投資逍遥

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2005/12/31
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テーマ: お勧めの本(7336)
カテゴリ: 読書
この本は2001年11月に発行されました。
著者は1925年千葉県生まれの方で、余談ながら現在私が住んでいる千葉県市川市出身とのこと。

この本を読もうとしたのは、幸田露伴の『努力論』を読むためです。
露伴の『努力論』は1912年に発行された青壮年向けの人生論です。
12月17日の日記 でも触れましたが、『努力論』を渡部昇一氏は座右の書にされているとのことです。
学生時代からの座右の書とのことで、渡部昇一氏は45年以上も『努力論』と付き合いがあるようです。
それでは私も読んでみようとは思うものの、『努力論』を原書で読もうにも歯がたたない。
難解な語彙が随所に出てきますし、そもそも露伴と私では素養に隔たりがありすぎる。
いきおい註釈本的な本から入るのが一般的であろうと思い、この『自分を活かす気の思想』(中野孝次)を手にした次第です。

以下に 【この本からの引用】 【征野の感想】 という形で数点書いてみます。


【この本からの引用】

食事を為しながら書を読み新聞を読むなどという事は誰もする事であるが、実はよろしくないことで、それだから碌な書も読めず、かつまた一生芋の煮えたか煮えずも知らずに終わってしまうのである。
食事の時は心静かに食事をして、飯が硬いか軟らかいか、汁が鹹いか淡いかそのよろしきを得て居るか、煮物は何の魚であるか、新しいか陳いか腐りかかって居るか、それらの事がすべて瞭然と心に映るように、全幅の心でもって食事をするのがよいので、・・・

【征野の感想】

これは、露伴の『努力論』の一節です。
食事作法に対する露伴の考え方ですが、食事の時は集中して食べるべしと、書かれています。
手抜きの料理を出すわけにもいかず、何やら露伴とは食事をしたくない気持ちになりますね(笑)。
ともあれ、露伴の言わんとすることは、日常のこと、例えば朝起きて布団をたたみ洗面をして朝食をとることも、習慣で無意識にやってはいけないということ。
凄まじい考え方で、仮に露伴が職場の上司であったならば、胃潰瘍になってしまいそうです。


【この本からの引用】

逸る気で事を做す者は、書を読めば流るるが如く、字を作せば飛ぶが如く、一日にして数十巻の書を読み千万字を筆にせんとするが如き勢いを做し、路を行けば忽にして山河丘陵をも飛び過ぎんとするが如き意気を示す。
しかし逸る気を以て事を做す者の常として必らず疲労と蹶躓とを得て、勇気一頓、萎靡また振わざるに至るのである。

【征野の感想】

逸る(はやる)を手元の辞書で調べると、「勇みたつ、せきこむ、いらだつ、せく」などの意味がある。
自分のことを具体例として、引用部の意味を考えてみました。
私は毎朝30分だけピアノの練習をしており、現在『革命のエチュード』を練習しています。
この曲はプロならば3分で弾き終えるが、私にとっては難曲であり、当初は弾き終えるのに20分もかかっていました。
そこで何とかもっと時間を短縮しようと、気持ちが逸るわけですね。
まあ最初のうちはどんどんと短縮するわけですが、しばらくして気が付くとゾンザイな弾き方になっているのですね。

早く目的地に達することを至上とするのではなく、達するまでの一歩一歩を味わい、確かめながら進むことの大切さを知りなさい。
そういうことを露伴は言いたかったのではなかろうか、と思う。







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Last updated  2005/12/31 07:41:17 AM
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