考えているだけでは思考が堂々めぐりになってしまうことが多い。
自分の専門分野のことは、独りよがりの思い込みが強く、考えが一定の枠の中で凝り固まってしまっていて、なかなか新しい発想が出てこないものだ。視野が狭くなっている。
そこにまったく別の視点や発想から異質の価値観を提供して、依頼主の頭脳を刺激し、何が問題なのかをあらためて考えてもらうのがコンサルタントの仕事なのです。

この考え方は森田理論学習のすすめ方にも通じると思います。
森田理論に詳しい人が、森田理論の「いろは」を知らない人に、最初から手取り足取り教えこむという方法は、必ずしもうまくいかないということです。

集談会に初めてやってきた人に、森田理論の詳しい人が、森田理論の原理原則を説明することは、説明する方からすれば優越感を味わうことができます。
聞いている方は、いきなり正解を教えてもらっても、その時は感心して聞いていても、ほとんど身につかないということだと思います。
いきなり、正解を説明することは、相手が自ら成長する貴重な機会を奪い取っているということかも知れません。正解は相手が時間をかけて到達すべきものなのです。
相手が行き詰った時に手を差し伸べるくらいがちょうどよいのです。

そうかといって理論を無視してよいということではありません。
相手に対して、いきなりそういう方法をとることは百害あって一利なしと心得ることです。
今困っていることや悩みを親身になって聞いてあげる方がよほどその人の為になる。

そもそも集談会にやってくる人は、神経症の克服のために様子見にやってくる人が多い。
森田療法が果たして神経症克服に役に立つものなのか見極めるために来ているのです。
そいう人に、神経症を治すには森田療法が一番よいですなどと言う対応は問題です。
これしかないという態度でいきなり森田理論の説明をしても相手は警戒するばかりです。
相手が知りたいことは、あくまでも森田理論学習が自分に合っているのかどうかだと思います。

神経症の克服のためには、さまざまな精神療法、カウンセリング、薬物療法も含めて様々な選択肢が用意されています。最初はそこらあたりの説明を大まかにおこなうことだと思います。
あとの選択は相手に任せるしかありません。ここで10人のうち8人くらいは適応外になってしまいますがそれは仕方がありません。去る者は追わずでいくしかありません。

つぎに、そういう前提に立ったうえで、「相手が全く考えもしなかった別の視点から、解決のヒントを提供し、相談者の頭脳を刺激する」ためにはどう対応すればよいのでしょうか。

森田理論の集団学習のメリットを伝えることが肝心です。
集談会に参加することのメリットを説明するのです。
私の35年間の経験からして、集談会に参加することのメリットは計り知れない。

神経症で悩んでいる仲間がいる。心の安全基地を作れる。自分の味方ができる。
神経症を克服した人を目の当たりにすることができる。
また人間として目標とすべき人が身近に存在している。
神経症を克服した仲間に相談にのってもらい、アドバイスを得ることができる。
生活の刺激を得ることもできる。それにより自分の生活が変化してくる。
神経症克服のためのヒントを得ることができる。
機関誌を読んで、みんなで話し合い、森田理論を学習して自覚を深めることができる。
膨大な森田先生の著作の中から、森田の核となる考え方を容易に学習することができる。
相互学習の中で、自分の信じていたことがすべてではなかったことに気づくことが可能になる。
視野や見方が広くなる。そのための出費は比較的少なくてすむ。
集談会は薬物療法、他の精神療法、カウンセリングの治療が終わった後の受け皿として重要な役割を果たしている。受け皿の役割を安定的に果たしているNPOは他に見当たらない。
最終的には、神経症の克服だけではなく、神経質性格者としての人生観をつかむことも可能になる。これが自分の人生を豊かにしている。
これらの情報をきちんと伝えれば、私なら自助組織に参加して、ぜひとも森田理論学習を始めてみたいと思うようになると思う。





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Last updated  2021.03.02 06:20:06
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