森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.04.07
XML
「神経症は治す方法はないが、治る方法がある」

現在、神経症で格闘している人は、何とも意味不明の、もどかしい言葉かもしれません。
大体、神経症は治そうとしなければ、生活が行き詰ったままで時間ばかりが過ぎていく。
生きづらさは一生ついて回る。そうなりますと、将来暗澹たる気持ちになります。
生きる意欲がなくなり、無気力になってしまうかもしれません。

薬物療法は、不安を軽減させてくれるじゃありませんか。
認知行動療法は、神経症から逃げないように訓練して、生活が好回転を始めるじゃありませんか。カウンセリングは、まちがった考え方や思い込みを正してくれるじゃありませんか。
それなのに、森田療法は神経症の治癒には役立たないというのですか。
そんな気持ちになるかもしれません。どの意見も一理あります。

森田先生は、神経質は器質的な病気ではありません。
ですから、治癒する必要はありませんと言われています。
つまり治す方法はないと言われているのです。
神経症は、治しようがないという代物なのです。

神経症は、頭に浮かんできた不安、恐怖、違和感、不快感に対して、なんとか取り除きたいと思ったときから始まります。できる限りの手を尽くして真面目に努力してきた人がかかります。
神経症の方からしてみると、まんまと引っかかってきたと喜んでいるかもしれません。
治す努力をすればするほど、神経症は悪化するという代物だったのです。

裏を返すと、神経症は不安、恐怖、違和感、不快感に対して無頓着な人には縁がありません。
発揚性気質でそんなものを無視して、笑い飛ばせるような人には無縁です。
ただそういう人は、ザルで水を掬うようなもので、小さなミスや失敗で思わぬ不覚を取ることが発生します。石橋を叩いて渡るような気持がないのですから、別の意味で心配な人です。

神経症は治すことはできないと覚悟した人は、治すための第一歩をすでに踏み出しているということになります。何とも酷な言い方ですが、それが真実なのです。

でも覚悟するというハードルや壁を乗り越えることは非常に難しいのです。
普通は大きな壁を目の前にして、右往左往してしまうのです。

覚悟を固めるためには時間がかかります。
森田理論学習によって、神経症のからくりを理解する必要があります。
しかし一旦覚悟を固めると、後の展開はものすごく早くなります。

森田理論学習では、不安、恐怖、違和感、不快感は取り除こうとしない。
怖れをなして逃げ回ってはいけない。
それらを持ちこたえたまま、目の前のなすべき課題に取り組みなさいと言います。
それができるようになれば神経症は治ります。
こうした態度が習慣化されれば、鬼に金棒です。
実際、神経症を克服した人は、この関所を何とか通過しているのです。
これができる人は、その方向で頑張ってください。

森田先生の入院森田療法では、無理やりその方向に追い込んでいたのです。
指導者からの強制力が働かないと、動き出すことが難しいということかも知れません。

よいことは分かっているのだが、どうしても行動ができないという人によい提案があります。
今現在、あなたにとって興味や関心があることはありませんか。
なんでもよいのです。

たとえば、コンサートに行く。楽器を始める。自家用菜園を始める。
菊作りを始める。盆栽を始める。園芸を始める。お菓子つくりを始める。ペットを飼う。
公民館の料理教室に通う。新作料理に取り組む。加工食品作りを始める。カラオケを始める。
一人一芸を始める。釣りを始める。麻雀を覚える。発見誌の切り抜きをしてみる。
森田全集第5巻を読む。工場見学をする。ハイキングを始める。
水泳を始める。運動を始める。パソコン教室に行く。

一言注意したいのは、自ら積極的に行動するものを選ぶことです。
受け身になって他人から刺激を与えてもらうようなものでは、たいした効果が期待できません。
たとえばテレビを見ることが好きなので、一日中テレビを楽しむといったようなことです。
ここでお勧めしているのは、自分は何もしないで刺激や快楽を期待することではありません。

できれば、やりたいことのリスト作りに取り組みましょう。
これを少なくとも20個から30個程度見つけて下さい。
つぎにそれらの情報集めに力を入れる。
チャンスがあれば、すぐに手を出してみる。
すると新しい経験ができるとともに、同好の仲間ができます。

日常茶飯事や凡事徹底という方面には及び腰の人も、自分の好きなことには取り組みやすいのではないでしょうか。
私は森田先生の「鶯の綱渡り」という宴会芸の話を聞いて、一人一芸に取り組みました。
神経症は苦しかったですが、その練習をしている時は、一時的に神経症のことは忘れていました。それらが、積もり積もって神経症の解放につながっていったのです。
次から次へと興味や関心のあることに、手を付けていると、弾みがついてきます。
それが、最終的には 「治す方法はないが、治る方法がある」 ということにつながるのです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.04.07 06:20:05
コメント(0) | コメントを書く
[治るとはどうゆうことか] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: