文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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Apr 30, 2012
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テーマ: 中国&台湾(3305)
カテゴリ: 中 国 界
勤務先の今年の新入社員には、在日中国・台湾人 (=本書でいう 「島国チャイニーズ」 ) が 「全体のウン・パーセント」 といえるくらい多かった。日本国籍をとり日本名を名乗っている人たちを入れると、その数はさらに多い。 (具体的な人数は、社秘にあたろうから書かない。)

日本社会における在日中国・台湾人の比率に比べれば、突出しているといってもよい。

日教組におもねる文部科学省が、日本の原住民らに 「手抜き教育」 (=通称・ゆとり教育) 政策を実施した成果がみごとに表れた、のかどうか。
(手抜き教育政策に影響をうけて没落したのは、日本社会の 「中」 以下のひとたちであって、「上」 に属する層は関係なかったろうというのが、ぼくの希望的推測なのだけど。)


野村 進 著 『島国チャイニーズ』 (講談社、平成23年刊)

だからといってぼくに反感や危機感があるかというと、そうではない。

中国側の利益を追求するスパイが混じっているかもしれない、などと言い出したらキリがない。そんなことを言い出したら、北京や上海の事務所の職員を全員、日本人で固めねばならない。
いまどき心から共産党に通じるひとがどれほどいるのか。共産党への反発がひときわ強い人々こそ、在日中国・台湾人のなかにいるはずだし。

それより何より、わが社を選んでくれた在日中国・台湾人諸氏にも個々人の才能を遺憾なく発揮できるような職場であるよう心をくだくのがぼくの役回りというものだ。

中国や台湾で教育を受けていれば、「国家のない非武装の世界がいちばん幸せだ」 みたいな気持ちのわるい日教組思考とは無縁であるに違いない。ぼくにとっては、よっぽど話が通じる人たちだ。



『島国チャイニーズ』 はイキのいい本。読んでよかった。

劇団四季の中国人俳優や、芥川賞作家・楊逸 (よう・いつ) さんのことを深掘りしたルポは、もっとも 「明」 の部分。
山形県などの農村に嫁いだ中国人妻にまつわる、「そんなはずでは」 の積み重なりと、それを少しずつ克服する人たちの話が、どちらかといえば 「暗」 の部分だろうか。

池袋の駅北口周辺がチャイナタウンと化していく過程と内実の描写には納得感があった。
池袋は旧満洲 (黒龍江省・吉林省・遼寧省) 出身者、蒲田は福建省出身者、大宮は上海出身者の街という棲み分けが生まれているという。

王貞治さんの出身についての記述があった。

≪王の父は台湾出身と一般の日本人には思われているが、そうではない。中国浙江省青田県の寒村の生まれである。

大正末に来日し、終生中華民国の国籍を変えず、子息の王もそれに倣ったため、中華民国、すなわち現在の台湾の出身と誤解されているのである。≫
(215ページ)

ほかでも言われていることだけど、商売の継続についての考え方の対比も、具体的な数字が興味深い。

≪中国本土でも海外でも、同じ商売の「継続」にチャイニーズは日本人のようには重きを置かない。
たとえば水商売で成功したら、その店を売り払って、社会的なステータスのより高い別の商売に移るのは、彼らのあいだでは常識である。

それがひいては、200年以上継続している会社が日本には3千社もあるのに、中国には9社しかない現実に結びつく。
なにも中国だけではなく、日本以外のアジアではこれが当たり前で、200年以上継続する会社は、インドにはたった3社あるだけで、韓国を含む朝鮮半島には1社もない。≫
(253ページ)

もうひとつ興味深い数字が、在日中国・台湾人の知識人の数。

≪日本の大学で博士号をとり、その後も日本に残って就職している中国・台湾出身者は、すでに3千人を超えているという。

そのうち、日本の大学で教授や准教授などになっている者は、2,600人にのぼる。これは、『現代中国人の日本留学』 などの著書がある日本僑報社の段躍中編集長があげた数字で、なんと世界中から留学生が集まるアメリカよりも多いのだそうである。≫
(51ページ)

意外なところで日本は開かれた社会であるということだろうか。





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最終更新日  Apr 30, 2012 04:44:20 PM
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