投資逍遥

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2006/02/05
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テーマ: お勧めの本(7336)
カテゴリ: 読書
この本は1999年に発行されましたが、初出が1992~99年のエッセイを単行本化したエッセイ集になっています。
著者は1932年生まれなので、この本は著者が60代の時に書かれたものを集めています。
以下に、 【この本からの引用】 【征野の感想】 という形で少々書いてみます。


【この本からの引用】

やがてピョンヤンにもソ連軍が入城した。
先頭に乗りこんできたのは最前線の戦闘部隊である。
どこの国の軍隊でも実戦部隊の兵士のやることには変りはない。
有史以来、ずっとそうなのだ。
略奪があり、暴行があり、強姦があった。
その間におきたことをくわしく書けば、何十冊もの本になるだろう。
いまの私には、まだそのことを書く心の準備ができていない。
たぶん、このまま書かずに終ってしまうのではないかという気がする。

【征野の感想】

これは、初出1992年のエッセイ『許せない秋』に書かれています。
著者は、終戦時は平壌一中の1年生であったとのこと。

1月29日の日記 に、野坂昭如氏の著書の感想文を書きました。
野坂昭如氏の場合は、「少しでも戦争を知る人間は、戦争について語る義務を持つ。もはや残された時間に限りがある。ぼくはぼくなりにあの戦争と向き合い、書き続けることこそ、自分に与えられた業(ごう)だと思い定めている」とのこと。
要するに、積極的に戦争を語っておられます。

これに対して、五木寛之氏の場合は、「このまま書かずに終ってしまう」という立場で、野坂昭如氏とは正反対の立場をとっておられます。
最も、この引用部分は1992年に書かれたものなので、あるいはそれ以降に戦争を語っておられるかもしれません。

ともあれ、当然ながらここに私が立ち入ることはできません。


【この本からの引用】

その一教師の人生は、外地における敗戦と引揚体験の中で激変する。
九州へ帰国してからのちの父親は、闇商人、芋焼酎の密造者、アル中の競輪ファン、そして結核におかされ幾度かの療養所生活の後、やがて50代なかばで血を吐いて死んだ。
人生の失意とともに、敗戦後の混乱の中で失った私の母のことも、最後まで父親を苦しめていたようだった。

【征野の感想】

これは、著者の尊父について書かれた一節です。
著者の尊父は終戦時に外地の教師でしたが、九州へ引揚げてからはあまり良い人生とはいえなかったようです。

最近は昭和時代(特に戦前~終戦後)の庶民の生活について書かれた本を読むことが多いのですが、いろいろと学ばせてもらっています。





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Last updated  2006/02/05 07:19:43 PM
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