仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2005.11.28
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カテゴリ: 教育
村井知事が男女共学化の方向の見直しを求めるような発言をしています。別学維持論者の声が強くなるのかも知れません。
知事の論理は次のようです。(28日県議会での説明内容をTV報道から要約。)
 ○共学化は時代の流れ(少子化、効率化)としてやむを得ない方向
 ○しかし学校の多様性や伝統も重要
 ○学校運営の実態、財政面、受験生と保護者の意向などを総合的に勘案して検討すべき
 ○当面は「併存」し、全校共学化方針は見直しを含めて再検討すべき
 ○なお学区は全県一学区とすべき
 ○教育委員会に伝えていく

 「見直す」という決意の存在がわかるとしても、見直しの必要性が不明だし、最も肝心な「なぜ別学を残すことが良いのか」の根拠がないじゃないか... と大いに当惑します。今後の手続論も含めて、ちょっとスタンスがわかりませんけど、という感じです。
 私の考え方は、未整理ながら前回の日記( 宮城県立高校の男女共学化を考える(1)序論 )のとおりです。

 現時点ではこれ以上具体的な議論ができる材料がありません。そこで、今日は視点を変えます。温故知新。男女別学が残された歴史を振り返ってみましょう。

 以下は、『仙台市史 特別編 4(市民生活)』(平成9年3月31日、仙台市史編纂委員会編集、仙台市発行)の内容を、ODAZUMA Journal編集局が要約。
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 仙台市内の公立高の男女共学は昭和43(1973)年の泉高校(OJ注:当時は仙台市ではなく泉町)が初めて。それまでは公立私立全て男女別学だった。なお、翌74年には市立仙台高校が男子校を改め共学化。
 戦後の占領政策における教育改革は、昭和23(1948)年以降の新制高校を(1)学区制、(2)男女共学、(3)総合制(職業高校を普通高校と統合化すること)、の3原則で改革することにあった。ただし、文部省は総合制と共学についてはある程度柔軟な姿勢を示し、宮城県でも、郡部の4校を共学化したにとどめ、総合制は取らなかった。
 しかし、1948年から49年にかけて占領軍が強く実施を勧告したため、共学校を増やし、統合化も実施したが、いずれも郡部だけにとどめた。(厳密には仙台市内でも仙台商業と仙台女子商業を形だけ合併したが、1957年に元どおりにしている。)
 宮城で別学が残ったのは何故か。
 占領期に米国は太平洋陸軍第8軍の第1軍団を京都に、第9軍団を仙台に、それぞれ駐留させて、東海以西と関東以北とを管轄させた。在仙台の第9軍団の民間情報教育課長であったB.E.マーチン氏は、日本と仙台に愛着を持つ人で、教育改革にも柔軟な路線を示した。
 なお同じ東北でも秋田は秋田軍政部教育課長のモロニー氏が強い方針を示したため、別学が消滅したが、宮城軍政部教育課長のハリントン氏次いでK.F.デリカ氏は寛大な方針であった。そのため、宮城県側の抵抗というより、むしろ占領軍の無理な強制はしないとの基本方針に沿った形で、県が選択したものである。
 しかし、本当に主体的に選んだのだろうか。
 共学化の方針に対して県側が示した抗弁は、「別学が良い」というものではなく、共学化強行の問題点に集中していた。すなわち、性道徳の混乱の懸念、財政難、高校関係者・同窓会の反対。共学と別学を比較検討した議論の形跡はない。占領政策に飲み込まれないぞという一般論的な反対意識、また余計なことはしたくないという守旧意識で、時期の過ぎるを待った、というのが実態ではなかったか。
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 今回の議論で、もし別学を残すというのなら、本当の教育論の視点で、是非を議論して欲しいです(そして、わが県高校教育の水準を牽引すべき仙台二高と仙台一高の沈滞打破という「本論」を見失わずに。これは私見ですが)。歴史を見てもその思いを強くします。

 同窓生のノスタルジーや現役高校生の現状変更反対論で、本来の議論が歪められるという愚だけは、避けたい、と思っているのですが。





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最終更新日  2005.11.28 23:56:26
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