森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.12.21
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カテゴリ: 神経質の性格特徴
みなさんフィットネスクラブにはどんなイメージがありますか。
立地条件が良いところにある。たとえば駅に近い。中心街にある。
歩行マシーンや筋力アップの器具がたくさん並んでいる。
歩行マシーンの上には何台もテレビが設置してある。
広いプールがある。シャワー室や広い風呂がある。
私物を置いておくためのロッカーがある。
男女のインストラクターが何人もいる。
最初のうちはつきっきりで懇切丁寧に指導してくれる。
私が大阪に単身赴任の時、通っていたフィットネスクラブもそうでした。
その会社はみんなが知っている大きな会社が経営していました。
会社が契約しているので比較的安価に利用できた。

多くの人がこのようなイメージ持っている時、もしこの事業に新規に参入したい人はどう考えるでしょうか。
相手は、この業界では大手企業なので新規の参入は難しい。
初期投資がかかり過ぎだ。家賃や人件費も高くつく。
資金も不十分だ。銀行の信用がないので融資も受けられない。
ないない尽くしの状況で、新規参入すると、かえって返り討ちに合うはずだ。
あきらめるしかないか。
そして指をくわえてみるだけになるのではないでしょうか。

こんな状況の中で、あえて参入して大成功を収めた会社がある。
カーブスという会社だ。
2005年に事業を開始して、いまでは全国に2000店舗ある。
急拡大している。まだまだ成長途上にある。

この会社は今あげた弱みや短所を逆に強みや長所として成功した。
この会社のクラブには、マシーンはない。プールもない。シャワーもない。
クラブは駅前にはない。住宅街や商店街にある。だから家賃も安い。
特徴としては、女性専用のクラブである。スタッフも全員女性だ。
時間的には30分だけの健康クラブである。予約は不要です。
だから買い物途中でちょっと立ち寄って、指示に従って運動をする。
腰、お腹、たるみ、体重、ひざ、体力、血圧の改善を目的としている。
月単位の申し込みになる。決して安価ではない。入会金も必要になる。
それなのに、大盛況なのである。

私の住んでいるところから5分のところにスーパーがある。
その2階にそのクラブがある。
近所のおばさんたちに口コミで広がったのだという。
今や女性のニーズを完全につかんでしまった。
どうしてそんな芸当ができたのか。

今まで年配の女性が一人で駅前にあるフィットネスクラブに通うには敷居が高かった。通うにしても気合を入れて、アスリートのような気持で取り組む必要があった。交通費もかかる。時間も下手をすると半日潰れてしまう。
毎週通っていると家族や近所の人に目をつけられてしまう。
満を持して通っても周囲は男性ばかりで、好奇な目で見られることがある。
風呂やシャワーやプールがあっても、その後の化粧に時間がかかる。
結果的に、運動によって腰、お腹、たるみ、体重、ひざ、体力、血圧の改善を図りたいというニーズに応えてくれるサービスは存在しなかったのである。

このフィットネスクラブの成功は、欠点や弱点を抱えて、劣等感で苦しんでいる人たちに勇気を与える。
ないない尽くしの欠点や弱点は、時として自分の長所や強みになることがあるのだ。欠点や弱点と長所や強みは、コインの裏腹の関係にあることが分かる。
最悪なのは、自分の欠点や弱点にとらわれて、それを忌み嫌い、なんとか人並みに修正しようとする事である。
それでは益々みじめな気持ちになります。自己否定するようになります。
ここで肝心なことは、欠点や弱点を否定して取り繕うことではありません。
その現実を素直に認めて受け入れるようにすることが大切です。
そして、この事例に学んで、欠点や弱点の裏には、長所や強みが隠れているのではないかと考えることです。
この世に存在する物は、プラス面があれば、必ずマイナス面もあって、バランスを求めて動いています。森田でいう事実本位の立場に立つことができれば、明るい見通しが立つかもしれないということです。

駅前の大手のフィットネスクラブは、このやり方を真似て新規事業を立ち上げようとしても、すでにこの会社が全国展開して事業モデルを確立している。
さらにこの会社はどんどん成長を続けているので追いつくことは容易ではない。
また、撤退してこの分野に新規参入しようとしても、既存の施設やマシーンが無駄になる。従業員の雇用の問題もある。
それらが足かせとなって参入を困難にさせている。
つまり今までの強みは、容易には解消できない弱みに変化していたのである。
反対にこの会社は、ないない尽くしが、身軽でフットワークがよいという長所になって輝いてきたのである。
短絡的に欠点や弱点を非難・否定しないほうがよいということがよく分かる。





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Last updated  2021.12.21 21:33:23
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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