森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.05.11
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カテゴリ: 身近な社会問題
5月号の生活の発見誌によると、毎年全国で、約5000人の学校の先生が精神疾患で休職されているという。集談会にも現役の先生や先生の経験者の方の参加があります。
生徒や保護者とのトラブル、学級崩壊、教育委員会の軋轢などの話が出ます。
職場の人間関係や校長や教頭との軋轢に苦しんでいる人もいる。
5月号では、これらの問題への対応策が明確に示されているので困っている人は読んでほしい。

ここでは視点を変えて、森田先生の言葉を紹介してみたい。
教育の弊は、人をして実際を離れて徒らに空論家たらしむるにあり

この言葉は教育とは何かという問題に対して、森田先生なりの方向性を打ち出されています。
森田先生は、学校教育はあまりにも観念的で、実際的でないというのが問題であるといわれています。事実軽視に陥っていると警告されています。
先人の知恵を伝承していくこと自体はとても大切なことです。
ただ現実的というよりは、観念的、理想的、理論的な教育が中心になっているのは如何なものかと問題提起されているのだと思います。

さて、先生という職業は、教えることが先行して、上から下目線での対応になりやすいという特徴があります。自分では意識していなくても、人を教育しようとすると、どうしても上下の人間関係に陥りやすい。対等な人間関係が成り立ちにくいということです。
森田理論でいう「かくあるべし」が前面に出でしまうということです。

それが昂じると、驕りや慢心が芽生えてくることになります。
そして、生徒と先生が対立関係に陥りやすいということです。
現在は生徒と保護者が一体となって先生に対峙しているので、先生も辛いのだと思う。
それでなくても先生はまじめにコツコツ勉強してきた人が多く、対人関係のコツを会得している人は少ない。リーターシップを発揮して、組織をまとめ上げるという経験をしていない人が多い。むしろその方面は苦手な人が多いのではないか。
精神疾患を抱えて休職者が多いというのも理解できます。

私は学校教育で特に問題なのは、学期末に行われる期末テストにあると思う。
さらに進学するための入学試験である。
本来のテストの目的は、先生が教えたことが、生徒によく理解されていたかどうかを見極めるために行うものではないのかと思うのです。その結果に基づいて、生徒の理解が不十分なら、再度同じところを繰り返す必要があります。その参考のため理解度テストをするのは分かる。

ところが今やテストの本来の目的を忘れて、本末転倒になっている。
生徒の記憶力や能力の選別や差別化に利用されている。
生徒の記憶力や理解度の違いに対して 評価を下すことを目的にしている のである。
勉強のできる人とできない人の序列をつける。中には成績順を公開する。
高評価して持ち上げる人と見捨てる人の選別を行っているのです。
高評価されれば自尊心が刺激されて気持ちがよいでしょう。
でもその結果、見捨てられた生徒はやり切れませんね。
どこかにストレスのはけ口を求めて暴走することになります。
そうしないと生きているという実感が持てなくなるからです。

さらに、下手をすると、成績に基づいて生徒の人格判定までしてしまう。
何もやってもダメな人間として人格否定をしてしまうのです。
さらに保護者の家庭教育の評価にまで結びつけてしまう。
こうなりますと、保護者と先生は敵対するようになると思います。
免疫力のない先生が、その対立のはざまで精神的に追い詰められてしまうのかもしれません。
これは、先生にその気がなくても、教育制度そのものが内包している問題であると思う。

本来の教育は、一人一人の人間の個性や能力を見極めて、それを引き出し、さらに大きく成長させることにあると思います。そのためには先生が生徒をよく観察することが肝心です。
つまり観念優先の態度を改めて、生徒の目線に立った教育を目指す必要があります。
そういう視点に立つと、生徒と先生の人間関係がよくなると思います。
また個々の生徒の自立に向けて先生の果たすべき役割が明確になるのではないでしょうか。
今の教育制度で身動きできない中では、難しい課題かもしれませんが、自分のストレスをなくして、先生という職業を全うするためには大切な視点だと思います。





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Last updated  2024.04.07 20:40:09
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