森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.09.15
XML
森田療法は神経症をどうとらえ、どこへ導こうとしているのだろうか。
精神疾患の一つとしてとらえ、不安を根絶しようとしているわけではない。
ここが薬物療法や精神分析、一般的な認知行動療法等の精神療法と大きく異なるところである。
不安を憎き相手とみなしているのではなく、手を携えて協力し合う仲間として大切にしているのが森田理論なのです。ここが森田理論の最も優れたところです。

早速、神経症の成り立ちを見てみよう。
不安は誰にでも発生するものであるが、神経質性格者は感受性が強いので、小さな不安でも見逃さない。そしてキャッチした不安に対して、敏感に反応する。
引っ付かず離れずで適当にあしらっておけばよいものまで、真面目にかかわりを持ってしまう。
そして不安を持ったままでは苦しいだろうから、なんとかして取り除いて楽にしてあげようと考える。かかわりを持ちすぎていつの間にか、引くに引けない状況に追い込まれてしまう。
神経症が固着すると、その不安に振り回されて、普段の生活や仕事に悪影響が出てしまう。
神経症は100人いれば100通りの症状があるが、同じからくりから生み出されている。
脳の働きに異常があって、発生する器質的な精神疾患ではない。
自分が気になる一つの不安を、精神交互作用によってどんどん増悪させた結果なのである。
しかし時として、神経症は器質的な精神疾患の患者よりも、より深刻な病気を持っているように見えてしまう。一つの不安にとらわれすぎるというのは、実に悲惨な結果を招いてしまう。

森田療法は一つのことにとらわれて、生活を破壊され、治っても生きづらさを抱えて苦悩している人に対して、どのように手を差しのべようとしているのだろうか。
人間が適度に不安にとらわれるのは当たり前のことである。
だから大いにいろんなことにとらわれたらよいのである。
しかし、神経症に陥った人は、一つの不安に絞って深入りし過ぎているとみているのです。
深入りし過ぎて、車のスピードメーターが振り切れたような状態になっている。
車でも100キロも120キロも出したら緊張を強いられ、もしものことが頭をよぎります。
これはいくら何でもやり過ぎというものです。
一瞬のハンドル操作の間違いで一巻の終わりです。それでは後悔しますよ。
車でいえば、50キロから60キロぐらいのスビートに落とせば、精神的にリラックスできて、ドライブを楽しむことができるじゃありませんか。
一つの不安にあまりにも肩入れするのではなく、もう少し力を抜いたらどうですか。

その時の脳の容量を100とすると、一つのことにとらわれているときは、症状のことで80%から90%を占めているのではありませんか。ほかのことを考えるゆとりはありません。
その比率が70%、60%に下がった時のことを想像してみてください。
だいぶ他のことを考えるゆとりが生まれました。
さらに、50%、40%、30%、20%に下がった時のことも考えてみましょう。
症状のことは、時たま思い出すくらいで、大半は、仕事や日常茶飯事や子育てや趣味など様々なことを考えているのではありませんか。

10%にまで低下した人は、神経症とは無縁な人です。
普通の人と比べても、より生産的、建設的、創造的な魅力ある人間として、人生を楽しんでおられるはずです。森田理論で症状が治るとは、こういうイメージなのです。
様々な同じ程度の不安が現れては消えているといった感じになります。
森田理論は、突出した不安の取り扱いを、他の不安と同じ程度の比重に下げようとしているだけなのです。神経症に陥る人は、不安の取り扱い方を間違えているということです。

一つ注意したいことがあります。
それは、神経症のもとになった、不安を根絶しようなどとは、夢にも思わないことです。
「不安と欲望」の単元を学習すればよく分かりますが、不安は戦うべき相手ではなく、あなたの味方であり、協力者なのです。不安とは仲良く付き合わないといけません。
その時、あまりベタベタと付き合うのではなく、森田理論の「不即不離」を応用して付き合えばよいということです。
不安を抱えたまま、ある程度のストレスを感じなから生きていくことに意義があるのです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.09.15 07:18:21
コメント(0) | コメントを書く
[治るとはどうゆうことか] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: