投資逍遥

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2005/05/07
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カテゴリ: 読書
この本の初出は昭和49年です。
著者の間野潜龍氏(1923~1981年)は、大阪生まれの文学博士でした。

4月24日の日記に、次のように書きました。
「昌平黌(しょうへいこう)を始め全国200有余の藩学、数種の有名私塾および万余におよぶ寺子屋に至るまで、ほとんどすべてが、朱子の四書集註を主として講義せられたとのこと。」と。
江戸時代のある時期、朱子(1130~1200年)の四書集註というのは、教科書的な存在であったようです。

朱子が著した四書集註とは、四書(大学・中庸・論語・孟子)の解説本です。
朱子は四書の中の『大学』を最も重視し、解説本の『大学章句』を著しましたが、その辺のことを書いてみます。

『大学』は章次に錯簡があり、文章にも誤脱があると朱子は考え、これを改定することにし、最初の1章を経とし、後の10章をその註釈の伝としました。
1章で明徳を明らかにすること、2章で民を新たにすること、3章で至善に止まること、4章で本末、6章で誠意、7章で正心と修身、8章で修身と斉家、9章で斉家と治国、10章で治国と平天下を説明しました。

ここには5章がありませんが、補うという形で5章を挿入しましたが、これは
格物致知について書かれた部分です。
手元の岩波文庫(金谷治・訳注)によると次のとおりです。

謂わゆる知を致すは物に格るに在りとは、吾れの知を致さんと欲すれば、物に即きてその理を窮むるに在るを言うなり。
蓋し人心の霊なる、知あらざること莫く、而して天下の物には、理あらざること莫し。
惟だ理に於て未だ窮めざること有り、故にその知に尽くさざること有るなり。
是を以て大学の始めの教えは、必ず学者をして、凡そ天下の物に即きて、その已に知るの理に因りて益々これを窮め、以てその極に至ることを求めざること莫からしむ。
力を用うることの久しくして、一旦豁然として貫通するに至りては、則ち衆物の表裏精粗、到らざること無く、而して吾が心の全体大用も明らかならざること無し。
此れを物格ると謂い、此れを知の至ると謂うなり。

【感想】
朱子の言うところの窮理の精神は、現在の日本でも生き続けているように思います。
資源のない日本がこれだけ国になれたのは、物づくりに秀でた職人気質の国民性にあると、よく言われることです。
物事を、とことん窮めようとの精神は失いたくないものです。








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Last updated  2005/05/07 05:26:12 PM
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