森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.11.09
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カテゴリ: 感情の法則
感情の法則の4は、不快な感情に注意を集中すると、不快な感情はどんどんエスカレートするというものです。

神経症というのは、人それぞれですが、ある特定の不安、恐怖、違和感、不快感などにとらわれて、精神交互作用(注意と感覚の悪循環)で蟻地獄に落ちてしまうようなものです。
ここでの問題は、不安の対象を一つに絞っていることです。

逆にいえば、不安の種をたくさん抱えていると、神経症には落ち込まないかもしれません。日々の生活を次々とこなしていると、多くの心配ごとや気になることが発生します。
一旦は目の前の不安にとらわれてもよいのですが、いつまでも一つの不安にとらわれ続けることが問題になります。

この問題を考える前提として、不安の内容を2つに分けることをお勧めします。
不安には現実的な不安と神経症的な不安があります。

現実的な不安は、解消に向けて行動すると不安は霧散霧消します。
神経症的な不安とは対応方法が全く異なります。
例えば、地震、交通事故、不慮の事故、生活習慣病などがあります。
これらの不安があれば、事前に対策を立てて行動することです。
もしもの時の被害を軽減できます。もしくは避けることができます。
現実的な不安は取り除くために素早く行動することが不可欠となります。

神経症的な不安は、不安を取り除こうとすると、不安は益々大きくなるものです。現実的な不安とは対応方法が違ってきます。
感情の法則4で指摘しているのは、こちらの不安のことです。

神経症的な不安は、欲望があるためにその反動として生まれてくるものです。
ですから不安を抱えながら、欲望に重点を置いて行動することが大切になるのです。不安は欲望が暴走しないように抑止力、制御力として活用することが理にかなっています。
つまり欲望と不安のバランスを維持することが肝心ということになります。

神経症的な不安が強いということは、強い欲望を持っているということになります。神経症的な不安が多いということは、欲望の数も多いということになります。
強い欲望は人によって違います。食べ物の好き嫌いがあるようなものです。

たとえば、
・他人から称賛されるような人間になりたい。
・病気にならないで、長寿を全うしたい。
・安心安全な衣食住が確保された生活を送りたい。
・温かい家庭を築きたい。
・リスクを避けて安全第一で生活したい。
・恵まれた人間関係を築きたい。
・その他

対人恐怖症の人は、他人が自分をどう取り扱ったか、どう取り扱おうとしているかに注意や意識を集中しています。
神経症的な不安はあまたありますが、対人的な不安にフォーカスしています。
そしてその不安を取り除きたいと格闘しています。
あるいはそのイヤな場面から逃げ回っています。
そのとき目の前の日常茶飯事や仕事が手抜きになっています。
つまり生の欲望の発揮が蚊帳の外になっています。これが問題です。

この問題を解決する方法は、不安と欲望を区別することです。
そして不安には手を付けないで、欲望の方に手をつけるのです。
この方法をとることで万事うまくいくのです。

まず人に評価されたいという強い欲望を持っているということを自覚することです。その欲望を達成するためにどんなことに取り組んでいけばよいのか、発想の転換を図ることです。
次に欲望の達成に向かって、小さいことからコツコツ努力精進して成果を出すことです。小さな成功体験を積み重ねていくことです。
そのような心構えで生活していると、しだいに 不安と欲望のバランスが回復してくる のです。
バランスがとれてくると神経症的な不安には振り回されことがなくなります。
目指すべきは不安と欲望の調和です。
森田理論はバランスや調和を目指している理論なのです。





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Last updated  2022.11.09 06:20:07
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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