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2024年1月刊ベリーズ文庫著者:友野紅子さん聖女・アンジェリーナは、国のために尽くしていたつもりが、知らぬ間にその能力を戦争に使われていた。“罪悪の聖女”として敵国王族の生き残り・ディルハイドに殺されると、前世の記憶を持ったまま生まれ変わってーー!? 伯爵家の使用人として虐げられる第二の人生を送っていたら、新皇帝になったディルハイドとまさかの再会&前世が即バレ! 恨まれているはずなのに、なぜか過保護に溺愛されまくりで…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ルーシー=「絶対防御」の力を持つ聖女・アンジェリーナの生まれ変わりで、 今世では伯爵家で侍女をしている。ディルハイド=帝国の皇帝。11年前はアンジェリーナの従者を務めていた。 フェン=アンジェリーナの対となる聖獣。 彼女の死後はディルに世話をされている。ベルフォード=ディルハイドの側近。稀少な「絶対防御」という魔力を付与できる聖女・アンジェリーナ。皇帝から、その力は民たちを脅かす魔獣討伐のために必要なのだと請われ、言われるがままに出征する騎士達に付与していた彼女は、ある時、可愛がっていた従者のディルに刺されて死んだ。だが、彼女の魂は対の聖獣・フェンリルの力によって、当時5歳のルーシーの身体に転生を果たした。ルーシーはレアモルド伯爵家で働くメイドが当主に手を付けられて産まれた子だ。当然、夫人には嫌われ、異母姉のイライザからは相当虐められたが、あれから11年、屋敷から追い出されることもなく今は侍女として働く毎日。因みに体が変わっても「絶対防御」の力が使えるのは予想外であった。イライザは相変わらず我儘放題でルーシーを困らせているが、今日は皇帝・ディルハイドの誕生日を祝う舞踏会があるからとご機嫌だった。その名を聞いて、彼女は心を痛めた。この体に転生してからというもの、アンジェリーナだった時の自分が如何に世間知らずで無知だったのかを思い知らされたから。魔力の使い過ぎで昏倒する自分を心配してくれていたディルは、実は亡国の王子で、彼の国を滅ぼしたのはこの帝国だった。そして「絶対防御」は魔獣討伐ではなく、周辺諸国の侵略戦争に使われており、自分は彼らに悪魔の如く憎まれていたことも。ディルもきっと内心ではアンジェリーナを憎んでいたに違いない。だから彼に殺されたのだ。そんなディルは11年前、先帝を倒し自らが帝位に就いた。賢帝として民に慕われる彼は今年で24歳。随分立派になったことだろう。侍女の身分ではそうそう会う機会も無いので、ふとした折に優しく生意気な少年だった頃の彼を思い出していたが、機嫌のいいイライザが今日に限って帝宮に連れて行ってくれると言う。飽く迄侍女としてだが、一目でもディルを見られると思うと心が躍った。が、ディルハイドの方の機嫌が悪く、どの令嬢とも碌に話もしない。無視されたとイライザは激怒し、案の定ルーシーに八つ当たりした挙句、馬車から蹴り出されてしまった。しかも放り出されたのが運悪く下町だったので、ならず者に襲われ大ピンチ。そこを救ってくれたのはなんとフェンとディルハイドだった。どうしてこんなところに、と驚いたものの、フェンが彼女の気配を察知して飛び出して行ったのを追いかけて来たかららしい。フェンはすぐさまアンジェリーナと気付いたようだが、ディルは彼と意思疎通出来ないのでたまたま暴漢に襲われている少女を助けた形になった。姿形は違うのに、何故かとても懐かしい雰囲気を持つルーシーを放し難く、宮に連れ帰ったディルは彼女に甲斐甲斐しく付き添い、何かと贈り物をしてくるので戸惑ってしまう。彼の側近のベルフォードなどはそんなに気に行ったなら妃になさればとまで言う始末。どうやら女性に全く興味を示さなかったディルが漸く恋に落ちたのなら、しっかりモノにしてほしいという考えらしい。そんなある日、フェンと川の字になって3人で眠った際、彼は寝言でアンジェリーナに許しを乞うていた。フェンも含みのある言い方をしていたしディルによる聖女暗殺については何か裏があるのかもしれない。そして彼がいつまでも自分を想っていてくれていたことを知って嬉しくもあった。そして、ディルにはしっかり彼女の正体がバレていたことが後日判明して知らぬ存ぜぬと下手な演技をしていた自分が恥ずかしい。改めて、当時の事件の真相が彼から語られると、やはりというかあれは暗殺というより偶然が重なっての事故だったと判った。恨まれていると思い込んでいたけれど、再会してからはそれは間違いだったと知れたので、きっとこれが真実なのだろう。ディルはあの後諸悪の根源だった先帝を討ち取り、アンジェリーナの仇も打っていた。でも彼女は亡くなり心は虚しいまま。一生独身を貫く決心をしていたが、また君に会えたと言うディルの求婚をルーシーは受け入れるのだった。二人の結婚宣言はベルフォード始め、臣下たちもこれで世継ぎの問題も解決だと歓迎ムード。しかし、ルーシーの持つ「絶対防御」の聖力は、罪悪の聖女を連想させるとからと結婚を反対する者の声も多く・・・。この国には亡国出身の者たちも多く、アンジェリーナは死しても尚憎まれ続けていました。魔獣討伐に出掛けたディルと騎士たちの為にこっそり「絶対防御」を掛けてしまったルーシーは、聖女の生まれ変わりとまでは思われなかったものの、あの罪悪の聖女と同じ力というのが恨みを思い起こさせるとして一部の者たちに拒絶されてしまいます。かつてはアンジェリーナも魔獣討伐に必要だと騙されていたので、悪いのは先帝なんですけど、そんなこと知らない人達は憎い存在として彼女も一緒くたにされてたんですね。ディルはちゃんと事情を知っていたのでアンジェリーナは違うと説得し続けていたけれど、いくら彼の言うことでも受け入られず、妃に迎えるのは同じ力を持つ女とかどういうこと?と反発を買う羽目に。何もかも侵略戦争を繰り返してた先帝が悪いのに。しかし、そんな状況を覆す出来事が起きて、結果的にルーシーは皆に認められます。この辺の件は記載すると長くなるので割愛。生家である伯爵家とは縁を切り、ベルフォードの実家の侯爵家の養女となって後ろ盾を得た彼女はディルと結婚。世継ぎの皇子も産まれ、数年後には第二子も授かり喜びに沸く彼らの様子が描かれて完。今作では聖女だからこその苦労が結構赤裸々に描かれてて、従者時代のディルとフェンだけはアンジェリーナの苦悩を理解していました。亡くなるまで明るさを失わず優しさゆえに騙され続けた挙句そのせいで恨まれ、人に利用されるだけの人生。転生して漸く幸せを掴めるかと思いきや、前世で受けた恨みから結婚を反対されるとか。とにかく試練がてんこ盛りな内容でした。それを経てのラストなので、なにはともあれ想い人と結ばれて良かった。これに尽きる。評価:★★★★☆
2024.01.31
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2018年6月刊ガブリエラ文庫著者:小出みきさん公女フランキスカは突然の反乱に動揺した父に連れ去られようとしたところ、従者であるレギオンに引き留められる。彼こそが反乱の首謀者、新興国ヴァジレウスの王太子だったのだ。「おまえは俺のお姫様だからお姫様らしくしてればいい」困惑するフランキスカを初夜こそ少し強引に抱いたものの、レギオンは以前と変わらず優しく接し、彼女を妻にすると言ってくる。幼い頃から父母に愛された記憶のない彼女は、元々彼の方が大事で!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 フランキスカ=クロワゼル大公国の大公女。 反乱によって父が殺され自身も幽閉される。 レギオン=フランキスカの従者。グウェンドリン=フランキスカの教育係。クロワゼル大公国の大公女・フランキスカは世継ぎの姫でありながら、母である大公夫人・モルガーナに嫌われ遠ざけられて育った。幼少期はそれが納得いかなくて少しでも振り向いてもらおうとわざと騒ぎを起こしたものだったが、10年前に従者のレギオンと出会ってからは態度を改めた。父は娘に手を挙げることはなかったものの、その代わりに従者を鞭で激しく叩くから。レギオンは城に忍び込み、怪我をして蹲っていた所をかくれんぼをしていたフランキスカが見つけた。その後、不審者として処分されそうだったのを必死にお願いして自分の従者にしてもらったのだ。父との約束で良い子になると誓ったフランキスカは以降、勉強や礼儀作法に打ち込んだ。結局、あれほど会いたかった母とは数度顔合わせた程度。そんな母は数年前に遠縁の娘のマリーシャを呼び寄せてまるで実の娘のように可愛がり、随分と好き勝手させているらしい。流石に良い気はしないが、自分にはレギオンと厳しい面もあるけれど優しい家庭教師のグウェンドリンがいる。侍女のデルフィーナも良く尽くしてくれるし、自分の地位や生活は揺るがないと思っていた。そんなある日、突如城の兵たちによる反乱が起きて大公・ギザームはフランキスカのみを連れて早々に城からの逃走を図った。だが、残っている者たちを捨てていけないと渋る彼女のせいで逃げ遅れ追い付いたレギオンによってギザームは首を跳ねられたのだった。信じられない光景にフランキスカは気を失い、目覚めると心配そうに付き添うデルフィーナの姿が。彼女の話では城は完全に制圧されたが、指揮者の温情により城にいる者たちの安全は保障されていると言う。そしてこの反乱が隣国・ヴァジレウス王国の企みであったことも知った。元々この城には何人ものヴァジレウス人が潜入していたらしい。ではあのレギオンの行動も。丁度その時彼がやって来て、その正体がヴァジレウスの王太子・セルドリックだと知り、フランキスカはショックを受けた。レギオンはフランキスカを妃に迎えるつもりだと告げ、その夜彼女は純潔を奪われたのだった。それ以降城では大公女は王太子の愛人になったと噂になるも、そういう関係なのは間違いないので憤慨するデルフィーナにも騒がない様宥めていた。そもそも、レギオンに淡い思いを寄せていた彼女はこうなることを望んでいたのかもしれない。実際、傭兵上がりで横暴な父は多くの者たちに恨まれていた。あんな殺され方をしたのも自業自得なのだろう。全部は教えてくれていないが、レギオンもまた命と同じくらい大事なものを奪われたのだと言っていた。それから暫く経って、彼からフランキスカに大公位を継ぐよう打診された。そして自分の妃としてヴァジレウスに来て欲しいと。大公国はそのまま自治区としてヴァジレウスが統治し、フランキスカが嫁いだ後は信頼のおける者に管理させると言う。その頃にはお互い両想いなのが判り彼女はその提案を承諾。だが今まで沈黙を守っていたモルガーナが、フランキスカには世継ぎの資格が無いと言い出して・・・。この発言にはフランキスカの出生の秘密が関わっていて、前フリ自体はあったんですが、悪いことはできないねぇ、な結果に。モルガーナは前大公の娘でギザームは婿養子。しかし、前大公は前々大公である兄を誅殺してその座を奪っていました。前々大公を暗殺したのがギザームでモルガーナとの結婚はその褒美だったのです。当然、夫人は傭兵上がりの夫が気に入らず、別の男と秘密裏に結婚しマリーシャを出産。ギザームとの婚姻届けは出さず、その後産まれたのがフランキスカなので正当な世継ぎはマリーシャだと言い張ります。その上、幼児期に本物のフランキスカを夫人は暗殺。焦ったギザームが何処から連れて来たのが現在のフランキスカなのでした。ホントもうややこしい~~~~。でも確かに、婚外子扱いになる上、本人ではないのでフランキスカに世継ぎの資格は無いのですが、もう一つの隠された秘密がレギオンによって明かされます。実は彼女は前々大公の孫娘でした。前々大公夫妻とその大公女夫妻が別荘でギザームに襲われ、生き残ったのは前々大公夫人と孫娘のみ。夫人はヴァジレウス人で療養中は国境の屋敷で怪我の療養中、甥のセルドリック(レギオン)に孫の世話と護衛を頼んでました。が、ギザームに知られてフランキスカは攫われ彼の死んだ娘と取り換えられていたのです。前々大公夫人とはグウェンドリンのことで、孫の為に潜入していたという事実も語られます。彼女は火傷でベールをしていたのも正体を気取られずにいた要因でした。前大公の起こした卑怯な事件が明るみになり、さらに実子の殺害やらでモルガーナは罪を問われることになり、無事フランキスカが大公位を継ぎ、本当の名前であるエイメリアを名乗りセルドリックとヴァジレウスに旅立って終わっています。ぶっちゃけイラスト買いでCielさんの絵にハマったばかりの頃、何冊か購入して積読になってた本なんですが、予想以上に面白かったです。もうちょっと早く読めばよかったなぁ。一応ヴァジレウス王国というシリーズものらしいのだけど、前作を知らずとも特に問題ありません。でも結構良かったので他も揃えようかな。評価:★★★★★貴族TL系の下剋上ものがお好きな方におススメです。
2024.01.30
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2015年11月刊乙女ミルキィ文庫著者:すずね凛さんちょっと地味な伯爵令嬢のベリンダは、姉の身代わりで参加したお見合いで、名門公爵のアーサーに見初められる。「恋もキスもその先も教えてあげよう」アーサーの手で美しく輝き始めるベリンダは、独占欲を露にした彼に情熱的に抱かれてしまう。毎日、甘く愛され幸せなはずが、アーサーがこの恋を賭けに利用していたと知って!? すべてを信じられなくなったベリンダが元の地味な姿に戻った時、アーサーが突然、本当の想いを告げてきて…! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ベリンダ=マーシャル伯爵家の四女。華やかな容姿の姉たちと比べ地味な自分に コンプレックスを持っていた。物書きが趣味。 アーサー=クレイトン公爵家当主。大の女嫌いだったがベリンダを気に入る。美人で金髪碧眼の3人の姉達と違い、赤毛で眼鏡、その上のっぽのベリンダは初恋だった従兄にもそのことで揶揄われて引き籠りがちになっていた。お姉さまたちのような華やかなドレスもどうせ似合わないし、舞踏会に出ても笑われるだけ。両親はすっかり引っ込み思案になってしまった末娘を心配していたが、上2人は既に婚約者もおり、三女にも縁談が来ているため無理に婚活を薦めなかった。一方、本人も結婚に関しては諦めていて将来は職業婦人として生きていこうと考えていた。出来れば大好きな物書きで食べていけたらとも思う。趣味でロマンス小説のようなものを書いているベリンダだったが、ラブシーンになると描写がどうにもワンパターンになって今一つ。それについては経験値の低さ故だと自覚している。致命的な弱点に悩んでいると、すぐ上の姉・マリーローズが部屋に訪れて、彼女に頼みごとがあるのだと言う。もうすぐ、父の決めたお相手とお見合いさせられる姉には恋人がいるらしい。勿論、両親には内緒の恋だ。それならば好きな人がいると打ち明ければ良い話なのだが、どうも姉の恋人は身分も金も無い男のようだ。ああそれは絶対に反対される。ベリンダにも容易に想像がついたが身分違いの恋、何て素敵なんだろう。俄然やる気が出て、最初は渋っていたマリーローズの代わりに見合いの場となる舞踏会に参加することを承諾。その間に駆け落ちするのだと話す姉は随分幸せそうだった。舞踏会当日、ベリンダの手引きで屋敷を抜け出した姉は、恋人と手を取り旅立って行った。それを見届け、代わりに会場のアーク公爵家までやって来た彼女は明らかに浮いていた。着飾っても似合わないといつものように地味なドレスに眼鏡。見合い相手も現れないし完全に壁の花になっていると、一人の青年からダンスを申し込まれた。彼はアーサー・クレイトンと名乗り、ハンサムな男性だった。踊れないからと断っても、心配ないと引っ張り出されその言葉通りアーサーのリードでこの人生で一番上手に踊れた気がする。バルコニーに誘われ一息つきながら会話していたら、彼も読書家で自分と同じ作家が好きだと判り随分会話が弾んだ。それに君は充分魅力的だと褒められて少し勇気が湧いてきた。小説の勉強の為にもこれからは少し積極的になって恋の勉強もしていこう。そう打ち明けると、アーサーが指南役を務めてくれることに。異性との付き合い方、あしらい方など色々教えてくれると聞いて喜ぶベリンダだったが、初っ端からキスされてビックリ。帰りは馬車で送ってくれたのだが、案の定、マリーローズの駆け落ちで屋敷は大わらわ。結局、三女の気持ちを慮り父は暫く好きにさせると決定を下したようだ。そんな最中、クレイトン公爵がベリンダを送って来たので母と姉達は大興奮。末娘がとんでもない大物を捕まえて来たと大喜びしており、翌日再び公爵がやって来ると姉たちが全力でベリンダを着飾らせてくれたのだった。その日は彼のエスコートで娯楽施設で一日遊び、レストランでご馳走になった。度々仕掛けて来る淫らな誘いにはドキドキしたけれど、毎日のようにデートを重ねるうちにベリンダはかなり垢抜けた。元は悪くないのに、平均よりかなり高い身長に痩せぎすの体型。野暮ったい眼鏡と三つ編みのせいで地味に見えていただけで彼女は相当の美女だった。アーサーの見立ての流行りのドレスを纏い、化粧をして髪形を整えれば男性は皆ベリンダに見惚れた。そこはかとない色気はアーサーと一線越えたからかもしれないが、経験したおかげで執筆中の小説もラブシーンで躓くことも無い。そして、それ以上に彼女はアーサーにのめり込んでもいた。彼もあの日友人たちの賭けでベリンダを誘ったのに、そんなことも忘れて彼女を気に入り、つい関係も持ってしまったことに驚いていた。過去に真剣に愛した女性から酷い裏切りを受けたアーサーは、ベリンダのことも遊びで、恋の指南も暇つぶしの一環だったのに。どんどん彼女にハマっていく自分に戸惑っていた矢先、友人が口を滑らせて彼女に賭けのことをばらしてしまい・・・。いやいや、指南に肉体関係いらんやろっ。なんだか初心過ぎるヒロインがなし崩しにされちゃった感じなので、このヒーローに対してあんまりいい印象がありません。まぁお互い両想いなので、結果論としては良いんでしょうけど何か納得いかない。とはいえ、この手の歳の差系のお話で気にしたらいけないのかも。当然この後揉めて、もう会わないと決めるんですが、アーサーの方は元カノと再会したことで漸く吹っ切れてベリンダへの想いを認め、真摯に謝罪した上にプロポーズ。彼女の方も傷付きはしたものの、やはり彼が好きだと再認識して受け入れるのでした。後に二人は結婚して、ベリンダはロマンス小説家としても成功。娘も産まれて未だ仲良い夫婦の様子が描かれて完。奥付見たら9年前の書籍なんですね。しかももう無いレーベル(^_^;)ハマるとその作家さんの既刊を買い込む癖があるので、今作もアマゾンで纏めて購入した中の一冊。購入して一年以上積読にしてしまってました。評価:★★★★☆
2024.01.29
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2024年1月刊マーマレード文庫著者:橘柚葉さんある事件に巻き込まれた心愛を助けたのは、クールな警視正だった。その警視正・誠司が初恋の幼馴染みと分かり動揺する心愛だが、息つく間もなく彼と護衛目的の契約結婚をすることに…!?「いい子だから、俺に愛されておけ」-偽装夫婦なのに、過保護な旦那様になった誠司に蕩かされていく心愛。彼に激愛を注がれ、ついに心愛は赤ちゃんを授かり…! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 西花心愛=ごく普通のOL。 親代わりだった祖母を亡くし天涯孤独の身の上となる。 愛住誠司=捜査二課を指揮する警視正。 海道=いくつもの会社や店を経営する実業家。小学生の時に相次いで両親を亡くし、祖母に育てられた心愛。しかし、その祖母も病気で亡くなって彼女は一人ぼっちになってしまった。暫くの間は泣き暮らしていた心愛だったが、何とか立ち直り故郷を離れ都会に出て働き始めた。そんなある日、取引先の社長・海道に声を掛けられた。こんな平社員を気遣ってくれる優しい人だが、さり気ないエスコートに戸惑うばかり。申し訳ないと思いながら居た堪れなくて早々に話を切り上げようと考えていたら、見知らぬ青年が彼氏のフリをしてくれたので離れる良い口実になった。それから数日が経ち、いつものように出社すると事務所内は大騒ぎ。小さな会社だけれどまさかこんなにあっさり倒産するなんて。どうやら長らく自転車操業だったらしい。社長に少々同情しつつ、心愛は途方に暮れた。引っ越しで結構貯金を使ってしまった上、都会は物価高。残りの貯金が底をつく前に早く再就職先を探さねば。が、流石は取引先。早々に倒産の連絡が行ったらしく心愛を心配して海道がやって来た。自分が面倒を見るから心配せずにうちに来ませんかと誘われたが、そこまで世話になる訳には行かない。きっぱりと断りその場は別れると、いつぞやの青年が現れてそのまま戻るのは危ないとカフェに誘われた。彼は海道がいかに危険な人物か語り、絶対に関わらない様釘を刺した。しかし、この人どこか見覚えが。青年は愛住と名乗り、自らの正体を明かした。なんと彼は実家のお隣さんの息子・誠司ではないか。当時、しょっちゅう夫婦喧嘩していた両親のせいで自宅に居難かった彼をよく夕飯に招いて遊んでもらったっけ。今は母方の名字を名乗っているとのこと。道理ですぐピンと来なかったわけだ。あの頃から頭が良かったけど警察官になっただけでなく、キャリア組で警視正と言うから驚きだ。話は戻り、彼が言うには海道と関わると心愛は身内として認識され面倒事に巻き込まれること、暫く接触しないよう誠司の家で匿うと言われてそこまでするほどなのかとショックを受けた。早速彼の暮らすマンションに連れて来られ、海道が本気で心愛を気に入り自分の物にしたがっているのを説明。諦めてくれるよう自分と結婚しようと言われてどう返答すればいいやら。しかし、何だかんだと押し切られ契約結婚という形でならと承諾。後から聞いた話では海道は元極道だそうで、未だにその名は影響力があるらしい。本人はもうその気はないらしいのに、詐欺を主に活動している組が海道をトップに据えようと動いているのだそうだ。心愛が彼の女だと思われて巻き込まれる可能性があるので、結婚に関しては海道とは無関係だとあちらに知らしめる必要性があるからだと。情報量が多くて混乱したものの、誠司との暮らしは当時の楽しかった頃のことを思い出せて幸せだった。でも、祖母の命日でセンチメンタルになった心愛は誠司に迫り、一線を越えてしまった。同情心に付け込んだと彼女は猛省。なかったことにして欲しいと頼んだが、以来ギクシャクと微妙な空気になったのは申し訳ないと思う。しかし、あの日から一ヶ月ほど経ち体調不良となった心愛は自身が妊娠していることに気付き・・・。思い悩む彼女は、彼の元を去り独りで産み育てると覚悟するも、同じころ海道を狙う者たちが行動を開始。警視正の妻が極道の愛人という文面の記事を捏造しそのゲラを送り付けて、心愛を脅します。誠司の部屋を飛び出した彼女は海道に匿われはしたものの、なりふり構わなくなった組の人間たちによって追い詰められるのでした。そこに誠司が現れ、応援もやってきたことでこの一件は解決。海道さん、一連のやり取りで本当に心愛が好きなんだと判って、この人もヒーローその2感が。にしてもこんなに良い人なのにミスリードのせいか最初はストーカーっぽかったのが(^_^;)結局、海道さんはフラれちゃったけど個人的に誠司より好みのタイプです。この騒動後、主役CPは誤解が解けて元鞘に。最後には娘も産まれて本編は完。番外編は誠司目線の妻LOVEのお話でした。評価:★★★★☆
2024.01.28
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2023年8月刊メディアワークス文庫著者:優月アカネさん異世界に転生した元薬剤師セーナは数多の困難を乗り越え、妃、母、そして薬師として奔走しながら、止まる所を知らない魔王デル様の寵愛に包まれる日々を送っていた。そんなある日、セーナは麻疹を予防するワクチンに必要な薬草を求めて、家族三人で海洋国家プラーナ帝国を訪れることに。だが精霊に愛されるその皇家は長年、ある呪いー皇族男子の早死にに悩まされていた。悲しく残酷な運命を変えるべくセーナは動き出すが…。二人の絆が試される、溺愛ロマンス第2弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 セーナ=異世界転生した薬の研究者。デルと結婚し王妃となった今 も薬師として活躍している。デルマティティディス=魔族の長でセーナの夫。 タラ=デルとセーナの娘。 ペドロ三世=プラーナ帝国皇帝。 ヘンドリック=皇太子。皇族男子の呪いにより早死にすると言われていた アイーダ=皇女。セーナと意気投合し親しくなる。デルマティティディスと結婚し王妃となったセーナは前世の知識を生かし薬師としても精力的に活動していた。彼女が持ち込んだ図鑑によって様々な機器も作れるようになり、結果この国の医療技術は格段に伸びた。しかし、それでもまだ改良点や組み込むべき制度案も山積み。最近では麻疹が大流行してんやわんやだったので、予防接種の導入をデルに相談して許可を貰った所だ。フラバス達とも知恵を出し合い、他の流行病のワクチンも開発をすることになったのだが、効果を上げるためにもう一つだけ欲しい薬草があった。でもそれは精霊に愛されているという国・プラーナ帝国でしか自生しない種類と聞き、何とか輸入できないかとデルに相談。すると、魔力と同じ作用をする魔石の取引をしたいのでプラーナに赴く予定だと聞き、セーナも同行することに。丁度反対側に位置する国であるため往復だけでも結構な日数がかかる。2歳になる娘のタラと乳母2名を連れての訪問となった。半月ほどの旅程を経て帝国を訪れた彼らは、早速皇帝・ペドロ三世と接見したのだが、小太りで愛嬌ある外見ながら彼はなかなかな策士であった。魔石とシネルギ草を輸入したい旨を伝えると、ある条件を出して来た。デルには皇帝に友人として認められること、そしてセーナには医療に携わる者と聞き、皇家にかけられた死の呪いについて解明して欲しいのだと言う。およそ100年前から皇族の男子がかなりの確率で早死にしているそうで、彼もまた数年前に双子の息子を亡くしていた。溺愛する皇妃が以来気落ちしており真相が判るなら調査を依頼したいとのこと。研究者の性か、俄然興味が沸いたセーナは依頼を引き受けた。右も左も判らぬ地では不便だろうと皇帝から協力者として皇子のヘンドリックと皇女のアイーダを補佐に就けてもらい、彼女は調査を開始した。釣りだゴルフだと皇帝に毎日連れまわされているデルは聊か疲れていたけれど、これも民や国の為と割り切り文句も言わずに付き合っていた。ペドロ三世は短気そうに見えて実は根気がありデルが見習いたい面も持っている人物らしい。夫が不在中、セーナも本格的に調査に乗り出した。だが、自らも該当者であるヘンドリックはあきらめの境地からか何をしても無駄だと初日からボイコット。まぁ、彼にしてみれば怖くてたまらないだろう。弟皇子たちが死んだのも、よくよく話を聞くに抜けかけていた乳歯を抜いただけだというから驚いた。さすがにその程度で亡くなるとは考え難い。何か他に要因があるはず。当時の状況を詳しく知りたいが、辛い思い出だからと皇妃はセーナとの面会を拒否。母としての気持ちも判るので無理強いは出来ず、ならまずは早逝した皇子たちの名前と死の原因を書き出して行こう。アイーダの記憶を元にした家系図も出来て来ると降嫁した皇女の息子も早死にしていることに気付いた。しかも親戚筋の女児も。何か引っかかる、やはり当事者に詳細を聞かなければ。どう納得させて話を聞き出すか、開発中の人工血管をいじりながら考えているとヘンドリックと遭遇。彼は人工血管の現物とその用途に興味津々で話も弾んだ。元々この分野とモノ作りが好きなのかもしれない。調査の進捗具合を聞かれ、皇妃と降嫁した公爵夫人の話を聞ければ確信が持てるかもと溢すと、翌日なんとヘンドリックの口利きで少しだけならと彼女達が面会に応じてくれることになった。改めて皇妃の話を聞くと、双子の皇子の死因は確かに乳歯を抜いたから、で間違いないようだった。が、問題はその後の大量出血で・・・。元の世界でもあった血液の病気・血友病。それが呪いの正体でした。公爵夫人の息子もちょっとした怪我なのに出血が止まらず、治療の甲斐なく亡くなったと聞き、セーナも確信を持ちます。家系図を見るに100年前から始まった死の連鎖は繰り返される近親婚によって血友病も遺伝して行ったのだろうと皇帝にも説明。検査の結果、彼とヘンドリックは血友病ではないことが判り、ホッとしたものの、一番下の皇子が頭に怪我をして血が止まらず騒動に。病名が判れば対処は出来る、健康な皇帝の血を輸血することで出血は収まり事なきを得て、彼女が言った呪いの真相についても認められます。褒美としてシネルギ草もGETし、デルの口添えにより近親婚の撤廃も検討される運びに。ヘンドリックは早死にしないと判り、見る見る明るくなっていきますが、この後予想外の出来事が起こります。まさかの事態にビックリしましたが、確かに血友病と他の遺伝性疾患、どちらを受け継いでるか不明ですもんね。検査の結果、血友病ではなかっただけ。あの人工血管も後の前フリとして効いてたのと、タラの不思議な能力も判明。やはり、あの二人の子だけあってただ者じゃありませんでした。成長が遅いのも何か理由があるのかな?なんかまた色々起こりそうなので、シリーズ化しそうな予感。評価:★★★★★
2024.01.27
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2022年10月刊メディアワークス文庫著者:優月アアネさんいつまでも、あなたと在ることを誓いますー。恋慕をその胸に秘めたまま、デルマティティディスの元を去ったセーナ。元の世界での闘病の末に冥界で目覚め、遂に彼と再会を果たす。互いに惹かれ合っていることを知り、晴れて婚約者の間柄となった二人。セーナはデル様から一心に注がれる寵愛に翻弄されながらも、離れ離れだった歳月を埋めるように、幸せな日々を送っていた。一方、国内で凶悪事件が頻発し、デル様を狙う刺客の影が迫る。波乱の先に、二人が迎える結末はー?運命を変える溺愛ロマンス、堂々完結。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 佐藤星奈=薬の研究者。歪に巻き込まれ異世界転移していた。デルマティティディス=魔族の長でブラストマイセス王国の国王。 フラバス=医師。セーナと協力し伝染病の治療と対策をしていた。 ロシナアム=セーナ付きの侍女。 ヘル=500年前に召喚された女騎士。異世界のブラストマイセス王国に蔓延した恐怖のウィルス・スタフィロフォッカス フィロメンタス、あの世界では有効な治療薬も無く、治療に当たっていた星奈は元の世界で自らが開発したセナマイシンことXXX-969でしか対処できないと悟り、真実を隠したままデルに頼んで門を通り戻って来た。だが、門を開けるには多大な代償が必要で、星奈はブラストマイセスでの記憶を失っていた。しかも、帰還したのは発症して昏倒した夜。病院に搬送された時には多臓器不全を起こし生死の境を彷徨った。そんな彼女は、覚えがない自分あてのメモを握りしめていたと言う。死ぬときはXXX-969、切れ味の良いメス、実験機器図鑑などなどを棺桶に入れて欲しいと書かれていた。なんのこっちゃと思いながら、星奈は2年の闘病の末に30歳の若さでこの世を去った。目覚めると、彼女は冥界にいた。完全に異世界での記憶も取り戻し、門の管理者でもあるデルマティティディスとも再会。薄々気付いてはいたが元の世界とここでは時間の流れが違うようで、あれから10年の時が経っていた。再会後、彼の求愛を受け、同じ気持ちだと自覚した星奈はデルと生きることを決意。婚約者として城で共に暮らすことになった彼女は、この10年の間に起こったことを尋ねた。あのウィルスにはやはり効果的な治療薬は発見に至らずだったが、フラバス始め医師たちの尽力と隔離施設の建設であれ以上の流行はなんとか防ぐことができたらしい。幸い、今は星奈が持ち込んだXXX-969があるので現物があればデルの魔力で大量に生成できる。これからはあの病気の死亡率は格段に下がると言うことだ。そしてこの件で人間たちは魔族に歩み寄るようになったのだと聞いて嬉しくなった。そんなある日、デルの祖先の代から懇意にしている加工職人が殺害されたとの報告が。先の戦争で身内が傷付くのが嫌だからと一人で人間の軍団と戦った彼は、かなりショックだったようで気落ちしている。だが、この事件を皮切りに今度は星奈が食べた菓子に猛毒が仕込まれており周囲は騒然。幸か不幸か、冥府から異世界入りした彼女は不老不死の身体になったため大事には至らなかったが、毒の成分がかつてデルを体調不良にさせたのと同じ毒だと判明。そして彼の誕生日、星奈が再び狙われたことで、犯人の狙いは自ずと知れる。デルか王族に激しい恨みを持つ者の仕業であろうと。そして浮かび上がったのは彼の祖父・先々代の王が呼び寄せた女騎士・ヘル。召喚された彼女は亡くなっているのだが、先々代の王が無理矢理冥府から連れ出し自らの側に置いていた。望まぬ関係だったのは容易に推察できて、ましてや星奈と同じく不老不死になっているならばさぞ先々代王を恨んでいる事だろう。だが、かの王は既に亡くなっており恨みを晴らすことができない。今思えばデルの父を殺したのも恐らく彼女だ。次に何か仕掛けて来るなら、二人の結婚式の日。星奈は薬学の知識を使い、ヘルに打ち勝つための仕掛けを準備。当日、案の定ヘルは現れて・・・。デルを虚弱にした原因が、ここにきて漸く判るんですが、ヘルがまあとにかく手強い。恨むなら先々代だけにしといてよ、とは思うもののその対象が既に故人では恨みの行き場所が迷子になってもしょうがない。孫子の代まで憎いとばかりにデルの父を殺害し、彼にも毒矢を放った。不老不死同士だからこそ理解できることもあって星奈はヘルを追い込み、終わりないその生に引導を渡します。悲しい結末を迎えたこの事件でしたが、ヘルの攻撃でデルは片方の角を切り落とされ瀕死に。あの角は魔王の最大の弱点で、切断面を繋ぎ合わせることもできない。どうすることもできず星奈達は彼を救う方法を模索。そして閃いたのは再生治療。この世界では前代未聞の治療法は果たして上手くいくのか、って感じの展開です。以降の内容は本当にドキドキしました。絶望的な状況が続いてもしかして?と少し嫌な予感はしたものの、最後は怒涛のハッピーエンドで本当に良かった。評価:★★★★★見た目はクールで最強なデル様が星奈にべた惚れなのが良いです。
2024.01.26
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2022年9月刊メディアワークス文庫著者:優月アカネさん薬の研究者として働く佐藤星奈は、気がつくと異世界に迷い込んでいたー!なんとか薬師「セーナ」としての生活を始めたある日、行き倒れた男性に遭遇する。絶世の美しさと、強い魔力を持ちながら病弱なその人は、魔王デルマティティディス。漢方医学の知識と経験を見込まれたセーナは、彼の専属薬師となり、忘れ難い特別な時間を共にする。そうしていつしか二人は惹かれ合い…。元リケジョの天才薬師と美しき魔王が織りなす、運命を変える溺愛ロマンス、開幕! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 佐藤星奈=薬の研究者。 伝染病の新薬開発に成功するも異世界に転移した。デルマティティディス=異世界最強の魔王でブラストマイセス王国の国王。 とある理由で虚弱体質となった。 ライ=老舗鶏店の店員で星奈の恩人。 サルシナ=薬店を営む女性店主。とある伝染病の特効薬「セナマイシン」開発者の名前を冠したその新薬は27歳の女性研究者によって生み出された。しかし、彼女は研究中に自らもその病に罹患。倒れた星奈は目覚めると異世界に飛ばされていたのだった。病に倒れたはずの自分は何故かこの世界では健康そのもので暮らせている。後に知ったのだが、ここはブラストマイセスという国で、自分が飛ばされたのはトロピカリなる町。住民達から信頼されるまで少々時間はかかったが、今は顔見知りも増えた。ここは薬草の類も豊富なので、空き家を借りてそこで生活をしながら漢方薬を作りそれを薬店に卸して日銭を得ている。今日もサルシナの店にいくつかの薬を売り、家に戻ると中に男性が倒れていてビックリ。角の生えた彼は随分な美形で不覚にもときめいたが何とか寝台に運び、成り行きで介抱することに。翌朝になっても青年は目覚めず、一先ず症状から効果のありそうな漢方を処方し飲ませ暫くすると漸く彼は目を覚ました。青年はデルマティティディスと名乗り、起き上がれるようになると礼を言い、魔法で姿を消した。帰り際、飲ませていた漢方薬もどっさり渡した時はとんでもない金額を渡されそうになって慌てて辞退したものの、それなら話し相手になってほしいと頼むと承諾してくれた。まぁ、頷いてはいたけれどどうせ社交辞令だろう。大して期待はせずにいたのだが、いつもの日常を過ごし暫くすると約束通り彼はやって来た。それでもまだ調子が悪いみたいでまたお世話する羽目になったのだが、何だか妙に距離を縮めて来られて研究一筋だった自分には刺激が強い。そして改めてその素性を明かされて彼からある頼みごとをされたのだった。わけあって虚弱体質なデルの専属薬師になってほしいという。少し迷いはしたけれど、貴族相手の場合は要相談になるが専属と言えど今までのように薬の卸売りは続けてもいいという条件は助かる。しかも、なんだかこの人が気になるし放っておけない。星奈はその申し出を受け入れた。その際、お互いの秘密を明かす条件で気になっていたデルの今の体質の理由を尋ねると答えは意外なもの。100年前、以前この国を治めていた王族と諍いになり、デルが勝利を治めたのだが一瞬の隙を突かれて右胸に毒矢を打ち込まれたらしい。以来、魔力の循環が上手くいかず絶賛体調不良が続いているのだそうだ。魔族の王がここまで体調を崩すとはかなりの毒なのは確か。成分が不明なので解毒は難しいが漢方薬で体調改善は見込めるかもしれない。薬を処方して渡すので定期的に取りに来てくれるよう話すと星奈も自らの素性を打ち明けた。真剣にその話を聞いていたデルは彼女が異世界転移した理由に思い当たる節があるようだ。元々、この世界では異世界に繋がる門があり、以前は違う世界の専門家を召喚して国や領土の発展に協力してもらっていたのだとか。しかし、門を開ける際は術者の魔力を大量消費し代償も大きいので割に合わないと、ある時期から禁止された。門は代々魔族の長が管理していたのだが、デルの魔力は不安定で歪が産まれ、たまたま星奈が巻き込まれたのだろうと。しかも召喚ではなくすり抜けてきてしまったということなので何とも恥ずかしい。デルは時間はかかるかもしれないが必ず帰還方法を調べると約束してくれたが、自分にはここの生活が合っている。一先ず専属薬師として頑張るので告げると彼は何だか顔を覆っていて角はほんのり色づいていた。以降、デルとの交流は続き、星奈も充実した毎日を送っていたのだが、いつも明るく無邪気なライの様子がおかしい。彼はいつになく真剣で話を聞くと近々魔王討伐が行われ、ライも参加するのだと言う。この国の王は魔王なのに、未だ先の大戦の影響か魔族をよく思わない人間も多い。ライの親も魔王に殺されたのだと聞き、そういう理由なら説得できそうもない。何とか討伐の決行日だけ聞き出したが、デルに知らせるにしても連絡方法が無い。先日薬を取りに来たばかりなので暫くはやってこないだろう。星奈は放っておけないと王都までこの事態を伝えに行くことを決断し・・・。100年も前のことなのに、魔族と人間との確執がまだ根強く残っていることを知って心を痛める星奈。ライにも危ないことはして欲しくないし、デルも絶好調の時ならば心配いらないがあの体調では。何日もかけて遠い王都まで向かう星奈は途中立ち寄った町で、元の世界で猛威を振るったあの病と再会することに。医師のフラバスと治療に当たるも漢方薬で症状を抑えることはできても完治は出来ない。自分が開発したセナマイシンがあれば。デルとも何とか会えて、一つの過程を試したものの不発に終わり、行き当たった答えは自分が元の世界に帰りセナマイシンを取ってくればいいというもの。デルにより、帰還方法も判明したけれど、こんな方法を打ち明けたらきっと反対されると、ただ帰りたいからと彼に願った星奈は現世に帰還します。終盤はデルと彼を逆恨みするブラストマイセスの王子との対峙と、この件に黒幕がいるらしいことも判り、門を開けたことで彼が多大な代償を払ったことなどが描かれて、ちょっと不穏な空気で下巻へ。あれ?星奈ってあの病気にかかってなかったっけ?と気になりましたが、この上巻では期間後の彼女の様子は描かれていません。私は上下巻一気に買ってあまつさえ先日まで寝かせてたから一気に読めたけど、一ヶ月待った人はさぞモヤモヤしただろうな(^_^;)思い合う二人は幸せになってほしいし、きっとハッピーエンドに違いないと信じてる。評価:★★★★★原題より書籍のタイトルの方がすっきりしてて良いという珍しいパターン
2024.01.25
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2024年1月刊ベリーズ文庫著者:砂川雨路さん華道家の娘の葵は父の命令でしぶしぶお見合いにいくことに。すると、そこに現れたのは妹と結婚するはずの御曹司・成輔だった。昔から苦手意識のある彼との縁談を断ろうとするが、とある理由で破談前提で交際することに。しかも「昔から好きだった」と独占欲を露わに迫られて…!? 彼の猛溺愛は止まらなくて、ついに結婚! 恋心を持つはずはないと思っていたのに、痺れるほど甘い愛に絆されて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 院田葵=華道家の長女。リケジョで跡目は継がず研究職に就いた。 風尾成輔=大企業の御曹司でアパレル会社のCEO。 院田百合=葵の妹で次期家元。華道家の長女の葵は、両親の反対を押し切って大学も理系に進み、修士課程を終えて一般企業に研究員として就職した。ドライな父はともかく、母はそれが気に食わないようで何かと文句を付けて来るけれど、跡目は1歳下の妹の百合が継ぐことになっているのだし何ら問題は無いはず。しかしながら、両親にとって譲れないのは葵と風尾家の一人息子・成輔との結婚だった。風尾家から長らくパトロンをして貰っている手前、どうあっても成し遂げたいらしい。葵が小学生の時に決まったこの約束事。その時初めて成輔に会ったのだが、5歳年上の彼はそれはそれは美少年で彼女にとって初恋であった。でも、当然そんな彼は異常にモテていて、ある時、女の子と仲良さげに歩いているのを見てショックを受けたのも思い出だ。その時から彼に対してつい塩対応になってしまったのだけれど、成輔にしてみればこんな地味子が許嫁なんて不本意に違いない。だから気にしないことにした。彼みたいな人には百合みたいに綺麗でおしとやかな子の方が似合う。母も、勉強ばかりで素っ気ない長女より次女を嫁がせるべきではとよく溢していたので、折を見てお相手も百合に変わるのではないかと高を括っていた。だが、そんな想いも裏腹に葵が高校生になると成輔の態度が一変。やたらと彼女を構いだしたのだ。学校まで迎えに来るなど日常的で、そんな心配必要ないのに同級生の男子たちを牽制しているので驚いた。葵が京都の大学に入れば多忙だろうに定期的にご機嫌窺いにやって来るなど、なんともマメな男だ。どうせ結婚するのは百合となのに。大学を卒業し就職したある日のこと、両親たっての頼みでお見合いに出向いた葵は、現れたのが成輔でビックリ。どうもこの集まりは兼ねてよりの約束通り結婚をという最後の詰めのような場であったらしい。見合いと聞いてたからこの話も無くなったものと油断した。いつもの調子で突っぱねたが案の定母が激怒して荒れてしまったけれど、成輔の執り成しで何とか収まり、二人きりになると彼はこの結婚に対してのメリットを語り始めた。料理が得意なので食事当番は引き受ける、生活費全て彼持ち等々、一人暮らしが長い割に料理がからっきしな葵の心は動いた。しかも、仕事は辞めなくていいと言うのが大きい。帰宅後、百合に相談すると絶対に彼と結婚すべきと後押しされ、まぁいいかと承諾すると両親は大喜び。結婚の条件を話したら絶対に母に怒られるだろうから内緒にして、就職したばかりなので名字をすぐ変えたくないんだと言えば入籍は1年後とし、その代わり婚約期間中も彼と同居することになったのだった。同居が始まると彼のスパダリぶりに舌を巻いた。自慢してただけあって料理は完璧、掃除洗濯もお手の物。忙しいだろうにどれも一切手を抜かないのが凄い。天は二物どころか三物以上を与えてしまったらしい。条件とは言え、流石に妻が何もしないのは気が引ける。葵は自ら申し出て家事は分担制と決めた。おかげで苦手だった料理も多少は食べられるものを作れるように。婚約してからも葵はドライで成輔はその分彼女に尽くしている感じだったが、とにかく暑苦しいほど溺愛されているので戸惑うばかり。葵が同僚に言い寄られていたら、嫉妬剥き出しだったし、ある時尋ねると実は随分前から成輔は葵一筋だという。中学生の時は単に一緒に下校してた程度で交際してたわけじゃないと否定され陰でヤキモチ焼いてた自分にガックリ。当時、葵自身も忘れていたとある行動に成輔は心打たれそこからぞっこんなんだと告げられ、勝手に百合との仲を疑っていた彼女は猛省。成輔と向き合うことを決意して・・・。実際は葵が自覚するまで色々誤解もあるんですけど、この辺はあまりネタバレしてなということで割愛します。でもまぁ、あれだけ尽くされてるのにどうして疑うのか自己肯定低すぎなヒロインでありました。とは言え、父はともかく母親も悪いと思う。あの言い様は正直傷付きますよ。読んでてイラっと来るくらいにはムカついた。葵も決して出来は悪くなくて、頭は良いし実は跡を継げるくらい華道の方も優秀なのに、百合の方が華になると比べられてたら良い気はしないよなぁ。初恋の人である成輔もきっと百合との方がお似合い、母もそう言っていたとか、だとやっぱり彼からの愛もせっかく結婚するんだから気を使われてるだけと考えてしまう。百合ちゃんがそんな母親の性格や物言いを諫めてくれており、二人の恋を応援してたのもあって後半漸く纏まってくれた展開にホッとしました。その後はいよいよ間近に迫った挙式と、彼との子なら欲しいと子作りに乗り気になるなど仲睦まじいエピソードが続く中、長男も産まれて本編は完。書き下ろしの番外編は後日談で、成輔目線の短編2本でした。終始、成輔さんの葵LOVEっぷりが微笑ましい。評価:★★★★★
2024.01.24
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2023年12月刊富士見L文庫著者:村田天さん教会で働く聖女・リゼルカは突然魔力を失った。焦るリゼルカを、魔法士のシャノンが保護しに来る。多くの浮名を流すシャノンとは幼馴染だが、昔から苦手だった。 力がない自分は無価値だと悩むリゼルカに、研究者が提案した回復方法は、建国の祖の血を引くシャノンと『契る』こと。シャノンは堅物のリゼルカには無理だと言うが、少しずつ彼に慣れると決める。 保護のための同居生活の中、リゼルカはシャノンと触れ合う練習を始める。初めての経験に戸惑うリゼルカだが、遊び人のはずのシャノンもどこかぎこちなくーー? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 リゼルカ=強大な魔力を持つ聖女。教会で怪我人や病人の治療をしていたが、あ る日突然魔力を失う シャノン=リゼルカとは幼馴染の魔法士。パトリック=リゼルカの親代わりの司祭。聖女・リゼルカは、強大な魔力を持ち、教会を訪れる病人達を日々癒していた。少々堅物な彼女にとって聖女としての力の行使は自らの生きる意味であり存在理由であった。そんなある日、悪夢を見たリゼルカが目覚めると体に満ち溢れていた魔力が綺麗さっぱり無くなっていることに気付きショックを受けた。どうやら、何者かによって魔力を奪われたらしいのだが、今までにも何人か同等の被害が出ており、ついにリゼルカもその犠牲になってしまったのだった。治癒の力を求めてやって来る人達の為にも早く魔力を取り戻さなければ。焦る彼女を幼馴染で魔法士のシャノンが保護をしにやって来た。宰相である筆頭王聖魔法士の息子である彼は、子供の頃は何かとリゼルカに突っかかっては嫌味を言われたので正直、未だに苦手な人物。でも、シャノンが言うには魔力を戻す方法に心当たりがあるらしい。例え苦手でも背に腹は代えられないと親代わりの司祭が止めるのも聞かずに彼に付いて来た。そして、シャノンから紹介された聖女の研究者の説明によると確かに魔力を戻す術はあると言う。だがなんとも生々しい方法で、到底受け入れられそうもない。建国の祖の魔法士の血を引くシャノンと契れば自ずと彼女の魔力は戻り、もし再び狙われても今度は抜かれにくくなるのだと。理屈は判ったが正直言えば遠慮したい。しかし、焦っていたのはシャノンの方もで、少々意外な反応だった。噂通りに遊び人で女好きなら喜んで引き受けそうなものだけど。一先ず覚悟は決めたものの、シャノンから好きでもない相手とは抵抗あるだろう?と諭され、手を握るハグをする等、段階を踏んでお互いに慣れる練習から始めることに。その間、リゼルカはシャノンの隠れ家に匿われていた。なんでも魔力を抜かれた「空の聖女」は、器だけでも生贄として大層な価値があるそうで、邪竜復活の為の生贄に最適なのだそうだ。この事件も邪竜を崇める邪教によるものとして調査も進んでいるが、狙われると判っていて彼女を野放しには出来ない。シャノンとは警護も兼ねての同居となったのだった。しかし、ずっと引き籠っていては気が滅入る。シャノンがリゼルカを供なってやって来たのは無償の治療院。治癒の力は使えないけれど、包帯を巻いたり薬を渡したりなどの手伝いなら出来る。やりがいを見つけたのか、患者やスタッフたちと交流するうちに本来の自分を取り戻して行くリゼルカ。シャノンとも段々打ち解けて、思っていたよりも彼は生真面目な性格で女遊びなどしていない事にも気が付いた。そんな最中、目を掛けていた後輩聖女が治療院迄訪ねて来て、教会に戻って来るよう懇願された。でもその時の後輩の表情と必死さが少々引っかかり・・・。リゼルカの魔力を抜いた者の正体は、恐らく読んでるとすぐに見当が付くと思います。シャノンとリゼルカの活躍によって相応の報いを受けたのでスッキリ。主役二人の恋の顛末も、うんまぁそうなるよねって感じの大団円でした。シャノンがもう本当に一途なので、ついそっち目線で読んでしまったのは仕方なし。評価:★★★★☆
2024.01.23
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年間総合の方は出してたんですが、12月期を出すのを忘れてました。個人的に好き&おススメのタイトルをランキング形式で紹介。1位不治の病で余命宣告されていた以上に奇跡的に生きながらえていたヒロイン。実は彼女は病を患っていたわけではなく・・・。何とかヒロインを助けようと献身的に彼女に寄りそうヒーローの一途さも良いです。中々予想外の展開で印象深い内容だったと思います。2位不妊治療を題材にしたお話。不妊治療の大変さと世間での認識の低さなど、色々考えさせられるお話でした。3位不遇ヒロインものシリーズ化しそうなお話なので続きが楽しみです。4位不当な扱いを受けながらもへこたれず前向きなヒロインに好感が持てます。年代的に本編後に色々起こりそうではあるものの、何とか乗り越えてそうな謎な安心感も◎5位シリーズ3作目。ヒロインの前世が明かされるという内容で安定の面白さでした。6位毒親のせいで苦労していたヒロインが、持ち前の勘の良さで危機を乗り越えていくというお話。こちらも意外性があって良作でした。7位玉紀直さんの最新作。押しかけ女房ならぬ、押しかけ旦那(大企業の御曹司)と婿養子募集中のヒロインとの結婚話。愛で価値観の違いは乗り越えられるか。二人のズレたやり取りが笑えます。8位シリーズ2作目。ヒロインの天然っぷりに磨きがかかってましたw今作は主人公夫婦だけでなく、第三王子の恋模様も描かれてます。9位コメディ調なので、明るい内容が読みたいという時におススメ。ヒロインがとにかく可愛い。10位この作家さんのお話は毎回どこかしら刺さるんですよねぇ。航空整備士のヒロインとパイロットの恋物語。今回は絞りに絞って、おススメするならこの10作品となりました。あと、所用で今日(日曜)から留守にするので月曜日の更新はありません。火曜日ももしかしたら帰宅時間によっては、になりそうなので予定は未定。間に合えば何かしら上がってるかも。それから24日くらいから順に今月のベリーズ&マーマレードの新刊感想を書いていきますので宜しくお願いします。
2024.01.21
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2020年3月刊ベリーズ文庫著者:宝月なごみさん恋愛経験ゼロの箱入り娘・美織は、政略結婚前日に最初で最後の夜遊びを決行する。相手は有名会社CEOの尊。匂い立つような大人の色気と余裕で、尊は美織の身も心も奪っていった。一夜限りの思い出と固く胸に秘めた美織だったが、なんと翌日、結婚相手として目の前に現れたのは尊だった!「俺が手取り足取り教えてあげる」と耳元で甘く囁かれ、美織は鼓動が抑えきれなくなり…。「極上旦那様シリーズ」第4弾は、ベリーズカフェ恋愛小説大賞受賞作! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 沖田美織=メガバンクの頭取の娘。婚約者との顔合わせ前に最初で最後の夜遊び を決行して尊と出会う。 鞍馬尊=航空会社のCROで美織の政略結婚相手。 勝又烈=自称・不動産会社社長。ある目的のために美織に近づく。メガバンク頭取の父を持つ美織は自他共に認める箱入り娘。もう25歳になると言うのに未だ家族は彼女の身形や素行について厳しく、恋愛も未経験のままだった。しかも明日は親の決めた結婚相手との顔合わせで、数か月後には挙式までまっしぐらときている。とはいえ敷かれたレールを行くこと自体は実はそう苦でもない。ただ、人生一度くらいは羽目を外してもいいのではないか。そんな気持ちで、お嬢様学校時代からの友人の凛子が会員になっている高級クラブに行き、一夜限りの男性を紹介してもらうつもりだ。店に着くと、待っていたのは凛子の彼氏の黒田と美織の今夜のお相手となる青年が待っていた。彼は尊とだけ名乗り、ハンサムで王子様っぽい外見だが何処か危険な雰囲気もあった。でも、凄まじい色気。男性経験の無い美織はすぐさま彼の色香に陥落して、関係を持ってしまったのだった。翌日、目を覚ますと何と自室のベッドの上。おまけに着替える準備もあるのに寝坊をしてしまったと大慌ての美織が居間にいくと、そこには祖母と仲良くお茶している尊の姿が。どうしてここにと内心血の気が引いていた彼女が訪ねると、なんと彼こそが美織の結婚相手と聞いてビックリ。尊は、顔合わせ前だけれど実は二人はこっそり会っていて昨夜は酒も入り盛り上がってしまったのだと説明したらしい。最初で最後の夜遊びという親たちが卒倒しそうなことをしでかした手前、彼の機転には感謝したけれど、昨夜、彼も夜遊び相手を探していたとかあるんだろうか。当然、答えはノー。尊と黒田とは元々顔見知りで、恋人の友人のお嬢様がワンナイトのお相手を探してると小耳に挟み、呆れつつも話を聞くと、そのお嬢様とは自分の未来の妻ではないか。高級クラブとはいえ、出入りする者達全てが信用できるわけではなく、それならばと自分が名乗りを上げたのだという。真相を知った美織は複雑な気分ではあったが、今思えば彼が気を回してくれなければ後々トラブルになっていたかもしれない。少々俺様っぽい性格ではあるものの、政略結婚でも彼とは上手くやっていけそうな気がする。その後、二人は無事婚約。普段は銀行員として働いている美織は頭取の娘と言う立場と新しい支店長の蒔田からのごますりもあって同僚達からのやっかみで孤立していた。コネ入社とか好き勝手言ってくれるけど反論するのも馬鹿らしい。出張が多い業種なので婚約期間もお互いをよく知るためにと既に同居している尊は、所用で美織の勤め先を訪れた際、彼女が虐めに近い扱いを受けていることを知って憤慨していた。意外に熱い性格の彼はカッカしていたけれど、当の本人は一々気にしてないし言いたい奴には言わせとけと思ってるからと取り合わない。その反応がツボに来たのか尊に惚れ直されたのは驚いたが嬉しい誤算かもしれない。半年後に迫った挙式の準備もあって慌ただしく過ごしていたある日、応接室で蒔田を怒鳴りつけていたインテリ風の青年・勝又と遭遇した美織。マンションの住人向けのジムだったので、彼も同じ所に住んでいたのかと思い込み、その人当たりの良さにジム友に。あの日支店長を怒鳴っていたのはきっと蒔田が失言でもしたのだろう。その後、プールでも会ったのだが、その頃から段々勝又の態度と口調も変化して来て、恐怖を感じるように。こんな時に限って尊は海外に出張してるし、迷惑でも電話で相談するべき?悶々としていた時、気晴らしにと凛子に誘われ待ち合わせ場所に出向くと、そこにはまたもや勝又が。実はヤクザなのだと正体を明かされた上、凛子を人質に取られた美織は仕方なく酒に付き合い悪酔いして昏倒。目覚めるとホテルの一室で・・・。この時点では単に誤解されそうな写真を撮りたかっただけのようで、何もなかったんですけど、勝又の巧妙な罠に美織はハマり、組へ融資できるよう細工を頼まれます。勿論、その手の組織への融資は法律違反なので父に迷惑がかかるからと突っぱねるも、彼は尊にこの写真を見せると脅迫。追い詰められた彼女は思い悩み、気落ちしている様子にさすがに尊も気が付いて調査を始めると勝又の方からコンタクトを取って来て例の写真を見せられると彼は激怒。この手の脅迫は常套手段だからと信じず、勝又の組を潰す決心をするのでした。昔、少々ヤンチャしてたらしい尊の逆襲は、やっぱりって感じでしたが、まぁそうなるよねぇと。勝又さんも過去色々あったようだけど、それに付随して美織の祖母と勝又組の前組長との意外な過去も紐解かれるのでした。当初はこの辺の件は少し唐突過ぎない?とも思いましたが、このお祖母ちゃんは最初から妙な存在感あったからなと納得。正直、尊より勝又さんの方が存在感あって、あとがきを読むに作家さんのお気に入りらしい。道理で。その後、諸々解決して尊と美織は結婚。お話自体は大団円で完結していています。書き下ろしの番外編は尊目線の実は二人の初対面はあのクラブではなく、な出会いのエピソードです。若干荒唐無稽な展開もありましたが、これもまた良し。評価:★★★★☆
2024.01.20
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2022年3月刊マーマレード文庫著者:砂川雨路さん時は大正。楓は良家の娘でありながら、妾腹のため女中として扱われてきた。ところが突然、エリート陸軍大尉・雪禎との縁談が舞い込む。ただしその条件は、身分を偽り、正式な令嬢として嫁ぐことで!?秘密を抱えて始まった結婚生活だが、過保護に甘やかしてくれる雪禎に、愛しい想いが募る楓。罪悪感を覚えつつも、初めて知る極上の愛に溺れていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 縞田楓=実家の都合で妾腹という産まれを隠し、雪禎の元に嫁いだ。 岩津雪禎=楓の夫。帝国陸軍大尉で華族の家柄。柳橋で一番人気だったと言う芸妓の娘・楓は母の死後、実父である薬種問屋の縞田正二郎の屋敷に引き取られた。しかし、父は正妻との子供たちと同等の扱いをする気は更々なかったようで、その日から使用人として働くことに。小柄ながら力持ちで小器用な楓はちゃきちゃきと仕事をこなし、口煩い女中頭からも一目置かれる程。似たような生い立ちと境遇の異母姉・巻とも仲良くやっていた。それから数年経ち、正妻の子供たちは次々と結婚。長男は家業を継ぐとして、三女を嫁がせたら商売に役立つ駒は打ち止めとなり正二郎は焦った。それというのも、老舗という立場に胡坐をかいていたせいで流行りに乗り遅れ、現状かなり厳しい状態らしい。巻は嫌な予感があったのか、兼ねてから付き合っていた男と駆け落ちしてしまい、残った楓は母譲りの美貌から使えると思ったのだろう。ある日、父から華族・岩津子爵家の次男に嫁げと命じられて面食らっていた。しかも、血筋を貴ぶ華族の家に行くのだから死んでも妾腹であることは明かすなと無理難題押し付けられて戸惑うばかり。祝言迄の2カ月余りで付け焼刃で、上流階級のお嬢様が学ぶべきマナーや習い事を叩きこまれ、疲労困憊のまま当日を迎えた。初めて会った夫・雪禎は今年30歳で陸軍大尉というエリートだった。背も高くハンサムで思わず見惚れる程。そして優しく穏やかな人でもあった。疲労で初夜から爆睡した楓を責めるでもなく、何故か嫁いでひと月ほど経っても二人は清い関係のまま。岩津家の別邸で一人暮らしだったという雪禎の家で暮らし始めてから、嫁としてせめて家事くらいはと、女中仕事の経験を活かし掃除洗濯炊事に励む楓。だが、内心では全く手を出されないのは女中がお嬢様と偽っているとバレたから?と戦々恐々。通いの女中のスエからは奥様が働き者過ぎてやることが全く無くて困ると冗談交じりに言われ、少々やり過ぎたかと反省もした。これでは体が弱く碌に学校も行っていない深層のお嬢様には見えないではないか。かと言って漢字の類も読めないので暇ならと夫から読書を薦められて冷や汗が。父もどうせ叩き込むなら字も教えるよう家庭教師に頼んで欲しかった。それでも、絶対にお嬢様はこんなことをしないと自覚しながらも許可を得て庭に畑を作ったり、意外にも雪禎もノリノリで手伝ってくれたりと楽しい日々が続いた。しかし、読み書きできないのは致命的、意を決して教材を頼み文字の勉強をしている彼女を雪禎とスエは見守っていてこれはもう絶対にバレてるなと覚悟を決めた。でも、夫から切り出されるより早く岩津家の方にバレてしまったらしく、雪禎と二人本家に呼び出された。舅と義兄は相当憤慨していて正二郎も同じく呼び出されたのか、かなりの叱責を食らった。離縁しろと命じられたが雪禎は応じず、寧ろこんな理由で追い出す方が体裁が悪いだろうと尤もらしい理由を述べて聞く耳を持たなかった。どうやら、正二郎と同じく岩津家も昔ほどの勢いは無く、双方が援助してもらおうと考えての縁談だったようだ。華族と言う立場から一方的に正二郎を責めていた舅も当てが外れて内心では焦っているはずと、面白そうに笑う雪禎は長らく舅と義兄とは不仲なのだと語った。離縁するつもりはないし、手を出さなかったのはゆっくり関係を深めていくつもりだったからだとも告げられると、女中だと蔑まれていたわけではないと判りホッとした。スエやその息子で雪禎の乳兄弟・作典とも交流を深め、異母姉の巻とも再会した楓は、幸せな毎日を送っていた。そんなある日、家に一人の書生が訪ねて来て、楓にある人物と会って欲しいと頼んだ。聞けば相手は国立銀行の前頭取の鎧戸氏と聞いて雪禎も困惑。書生の話では、鎧戸氏は亡き母を贔屓にしていた上客だったらしく・・・。ここにきて、父とは別に母の過去を知る人物が登場。鎧戸氏は楓の母・まつ葉にそれはそれは入れ込んでいたが、母に選ばれたのは正二郎。氏は子供まで産んだ彼女に怒り、援助も止めてしまった。その後、まつ葉は病を患って早逝し、娘は縞田の家で女中扱いされていたと聞き大層心を痛めたのだとか。病気になったのも自分が援助を打ち切ったせいと嘆き、楓にも良ければ援助したいとの申し出に、もう自分は嫁いで幸せにやってるのでと辞退します。まぁ、これで義理は果たしたと楓は思っていましたが、何を思ったのか鎧戸氏は自分の後妻に迎えたいと話しているそうで、岩津家は大喜び。女中風情が次男の嫁に相応しくないからと離縁させる気満々の義兄の態度にどうも違和感を感じていた、彼女は素直になれない義兄の本心を知ります。その後、雪禎と義兄の間に争いが起きかけるも、鎧戸がバカなことを言ってしまったと後妻の話を撤回したことにより終了。この騒動によって、少しずつでも兄弟仲が改善して行くのかなと安心する楓と、そんな彼女を溺愛する雪禎。二人の仲睦まじい様子が描かれて本編は完。巻末のおまけは雪禎目線の楓とのお誕生日デートのお話でした。この作家さんにしては珍しくコメディっぽい内容なのと、モヤモヤ展開がほぼ無しなのは偏にヒロインの性格かな。前向きで心身共に頑丈なこの子は周囲を明るくし、仕事ぶりも優秀なので縞田の家は貴重な働き手を無くしてさぞ大変でしょうね。まあこの子はこんな所で燻ってていい子じゃないけど。それに、舅と正二郎、その妻を除くと悪意ある人はゼロと言っていいのも大きい。もうねよくある横恋慕展開とか読んでて本当に萎えるんですよ。物語の展開上、その手の存在も必要なのは判るんだけど、そういう面では安心して読めました。とは言っても歴史上この後戦争やら震災やらで色々な困難に巻き込まれそうなんだよなぁ。評価:★★★★★
2024.01.19
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1月、2月も少しあります。1月30日 講談社コミックス 傷モノの花嫁 ~虐げられた私が皇國の鬼神に見初められた理由~ 2 藤丸豆ノ助さん/友麻碧さん2月中旬予定 エタニティブックス カタブツ検事のセフレになったと思ったら、溺愛されておりまして にしのムラサキさん ノーチェブックス 虐げられた氷の公女は隣国の王子に甘く奪われ娶られる 入海月子さん アルファポリス文庫 後宮の不憫妃 枢呂紅さん3月1日 ビーンズ文庫 追放上等! 天才聖女のわたくしは、どこでだろうと輝けますので 1 佐倉紫さん ヴァニラ文庫Miel 精鋭無比の自衛官に溺れるほど愛されてます!?(仮) にしのムラサキさん3月4日 eロマンスロイヤル 亡国の悪妃 ~愛されてはいけない前世に戻ってきてしまいました~ 春時雨よわさん3月5日 ソーニャ文庫 余命わずかの死に戻り聖女は、騎士の執愛をやめさせたい(仮) 葉月エリカさん フロースコミックス 公爵夫人の50のお茶レシピ 6最近読みたいジャンルが単行本の方で多くなってきたので、発売日当日での取捨選択が難しいです(^_^;)
2024.01.18
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2021年7月刊ベリーズ文庫著者:佐倉伊織さん恋愛にトラウマを持つOLの真優。結婚・出産は無理かと悩んでいると、会社の御曹司である理人から「俺ではお前の子の父親にはなれないか?」と突然子作り相手に志願され…!?交際0日で結婚した2人。同時に妊活もスタートするが、理人は予想以上に溺甘な旦那様で…!?「そのためだけに抱くんじゃない。愛おしいからだ」-毎晩惜しみなく注がれる溺愛に、真優の心は熱く揺さぶられて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 椎名真優=教育関連会社で働くOL。元カレによるDVで恋に臆病になっていた。 小暮理人=真優の勤め先の御曹司で上司。教育関連会社「キッズステップ」で働く真優は仕事熱心でややワーカホリック気味。毎日のように残業して業務の傍ら数々の企画書を提出。しかしながらそのほとんどが採用されることはなく、上司の小暮から突き返されてばかり。そして論破されるまでがデフォだった。個人的に良いと思ったことを盛り込んでるのに、彼はあっさりそこに問題点も見つけるものだからぐうの音も出ない。それでもめげずに何度も企画書を持ち込んでは却下され、その後言い合いをしている二人は自他共に認める天敵コンビだった。だが、真優にとっては鬼上司の小暮も、実は気遣い屋で優しい人なのも知っている。少し前のこと、交際していた彼氏の束縛と横暴な態度に恐怖を感じ、逃げ回っていた真優は待ち伏せされ揉めているところに偶然居合わせた小暮に助けられた。その際、真優は殴らたこともあって彼は激怒。元カレは小暮の様子にビビって逃げたのだが、彼は真優に危険だからと早々に引っ越しを薦め、知り合いの弁護士にも相談してくれると言う。翌日にはこれまた小暮の手配で夜中にひっそりとマンションを退去することが出来た。その後、暫くは恐怖に震える日々で自宅に帰るのも怖かったのだが、ある日、小暮から元カレにこの件を秘密にする代わりに真優に二度と関わらない事を承諾させたと報告を受けビックリ。しっかり署名捺印された書類を見せられ、裏でここまで動いてくれた彼に感謝した。とはいえ、トラウマは早々消えないけれど、漸く前向きに色々と考えられそうではあった。それからまた暫く経って、相変わらず小暮からは企画書を突っ返されていたが、子供を対象とした教室案だけは少し手直しを入れれば使えそうだと採用決定。企画者として真優も携わることに。多くの子供たちと触れ合ううちに、彼女は恋愛や結婚はともかく自分の子供は欲しいと漠然と考えるようになった。同時期に友人が妊活することになり検査の結果不妊が発覚したらしい。悩みを聞いているうちに、26歳以降は段々出来にくくなるのだと聞いて28歳の真優は大ショック。35歳以上は高齢出産となりリスクも増えるようで、子供が欲しいならもう行動に移らなければ。思わずあれこれネット検索していたら精子提供云々のページを偶然小暮に見られてしまい、何を思ったのか、彼から「俺では君の子供の父親になれないだろうか」と告白されて・・・。話を聞くに、小暮もまた結婚には興味は無いものの亡き母の遺伝子を残したいと考えていたそうで、利害は一致しているからとのこと。認知もするし、費用も出すと押し切られ、なし崩しに承諾してしまった真優は一先ず検査をしようと婦人科を受診。生理痛が毎回酷いのでそこが気掛かりでしたが、結果はクロ。子宮内膜症と判り、妊娠はし難いと聞いてガッカリ。でも、不妊治療をして妊娠をすればその間は生理が止まり症状の改善にもなる。小暮と相談の上、そちらを選択したのだが、不妊治療は想像を絶する辛さでしかも何度も失敗。真優はストレスもあって精神的に追い詰められるも小暮の協力と支えにより持ち直します。その後、二人は話し合い彼からの提案もあって結婚。幾つもの治療法を試し、頼みの綱であった体外受精で真優は妊娠。悪阻の辛さも小暮の献身的なサポートで乗り切り、ラストには男の子が産まれて本編は完。巻末の番外編は本編から7カ月後の小暮目線で、離乳食を食べたがらない長男に手を焼く二人の様子が描かれています。内容は勿論面白かったし、良いお話なんですが不妊治療の大変さについても色々考えさせられました。それと、ヒロインの元カレのような暴力男は滅べばいい。この作家さんのお話は皆同じ時間線なので、たまーに見知ったキャラの名前が出てくると( ̄ー ̄)ニヤリとするのも醍醐味だと思います。弁護士の八木沢さんはわかったけど、ヒロインの親友の紬ちゃんが出てる本は未読なので、積読になってる既刊の中にあるかな(^_^;)評価:★★★★★
2024.01.17
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2023年12月刊こはく文庫著者:ひなた翠さん父と後妻、そして義妹から虐げられ、屋根裏部屋で寝起きしていた伯爵令嬢のセレナにある日、王弟・シェパードとの婚約話が持ちあがる。シェパードには黒魔術の使い手や王宮の暗部を担う暗殺者といったよくない噂が多く、縁談に苦戦した結果、厄介者のセレナに白羽の矢が立ったのだ。シェパードはセレナに興味を示さず、必要最低限の言葉しか交わさなかったが、実家で使用人同然の扱いを受けていたセレナは、彼との暮らしに幸せを感じていた。しかしセレナにはひとつ、気がかりがあった。それはシェパードが夜な夜などこかへ出かけること。夜になるとこっそりと屋敷を抜け出すシェパードの様子に、セレナは仮説を立てる。彼は吸血鬼なのかもしれない、と。そして徐々に、もし彼が吸血鬼だとして、なぜ妻である自分の血を吸わないのか、と嫉妬のような感情も覚えるようになる。そんなある日、セレナは王妃からシェパードの秘密を聞かされて……。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 セレナ=伯爵家の長女。継母と異母妹に虐げられ使用人以下の扱いを受けてい たが、アルベルトの正妻候補に選ばれた。アルベルト=吸血鬼疑惑のある王弟。 ロドニー=国王。 アリル=王妃。アルとロドニーとは幼馴染だった。 エスナ=セレナの異母妹。伯爵家の令嬢ながら、継母と義妹から虐げられ屋根裏部屋に追いやられていたセレナは、ある日、王弟・アルベルトの正妻候補に選ばれた。母が亡くなってからというもの、先妻の子であるセレナをいない者として扱い、当時愛人であった継母との娘・エスナだけを可愛がり社交界デビューさせた父もこの命令には驚いていた。しかし、飽く迄も候補、どうせ気に入られずに帰されるに違いない。追い返されても再び迎え入れる気はないのでいい厄介払いが出来たと大喜び。そんなガーナード伯爵家の面々の目論見も虚しく、追い返されるどころかセレナはアルベルトに気に入られ、正妻として扱われていた。人嫌いで表舞台に現れず、外出は夜間のみというアルベルトのことは実は吸血鬼なのではと実しやかに噂されていることから、セレナも当初はおっかなびっくり。だが、古参のメイドの話によれば、アルベルトはセレナの到着を心待ちにしていて、何着もドレスを用意し部屋を整えさせたのだと言う。世間ではガーナード家の令嬢と言えばエスナだと思われてるはず、何故彼はいない者扱いの自分を知っていたのだろうか。思い切って訪ねると、アルベルトはこの国の貴族の家族構成は全て把握しているからとの答えが。その記憶力の凄さに驚きつつも、仕事柄必要な知識なのだという話に納得した。アルベルトがセレナを妻に迎えるつもりなのを、国王・ロドニーは大層喜んでいた。兄弟仲が良いので、兄は王妃を連れて週に一度は訪れ交流しているそうで、今回初めて国王夫婦に対面となったセレナは緊張しっぱなし。男同士で話があると兄弟が書斎に引っ込み、王妃・アリルと二人きりになると、徐に身の程知らずだのアルにあなたは似合わない、三流貴族の娘風情が、と悪態が出るわ出るわ。どうやら、王妃はこの結婚がお気に召さないらしい。国王兄弟とは幼馴染とも言っていたから、変な女に引っかからないか心配なのかもしれないが、選んだのは国王陛下なんですけど。心中で思いながら、辞退しなさいと命じられほとほと困ってしまった。既に夫婦として暮らしているし、王妃とのやり取りをアルベルトに言うべきか悩むセレナ。彼はかなりの人間不信なので、心を許している人達は本当に少ない。その一人である王妃と妻が険悪な関係になられてはアルベルトも困るだろう。夫婦二人の語らいで互いの身の上を少しずつ語り、彼のことも徐々に判って来た。アルベルトの額には大きな火傷の痕があり、どうもそれが人嫌いになった原因のようで、兄の国王にはもっと大きな火傷痕があるという。人災による火事とのことだから、思う所があるのも当然だ。それからまた数日経ち、国王夫婦が訪れ相変わらず二人きりになるとまたもやアリルはセレナを糾弾。しかしながら、愛されている自信が付いた彼女は今度ばかりは自らの意志をきっぱりと告げ、その命令は聞かないと突っぱねた。そもそも、アルベルトが妻に望んでいるのに外野がどうこう言うのはおかしい。その旨、若干オブラートに包んで伝えたが、王妃は彼が愛しているのは私なのに、と聞き捨てならない言葉を呟いていて・・・。まぁ、これは王妃の独り相撲で勘違いなんですけど、こんな奴に地位と権力与えるから。とはいえ、ロドニーはこの人のこと好きなんだからしょうがない。アルベルトが人間不信になった火災の件と関係がある話なんですけど、少々話が複雑で記載すると長文になるので割愛します。王妃が火をつけたとかではないですが、兄弟に火傷を負わせた原因でした。なのに報われないロドニーさんが気の毒で。ラストに少しだけ希望があったのが救い。アリルのやらかしのせいで再構築は難しいでしょうが、火傷のせいで短命と言われているロドニーさんには少しでも長生きして欲しい。一方、セレナの境遇に怒りを覚えたアルベルトは彼女の実家に制裁を加え、いい具合に追い詰めてくれました。冷遇してた娘が王子妃になったのに、自分達は借金地獄とは。つまんないことしないで分け隔てなく育ててればいい目見れたのにねぇ。アルベルトの吸血鬼疑惑については諜報の仕事をしていたからというオチ。反国王派にガーナード家も入っていて、セレナのことも調査の時に知り、その際見初めたからでした。候補どころか、一択になるのは当然。さりげなく候補に入れておくロドニーさんの采配が憎いw評価:★★★★☆
2024.01.16
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2023年12月刊ティアラ文庫著者:蒼磨奏さん大切な幼馴染であるルーカス王子との婚約が決まり嬉しいティナ。一方、彼は自分の怪力がティナを傷つけてしまうと、浮かない顔で…。二人は結婚式まで触れ合う練習をすることに。手を繋ぐ程度だと思っていたら「ティナは誰にも渡さない」独占欲剥き出しに囁かれ、甘く巧みに愛撫される。最奥まで明け渡し、快感に満たされて。超ギャップ系王子様から誰よりも大切にされる幸せ婚! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ティナ=公爵家の一人娘。 命の恩人であるルーカスに幼い頃から想いを寄せていた。 ルーカス=王国の第三王子。 怪力の持ち主でティナに触れることを恐れている。 シャロン=ティナの叔母。アンリエッタ=隣国の王女でルーカスの長兄の婚約者。クヌート公爵家の一人娘のティナは、8歳の時に落石事故によって両親を亡くした。その際、一時だが生き埋めになっていた彼女を救ったのはこの国の第三王子・ルーカスだった。ロギス王国の王族は代々怪力で、現国王は勿論、三人の王子たちも漏れなく怪力の持ち主であった。そのことから災害時は人命救助にもよく駆り出されており、クヌート家が巻き込まれた事故にも三兄弟が駆け付け救助に当たった。しかし、公爵夫妻は死亡しており、生き残ったのは公爵の妹のシャロンと娘のティナのみ。元軍人で王子たちの教育係も務めていたシャロンは目に大けがを負ったものの、後に公爵位を継いでティナを引き取り育てている。あの事故から一年後、力のコントロールが上手くいかず荒れていたルーカスは、シャロンのいるクヌート公爵家に預けられた。屋敷にはティナも暮らしており、事故のショックで喋れなくなっていた。けれでも、お転婆な彼女は思いもよらない事をしでかしてはルーカスの手を焼かせ、ティナの世話を焼いているうちにいつの間にか荒んだ心も落ち着いて力加減も出来るように。親睦を深め、お互い無くてはならない存在になった頃、ルーカスに城への帰還命令が届いた。別れの時、ティナは言葉を発し叔母とルーカスを驚かせたが、双方遊びに行くことを約束したのだった。それから11年経ち、美しく成長したティナは、叔母と共に王城へ呼び出されるとルーカスとの婚約が決まったと知らされた。大喜びのティナであったが、ルーカスから婚姻の前に何かあってはいけないからと、彼女に触れあう練習をしたいと頼まれた。どうやら彼には懸念事項があるようだ。一応、閨教育は受けているのと、叔母も苦い顔をしつつも許可してくれたので練習に付き合うと承諾。しかし、コントロールできていたはずの力加減は、いざティナと行為に及ぼうとすると暴走してしまい・・・。ティナのあられもない姿に興奮し、特注の頑丈なベッドはルーカスの力によってあちこちにヒビが。こんなことでは彼女を殺してしまうと思い悩みますが、私はそんなやわじゃないからと励ますティナ。その頃、隣国から排斥された奴隷商がこの国に流れて来て、国境付近で人さらいが頻発しているとの報告が。隣国の王女・アンリエッタと第一王子・サイラスとの婚約も間近で、この事件は由々しき事態。それとは別にアンリエッタは怪力の持ち主と聞きサイラスとの結婚を怖がっていました。そこで、歳が近く未来の王子妃のティナにお鉢が回り、王女と交流。自らの過去を交え、ルーカスとの馴れ初めを語るとアンリエッタも漸く心を決めます。そんな中、ティナは人攫いに攫われかけたり、ルーカス共々川の氾濫に巻き込まれたりトラブルに見舞われるもお転婆気質と叔母からの教えで乗り切るという逞しさを発揮。妖精のような可憐な容姿の彼女を傷付けてしまうかもと悩んでいたルーカスは、それが杞憂だったと判り練習も大成功。無事に結婚式を迎え終わっています。割とラブコメ調なので、シリアス部分と言えば奴隷商人の横行と公爵家の悲劇くらい?変な恋のライバルとかも出てこなかったのでモヤモヤ度はゼロ。怪力の持ち主ながら繊細なヒーローと、可憐な容姿をしていても叔母譲りなのか中身は豪胆なヒロイン。いい具合にバランス取れてて、そこが面白みを増してたように思います。あと、イラストレーターさんもコメントしてましたが、9歳の頃のティナがめっちゃ可愛くてそりゃルーカスも惚れるわ、と。評価:★★★★★
2024.01.15
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2023年7月刊マカロン文庫著者:花木きなさん恋人のいない椎花は、医師である 父から外科医の律樹との結婚を勧められる 。エリートな彼とは釣り合わないと拒んでいたが、父の死をきっかけに突然プロポーズされて…!? 彼の優しさに触れ婚約を受け入れた矢先、実は結婚願望のない律樹に父が交際を頼み込んでいたと知る。偽りの愛情だったことに悲しみ一方的に別れを告げたが、直後に妊娠が発覚! 内緒で産み育てていたら、まさかの再会を果たしーー「二度と俺の前からいなくなるな」以前と変わらない甘く一途な激愛に息もつけないほど蕩かされ… 。【極秘の切愛シリーズ】第一弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 綿矢椎花=美容師として働きながら女手一つで娘を育てるシングルマザー。 八神律樹=椎花の元婚約者で救急医。 綿矢舞雪=律樹と椎花の娘。 不破=律樹の同期の心臓外科医。24歳の椎花は、末期の膵臓がんで入院していた父から外科医の八神律樹を紹介された。彼は父のお気に入りで入院する前からよく話題に上っていた人物だった。この時、大した会話はしなかったのだけれど、誠実そうな人柄に好感を持った。でも、その数日後、願いも虚しく父は亡くなり、母も既に病死している彼女は一人ぼっちになってしまった。そんな椎花に葬儀後、八神は自分と結婚して欲しいと告げた。実は八神は師匠のように慕っていた椎花の父から、娘と結婚して支えてやって欲しいと頼まれていた。しかしながら結婚ともなるといくら師匠の頼みでもおいそれと引き受けられなかった。話を立ち聞きしていたらしい同期の不破から結婚するのかと聞かれた時も思わずそんな気はないと答えていたのだけれど、葬儀で気丈に振舞い泣くに泣けない彼女の姿を見て心が決まった。突然のプロポーズに椎花も唖然としていたものの、君を支えたいんだという言葉に漸く彼女は泣くことが出来て、この決断に間違いは無かったと思う。たかだか数日の付き合いでも彼は確かに椎花に心惹かれていたから。天涯孤独になった椎花だったが、一人で暮らしていくには思い出のある家で暮らすのは精神的にキツイだろうと言うことで、八神の申し出で二人は同居することになった。一先ず数か月は結婚前提の交際期間とし、入籍はお互いの誕生日のどちらかにしようと考えていた。それから2ヶ月ほど経ったある日、椎花は偶然出会った不破との会話で衝撃を受けた。あの日の父と八神との話と、その後の不破とのやりとりは彼女にこの結婚に対して不信感を募らせるには十分な内容であった。それでも本心が知りたいと八神に問い質したのだが、思った通りの返答に一気に気持ちが冷め椎花は別れを決意。彼は最後まで別れたくないと言っていたけれど、気持ちが変わらないと判ると渋々だが応じてくれて椎花は実家へと帰っていた。あれから4年。椎花は舞雪と名付けた3歳の女の子を女手一つで育てている。別れてからすぐ妊娠に気付いたものの、八神とは一切連絡を絶っていたので子供がいることは知らせていない。お腹が大きいときに不破と再会し、別れたことを告げると余計なことを知らせた罪滅ぼしなのか以来何かと力になってくれている。そんな最中、両親の墓参りの帰りに八神とバッタリ。舞雪の年齢を聞いて自分の子だと確信した彼に思わず嘘をついてしまったが、あれは絶対にバレたに違いない。数日後、多忙なのか彼から連絡が無いことにホッとしながら過ごしていたが、親子との外出中トラブルがあり舞雪が緊急搬送されることに。その際、処置を担当したのが八神で・・・。血液型で自分の子だと確信したようで、舞雪の入院を聞きつけた不破によって真相は語られます。外科の教授であった椎花の父のお気に入りの八神に不破は嫉妬していたらしい。おまけに教授の娘と結婚したらもっと差を付けられる、そんな理由で一波乱おこしてやろうと思っていたと言う。やっぱりそんなこったろうと思ってた~~。でも、妊娠してたのに別れさせてたことを知り罪悪感があったと話す不破さんは、ちょっと引っ掻き回してやるつもりだっただけがこんな大ごとになるとは思わなかったろうな。しかし、椎花は別れを選んだのは自分自身の愚かさだったと語り、許されるならと改めて復縁を望む八神の申し出を受け入れます。正直、このヒロインが別れを切り出した理由がちょっとなぁ。八神が当初結婚に乗り気じゃなかったのが結構ネックだったみたいで、拘るのそこ?と。その間、八神の方は椎花にちゃんと好意を持っていたのだし、多分色々悪い方向に思い込んじゃう性格なんでしょうね。大好きな作家さんの一人ではありますが、ここだけ少し納得いかなかったです。書き下ろしの番外編は本編の後日談で八神目線の椎花の誕生日のお話。評価:★★★★☆別れの理由がああでなければ星5でした。
2024.01.14
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昨日迄の購入タイトル紹介です。フロースコミックス1月刊。無知だったせいで前の生では義妹にしてやられたヒロインでしたが、勉強して知恵を付けたら義妹など敵ではなかったというwキャラブン!12月刊先月買えてなかったなかった分。キャラブン!1月刊。分厚くてビックリしました。どちらも積読にならないようになるべく早めに手を付けなければ。オパール文庫1月刊モロに作家さん買いですが、まだビニールも破ってません(^_^;)あらすじを読むにやむにやまれず別れたカップルの復縁もの?マーマレード文庫1月刊ベリーズ文庫1月刊マーマレードとベリーズは昨日購入したばかりなので、記事の方は追々。いつもの購入タイトル紹介の時と画像リンクが大きいことに最後の方で気付きました。でもこっちの方が書名は見やすいかな。
2024.01.13
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2023年12月刊こはく文庫著者:夕日さんある舞踏会の夜。ユスティーナは秘かに想いを寄せている相手、エルヴェスタム公爵と遭遇する。酒が過ぎたのか苦し気な彼を介抱するため近づくと、エルヴェスタム公爵は「貴女のことが好きだ」と愛の言葉を囁いてくる。好きな人から求められる喜びを知ったユスティーナは、そのまま彼と一夜を共にしてしまう。しかし翌朝、エルヴェスタム公爵が発した言葉はユスティーナを凍りつかせた。彼はユスティーナのことをマルティナと呼んだのだ。マルティナはユスティーナの双子の妹だった。彼の想い人はマルティナだった。自分はマルティナの代わりに抱かれたのだと知ったユスティーナは絶望する。けれどこの後、エルヴェスタム公爵がとった行動は、ユスティーナをさらに絶望させる。彼は責任を取るため、ユスティーナに結婚を申し込んだのだ。「妹のことを愛している想い人に、義務感から娶られた妻」という残酷な立場に立たされたユスティーナは……。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ユスティーナ=アロラ伯爵家の長女。大人しく物静かな性格。 カレヴァ=公爵家の当主でユスティーナの夫。 当初はマルティナに想いを寄せていた。 マルティナ=ユスティーナの双子の妹。 ケイン=ユスティーナの従兄。物静かな伯爵令嬢ユスティーナには正反対な気質の双子の妹・マルティナがいる。瓜二つな容貌で美しく育った姉妹だったが、勝ち気で明るい性格もあってか妹は好かれ、皆がマルティナを選ぶ。初恋の人にきっぱりとマルティナの方が好きと言われ失恋し、数年後、婿入り予定だった婚約者までもがマルティナに懸想して婚約破棄を申し出て来たものだから伯爵家は騒然。本人は内心「ああ、またか」という気持ちで諦めも早く婚約破棄も承諾したのだけど、姉想いのマルティナは烈火のごとく怒り、姉の元婚約者に強烈なビンタをかましていた。恋も婚約も暫くはいいかと考え過ごしてきて2年経ったある日、ユスティーナはとある侯爵の舞踏会で一人の青年に一目惚れ。社交界でも女性に大人気の高級官僚の公爵・エルヴェスタム家の当主カレヴァは女嫌いでも有名で、当然ユスティーナの視線にも気付かない。以降、いくつかの舞踏会でひっそり彼を見つめていたユスティーナだったが、今夜のカレヴァはどうも様子がおかしい。友人らしき人物に随分酒を薦められてたようだから悪酔いしたのかも。ふらふらと会場の外に出た彼を放っておけず、思わず手を貸したユスティーナは使用人が用意してくれた客間でカレヴァを介抱。すると、何を思ったのか目を覚ました彼に押し倒された挙句、熱く迫られ恋慕の感情から拒み切れず彼と関係を持ってしまったのだった。翌朝、目を覚ました二人だったが、カレヴァは明らかに狼狽し、酔っていたとはいえとんでもないことをしたと土下座せんばかりに謝罪して来た。しかし、彼が自分をマルティナと呼んだことで血の気が引いた。結局この人もマルティナに想いを寄せていた口か、と。とはいえ、流された自分も悪い。責任は問わないので忘れて欲しいと言い置いて屋敷に戻ったが、今回の件は殊の外堪えた。家人も心配する中、翌朝アロラ家にカレヴァが訪れ、ユスティーナに結婚を申し込んで来た。接点の無さそうな相手なだけに両親は戸惑うばかりだが、馬鹿正直に一昨日の夜のことを語ったことで一気に微妙な空気になり、当然妹は大激怒。しかしながら責任を取らせてほしいとカレヴァから請われ、困った両親からの後押しもあってユスティーナの結婚が決まった。このスピード婚は社交界でも噂となり、令嬢達からは随分僻まれもしたけれど、努力家で勤勉な性質もあってか公爵夫人としてユスティーナはエルヴェスタム邸の使用人たちからも慕われるように。気遣い屋で優しい性格も相俟ってカレヴァも良い嫁を貰ったと大満足。当初はマルティナの気丈さに目を引かれ好意を寄せていたものの、いざ、一緒に生活して見るとユスティーナの素晴らしさに気付いた。贅沢も好まず、欲しいものはないかと尋ねれば、刺繍糸など消耗品ばかり。空いた時間で手芸品を作り孤児院に寄付するのだと張り切り、慈善事業にも積極的なので彼女が嫁いでからというもの公爵家の評判は鰻登りであった。しかし、目下のところある二人にはある悩みが。それは結婚の経緯からあの日以来、夫婦は関係を持っていないこと。カレヴァは、今となっては妻に惚れているけれど、それを語るタイミングを逃し悶々としており、一方のユスティーナは夫が自分に触れないのはマルティナに未練があるからだと勘違いしていたから。思い悩んだ彼女は身を引く決意をしてカレヴァに離縁を申し出て・・・。ケジメとして改めて想いを伝えてから夫婦の営みをと考えていたカレヴァは、紳士クラブでユスティーナが兄のように慕う彼女の従兄・ケインに相談。従妹の想いを知るケインは、それなら妻に毎日愛を囁けとアドバイス。それから毎日何かにつけ妻を褒め愛を囁く夫に戸惑うユスティーナでしたが、顔面偏差値の高い彼にドキドキしっぱなし。どうしたらいいのかと妹に相談すると、実家でよくやっていた遊びをカレヴァに仕掛けることに。それは姉妹が入れ替わり当てさせると言うもの。しかし、親でも迷うのに彼は一目で見破り、その愛を見せつけるのでした。ケインからのヒントでユスティーナがずっとカレヴァに恋していたのも判り、お互い両想いと知った彼らは以降は周囲も羨む夫婦となって〆地味女の自分より妹の方が彼にお似合いなのではと思い悩むユスティーナがなんかもう気の毒で。カレヴァもさっさと想いを伝えて君を嫁に迎えて本当に良かった的な事さっさと言えばいいのにと読んでてイラっと来ました。まぁ、求婚の言葉があの夜の責任とか口走っちゃってたからなぁ。妹と従兄がアドバイスしなきゃ本当に離婚してたかもと思うと上手くいって何より。結婚した原因からすれ違ってた両片想いの夫婦が再構築するというお話でした。評価:★★★★☆
2024.01.12
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1、2月期の追加分も。1月28日 角川文庫 鳥籠のかぐや姫 下 鶴葉ゆらさん 暁に華ひらく愛2月6日 小学館文庫キャラブン! 白天狗の贄嫁 毒持ちの令嬢はかりそめの妻になる 朝比奈希夜さん2月22日頃 角川文庫 悪役令嬢の兄の憂鬱 1 夜光花さん 結界師の一輪花 4 クレハさん2月24日 メディアワークス文庫 私はただの侍女ですのでひっそり暮らしたいのに、 騎士様が逃がしてくれません 日之影そうさん3月8日 ベリーズ文庫 幼なじみの渇愛に落ちていく【ドクターヘリシリーズ】 佐倉伊織さん タイトル未定(海上自衛官×政略結婚) にしのムラサキさん 再愛~一途な極上ドクターは契約妻を愛したい~ 和泉あやさん ループ9回目の公爵令嬢は因果律を越えて王太子に溺愛される 小嶌あおいさん マーマレード文庫 クールな御曹司と始まった子育てで、 溺愛過多な深愛に絡めとられました(仮) 田崎くるみさん 俺の愛をわからせてやる~エリート警視正は離婚をせがむ年下妻に 激情を刻み込む~(仮) 砂川雨路さん 再会してしまったので、夫婦になりましょう 一ノ瀬千景さん ~政略花嫁は初恋御曹司の狂愛から逃げられない~(仮) 記憶をなくした旦那様から、 契約婚なのにとろ甘に溺愛されています(仮) 若菜モモさん3月期の発行予定がいよいよ出始めて来ましたが、年度末のせいかベリーズとマーマレードのラインナップがエグイです。人気作家さんを集めました、的な(^_^;)この日だけで結構な金額が飛びそうだけど、読むのは楽しみ。
2024.01.11
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2023年12月刊スターツ出版文庫著者:夏みのるさん人間とあやかしの混血である“稀血”という特別な血を持つ深月は、虐げられる日々を送っていた。奉公先の令嬢の身代わりに縁談を受けることになるが、祝言の夜、あやかしに襲われてしまう。深月を守ってくれたのは、冷たい目をした美しい青年ーー最強の鬼使いと名高い軍人・暁だった。「ずっと待っていた。君と出会う日をーー」ある理由から“稀血”を求めていた暁は、居場所の無い深月を偽りの花嫁として屋敷に連れ帰る。最初はただの偽りの関係だったはずが…傷を秘めたふたりは徐々に惹かれ合いーー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 深月=あやかし『禾月』と人との混血「稀血」の少女。 養父の残した借金返済のために奉公女中として働いている。 朱鳳暁=妖刀使いの軍人。はぐれの禾月に襲われていた深月を救った。 麗子=老舗和菓子店の一人娘。深月を目の敵にして虐めていた。産まれてすぐに両親から捨てられ、養父・貴一の援助で育った深月。しかし、15歳になったある日、貴一は何者かに襲われ命を落とした。悲しみに暮れる深月だったが、貴一に借金があることが発覚。当然、天涯孤独の彼女に支払える額ではなく途方に暮れたが、養父の友人だと名乗る老舗和菓子店・庵楽堂の大旦那が肩代わりしてくれることにとなった。だが、大旦那は深月に奉公女中になることを強要。以来、彼女は屋敷に住み込み働き出したのだが、深月の美しさと佇まいに女将と娘の麗子が嫉妬し、壮絶な虐めを受けるように。特に麗子からの当たりが酷く、主人がそうだからと他の女中たちからも仕事を押し付けられ寝る間もないほど忙しい日々を過ごしている。女学校に通う麗子の宿題や持ち返りの刺繍なども深月が引き受け、女中たちの意地悪で範疇外の仕事のミスも全て彼女のせいにされた。おかげで深月の身体には麗子の虐めと折檻によって生傷が絶えないそれでも何とか屋敷で4年過ごしていたのだが、ある時大旦那に呼び出された彼女は天子の親族に嫁ぐよう命令された。老舗和菓子店とは言え平民。やんごとなき家柄からの命では娘を嫁がせなければならない。例えそれが女癖が悪く何かと悪評の多い男の所であっても。だが、本妻ならともかく妾の一人ともなると渋りたくなるのも当然で、代わりに深月はどうかと薦めたら先方はあっさり承諾したそうだ。深月は親もいないから身代わりとして嫁がせるのに丁度良い。加えてその美しさはあちらもさぞ気に入るだろう。これで援助金も定期的に貰えるはず。内心で絶望していた深月に自由意志などなく、嫁ぐなら借金はチャラにしてやると言われ、彼女は早々に先方の屋敷に行かされた。だが、初夜の時、麗子に負わされた腕の傷が開いて出血。その香りを嗅いだ夫が豹変して襲われた深月は間一髪、軍服を着た青年に助けられたのだった。ショックで気を失った彼女が目覚めると帝国軍の施設で、あやかしを狩る特命部隊の宿舎であった。深月を助けた青年は特命部隊部隊長の朱鳳暁と名乗り、彼女を襲ったのはあやかしで、その血の香りで正体を現したのだと告げた。よくよく説明を聞くに深月は希少な「稀血」の持ち主らしく、今まであやかしに見つからなかったのは奇跡に近いという。どうやら貴一がくれた組紐に付いていた石が「稀血」の香りと気配を遮断していたようで、祝言の日、最後の麗子の虐めでそれが切れたのが原因ではとのこと。「稀血」とは『禾月』というあやかしの一族の者と人間との混血の者を指すのだが、現存数は極めて少ない。そして特殊な力を持つともされていて何かと狙われる存在なのだそうだ。そこで、暁からの提案でこの宿舎で彼が直々に保護するとして、周囲に気取られぬよう暁の花嫁候補という名目で匿われることに。宿舎での生活は庵楽堂での生活とは180度違い、お世話をしてくれる女中まで付いて戸惑うばかり。隊士の中には「稀血」というだけで深月を毛嫌いする者もいたけれど、それ以外は平穏な毎日を過ごしていた。一見とっつきにくく見える暁はぶっきらぼうだが優しく、食事を共にし言葉を交わすようになると少しずつだが打ち解けてきたように思う。それでも卑屈な性格は治らず、つい気まずい雰囲気にはなってしまうのだが。そんな最中、深月の不注意からあやかしに襲われ、助けに来た暁が負傷。毒も受けてしまったようで意識不明の彼を見て自分を責めていた彼女は暁の妖刀から話しかけられ、自分に癒しと浄化の力があることが判り・・・。養父によって隠されていた深月は自分が「稀血」であることを19歳になるまで知りませんでした。本来なら然るべき所で保護(+監視)される存在だったのに、暁は奉公女中としてこき使われていた彼女のことを不憫に思います。同情もあったんでしょうが、段々お互いに二人は惹かれ合い、みたいな展開に。庵楽堂の面々はクズの集まりで借金のことも実は、という真実がラスト近くで発覚。だよねー、だと思ってた。それまでの悪事も露見し、いい具合に報いを受けて転落してったのでこの顛末にはスッキリ。やっぱり、不遇ヒロインものはこの手のザマァが無いとね。深月についても調査の結果色々判明して親族とも対面。この親族、某カヲルくんを思い出すんで脳内ではあの声優さんの声で読んでましたw暁の仇の「稀血」とか、深月の実の親関連など、まだ色々謎があるのできっとシリーズものですね。評価:★★★★★
2024.01.10
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2022年3月刊マーマレード文庫著者:真彩-mahya-さん豪雨災害で航空自衛隊に救助された亜美は、友達に誘われた航空祭で、助けてくれた自衛官・健心と運命的な再会を果たす。命の危険がある職業の人とは付き合わないと決めていたけれど、親友の息子を引き取り男手一つで育てている健心の誠実さと、彼の猛アプローチにときめきを隠せない亜美。さらに、迸るほどの愛を一身に受け、抗うことができなくて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 水原亜美=こども園に勤める保育士。 豪雨災害で被災した時に秋月に救助された過去を持つ。 秋月健心=航空自衛隊の一等空尉。 親友の忘れ形見である悠心を引き取り育てている。 秋月悠心=両親が亡くなり剣心の養子になった二歳の男の子。こども園で働く亜美は、6年前故郷で豪雨災害で被災し消防士だった父を亡くした。亜美自身も押し寄せる洪水によって避難もままならない状況だったのだが、ベランダに必死にしがみ付いていた彼女は自衛隊によって救助され生き延びることが出来た。母も既に鬼籍に入っていたので、天涯孤独になった彼女は母方の叔母が親代わりをしてくれて、短大にも行かせてもらった。叔母一家には感謝してもしきれない。そして、父が職務中に亡くなったこともあり、亜美はそれ以来命の危険がある職業が苦手だ。親しくなった人が仕事が原因で亡くなったらと思うと、恋愛対象からは除外してしまう傾向にあるのも無理からぬことだった。そんなある日、短大時代の友人で同じく保育士の萌にどうしてもと誘われ、自衛隊基地で開催されるという航空祭に付き合わされた亜美は、迷子になっていた一人の男の子を保護した。職業柄放っておけず一先ず迷子の預かり場所にと思っていたが、すぐに父親らしい青年が現れ無事に引き渡すことができてホッとした。青年は秋月健心と名乗り、航空自衛隊員だという。道案内していたら、うっかり息子を見失ってしまったのだと亜美に平謝りしていた。しかし、彼女の顔を見て秋月は何かに気付いたようで自分と会ったことは無いか?と尋ねた。言われて見ればと、よくよく見るとあの時自分を救助してくれた自衛隊員ではないか。思いがけない偶然に盛り上がったが、この話には続きがあって亜美の父の遺体を掘り出してくれたのも彼らで、遺体安置場で父の遺体と対面し泣き崩れる亜美の姿を見てずっと気になっていたらしい。今は保育士をしていると聞いて胸を撫でおろしているのを見ると、良い人なんだろうなと思う。これも何かの縁だと食事に誘われたが連れがいるし、奥さんに悪いと辞退すると、なんと独身とのこと。この男の子は事情があって引き取り育てているそうだが、独身男性に子育てはさぞ苦労も多い事だろう。亜美が保育士と聞いてアドバイスしてもらいたいのだという。その言葉に命の恩人の頼みだしと快諾。連絡先を交換したのだが、後に彼が戦闘機のパイロットと聞いて少し後悔している。母親が手を貸してくれているとは言え、やはり子育てはかなり厳しいようで、色々切羽詰まっていたのだと話す秋月は、あの後すぐに連絡を入れて来た。複雑な心境ではあったが約束なので、子育ての相談に乗り好き嫌いについての対処法もアドバイスした。悠心を引き取った理由も、自分と似たような境遇の亜美には刺さり、正直避けたい職種の人だと判っていても、秋月の誘いを断れずにいた。そして、この再会に運命を感じたのか、彼から交際を申し込まれた亜美は、少し葛藤もしたけれどいまとなってはかなり絆されており、付き合いを承諾。しかも秋月の押しの強さに負けて同居まですることに。かといって緊急出動もあるからその間の悠心のことも気になっていたので、実際に面倒を見た方が気は楽。悠心も随分懐いてくれているし、子供の扱いも慣れているからと高を括っていたのだが、まだ籍も入れてないのに連れ子と暮らしているような状態は思っていたよりトレスだった。そんな状況下、秋月が任務で長期間留守することになり・・・。任務なのでいつ帰るとか何処に行くなどは守秘義務で話せないから、待てど暮らせど何の連絡もないので亜美はイライラと共に心配でしょうがない。あの日の父も救助活動に向かって結局帰ってこなかったという経験があるだけに不安になるのも当然で、仕方ないとは言え、これはキツイわと。ミリオタの萌から説明されて、連絡できないのは理解できても亜美はトラウマを刺激されまくりになっていました。結局、一か月後に彼は無事に帰って来たけれど、亜美の機嫌が悪くなっても当たり前。この辺のやり取りは読んでる方もそうなる。その後、相手が自衛隊員と聞いた叔母に結婚を反対されたり、亜美が土砂災害に巻き込まれたりと色々起こるものの、困難を経たおかげで二人の絆も深まって、秋月からプロポーズされて終わっています。被災して父も亡くしたヒロインが運命の出会いでトラウマを克服していくと言う、この作家さんでは珍しくテーマ自体はかなりシリアスな内容でした。そのせいか、コメディ部分はほとんど無くて、いつものようにヒロインによる独特な面白モノローグは鳴りを潜めてた印象です。実はこういうお話だと思っておらず、世間的にタイムリーだったことからかなり刺さるストーリーでした。評価:★★★★★
2024.01.09
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2023年12月刊ベリーズ文庫著者:皐月なおみさん唯一の家族だった母を亡くした日奈子。喪失感を抱える中、大手ホテルグループの御曹司・宗一郎に求婚され戸惑いを隠せない。とある事情で幼い頃から一緒に過ごしてきた彼は憧れの存在。しかし立場の差から、恋することは許されなかった。好きになってはいけないのにーー「生涯かけて君の笑顔を取り戻す」宗一郎の限りなく深い愛に絆される日向子。閉ざし切っていた心もやがて甘く溶けていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 鈴木日奈子=コンシェルジュ。長い間宗一郎に片想いをしていた。 九条宗一郎=大手ホテルグループの御曹司。 鳳美鈴=旧財閥家のお嬢様で有名なモデル。大手ホテルグループ・九条ホテルでコンシェルジュとして働く日奈子は、たった一人の家族である母を病気で亡くして以来、喪失感に苛まれていた。何をするにも悲しくなって楽しみすら見つけられない。母が残してくれた娘の為の覚書が綴られたノートを読み返しては虚しい日々を過ごしている。そんな彼女を気に掛けてくれたのは九条家の人々だった。日奈子の母は長年九条家の住み込み家政婦をしており、亡き前社長・富美子のお気に入りだった。気難しい富美子に誠心誠意尽くしてくれたと現社長夫婦にも感謝されていたほど。そのせいか、母の娘である日奈子は彼らに大層可愛がられ、7歳年上の九条家の一人息子・宗一郎に至っては厳しい富美子の教育の合間を縫って彼女の世話をしてくれた。当然、日奈子は彼に懐き実の兄のように慕っていたが、高校生にもなると恋心に変わりモテる宗一郎に恋人ができる度に心を痛めていた。でも、自分は使用人の娘で彼は旧財閥家の跡取り息子。実は母も格差婚で苦労した経緯から、娘に絶対に格差婚だけはするなと常々言い聞かせていた。それに富美子が宗一郎に結婚はそれなりの家の人としなさい、と話をしていたのを偶然耳にして日奈子の恋は決して叶うことはないと悟ったのだった。そんなある日、元気の無い彼女を気遣った友人に飲み会に誘われた日奈子が、参加者の男性に無理矢理どこかに連れ込まれそうになった所を宗一郎に救われたことをきっかけに二人の関係は大きく変化。普段からこの手の飲み会の参加を禁じていた彼に怒られ、つい、母が死んで寂しいから結婚したくなったのだと言い返した。すると、何を思ったのか宗一郎は、なら俺と結婚しようといきなりのプロポーズ。最近、週刊誌で世界的なモデルの美鈴と結婚間近だと報じられたくせに、冗談にもほどがある。思わずその件を尋ねると否定も肯定もしないのはどうやら事情があるらしい。そのうち無くなる話だし俺の本命は日奈子だと言う彼を信じていいのか。それ以前に例のノートに書かれていた、宗一郎を好きなってはいけないと母の遺言を思い出すと、このプロポーズを受け入れる訳には行かなかった。心を鬼にして宗一郎のことは恋愛対象として見れないと断った日奈子だったが、告った以上は絶対に諦めないと、この日以来、宗一郎の猛アタックが始まった。暇を見つけては日奈子の住むマンションを訪れ、手仕事の好きな彼女のやりかけの手芸にまで付き合う彼に呆気にとられつつも、子供時代によくこうして遊んでくれたり勉強を教えてもらったことを思い出した。彼は失敗したと思う料理まで世界一美味いと称賛するけど、そういえばこの人はどんな結果になっても褒めてくれたっけ。総じて九条家の面々は日奈子に甘く、社長夫妻が天涯孤独になった彼女を養子にしたいと申し出て来た時は驚いた。食い下がる彼らにそこまでしてもらうわけにはと必死に辞退したほど。あの人達ならもしかして宗一郎との結婚に反対しないかもしれないが、気になるのは富美子の言葉で・・・。故人の意向とか気にしないでもいいのに、と思い読み進めると、あの富美子さんと宗一郎の会話の意味を日奈子が取り違えていたことが後に判明します。富美子さんは厳しいながらも、仕事が大変だからこそ良い家柄とかよりも、本当に好きで支えになってくれる人を選べと言っていたらしく、それが彼にとっては日奈子だったというオチでした。まぁ、これは実体験もあって日奈子の母も曲解してたからああいう遺言を残してしまったわけですが、このお母さんの気持ちも判るんですよねぇ。なんか意図せず呪縛っぽくなっちゃってたのは不本意でしょうけども。でも、宗一郎の両親は日奈子に本当の家族になってほしいから、どうせなら息子の嫁にと望んでいたのは幸いでした。九条家の人達の真意も判り、美鈴本人からも宗一郎との仲を否定されたことから、日奈子は彼の求婚を受け入れることを決意。半年間の同棲後、結婚して終わっています。書き下ろしの番外編は本編から1ヶ月後のラブラブラブな二人のお話。評価:★★★★★ヒーローのブレなささが良いです。
2024.01.08
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2023年3月刊エタニティ文庫著者:にしのムラサキさん勤め先が倒産した日に、恋人にも振られた凪子。これからどうしたものか……と思案していたら、偶然そこに現れた幼なじみの海上自衛官・康平からいきなりプロポーズされた! 勢いに流されてOKし、始まった新婚生活だけれど……旦那様は不器用ながらも甘く優しく、とことん一途。おまけに職業柄、日々鍛錬(たんれん)を欠かさないものだから精力絶倫! 溢れるほどの熱情で、凪子は身も心も溶かされてーー? 妻一筋のコワモテ夫と恋に鈍感なユルふわ妻のキュン甘?溺愛ライフ、文庫だけの書き下ろし番外編も収録! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 鮫川凪子=アラサーの元OL。 勢いで応じた求婚によりエリート自衛官の妻になった。 鮫川康平=海上自衛官。幼い頃から凪子一筋で再会した際にプロポーズした。 裕之=凪子の元カレ。勤め先が倒産し無職になった凪子は長年付き合っていた彼氏にフラれ一人やさぐれていた所、数年ぶりに幼馴染の康平と再会した。今の状況を話し、今はフリーだと溢すと康平は俺と結婚してくれないかといきなりのプロポーズ。康平とはお互いの家がご近所さんで高校卒業まで毎日顔を合わせていた仲だが、てっきり恋愛対象として見られていないと思ってたのに何がどうしてこうなった。その場は一先ず別れたものの、翌日バラの花束を持って実家に訪れた彼の姿に母親が盛大な勘違いをかましてくれて、交際してたのは康平だったのねと大喜び。それもそのはず、彼は海上自衛隊の士官でエリートコースまっしぐら。そんな人と結婚すれば将来は安泰だ。盛り上がってる母を他所目に、普段はキリッとしている彼も実はぼんやりした性格なのを思い出した。なんか私がここで断ったらいずれ悪い女に騙されて自殺でもしそうで怖い。そんな失礼なことを考えながら、つい流されて凪子はそのプロポーズを受け入れたのだった。海上自衛官は訓練などで海上にいることが多く、その兼ね合いで二人が結婚するまで1年近くかかった。が、お互い気心は知れているので交際期間をすっ飛ばして婚約者となり、いざ結婚に至っても当初凪子はあまり関係性の変化を感じていなかった。しかし、康平の方は凪子を溺愛。こいつってこんなに暑苦しい奴だったっけ?と戸惑いつつも、何だかんだと彼がいないと調子が狂う。入籍してすぐに佐世保に転勤になっても喜んで付いて来たし、専業主婦で良いと言ってくれている。こういう所が元カレとは違うんだなとしみじみ。よくよく思えば元カレの裕之は俗にいうモラハラ気質で、かねてより専業主婦は寄生虫だと見下していた。だから無職になった凪子をあっさり捨てたのだ。今思うと本当に理不尽で腹が立つ。でも康平がいない間は暇なので、週二ではあるがハンバーガーショップでパート務めすることに決めた。そんなある日、店に裕之が偶然訪れて二人はバッタリ。実は新婚旅行後にSNSで結婚報告した際に、俺に黙って結婚したのかと噛みつかれたのだが自分で振って置いて、その言い分に唖然。彼の話では再就職すればまた付き合いを再開するつもりだったらしい。さすがに勝手すぎると切り捨て、それから連絡は無かった。なのに、どうやら彼も佐世保に転勤になったという。海上自衛官と結婚し悠々自適な生活をしているんだろうと凪子を馬鹿にし、例の専業主婦を馬鹿にする持論を言い始めた時は心底呆れた。とはいえ、店長たちの怒りを買い追い出された挙句出禁にされていた。二度と会いたくないけれどもし近所に住んでるとしたら嫌だなー。別れて改めて判る、なんでこんな奴と付き合ってたんだろう。貴重な20代を返して欲しい。康平が訓練から帰って来れば、でろでろに甘やかしてもらって幸せな気分を味わえるのに。すっかり康平がいないと生きていけない体質になった凪子は、偶然知った勤め先の店長たちの複雑な恋模様をじれったく思いながらも、プライベートでは幸せを満喫していた。しかし、裕之は今更ながら凪子が惜しくなり、彼女を付け回すと言うストーカー行為を繰り返し・・・。このクソモラハラ男は世の中の専業主婦の皆さんに袋叩きにされても文句言えませんね。案の定、この持論を職場でも言ってて同僚達もドン引き。こいつ絶対友達すらいないだろう。凪子はぼんやり+にぶにぶな性格だったから付き合ってこれただけで、そんな彼女を溺愛する康平と結婚した今では元カレの酷さに気付き、復縁を望まれてもとんでもない。ましてや後を付けられていたことが判り、当然夫に報告すると、康平の兄が警察のお偉いさんだったこともあり裕之は御用。まぁ、凪子のことを脅してもいたので脅迫罪とどうも別件で警察にマークされていたらしく、その後彼女達の前から姿を消します。罪状的に相当絞られただろうから仕事もクビだろうしイイ気味。この騒動後、今イチ康平に対する気持ちが判ってなかった凪子は漸く自分の気持ちに気付き、恋心を自覚。めでたくラブラブ夫婦となり、第一子も授かって終わり。文庫版の書下ろしは後日談で康平目線の長女・希が産まれてんやわんやの鮫川家の日常のお話でした。終始コメディ調であっという間に読み終えてしまいました。ぼんやりで少し鈍い似た者同士が結婚したら?的な内容で、明るい話が読みたい方におススメです。評価:★★★★★
2024.01.07
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2019年2月刊ベリーズ文庫著者:佐倉伊織さん大手文具メーカーで働く鈴乃は、とある事情で親の借金を返済していたが、それを会社の御曹司・渡会に知られてしまう。「俺がお前を守る。だから結婚しよう」ーー彼が提案したのは借金を肩代わりし、鈴乃と結婚するという交換条件!? ためらう鈴乃だったが、押し切られるように甘い新婚生活がスタート! 恋を知らない初心な鈴乃の態度は知らず知らずのうちに彼の独占欲を煽ってしまい…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 高遠鈴乃=大手文具メーカーに勤める会社員。美人でデキる女を演じている。 渡会瑞希=鈴乃の先輩社員で営業部のエース。渡会まどか=瑞希の妹。大学時代、憧れの人に地味女と揶揄されて以来、悔しさからファッションやメイクを独学で研究して来た鈴乃。今となっては美人でデキる女として社内では高嶺の花扱いされている。我ながら涙ぐましい努力をして来たのでその評価自体は嬉しいのだけれど、付随して恋多き女とも言われているのには困惑している。なんでも付き合う男はハイスぺばかりで、今のお相手は外資系のエリートだとか。この噂も相俟って鈴乃にモーションを掛けて来る猛者は少なく、26になっても彼女は恋愛経験ゼロだった。こんなはずでは、と思いつつもかと言って今となってはこのスタイルをやめる訳にもいかない。実はエクセルが苦手だったり、頼まれたらイヤと言えないと言う性格など改善点は山積み。加えて現在進行形の悩みは鈴乃の生活をひっ迫させていた。そんなある日、苦手な書類作成で四苦八苦していた鈴乃はたまたま居合わせた先輩社員の渡会に助けられ、夕食までご馳走してもらってしまった。しっかりエクセルがからっきしなのがバレて顔から火が出る思いもしたが、少々意地悪な彼の素顔が垣間見れたのは役得かもしれない。遅くなったからと送ってくれた渡会に礼を言っていると、部屋のドアにこれ見よがしに督促状が張り付けられていて血の気が引いた。今月の支払い期日はまだ先のはずなのに。どう言い繕おうかと考えていたら問い詰められて渋々事情を説明することに。去年急逝した鈴乃の父は友人の連帯保証人になっていたらしく、それが法定外の利息を取る闇金だったことから払い切れずに友人は夜逃げ。支払い義務が高遠家に降りかかってしまった。コツコツ貯めていた貯金で多少は返済できたが、とにかく利息が高く中々元本が減らずな状況なのだと。眉をひそめて事情を聴いていた渡会はどこかに電話すると闇金業者の名前や借入状況を話し、処理を頼んでいた。聞けば、この手の案件に強い弁護士の友人がいるそうでもう心配はいらないと言う。しかも元本に関しては一先ず渡会が出すからとの言葉にそこまでしてもらうのは、と固辞すると、なら俺と結婚しようとぶっ飛んだ返答が。家族なら出すのは当然とどこ吹く風。それ以前に結婚するとは言ってないんですけど、と戸惑ったが確かに一旦借金は綺麗にしてしまった方が良い。完済まで時間はかかってしまうけれど渡会には毎月少しずつでも返済して行こうと決意した。翌日、改めて彼に礼を言うと早々に件の弁護士が動いてくれたそうで、あのバカ高い利息分はチャラとなり、残った金額も弁護士を通して返済完了となっていた。いくら利息分が減ったとは言えかなりの額なのに、ポンと一括で出せるとは彼はもしかしてどこぞのお坊ちゃまなんだろうか。分割で返済して行くからと話すと嫁さんなんだから気にするなと笑う彼はどこまで本気で言ってるんだろう。それでも食い下がると、なら俺の家で料理を作ってほしいと言われ、なし崩しに同居する羽目に。高級マンションにビックリしながらも、鈴乃の作る家庭料理に喜ぶ渡会に段々心惹かれていく鈴乃。大きな悩みが減ったことで心も軽くなり、兼ねてからの夢である手が不自由な人の為の文具の販売を会社に提案。渡会も賛同してくれて企画会議に出すと何とか案が通って彼共々開発に着手。その頃には、冗談かと思っていたあのプロポーズが本気と判り、受け入れた彼女は結婚の挨拶で渡会の実家に行くとそこで鈴乃の幼馴染であるまどかと再会。まどかは事故で車いす生活となり手も少し不自由となった。絵が上手だった彼女のために少しでも役立てる文具が作りたい。それが現在進行形のプロジェクトを提案した理由であった。しかも実は渡会は、鈴乃が子供時代に憧れていたまどかの兄だと判り・・・。これは鈴乃が判らなかったのは無理もなしでして、渡会兄妹の両親は当時離婚しており母方の名字だったんですが、まどかの事故を機に復縁し渡会姓に戻ってたのでした。まどかは鈴乃の献身のおかげで再び絵を描き始め、今では色鉛筆画家として画集まで出すほどの腕前に。渡会家の人々は鈴乃のことを救世主だと感謝。でもそれだけで渡会が彼女を嫁にと希望したわけではなく、昔小学生だった鈴乃からお嫁さんにして欲しいとお願いされていたからだったのです。本人すら忘れてたのでそういえば、と漸く思い出した彼女と、律儀に約束を果たした渡会。とは言え、会社で再会してからの彼女のことも好ましく思っていました。まぁ、いくら恩人でも将来を共にする人のことはしっかり見極めてますよね。そして、渡会が自分が勤める文具メーカーの会長の息子と知って再度ビックリ。てか、タイトルも御曹司だし、あらすじでバラしてた(^_^;)ここまでは割と幸せモードなんですが、高嶺の花を装ってた弊害で勘違いな輩たちに目を付けられていた鈴乃はトラブルに巻き込まれます。一人は女癖が悪くあちこち手を出しては退職に追い込んでた第一営業部の課長。もう一人は鈴乃を地味女と蔑んだ大学の同期。どちらからもピンチに追い込まれるも夫となった渡会に追い払われ、社会的制裁も食らわせます。こいつらマジで胸糞案件だったので徹底的に潰してくれた渡会の対処にはスッキリ。文房具と持ちやすさを考慮した補助具の開発は試行錯誤の末に完成に至り、異例のヒット作となると自分に自信が無かった鈴乃も変わっていきます。あの借金発覚から1年後、二人の結婚式のシーンでEND渡会がホントにスパダリでした。この人が鈴乃のことをずっと見守ってくれてて良かった。なにせ、鈴乃がクズ男ホイホイでしたからね。彼がいなけりゃどうなってたことか。評価:★★★★★
2024.01.06
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2022年6月刊オパール文庫著者:玉紀直さん優しくて紳士、完璧すぎる御曹司の高太郎。婚約者の瑠奈は平凡な自分が彼にふさわしくないと思い込み、別れを決意。せめてもの思い出に抱かれたいと告げると「俺の好きなようにさせてもらう」激しい愛撫に喘ぎ、何度も剛直で貫かれ絶頂を迎える。それでも彼の欲望は衰えを知らず…。「絶対に離さない」きつく抱き締められ、胸が高鳴る。諦めてくれない御曹司の執着愛! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 神田瑠奈=サブコン会社社長令嬢。完璧すぎる婚約者のことで悩んでいる。鳴海高太郎=大手ゼネコン会社の御曹司で瑠奈の婚約者。親同士が友人という関係から、婚約が決まった瑠奈と高太郎。彼は8歳も年上で、こんな子供が相手でいいのだろうかと申し訳なくなったが、高太郎は何をするにも瑠奈が第一に考え、接した。かれこれ8年の付き合いになるけれど、彼が完璧であるほど瑠奈は居た堪れない気持ちに苛まれるように。8歳差なんて縮めようもないから、せめて釣り合う女性になりたいと勉強や習い事、美容にも力を入れた。でもどんなに努力しても自分は彼に相応しくないと思ってしまう。あんなに素敵なのに、こんな自分に8年も。社会勉強のために父の会社に勤めてからというもの、多忙だろうに残業になると必ず車で迎えに来てくれるので同僚達にも高太郎は何かと有名だった。今日も瑠奈を迎えに来ていた高太郎は、そつなく彼女をエスコートし、景色の良いレストランで夕食をご馳走してくれた。なんかもう至れり尽くせりなんだよなぁ。いい加減彼を解放してあげなければ。思い切って高太郎に婚約を解消したいと告げると、彼はそれが瑠奈の望みならと承諾。なんだか随分あっさり受け入れたなと聊か拍子抜けしたけれど、正直言えば高太郎のことは好きで堪らないし別れたくはない。ただ、このまま自分といても彼のためにならないから相応しい人を見つけて欲しいと告げた。最後の最後で高太郎にせがんで一線を越えるなんて未練がましくもあったけど、これで吹っ切れた。しかし、あれから2週間。張り合いが無くなったせいかどうにもやる気が出ない。自分磨きにも身が入らず、仕事でミスをしないだけマシかという状況。先輩に指摘され、こんなんじゃいけないと、今まで縁が無かった合コンとか誘いがあれば行ってみようかと考えていたら、丁度同僚からお誘いが。どうやら幹事が取引先の専務らしく、今後の仕事にも有利になるからと頼まれ、そういうことならと引き受けた。一方、高太郎は親友に瑠奈の魅力を長々と語りウザがられていた。彼は瑠奈のことがとにかく大好きで、彼女のことが最優先というスタンスだった。友人にはそれが嫌がられたんじゃとからかわれたが、婚約解消に応じたのも瑠奈の望みだったからで結婚を諦めたわけではなかった。そもそも、今回に限らず彼女の希望でもう3回も結婚を延期しているので高太郎の我慢強さは筋金入り。瑠奈一筋なのでその手の接待には応じず、女遊びなど以ての外。おかげで不能かもしくは男色なのではという噂があることも知っている。瑠奈の父親にはそのことで平謝りされており、娘の我儘で申し訳ないと言っていた。本来なら高校卒業してすぐに嫁がせるはずが、大学に行きたいと言われて延期。大学卒業まで延期したまでは良いが今度は社会勉強がしたいと2年の延期。そして今回は婚約解消と来た。瑠奈の父もさぞかし胃が痛いことだろう。とはいえ、高太郎自身が彼女の望みなら何でも叶えてあげたいのだ。それに、情報通の友人の秘書の協力もあり、瑠奈についていつもアンテナは張っている。今夜も彼女の情報が入ったのだが、瑠奈が参加する飲み会の幹事があまり良い噂を聞かない人物で眉をひそめた。その頃、高太郎の嫌な予感は的中し、瑠奈は帰ろうとした際路地裏で取引先の専務に襲われ・・・。この危機に間一髪高太郎が現れ事なきを得ますが、そこから二人の関係が微妙に変化。今までより頻繁に会うようになって、その度に求められるのでこれってセフレになった感じだ。しかし、瑠奈は未練たらたらなのでズルズル関係は続くも、以前から関係を疑っていた彼の秘書が結婚すると聞き、相手は高太郎だと勘違い。再び身を引こうとします。が、この誤解もかなりの終盤なので解けるのも早かった。瑠奈は自分なんかでいいのかと悩んでいたものの、彼にしてみれば彼女しか欲しくないので完全な杞憂だったと言うオチ。それを思い知らされ、彼からのプロポーズを受け承諾。ラストは結婚式のシーンで終わっています。なんというか、思い込みの激しいヒロインだったなー。あんなに尽くされてても自分なんかに勿体ないとか思っちゃうから、さすがに読んでて少しイラついてしまった(^_^;)その反面、ヒーローの心情がとにかくヒロインLOVEだったので妙な安心感が。まぁ、なんでも彼女の思う通りにを実現しちゃうからこんな騒動になったわけですけど(苦笑)何事もほどほどに。ぶっちゃけ、あなたたちに足りないのは本音を交えた会話では、と。ラブラブカップルがお互い好き過ぎたせいで周囲をやきもきさせてしまうというストーリーでした。評価:★★★★☆
2024.01.05
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2023年12月刊マーマレード文庫著者:小日向江麻さんある日事故で記憶を失った礼乃。名前や年齢も忘れた彼女は、夫だという大手百貨店の専務・透哉に過保護に見舞われ、どう接すればいいか思い悩む。さらに自分たちには3歳の娘がいると知らされ…!戸惑うも、礼乃は娘に寂しい思いをさせまいと、母として愛情を注ぐと心に決める。そんな彼女と娘に寄り添う透哉は、礼乃の不安も熱情で蕩かしていきー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 緑川礼乃=透哉との結婚4年目に事故に遭い、6年分の記憶を失くしてしまう。 緑川透哉=大手百貨店の後継で専務。礼乃と政略結婚した。 緑川礼佳=透哉と礼乃の娘。 緑川璃子=透哉の8歳下の妹。 国分瑛司=璃子の大学の同期で彼氏。緑川礼乃はある日、自損事故を起こし救急搬送された。目覚めた彼女は29年の人生すべての記憶を失くしており、ずっと付き添ってくれていた夫の透哉のことすら覚えていなかった。彼の話によれば2週間も意識不明だったらしい。その後医師の診察を受け、結果は逆行性健忘とのこと。検査結果にも異状は無いので心因性だと診断されたが、見舞いに訪れた両親のことすら覚えていないので礼乃は不安に駆られた。特に夫だと言う透哉への不信感はすさまじく、毎日見舞いに訪れる彼に悪いと思いつつも合うのを拒んでいた。しかし、拒否し続けるのも限界がある。記憶喪失が心因性なら怪我が治れば退院しなければならないのだから。当初は母の薦めで実家で静養しようと思ったのだが、ここは透哉が譲らず今まで通りの生活をした方が良い刺激になるだろうと夫婦が暮らしていたマンションに帰ることに。そして、急に会ったら驚くと思うからと退院前に聞いた話では二人の間には3歳になる娘がいるらしい。なんだかんだとうすぼんやりとではあったけど、23歳くらいまでの記憶は戻ってきており、その頃の透哉のことも思い出してはいた。大学の同期であった彼を礼乃は毛嫌いしており、透哉も負けじと憎まれ口ばかり。決して良好な関係ではなかったはず。その彼と自分が結婚し、娘まで産まれていたと言うのだから、内心では驚愕していた。母によれば結婚してからは随分と仲睦まじかったと言うし、記憶の無い6年の間、二人にどういう心境の変化があったのやら。自宅に着くと娘の礼佳が透哉の妹・璃子とその彼氏瑛司にお守りされて待っていて、母親の退院を喜んでいた。可愛い子だとは思うが、やっぱりこの子のこともまるで記憶に無い。今の自分は23歳のままなので余計に感慨が無いのかもしれないけれど、お腹を痛めて産んだ子を普通忘れるもの?しかし、礼乃を実の姉のように慕ってくれていた璃子のことは、何となくだが話しているうちに思い出して来た。今回のことで娘の面倒を率先して見てくれたらしく後日改めて礼をするとして、気を利かせた彼女達が帰ってしまうとと家族だけになって何とも気まずい。暫く静養となるので、遊びたがる礼佳を透哉が引き受け夕飯まで作ってくれてビックリ。大学時代は芋の皮むきすらできなかったのに。正直、一番仲が悪かった時しか思い出せていなかったのもあり、正直言えば今の礼乃にとって彼の印象は悪かった。つい、あの時のことをからかうと、礼乃が料理ができる男性と結婚したいと言ってたから一念発起して必死に学んだんだとサラリと言われて思わず赤面。もしかして、彼は憎まれ口をたたきながらも自分を想ってくれてたんだろうか。お互い大手百貨店の経営者を親に持ち、ライバル同士だったのも犬猿の仲になった原因かもしれないが、そういえば何かと突っかかってたのは礼乃の方であった。後に両家は共存の道を選び、経営統合した。そして、二人は政略結婚。その後は夫の秘書として働いていたらしい。娘も産まれて家族仲も良かったと後日璃子からも聞いたが、今イチピンと来ない。でもよくよく思えば大学時代は礼乃が意地を張っていただけだと判り、透哉の心情を知った今はドキドキして落ち着かない。しかし、礼佳の方は母親が別人になってしまったような認識らしく、懐いてくれない。透哉がいないと機嫌が悪く癇癪を起して母子は衝突となったが、泣きじゃくる娘を思わず抱きしめた際に漸く彼女は礼佳が産まれた日のことを思い出したのだった。この一件から礼佳も機嫌を直し、透哉との仲も徐々にだが元に戻りつつある。璃子が娘のお守りを引き受けてくれて彼とデートしてからは、記憶は全て取り戻せずとも透哉への想いは変わっていなかったと再認識。彼もゆっくり思い出して行けばいいと言っているし焦らず行こうと考えていた。だが、その頃から礼乃のスマホに怪しいメッセージが届くように。差出人は「XXX」内容は、彼女の不貞を責める文面で・・・。まさか、自分はこんなに幸せな家庭がありながら誰かと不倫していたの?6年分の記憶が無いだけに、そんなことしてないとも言い切れず、礼乃は追い詰められ窮地に。後にお相手が璃子の彼氏である瑛司だと判明し、璃子にもバレて大問題に発展します。しかし、透哉は礼乃の性格上、不倫なんて有り得ないとバッサリ。そしてあるものを証拠として提出したことで形勢は逆転します。まあ、結論を言うと、この騒動を引き起こしたのは瑛司でした。彼は逆玉を狙っていたものの女癖の悪さがバレて璃子が礼乃に相談。礼乃は興信所を使い瑛司の素行を調べどういうことか追及するはずだったが、切羽詰まった瑛司に運転中ハンズフリーでの電話で家族に害をなすと脅され、驚いた彼女は事故を起こしたということでした。こいつ、クズ過ぎる。璃子も薄々気付いてたから相談してたのもあり、興信所にもう一度報告書をコピーしてもらえると追い込むとあっさり白状。いつも思うんだけど逆玉狙うな一先ず身綺麗にしとけばいいのに、どうして女遊びを辞めないんでしょうね。一種の病気だな。今は結婚式前に婚約者の身上調査とかする場合も多いらしいし、バレないと思ってるのが片腹痛い。とはいえ、逆玉なんて他力本願な考えだからやらかすのか。おまけに、礼乃との不倫をでっちあげて全部彼女に押し付けようと目論んでたようだから、当然透哉たちからの怒りを買い、相応の報いを受けることに。この件で刺激されたのか礼乃は記憶を全て取り戻し、半年後には第二子を授かってハッピーエンドで終わっています。礼乃の記憶喪失中は誤解もあって読んでて結構モヤモヤしてましたが、終盤の瑛司のクズっぷりがそれを上回り、ヘイト部分を全て引き受けて行きました。その弊害か、明らかにスパダリなのにヒーローの透哉の影が今イチ薄かった印象です。評価:★★★★☆内容的にじれじれ度は高め。
2024.01.04
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1月期も1点だけ。1月中旬 レジーナ文庫 無能な癒し手と村で蔑まれ続けましたが、 実は聖女クラスらしいです。 砂礫レキさん2月5日 フロースコミックス 今世は当主になります 22月6日 オパール文庫 幼馴染のエリートパイロットは捨てられ花嫁を独占したい 東方万里央さん2月15日 富士見L文庫 国外追放された王女は、敵国の氷の王に溺愛される 坂谷奏さん 鬼狩り神社の守り姫 二 やしろ慧2月17日 ティアラ文庫 身代わり花嫁の離縁大作戦 クールな辺境伯の溺愛からは逃げられない!? 里南とかさん2月24日 メディアワークス文庫 軍神の花嫁 2 水芙蓉さん 辺境領主令嬢の白い結婚 藍野ナナカさん2月26日頃 スターツ出版文庫 無能令嬢の契約結婚 三 香月文香さん 忌み子は烏王の寵愛に身を焦がす 巻村蛍さんほぼ追加という感じです。なので、ラノベ系が多目。
2024.01.03
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2023年2月刊双葉社Mノベルス著者:しっぽたぬきさん妹ばかり愛され、家に居場所のなかった私。ある日、冷酷と噂される辺境伯に嫁げと妹に王命が下る。妹を愛する父は私にこう言った。「お前は代わりに辺境伯領へ嫁ぐ。しかし道中、馬車は魔物に襲われるのだーーお前が代わりに死ね」予定通り、魔物に襲われた私を助けてくれたのは、鮮やかな赤毛と鋭い金色の目が美しい、冷酷な辺境伯様で…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 シェリル=伯爵家の長女。一族特有の髪色でなかったせいで家族から虐げられて いた。妹の身代わりでナイン辺境伯に嫁ぐことに。 ハイルド=ナイン辺境伯家当主。 メリル=シェリルの妹。その美しさから「宝石姫」と呼ばれている。裕福なエバーランド伯爵家の長女・シェリルは、一族特有の金髪で産まれなかったせいで、家族から虐げられて育った。両親の愛情は妹のメリルにのみ注がれ、その美しさから「宝石姫」と呼ばれていた。だが、外見とは裏腹に性格は我儘で傲慢。気に入らない事があれば姉を虐めて憂さを晴らす始末。そんな明らかな姉妹格差で育った彼女達が適齢期になったある日、エバーランド家に王命が下された。勅書の内容は国境を守り魔物が現れる地下迷宮を管理するハイルド・ナイン辺境伯に「宝石姫」メリル・エバーランドが嫁げというもの。メリルを溺愛する両親は、あんな冷酷な男に嫁がせるなど以ての外だと激怒。当然、メリルも行きたくないとゴネ始めた。しかしながら王命を無視したらとんでもないことになる。一人冷静なシェリルが呟くと、メリルは良いことを思いついたとばかりにお姉さまが嫁げばいいのよと提案。いやそれは明らかに無理があるだろうと内心思ったが両親は名案だと大喜び。本人の意志を無視して、シェリルが辺境伯領に赴くことに。これが国王にバレたら大問題になるというのに、長年虐げられ家族の愛情欲しさに事業の手伝いで搾取され続けた彼女は諦めの極致だった。しかも、父はメリルの存在を隠すため、不審がられないよう辺境伯領に入ったらシェリルに事故死を装い死ねと命じたのだ。同じ娘だというのに、非情な父の命に絶望しながらナイン辺境伯領にやって来た彼女は、心配する馭者だけを帰し、一人魔物が出現する森に入って行った。目論見通りすぐに魔物に襲われ死を覚悟していると、一人の青年が現れシェリルを助けた。見事な赤髪の青年はハイルドと名乗り、この地の領主だという。この人がナイン辺境伯。作戦は失敗だったが、正直怖かったので震える声で礼を言い妹の名で名乗ると、彼も勅書を受け取っていたからか、すぐに結婚相手だと判ったようだ。いつ行くと連絡しなかったので知らなくて当然なのに迎えに行かなくて済まないと謝罪され申し訳なくなりつつも、状況が変わった以上妹のフリを続けなければならない。持参した勅書は魔物の攻撃で穴が空き、名前の部分がリル・エバーランドとしか読めず、せめてと自分のことはリルと呼んで欲しいと頼むと彼は快諾。ハイルドの屋敷で暮らすことになったが、早々にバレそうな気がする。冷酷と噂されている人物だけれどハイルドは口下手ではあるが部下達にも気さくで優しい人だった。国王とは友人関係らしく、この結婚もお節介からとのことで気乗りしていなかったようだ。でも、どこか訳あり気なシェリルのことを気遣い何かと良くしてくれた。ハイルドの部下達も気の好い者たちばかりで彼らを騙してると思うと気が重い。一方、ハイルドはどうにもシェリルの態度が気になって部下のうち二人に彼女の実家である伯爵家について探るよう命じ、王都に派遣。彼自身はリルのためにとあちこち連れ出し、親睦を深めた。2週間もするとぎこちなさは若干残りながらもシェリルは随分打ち解けたと思う。そんな彼女はせめてここにいる間だけでもと、この地独自の事業を提案。魔物の死骸は時間が経つと特有の塵「魔塵」になる。それを材料にしてマッチを作ろうというもの。そもそもエバーランド家がマッチ事業で財を成しており、手伝いをしていたシェリルにも多少のノウハウがあった。だが、エバーランド製のマッチは色々問題があって危険だから改善して欲しいと幾度も父に進言していたほどの曰く付き。だが、「魔塵」には材料はアレでも問題視されている危険はほぼ無い。原材料もタダ同然だし、これが実を結べばかなりの収益になるだろう。ハイルドもシェリルの案を受け入れ早速材料集めと試作品作成に取り掛かった。試行錯誤の末、何とか成功したマッチはエバーランド製より遥かに優れたもので大成功。ハイルドは功績を称え、メリルの名を記載して発表するという。だが彼女は承諾しない。二人は互いに惹かれ合っていたけれど偽り続けるのは辛い。部下達の報告を受けある程度の事情を察していたハイルドが改めて彼女の名を尋ね、求婚するとシェリルは漸く真の名前を告げ、彼のプロポーズを受け入れたのだった。それから暫く経ち魔塵のマッチは大好評。国王も愛用しているらしく人気も鰻登りで発案者のシェリルの評価もすこぶるいい。しかし、思いがけないライバルの登場で焦ったのかエバーランド伯爵家より、あの婚姻はシェリルによる陰謀だと訴状が届き・・・。こいつら、長女の躍進に手のひらクルッなのかと思ってたらそうではなく、ライバルを潰すべくシェリルを悪者にしようと企てたようで、つくづくクズ親でした。あれほど彼女が危険だからやめようと忠告してたのに、事業拡大しようと金をつぎ込んだばかりなので引くに引けなくなったよう。腹は立つけどまだ娘のものは家族のものとジャイアンぶりで魔塵マッチの権利を主張したなら多少なりとも利益もらえたろうに。アホですね、この人達。妹の代わりに長女が勝手に嫁だと偽ったと主張したものの、シェリルの証言によって王命に逆らい偽造までしようとしたことが露見。国王の怒りを買い爵位剥奪の憂き目に合うのでした。本当に胸糞な連中だったからこの顛末にはスッキリ。後日談にて、父親が何故一族の色味に拘ったのか判明するんですけど、いやいや、結婚で違う家の血も混じるんだからそっちの血が色濃く出ることだってあるって。そんな理由で虐げられてたと思うとやりきれないよなぁ。別作品ですが「間違いで求婚された~」のヒロイン(そういえばこの子もシェリルだった)も、同じような理由だったっけ。色々な髪色がある世界だからこそ出て来る問題なんでしょうね。あと、一般的に金髪は劣性遺伝らしいです。評価:★★★★☆終始自分に自信がないヒロインでしたが良い旦那さんに会えて良かった。
2024.01.02
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あけましておめでとうございます。さて、新年1回目の更新は月イチ恒例のモチベ記事です。今回は結構変動があって驚きました。1位未だに伸び続けているのでこのブログがやっているうちは不動かもしれません。2位こちらの記事も毎月一定数伸びています。3位かなり4位のタイトルに追い上げられたものの、終盤またいきなり伸びて3位をキープ。4位相変わらず謎の伸びを見せるこの記事、物凄い追い上げで3位に返り咲くかと思いきや、逃げ切られ・・・。もしかして来月はランクアップするかも?5位個人的に紙媒体で出して欲しい電子書籍ナンバーワン。コミカライズ版が完結してからも地味にですが伸びてます。6位コミカライズ版がピッコマで公開されてから顕著な伸びを見せ2ランクUPでした。とにかくこの1巻だけでも読んで欲しいおススメのシリーズです。7位こちらも謎な伸びをしている記事でして、未だに理由が判らない(^_^;)ランクは落ちましたが、今月中旬いきなりまたアクセス数が増えてビックリ。8位さすがに落ち着いてきましたがまだまだトップ10内なのが凄い。9位やっぱりアニメの影響ですかね。前回14位からのここですよ。9巻はアニメの最終回の続きになっています。10位確実にアクセス数は伸びてるんですが、1ランクダウン。シークレットベビーものがお好きな方には刺さるお話かと。11位シリーズ中、1巻を除いて相変わらず謎な伸びをしているこの4巻。前回の10位以下だったタイトルが繰り上がったおかげで順当に下がりました。12位前回より1ランクUPすずね凛さんの記事はなんだかんだと人気がある印象です。13位2ランクダウンですが、定期的にアクセス数は増えてます。ここから上が強かっただけで・・・。記事の方はオリジナル版で100ページくらいの短編の方です。楽天では取り扱いが無いので完全版の画像となっています。14位こちらも2ランクダウン。面白いので個人的におススメしたいお話。15位こちらは前回と変わらず。不遇ヒロインもの。16位こちらも変わらず。物凄く短いお話ながら人気ジャンルが詰め込まれてます。17位前回と変わらずですが、コミカライズ化の影響もあって伸び始めてます。18位ランク外からかなりの伸びでした。アニメだとホーク領でのエピソードがこの7巻です。しかしながら最終回エピが収録されてる8巻より人気があるのは何故w19位なんかもう感無量ってほどに未だに根強くランクインしてる記事で嬉しい限りです。わたしがTL小説にハマるきっかけの一つになったタイトル。20位前回より1ランクダウン。それでも地味に伸びてるので常連になりそう。12月期はこんな結果となりました。ブログの閲覧数も開始時に比べると随分と増えて来たので嬉しい限りです。今後ともよろしくお願いいたします<(_ _)>
2024.01.01
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