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1990年代の「イギリス映画」と言ってすぐ思い浮かぶのは1996年公開の「Train Spotting(トレイン・スポッティング)」で主役を演じた「ユアン・マクレガー」のジーンズ姿のポスターからして衝撃的でした。このポスターに刺激を受けてしばらく履いていなかったジーンズを買いに行ったほどです。 トレイン・スポッティングが「鉄道マニア=オタク(この映画の中ではドラッグ中毒)」という意味だと映画を見た後に知って、うまいタイトルを付けるなぁと感心しました。スコットランドを舞台にドラッグ中毒の若者達をユーモアを交えて描き、また映像が当時としては斬新過ぎました。 その翌年の1997年に公開になった「The Full Monty(フル・モンティ)」は失業した6人のちょっと情けない「おやじたち」6人が男性版「ストリッパー」として成功する物語で、これは元気をもらいました。 当時ハリウッド映画に代表されるアメリカ映画に何となく物足りなさを感じて、映画通の友人から薦めてもらったイギリス映画に嵌っている時期がありました。 そして友人の一押しでビデオで見たのが1992年公開の「The Crying Game(クライング・ゲーム)」でした。舞台は20世紀初頭のアイルランドでイギリスからの独立をかけた戦いのため過激なIRA(独立軍)のシーンもあります。血を流しながら独立を勝ち取ろうという「政治」が根幹にある映画ですが、映画の根底にあるテーマは「人間の本能や性」です。 映画の中で有名な「サソリと蛙」の逸話が出てきて、このシーンは今でも私の中では一番印象的です。サソリが川を渡るために蛙に背中に乗せてくれと頼みます。蛙はサソリの説得に負けて乗せますが、サソリのどうしようもない「性」で結局蛙を刺し殺してしまいます。 4年ほど前に東京でワインバーを経営する同郷の知人から「いろいろ考えるところがあり、先日大昔に勧めてもらったクライング・ゲームをまた見てみました」とメールがきて本当に驚きました。勧めたことも全く覚えていませんでした。 そして今年、今度は彼のお店のニューズ・レターにこの映画の中の「人生の中で究極の場面に迫られた時、人はどちらかに進むしかない」という台詞が引用されていました。コロナ禍の中、究極の場面は山ほどあったのだと思います。 イギリス映画が良いなぁと思うのはアメリカ映画と違ってお金をかけていないと思わせるところ、緑の景色が日本と同じように美しいこと、ストーリ―重視の作品が多く深く心に残るところかなと思います。 その中でも私の一押しは2000年公開の「Billy Elliot(リトル・ダンサー)」で、少年がクラシックバレーに目覚め、当時イギリスの片田舎では「バレーは女がやるもの」と大反対をする昔気質の父親と徐々に親子の絆を築き、最後にはビリーが大きな夢を叶えるというストーリーです。「何故、夢を持ってはいけないんだ」勇気をもらえる一言です。
2021.11.30
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「冬景色」カンディンスキー 1913年 エルミタージュ美術館蔵 「セルゲイシチューキン・コレクション」 エルミタージュ美術館へ行った第1の目的はロシア人の絵画鬼集家「セルゲイ・シチューキン コレクション」の「ダンス」を含む絵画を見るためでした。「マティスの間」ではないホールに展示されていたのにこの絵を見た時、一瞬「あっ、マティスの絵」と思ったのが今でも印象に残っています。 絵の横に置かれている説明に「カンディンスキー(1866-1944)」の名前があって、あの抽象画を生み出した画家の絵とは俄かには信じられず、シンガポールに戻ってから調べてみると初期の頃はやはりマティスの影響を受けたということでした。マティスのパトロン的存在でもあったロシア人絵画鬼集家の「セルゲイ・シチューキン」の影響もあったのかなと想像します。「Composition Ⅵ」 カンディンスキー 1913年 エルミタージュ美術館蔵 この絵であれば抽象画を確立した「カンディンスキー」の絵だとすぐ分かります。1913年と同じ年に制作されているのが何とも不思議で「どのようにしてカンディンスキーは抽象画を生み出したのだろうと思っていましたが、「モネ」がジヴェルニーで描いた「積藁」シリーズの絵を「フランス印象派展」で見たことがきっかけだったようです。 ネットで30枚ほどの「積藁」の絵を見ましたが、ほぼ同じ構図で描かれていてこの絵から図や直線、四角などを組み合わせた幾何学的な抽象画を生み出すヒントを得たというのは理解できるような気がします。ピカソの「キュビズム」と同じように今まで無かった物を新しく生み出すというのはやはり天才的才能の成せる技なのだと思います。 最近思い出すのはずっと以前に作家の故「渡辺淳一氏」が何かの雑誌に「マティス的不遇な絵」という文を書いていて、日本ではマティスのような色鮮やかな絵が受け入れられるのは難しいという内容でした。その時は確かに「モネ」「ルノワール」や「マリー・ローランサン(1885-1956」のパステル画のような優しい色合いの絵が好まれていたような気もします。 「マドモアゼル・シャネルの肖像」1923年 「ポール・ギョーム婦人の肖像」1924年 オランジュリー美術館所蔵 ふと気になって、マリー・ローランサンを検索すると観客数の減少で2019年に日本の「マリー・ローランサン美術館」が閉館という記事を見ました。 時代は変わって「マティス的不遇」というのは遠い昔の話になっているのかなという気もします。「Artemis(アルテミス)」マリー・ローランサン 1908年 エルミタージュ美術館蔵 「セルゲイシチューキン・コレクション」
2021.11.29
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「ロザパッソ」 「ネロパッソ」 「Biscardo Rosapasso(ビスカルド・ロザパッソ)」はワインコネクションで今月のプロモーション(値引き)になっているワインの1本で、ラベルのワイン名とワイナリーの名前を見てすぐ何度か買っているイタリアの赤ワイン「Biscardo Neropasso (ビスカルド・ネロパッソ)」がパッと浮かびました。 「ビスカルド」はイタリア東北部の「Veneto (ヴェネト州)」にあるワイナリーで、この州は「陰干し葡萄」で作られる高級ワイン「Amarone(アマローネ)」で特に有名です。このアマローネに使われるヴェネト州の限られた地域で栽培される葡萄品種「Corvina(コルヴィーナ)」にメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンの葡萄3種類をミックスして作られたワインがビスカルド・ネロパッソでこの地方の特徴である「甘さがほどよくコクがある」ワインはイタリアンにも刺身にも合う万能選手のようなワインです。 イタリアのロゼを飲んだ記憶があまりなく、23ドル(1800円ぐらい)とシンガポールでは手頃な値段なのと細長のお洒落なボトルのデザインに惹かれて購入しました。 イタリア北部で生産が多い「Pinot Nero(ピノ・ネロ)」100%のロゼでブルゴーニュの高級ワインを造る「ピノ・ノワール」と同じ品種です。フランスのシラー100%のロゼやプロヴァンスロゼのようなすっきりした辛口ではなく、程よい甘味が口の中に長く残るようなワインです。 お店で魚介類の料理と特に相性が良いですよとアドバイスをもらい、簡単に冷凍シーフードミックスを使ったクリームシチューに合わせましたがなかなかのマリアージュとなりました。 昨夜の日本シリーズでオリックスのもう1勝を願って「ハレの日ご飯」として用意したワインですが、延長戦の末ヤクルトスワローズが日本一に!でも野球ファンを満足させる熱戦に相応しいワインとなって満足・満足という感じでした。
2021.11.28
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「The Unbearable Lightness of Being」 1984年発行 原作はチェコスロバキア生まれのフランスの作家「Milan Kundera(ミラン・クンデラ) 1929-」が1968年のソ連軍によるチェコスロバキア侵攻によって起きた「プラハの春(変革運動)」の時代を舞台に男女2人の心の機微を描いたものです。 アカデミー主演男優賞を3回受賞している(この記録は未だ破られていません)イギリス人俳優の「ダニエル・ディ・ルイス」とフランスを代表する女優「ジュリエット・ビノシュ」が演じました。 首都プラハで脳外科医をしている「トマシュ(ダニエル・ディ・ルイス)」は診療に向かった田舎町で写真家を目指すカフェのウェイトレス「テレーザ(ジュリエット・ビノシュ)」に出会います。野心を持つテレーザはトマシュを追ってプラハに行き同棲、何とか結婚へとこぎつけることになります。 ただトマシュの結婚前からのプレボーイぶりは全く変わることがなく、それがテレーザを精神的に徐々に追い詰めていきます。 そんな時にソ連軍の侵攻が起こり、トマシュの愛人サビーナを頼ってテレーザと一緒にスイスのジュネーブに逃亡します。そこでもトマシュの素行は全く変わることがなく「私にとって人生は重いものなのに、あなたにとっては軽い。私にはその軽さが耐えられない」と書き置きを残し、テレーザは一人プラハに戻ってしまいます。 その書き置きを見たトマシュは失ったものの大きさに気づき彼女を追ってプラハに戻り、2人は初めて束の間の幸せな時間を過ごすことになります。 ここまでが結構長く2時間半以上です。家でビデオ観賞だったので何度か寝てしまいそうになりましたが、何とか最後までと見ていると最後のシーンに目が釘付けになりました。今でもそのシーンが頭に浮かびます。タイトル「存在の耐えられない軽さ」に込められた「人生の儚さ」を象徴するような大きな余韻を残す終わり方でした。 映画評では「ハリウッド映画で初めてヨーロッパ映画の品位を持ったものが発表された」という激賞のコメントもありました。原作の邦訳は1993年に発行で同僚に薦められタイトルにも惹かれて読んだ後、ビデオで映画を見ました。 映画の「終わり方」という意味では今でも私にとっては一番印象に残る映画かなと思っています。 因みに2006年に村上春樹氏が受賞したチェコの文学賞「フランツ・カフカ賞」を昨年ミラン・クンデラ氏が受賞しています。この賞を受賞した作家の中でノーベル文学賞を受賞した作家がいるため、今年も期待しましたが残念ながら両氏のノーベル文学賞の受賞には至っていません。
2021.11.27
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フランス南東部にある南部ローヌでは「シャトー・ヌフ・デユ・パブ」に代表されるグルナッシュやシラーなど最低でも3種類以上の葡萄をミックスしてスパイシーで味わい豊かなワインを造っています。 「牛筋トマトソース煮込み」には一番の相性と検索で出て来て、早速「ワインコネクション」で「Plan De Dieu(プラン・ドゥ・デユー)」がプロモーション(値引きで2千円くらい、アルコール度数14.5%)になっていたので購入しました。「プラン・ドゥ・デュー」は「ジコンダス」や「ラスト―」等の有名ワイン畑に囲まれる6ヘクタールほどの畑で樹齢約50年の葡萄を使いワイン造りをしているようです。 ボトルの裏の説明には「グルナッシュ」「シラー」「ムールヴェルド」3種類のミックスとあります。ムールヴェルドも調べてみるとスペイン原産らしく、現在はフランス、スペイン、アメリカで栽培されていますが、栽培に難があって収穫量が少ないながらもワインにしっかりした香りや味わいをつける役割を果たしているようです。 前回は醤油ベースで今回の牛筋煮込みはワインに合わせて「トマトソースとワイン煮」にしました、手軽にカゴメのトマトソースを使って人参、しいたけを料理用の赤ワインに漬けておいた牛筋、玉ねぎ、にんにくと一緒にグツグツと煮込むだけです。これが思いのほか美味しく出来て、さてワインとの相性は・・・というとこれが自画自賛で完璧でした。一口目のワインのスパイシーさが料理を食べた後に和らぎ、何とも言えない豊かな味わいとなりました。 恐るべし牛筋パワーで、低脂肪、高蛋白質、コラーゲンもたっぷりなせいか今朝起きた時に少し肌の「モチモチ感」を感じるのは気のせいではないと思いたいです。次回の牛筋は味噌ベースと決めているのでまたワイン探しが楽しみです。
2021.11.26
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Potrait of Clara Serena Rubens(クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像) 2013年にNational Museum of Singapore(シンガポール国立博物館)で開催された「フランドル派の画家展」での一枚です。 フランドルは現在のオランダ、ベルギー、フランス北部の地方でここで15世紀から17世紀に活躍したファン・ダイクやルーベンス(1577ー1640)は忠実な自然観察を特徴とした絵を描いています。 この肖像画を描いた父であるルーベンスは宮廷画家として上流階級の注文をこなし、またフランドルの統治者であるイサベラ大公の外交官として政治的な役割も果たしスペイン王やイギリス王から「ナイト爵位」も与えれれています。 家庭では愛する妻と娘に恵まれ順風満帆な生活を送っていましたが、突然愛娘が亡くなってしまいます。この肖像画はクララ(1611-1623)が12歳で亡くなる数年前に描かれました。 『背景と同調する灰緑色の洋服に明るい白色の大きな襟、背景が小さく描かれているため強調される顔の表情。広い額に鼻と頬の部分に使われたルビー色は「生のバイタリティー」を強く感じさせ、ルーベンスの愛娘への溢れる愛情を感じることが出来ると』説明にあります。 実はこの絵の写真はブログを書くために昨年写真を整理している時に見つけたもので、その時はフランドル派画家展のこともすっかり忘れ、最初はルノワール(1841-1919)の絵だと思いました。 生き生きとした表情や頬の赤味を見て単純にそう思ったのですが、ルノワールの描く肖像画を改めて見てみるとここまで生のバイタリティーを感じるものはないのではと思いました。ネットの画像から。 愛娘クララの死から3年後には妻であるイザベラも亡くなるという悲しい出来事が続いたようですが、ルーベンス自身が亡くなる数年前に描いた「オルフェウスとエウリュディケ」の絵を見ると最後まで絵画に情熱を燃やし続けた幸せな生涯だったのかとも思います。
2021.11.25
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イタリア、中国、イギリス、フランスの合作映画「ラスト・エンペラー」は公開から既に34年経っていますが、私には何年経っても色褪せない映画で色々なシーンがすぐ頭に浮かんできます。3時間という長さを感じさせず、見終わった後すぐ椅子から立ち上がれないほど人生の重みがずしりとくる映画でした。 清朝最後の皇帝であり、日本の関東軍が傀儡国家として作り上げた「満州帝国」の皇帝になった「溥儀」の人生を香港生まれの中国系アメリカ人「ジョン・ローン」が演じました。 「紫禁城」が初めて映画のロケーション地として使われたことも話題になりましたが、「紫禁城」から一歩も出ることが出来ない生活を余儀なくされ、皇帝の座を捨ててまで自由人になりたいと願った時もあった溥儀が、いざその皇帝の座を革命によって追われるとまた皇帝という座に執着していく姿にはつくづく人間の欲や弱さを感じさせられました。 個人的には2000年に紫禁城を観光して映画「ラストエンペラー」の中で溥儀が座っていた椅子の下に隠していた「コオロギを入れた箱」は果たしてあるのかなぁと探してみたのが良い思いです。2000年には城内を維持するために中に入ることは禁止され外からしか中が見られない状態でした。 日本の敗戦によって満州にはソビエト軍が侵入し、溥儀は自殺を図るも結局ソビエト軍に抑留されてしまいます。その後の中華人民共和国の「戦犯収容所」での自己否定を強要される生活、最期は北京で普通の庭師として生涯を終えるまでの人生は波乱万丈を超えていました。映画「モダーンズ」のカタログから。 この映画をまた懐かしく思い出したのは、最近読んだ2冊の本の中に溥儀が登場していたからです。 一冊は昨日ブログに書いた「ラストレシピ」で、その中に関東軍の陰謀で昭和天皇殺害の罪を溥儀に被せようとしたというものでした。日本人の妻をという関東軍の命令に従わない溥儀を皇帝から失脚させようとしたというあくまでもフィクションです。 もう一冊は城山三郎氏の「落日燃ゆ」で、A級戦犯に対する裁判の中で「溥儀」が証人として登場し激しい日本攻撃をしたという事実には少なからず驚きました。勿論映画の中でこのようなシーンはありません。 「落日燃ゆ」からの抜粋です。「神経質に眉を震わせ、体を小刻みに動かしてしゃべる。ヒステリックに証言台を叩く時もあった。それは実は、溥儀自身がソ連や中国での戦犯裁判に引き出させることにおびえていたためであった」 それでもこの映画は私にはもう一度見てみたい映画の1つです。
2021.11.24
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最近スーパーの「明治屋」で「牛スジ」を見かけるようになりました。今までも販売していて見逃していただけかもしれません。産地国の記載がないのでオーストラリア産かなと思うのですが、150gで1.9ドル(160円ほど)は何と言ってもお値打ちです。 牛スジを検索するとその栄養効果にも驚きです。高蛋白質、低脂肪、コレストロールも少なくビタミンB12やKなども含まれています。早速大根、キノコと煮込むことにしました。合わせるワインを検索すると醤油ベースであれば断然「甲州のマスカットベリーA」と出てきます。シンガポールでは甲州ワインは買えたとしてもかなりの割高なのと、大根なのでやっぱり白が飲みたくなって「ワインコネクション」に探しに行きました。 プロモーションになっているワインの1つにスペインの葡萄品種「Verdejo(ベルデホ)」100%の物があり(1600円ぐらい)なので試しに買って早速合わせてみました。 お店で見た時はラベルがちょっと安っぽいかなという感じでしたが、明るい緑色が何とも爽やかな感じです。ベルデホは随分前に飲んだ記憶があるのですが、改めて調べてみると外来種の「ソーヴィニヨンブラン」にその地位を脅かされtいたけれど大事にしていたスペインの地元の人々の手で復活し、今やスペインの白を代表する葡萄になっているそうです。 酸味もありますが、ちょっと甘いかなと感じるほどの果実味やボリュームもしっかりあって牛スジにも予想以上のマリアージュでした。 牛スジ煮込みは他にも味噌ベースやデミグラスソースとの煮込み料理が紹介されていて、それぞれに相性の良いワインが紹介されていました。次回は味噌ベースに赤の「メルロー」を試そうと思っています。 因みに甲州のマスカットベリーAは数年前にシンガポール日本人会で「ティステイングの会」があった時、相性料理を尋ねたところ即答で「ゴボウの天ぷら」でした。その日購入したマスカットベリーAに合わせて拙いゴボウの天ぷらを作りましたが、魔法にかかったようなマリアージュで今でも忘れられません。いつか牛スジの煮込みに合わせて飲める日を願って・・・。
2021.11.22
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先月のNHK「歴史探偵」で「花魁高尾太夫」の人生が紹介されていました。高尾太夫は花魁が襲名する源氏名で11代まで実在していて、番組で取り上げられたのは希代の美人と謳われた2代目「高尾太夫」でした。 恋仲だった鳥取藩士は身請金を捻出することが出来ず、彼女を見初めた仙台藩主「伊達宗綱」が今のお金で5億円ほど払って身請け人となったそうです。 ただ愛する人のため身請けされた後も指一本触らせなかったため、逆恨みした宗綱に殺害されたということでした。 番組の中で「高尾は有名なヨーロッパ人画家が描いた絵にも登場しています」と説明があり、ゴッホが描いた絵がテレビの画面に出てきて、「この花魁の名前が高尾」であることを初めて知りました。 左がゴッホ作の「日本趣味・花魁(英泉による)」で1887年に描かれています。右が英泉作「雲龍打掛の花魁」で19世紀後半の作品です。同じく1887年にゴッホが描いた「タンギー爺さん」の右側にも着物の色が違う高尾が登場しています。タンギー爺さんの上着の色に合わせたような着物の裾の方の青色が何とも心憎いです。 原田マハ著「たゆたえども沈まず」を読んで、ユダヤ系ドイツ人画商「ノルデ―ル(実在のモデルはサミュエル・ビング 1838-1905)」がパリを拠点に欧米に日本美術や芸術を広めたことを知りました。 彼が買い集めた浮世絵を当時日本に憧れを抱いていたゴッホに無償で絵を模写することを許していたビングの存在もあってこのような名画が生まれたのだと思うと感慨深いものがあります。 「
2021.11.21
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先日、アメリカの子供向け教育番組「セサミストリート」に韓国系の新キャラクター「ジヨン」登場というニュースを見ました。アフリカ系のキャラクターはいてもアジア系は初めてということでした。 日本で小学生に英語を教えていた時、「クッキーモンスター」や「ビックバード」などをレッスンに取り入れていましたが、キャラクターの国籍について考えたこともありませんでした。 改めて調べて見ると歴史は意外に短くテレビ放送は1969年の開始でした。コロナ禍の中、特に目立つようになったアメリカでのアジア系住民への「ヘイトクライム」は今年は前年の2.6倍もあったようで、アメリカに根深く残る人種差別や悲しい事件が少しでも少なくなるようにジヨンちゃんの活躍にも期待するところです。 アメリカ繋がりで私がかなり影響を受けているなぁと思うのは「Peanuts(ピーナッツ)」でこの漫画は1950年に始まっています。昨年はピーナッツ誕生70年を祝う行事や関連グッヅの販売などが日本でもあったようです。 それに先駆け2016年に東京で「スヌーピー展」が開催され、運良く一時帰国と重なり見に行くことが出来ました。会場で一番目立つ所に展示されていた4コマの拡大版です。 「ルーシー」が恋心を抱く「シュローダー」に「一体全体どうして私に花を送ってくれないの?」と聞くと「君のこと好きじゃないから」とそっけなく返され「花のことは気にしなくていいのよ」とクールを装って言葉を返すルーシー。 原作者であり漫画家のCharles Schulz(チャールズ・シュルツ)氏の奥さんJean Schulzさんの一番のお気に入りの4コマと横に説明があり、「皮肉屋ルーシー」にこの上なく愛着を感じる私にとっては何とも嬉しいコメントでした。 昨年、誕生70年を記念してピーナッツの翻訳者「谷川俊太郎氏」のインタビュー記事も出て、改めて人生の悲喜こもごもを教えてくれる深い漫画だなと再認識しました。 インタビューの中で気に入った言葉です。「ピーナッツは大人の漫画で基本的な人間が生きている悲しみみたいなものがそこにあります。ピーナッツの神髄は人間の悲しみです。どれかのキャラクターは好きになるはずで、そこからピーナッツの深みにはまる。原作者シュルツ氏の絵がすごく言葉を助けてくれる。訳さなくても絵が感情を教えてくれる。ピーナッツの最終回には過剰なセンチメンタリズムがない。これは原作者シュルツ氏の思想のような物が反映されていると思う。」等々。そして「キャラクターの中で誰が一番好きですか?と聞かれるけれどウッドストックと答えています。理由はしゃべらないから。翻訳しなくていいので。」と笑いで締めくくっています。シュルツ氏とスヌーピーのモデルになった愛犬の写真。
2021.11.19
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今朝8時頃の発表とありましたが、10分ほど前に6年振りの「満票」で大谷選手がMVP 最優秀選手賞受賞と発表がありました。ネットの記事では受賞した場合の今後1年間の経済効果を約251憶円と推計が出ていて、これは日ハム「ビッグボス」就任の59億円ほどの4倍になるそうです。 因みに先月「選手間投票による年間最優秀選手」と「ア・リーグ最優秀野手」を受賞した際の賞金は癌で闘病中の子供や家族を支援するエンゼルスの地元の非営利団体「ミラクルズ・フォーキッズ」に寄付をすると発表したそうです。賞金を指定した慈善団体に寄付することは大リーグでは慣例になっているそうで、国民的スポーツの神髄を見た感があります。
2021.11.19
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1988年公開のアメリカ映画「The Moderns(モダーンズ)」を映画館で見た時は何とも不可解な話の進行に私には欲求不満が残る映画でしたが、その時買った映画のパンフレットを今でも大切に持っていて、時折パンフレットを読み返しているうちにこの映画の素晴らしさをじわじわと感じるようになっています。 パンフレットの最後のページを飾る絵で「モダーンズ」のサントラ盤のジャケットにも使わています。実はこれはオランダ人画家「キース・ヴァン・ドンゲン」が描いた「モンパルナスブルース」を主人公ニック・ハートを演じた「キース・キャラダイン」が全体像をそのままに顔を映画の出演者に替えて描いた絵というのを後になって知りました。 映画の時代設定は「世界大恐慌」前の1926年で、当時第一次世界大戦の勝利に沸いたアメリカ人がパリの文化と伝統に憧れ続々とパリに渡って来た時代です。映画では大戦を経験し従来の価値観に懐疑的になった「失われた世代」の作家や絵画や音楽に纏わる人々をパロディ的に描いています。 実在の人物としては既に彼の出世作となる「日はまた昇る」を出版していた文豪「ヘミングウェイ」や時代の寵児と持て囃されながら最後は非業の死を遂げた「スコット・フイッツジェラルド(偉大なるギャッツビーの著者)」も登場します。 実在ではない人物として映画の主人公であるアメリカ人挿絵画家の「ニック・ハート」がいます。あるきっかけから彼は資産家のナタリー婦人から踊り子と駆け落ちした夫に復讐するための3枚の絵の贋作の依頼を受けます。3枚の絵は「セザンヌ」「マティス」「モディリアーニ」が描いた絵で、夫が所有する絵の中からナタリーが特に好きな絵という設定です。 復讐のため夫には贋作を残し、本物を持ってアメリカに渡ろうと計画したところから思いもよらない結末へと進んでいくというあらすじです。 贋作に関わる人物として「ラストエンペラー」で一躍大スターとなった「ジョン・ローン」も登場しています。本物か贋作かの情報に惑わされ思わずナイフで絵を突き刺すシーンは圧巻です。 映画の最後はニューヨークのMOMAから出て来たニック・ハートが3年後に起こる世界大恐慌を予言するような「雨がきそうだが、まだ2、3日は持つかもしれない」とつぶやくシーンで終わっていて、余韻が残るエンディングもこの映画の魅力だと思っています。
2021.11.18
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1996年に出版された村上春樹著「レキシントンの幽霊」という短編小説集の中の一篇が「トニー滝谷」です。2005年に映画化され、運良くシンガポールでも上映され今でも印象に残る映画です。 父親の影響もあり孤独を抱えたまま成長したトニー滝谷を「イッセー尾形」さんが演じました。学生時代の回想もあり流石に彼の学生服姿には違和感がありましたが、卒業後に孤独を抱えながらもイラストレーターとして才能を発揮し社会的に成功を収めていく演技は引き付けるものがありました。 そして「宮沢りえ」さん演じる着こなしの美しい女性と出会い、恋に落ち結婚をします。淑やかで控え目で妻として申し分ないように見える彼女の唯一の問題となる行動が「度を超した衣服に対する執着」です。その様子を完璧な美しさと妖気じみた演技で見せてくれました。彼女の最後のシーンは特に印象的で一旦諦めた服をやっぱり買おうと思い悲劇に向かってふっと今来た道を戻ろうとするその表情には彼女の卓越した演技力を感じました。 今までトニー滝谷という名前について特に気になったことは無かったのですが、昨年紀伊国屋書店でたまたま村上春樹著の「村上T ついつい集まってしまったTシャツたち」というエッセ―集を見かけました。 こっそりページをめくって写真まで撮ってしまったのですが、最初のページに「Tony Takitani House」とプリントされたTシャツの写真と「一番気に入っているTシャツ」と書かれていて映画のことがすぐ頭に浮かびました。 Tシャツの説明にはマウイ島に滞在していた時に何となくTony Takitaniってどういう人なんだろうと思いこのTシャツを1ドルで買ったと書いてありました。そこからヒントを得て小説を書き、映画化までされるとはTシャツ好き村上春樹氏ならではの出会いかなと思いました。因みにイッセー尾形さんは村上文学のファンだそうです。 この映画がきっかけになったのか村上春樹著「海辺のカフカ」の舞台の主人公は宮沢りえさんで2015年にシンガポールでも上演されました。もう6年前ですが、今でもガラスの箱の中での彼女の演技というより妖艶な表情が浮かんできます。
2021.11.16
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リースリングの左が筑前煮、その下が洋梨 北海道余市産の洋梨 2個で28ドル(2300円くらい) 昨日の夜はMさん宅での「お家ご飯」でした。早々に「かにロール、だしまき卵、筑前煮、エビマリネ、ミートボール」と当日のメニューを送ってくれたので、持参するワインは筑前煮に合わせてアルザスのリースリングにしました。以前に日本の梨との相性が抜群だったのが忘れられないので、明治屋で洋梨を選びました。 Mさんの日本の実家でお正月料理としても作る品々らしく「家庭の味」を感じさせる逸品揃いでした。まずは筑前煮とリースリングは合格点という相性で、洋梨はちょうど熟れ時のためか甘味も絶妙でMさんは「こんなに梨とワインが合うなんて」と絶賛してくれました。 因みに「器」はタイで購入した貴重品だそうで象などの動物が描かれていて、それが動物愛護に反するということで製造や販売が禁止になり、今は動物の絵柄が無い物しか売られていないということでした。器の効果でさらに料理の美味しさが増した感じです。 飲みやすいリースリングは3人ですぐ飲み切ってしまい、A氏が持参した「白鶴 純米酒」とMさん宅の焼酎のお湯割り&梅干しで料理も完食となりました。料理、お酒、器と久々に大満足の「お家ご飯」でした。 ところでシンガポールでは高値の華の「日本産果物」に朗報の広告をフリーペーパーで見つけました。 「HISシンガポール支店」が群馬県高崎市の産地野菜や果物を日本から水曜出荷で金曜のお昼から支店内で販売するというものです。シンガポールも旅行業界は苦しい状況の中、新分野に挑戦のようです。直送でコストを下げてもらえれば消費者にとってもとても有難いことなので、来週にでも行ってみようと思っています。
2021.11.14
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明日「お家ご飯」の招待を受けていて、用意する料理は「かにロール」「だしまき卵」「筑前煮」「エビマリネ」「ミートボール」「キュウリのゴマ和え」とメニューもメールで送ってくれました。 メニューの中の私の好物の筑前煮に合わせたワインを調べてみると「リースリング」と出て来たので、昨日「Wine Connection」に行って来ました。VIN D' ALSACE 「Wolfberger Riesling(ヴォルフベルジェ―ル リースリング」 2019年 12.5% 「リースリング」と言えば原産地のドイツよりフランスのアルザス産が気に入っていて、ドイツやオーストリア産も紹介してくれましたが、やはりアルザス産の38ドル(3千円くらい)を購入しました。 日本にいた時はほとんど飲むことがなかった「白」ですが、シンガポールの気候やワインショップの「ティステイングの会」で初めてアルザス産のリースリングを飲んで「白」に目覚めました。 漫画「神の雫」のワインをセレクトした「斉藤研一氏」著の「ワインラバーズBOOK」の中の葡萄の説明が分かりやすく気に入っています。「葡萄の香り」を具体的に写真で見せてくれています。リースリングは梨、白桃、軽石や消しゴムまであります。 実際に日本の梨にリースリングを合わせた時は「極上マリアージュ」でした。今週の土曜はちょっと高いけれど日本産の梨も差し入れで持参するつもりです。最初からデザートというのは顰蹙を買いそうなので、筑前煮とリースリング、その後は多分焼酎とか日本酒に移り、最後にとっておいたリースリングと梨でしめる・・これをさりげなくやることって出来るのかなとか・・ちょっと考え過ぎ状態になっていて明日が本当に楽しみです。
2021.11.12
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Youtubeで1958年公開のイタリア人画家「モディリア―ニ(1884-1920)」の伝記映画「モンパルナスの灯」の解説を見て、モディリアーニを演じた俳優がフランス人の「ジェラール・フィリップ(1922-1959)」であることを知りました。 日本にいた時に知人から薦められビデオで見ましたが、たった一度見た映画でも印象的なシーンが多く映画の内容はよく覚えているのに俳優の名前は全く記憶にありませんでした。 解説では「ジェラール・フィリップ」は「フランスの美」と讃えられた俳優の一人ということでした。1940年代は「ジャン・マレー」で「感性の美」、1950年代が「ジェラール・フィリップ」で「知性の美」、1960年代がアラン・ドロンで「野心の美」だそうです。 また、ジェラール・フィリップは1953年に「フランス映画祭」のために来日していて、美男子ぶりや優雅さで田中絹代や高峰秀子など当時の錚々たる女優陣の心を鷲掴みにしたようです。そしてタイトルを聞けば「あぁ、あの映画に・・」というような「赤と黒」や「危険な関係」などの映画で主演も演じていました。 画家モディリアーニも美男子でしたが、映画の中のジェラール・フィリップ演じるモディリアーニも本当に美しかったと思います。ただ絵も売れずお酒と薬物に溺れ、おまけに結核にも冒され最後のシーンはやつれた酩酊状態のまま、カフェで一杯のお酒を得るために描いた絵を売り回る姿が強く印象に残っています。「ジャンヌ・エビュテルヌ」ネットの画像から 彼女の両親の反対もあり実質的な結婚が出来ず内縁の妻だった「ジャンヌ・エビュテルヌ」はモディリアーニの死後、身重ながら飛び降り自殺をし(お腹の中の子供は助かっています)モディリアーニと一緒のお墓に葬られるようになったのは彼女の死から10年後ということでした。 モディリアー二は失意の中36歳の若さで亡くなりますが、ジェラール・フィリップも肝臓がんのため同じ36歳で亡くなっているのは奇遇とYoutubeの解説者のコメントもありました。
2021.11.11
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昨年の11月に書いた日記ですが、写真が消えてしまっているので内容も修正してアップします。「金原瑞人訳」2014年出版 フランス生まれのイギリス人作家「サマセット・モーム(1874-1965)」がシンガポールのラッフルズ・ホテルで執筆した「月と6ペンス(1919年出版」が画家「ゴーギャン」をモデルにしていたと知り、ホテルの中庭にあるカフェ&パーへ1ページ目を開けるために行きました。 まず、サマセット・モームの芸術に対する本音のような言葉を小説の主人公である「私(小説家)」か語ることから始まります。 「素人に絵は分からないとか、気に入ったなら黙って金を出せばいいとかいう思いあがった画家たちの言葉に賛成するわけにはいかない。それは、芸術に専門的な技術のみを求めるばかげた言いぐさだ。芸術とは、情感の表現だ。そして情感とは、だれもが理解できる共通言語だ。」 「月と6ペンス」では「ストリックランド(ゴーギャンがモデル)」はフランス人ではなくイギリス人で画家になるために家族(妻と2人の子供)を捨て単身パリに行く話になっています。 ストリックランドに捨てられた妻の依頼を受けた「私」がパリにいる彼を探し出し、小説を書くネタのためにも彼の「人物観察」を続けることになります。「ゴッホ」を思わせるオランダ人画家「ディルク・ストルーヴェ」も登場し、絵を描く才能はないけれど絵を見る目は一流の人物で性格は根っからの道化者として描かれています。 ストリックランドの性格は前半は特に「無情に友人の信頼を裏切る」とか「他人の不幸も気にかけず平気で自分の気まぐれを満たす」とか並みの人間には信じられない冷血のような人物として描かれ、おまけにストリックランドに尽くしたディルク・ストルーヴェの妻も奪ってしまうことになります。 タヒチ島に渡る件はゴーギャンの人生通りですが、ここからのストリックランドの全魂を捧げ、絵を描くことに取付かれた情熱が描かれた箇所は圧巻です。そして病に倒れた時に現地の妻に託した言葉と死に様には、後世に「天才ゴーギャン」の名を残すことを彷彿させます。「果物を持つ女」ポール・ゴーギャン 1893年「エルミタージュ美術館蔵」 それまではあまりゴーギャンの絵を興味を持って見ることは無かったのですが、今はもっとゴーギャンの深みを知りたいと思っています。文庫本はシンガポールの日本人学校に今年寄贈しました。
2021.11.10
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「Discovery 2018 Margaret River Cabernet Sauvignon」 今月の「Wine Connection」のプロモーションで32ドル(2600円くらい)で購入した西オーストラリア「マーガレット・リバー産」のカベルネ・ソーヴィニヨン100%です。 パースの南約280㎞にあるマーガレット・リバーは16年前の2005年に「Voyager Estate」を含む5つのワイナリーを訪ねるツアーに参加していて、どのワイナリーも満足度の高いティステイングをしているのでマーガレット・リバーのラベルを見るとつい手が伸びてしまうことがあります。 ボトルの裏のラベルに「We apply sustainable and holistic grape~(持続可能で地球との繋がりを考えて栽培された葡萄を使用したワインを~)」と説明があり、今話題ののSDGsの「Sustainable」がラベルに書かれているのを私は初めて見ました。 検索するとこのワイナリーを営む醸造家「Bruce Dukes」氏は農学者でもあり「健全な土壌から豊かで生き生きとした香りを持つワインを製造する」ことをモットーに2012年に自身のワイナリーを設立したそうです。 肝心のワインは酸味が少なくオーストラリアらしい果実味が豊かな中にも濃厚でスモーキーな味わいでした。合わせた料理は「クックパッドレシピ」の簡単「牛肉の赤ワイン煮」です。上カルビの最後の1パックが安売りされていて、赤ワイン煮にカルビ?と思いましたが、試してみました。よく分かりませんがカゴメのトマトソースのお陰なのか、時短料理なのにほどほどのマリアージュとなりました。 マーガレット・リバーのツアーでの一番の思い出はワイナリー「Voyager Estate」でのツアーに含まれるランチで、初めてカンガルーステーキを食べました。合わせたワインは2002年のカベルネソーヴィニヨン&メルローです。 カンガルーの肉を美味しく食べるにはシェフの腕が大きく左右すると言われているそうですが、柔らかくてジューシーな味を今でも覚えています。 今朝のNHKの「あさイチ」は牛肉に替わる「代替肉」や人工的に造る「培養肉」がテーマでした。培養肉に関してはシンガポールでは昨年レストランで提供することを政府が認めたそうで、私は全く知らなかったのでこれには驚きました。 「持続可能」を考えると地球環境を守るためにも肉(特に牛肉)が店頭から徐々に少なくなっていくのかなぁとか考えながら、「力」を付けたい時はやっぱり「今日は肉でしょ」っていう感じが続くのかなぁとか色々考えさせられます。
2021.11.09
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今月2日に「秋の褒章808人」の発表があり、俳優の「内野聖陽」さんが「紫綬褒章」を受賞しました。ちょうど朝ドラ「おかえりモネ」で父親のカキ養殖の家業を継ぐ決意をした時の「簡単じゃないからやるんだ」の台詞の感動が未だ続いている時だったので、私にも嬉しいニュースとなりました。 初めて内野聖陽さんを見たのは2007年の大河「風林火山」の「山本勘助」役で、その時はまだシンガポールでNHKを見ていなかったので何年か後で再放送を見た時に何と凛々しい演技をする人だろうと思いました。その後2011年のドラマ「仁」は日本での評判を聞き、シンガポールでDVDを買って見ましたが、主人公がタイムスリップした江戸時代で出会った「坂本竜馬」役の内野聖陽さんは今でも私の竜馬像に一番近いです。 2019年のドラマ「昨日何食べた?」は残念ながら見ていないのですが、今月3日から劇場版が公開になっているのを知りました。受賞の際のネットの記事に「ゲイのケンジのしぐさや口調をコミカルにパターン化された大袈裟な表現ではなく、繊細で自然に演じ、リアリティーと幅広い共感を生み出した」と激賞するコメントがありました。 シンガポールでも是非公開してもらいたい映画です。 ところでこの「文化勲章」の発案者は戦後「東京裁判」でA級戦犯となり死刑判決を受けた「広田弘毅」氏であったことを今年「昭和史裁判」を読んで知りました。それまで叙勲は軍人、官僚、政治家に限られていたのを対象を学者や芸術家にまで広げた功績は大きいと昭和史探偵の「半藤利一」氏もこの点については高く評価しています。メダルを「橘」のデザインにというのは昭和天皇のアイデアだそうで1937年(昭和12年)に始まっているので、今年で84回目の叙勲となります。
2021.11.08
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日本から友人が送ってくれた東野圭吾著「マスカレード・イブ」の中に「バカラのグラス」が出てきます。ネットからの画像 アメリカ帰りの新米エリート「新田刑事」が夫を殺害された妻の住む高層マンションに事情聴取に行き、家の中の高価なサイドボードの上に置かれているワイングラスに目をとめ「バカラのダークサイド アン・パルフェですね」とさらりと言い当てます。 初めて聞くグラスの名前で調べてみると真っ黒なグラスが・・もしかしてこのワイングラスが事件の鍵を握る・・・と期待しましたが、残念ながら新米刑事のお育ちの良さをアピールするための小道具として登場したようです。 デザインは巨匠「フィリップ・スタルク」でパカラを代表するグラス「アルクール」を黒く変身させ(ダークサイド)5つの不完全(アン・パルフェ)と1つの完全品をセットにした作品で、不完全品と完全品の刻印の入り方が異なっていると説明があります。因みにネット価格は6客で15万円となっていました。 黒いグラスを見て思い出すのは、ワインショップのローカルスタッフから以前に「黒いグラスにワインが入っていると、赤なのか白なのかも分からない」という話です。ソムリエ試験のようなものをシンガポールで受けた時にワインが黒いグラスに注がれ、生産国名、葡萄品種、葡萄の収穫年(ヴィンテージ)を当てるのにまず「赤」なのか「白」なのかが分からないので戸惑ったという話です。 今だに黒いグラスは私は試したことがないのでこの話の真偽のほどは分かりませんが、いつまでも記憶に残る話です。そしてどういう人が黒いグラスでワインを飲むのだろう・・?という疑問も残ります。 ワイングラスと言えば、以前にワインボトルの金型を作っているシンガポールの日系企業の社長さんから「これお客さんからもらったけど、あまりワインは飲まないのであげるよ」とサプライズプレゼントがありました。 タグにはVALENTINO、14金入りと印刷され、それだけで舞い上がってしまいましたが、実はこのグラスに赤ワインを注ぐと金色との相性が悪いのか私にはあまり美味しそうには見えませんでした(あくまでも個人の感想です)そしてその気持ちが反映したのか頂いた6個のグラスは結構短い間に1個ずつ割れて、結局全部割れてしまいました。 個人的には透明でシンプルなデザインのグラスが一番美味しくワインを飲めるグラスかなと勝手に思っていますが、それでも14金のグラスの写真は結構な宝物と思っています。
2021.11.07
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今日から「クライマックスシリーズ」です。日ハムファンの私は熱くならずに余裕で試合を楽しめそうです。 ところで「新庄」氏の日ハム監督就任のニュースには少なからず驚きましたが、日ハムが2004年に北海道に移転して、球団の存在感を大きく全国にアピールした功労選手と考えれば最適な人事なのかなと今は思います。 2003年に来星するまでは道民の多くがそうであったように、私も巨人ファンでした。そして日ハムが北海道に移転のニュースを聞いて、一試合も見たことがないのにすぐ「日ハム」ファンになったのはやっぱり「郷土愛」です。 北海道に住む友人からは「どうもススキノを赤いポルシェで疾走しているらしいよ~」と新庄選手の「人気」や「暴れ振り」もメールで届きました。一応イメージです。 そして2006年、ヒルマン監督の下「日本一」になった年に新庄選手は退団となりました(たまたま帰省時に札幌の「大丸」で優勝祝いの「ヒルマン饅頭(お昼の饅頭)」が発売されていてちょっと苦笑いでした) 梨田監督の後の栗山監督の下での10年間は私自身も思い出深いものがあります。今年監督引退のニュースにはしみじみしてしまいましたが、「ビッグボス」のまず「優勝は目指しません」宣言や「新庄劇場」の言葉でしみじみの気持ちも吹っ飛んでしまいました。 来年は勝っても負けても大きなニュースになるだろうし、日本の野球界をさらに元気にしてくれるんだろうなぁと今は明るい気持ちで一杯です。 東京出身の栗山元監督は北海道との絆を一段と強くしたようで、「しばらくは北の旅人になって・・」の一言に監督の思いが込められている気がします。ちょうど今ぐらいの時期に帰省した2014年、私も「北の旅人」になっていた時の2枚です。 「山崎ワイナリー」の薪ストーブ 故郷の駅前の紅葉
2021.11.06
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今年コロナ禍の2月旧正月の休暇中にちょっとでも旅行気分を味わいたくて、久々にセントーサ島へ行きました。旅行と言ってもHarbour Front MRT(地下鉄)直結のショッピングモール内からモノレールが出ていて、自宅から30~40分で着いてしまいます。 ただセントーサ島は島全体がカジノやユニバーサルスタジオ等があるテーマパークのようなので、島内に一歩足を踏み入れるとやはり街中とは雰囲気が随分違います。 2012年にリニューアルオープンした「SEA Aquarium(シンガポール水族館)」も観光スポットの1つで、その前を通りかかった時大きな「のぼり」の動物に目が釘付けになりました。 水族館前の「のぼり」 ネットからの画像 説明には「Hammer Shark(シュモクザメ)」と書かれていて両目が横に棒状に伸びています。その日は生憎の休館日だったので、翌週ネットでチケットを購入してこのサメ目当てに行きました。 一応下調べのために検索すると、「頭部の両端に伸びた金槌状の端に目があるため360度の視界があり、北米、北欧を除く国の沿岸部に生息している」とあります。生息地からするとそれほど珍しいサメではないのかもしれませんが、私には初めてです。 実際の大型水槽の中では他の普通のサメや小魚達と泳いでいて、シュモクザメの数が少ないのと動きが速いためシャッターチャンスはありませんでした。 それとこの水族館の一押しポイントは世界最大級のアクリルパネルの水槽があることです。高さ8.6m、横幅が36mあり、ギネスに登録されているそうです。 旧正月中のためか特別な飾り付けがあり、館内の照明も落とされていてまるで深海にいるような感じでした。水槽の前にはテーブル席が用意されていて魚達を見ながら食事も出来るようです。右はネットからの画像で、それでもこの巨大水槽の迫力が伝わりません。 3時間ほどいましたが、あっという間で魚達のショーも見るとなると一日がかりになりそうなので時間に余裕がある時もう一度行ってみたいと思っています。
2021.11.05
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昨日、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の中で映画「モダン・タイムズ」の映像が流れ、チャップリンが2つのパンに棒を挿して踊る姿を「おはぎ」で真似をして、妹の「安子」に「俺はダンサーを目指す!」というシーンがあって、昨年の日記に「チャーリー・チャップリン」のことを書いたのを思い出しました。 以前にテレビ番組で「モダン・タイムス」で流れる名曲「SMILE」がチャップリンの作曲だと知って、喜劇王のイメージが強いだけに作曲の才能もあったのかという驚きと、歌詞は実は映画公開から20年ほど経って付けられたということにも驚きました。 その後すぐ、Youtubeで1954年の「ナット・キング・コール」が歌う「SMILE」を聴いてみましたが、切ないメロディーと前向きな歌詞が心に響きました。特に昨年はコロナ禍で思い通りの行動が出来ない中、「レディ・ガガ」さんも「One World Together at Home」で「SMILE」を選びピアノを弾きながら歌う様子をYoutubeにアップしていました。 実は映画「モダン・タイムス」を見たことがなかったので、どのシーンで「SMILE」が流れるのかYoutubeで映画鑑賞となりました。 1時間半ほどの白黒、無声映画で5回ほど流れました。それが全て浮浪少女との幸せなシーンでのBGMになっていて、一番感動したのは映画の最後でチャップリンが浮浪少女と警察の逮捕から逃れ田舎道を歩くエンディングで流れ、チャップリンが笑顔の唇の形を浮浪少女に向かって示すシーンでした。 「泣いてたって何になるんだ。微笑みを浮かべれば、きみはまだ生きるって価値があるって分かるよ・・」「Charlie Chapline & his brother Syd 1931年」 「モダン・タイムス」は85年前の1936年に公開で、シンガポール繋がりと言えば1931年に来星してラッフルズホテルに滞在しています。2017年の改修工事中に行われた「ラッフルズホテルツアー」に参加した時にガイドさんが壁に飾られている写真を説明してくれて知りました。因みに元「嵐」の「櫻井翔」さんの写真も展示されていました。
2021.11.03
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パリを中心に半径約150㎞の地域内の「イル・ド・フランス」にあるブリー地方の「モー村」で作られる白カビチーズ「ブリー・ド・モー」がフランスで「チーズの王様」と呼ばれるほど絶大な人気を誇るチーズであることを昨年初めて知りました。 常温でとろける白カビチーズをナッツや茹でたてジャガイモや沢庵などに載せるだけで、立派な一品になって合わせるワインは白でもロゼでも赤でも何にでも合うという感じですが、果たして1番合うワインは何だろうと思って検索すると3つお薦めが出てきました。①果実味豊かなボルドー右岸(メルロ種の比率が高い)②繊細な気泡のシャンパーニュ③エレガントな味わいのコート・ド・ボーヌ(ブルゴーニュ地方)「ブリー・ド・モー」最近の航空運賃の値上げのためか少しずつ値段が上がっています(15.5ドル/100g) 早速ワインショップ「Wine Connection」へ行って、オランダ人スタッフのジャンさんにボルドー右岸っぽい2つのワインを薦めてもらいました(サンテミリオンは高すぎるので)最初の1本が40ドル台と高めだったので、36ドル(3千円くらい)の「Cotes de Bourg(コート・ド・ブール」の「Grand Fond」2018年、アルコール度数13%にしました。最近コート・ド・ブールのワインをお店で見かけるようになりましたが、ボルドー右岸のサンテミリオンのような有名産地より知名度が低いためかコスパはかなり良いようです。 一口目は思った以上に果実味があり意外なほど甘みがありました。ただ渋みも結構ありグラスをぐるぐると回して空気に触れさせました。その効果なのかワインも柔らかくなった気がしてチーズとの相性はお薦め通り私には完璧でした。メインはラムチョップの塩・胡椒にしましたが、これともしっかりマリアージュです。 話は変わってワイン・コネクションに行くもう1つの楽しみはワインだけではなくオランダ出身のジャンさんと画家「ゴッホ」について話すことです。 今回のトピックはゴッホがアルルで描いた「夜のカフェテラス」のカフェに行ったことがあるかどうかでしたが、残念ながら行ったことがないということでした。今でも営業を続けているらしいこのカフェで南仏の美味しいワインと料理を楽しみたいものです。来年には旅行も解禁になっているかなぁ・・。
2021.11.02
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先週は小室圭さんのNYの司法試験不合格のニュースが流れ、自分自身の今思えばとるに足らないような多くの落ちた試験の事を考えて、ここまで「時の人」になってしまった人の「不合格」の通知、発表の重たさを考えて胸が痛くなりました。 そんな時に昨日NYへの移住が現実化した後の眞子さんの仕事についての記事を見つけました。以前から仕事をしたいという記事は見ていましたが、具体的に書かれていたのは初めてです。『在ニューヨーク邦人によると、眞子さんは渡米後、現地の有名美術館「メトロポリタン美術館」で学芸員として勤務する見通しで、その場合の年収は約1500万円とみられている』 絵画、美術館好きとしては嬉しいニュースです。メトロポリタン美術館所蔵の日本画などを中心に研究を行っていくのかなと想像します。 メトロポリタン美術館の所蔵作品を検索すると江戸時代の「鈴木其一」の「朝顔図屏風」が出てきました。2016年東京ミッドタウンのサントリー美術館に立ち寄った際に、その画家の名前を初めて知りました。黄色、緑、深い青色のコントラストが深く印象に残る作品です。 かなり以前に1度だけメトロポリタン美術館を訪問したことがありますが、記憶にあるのは入場料が本人の希望額で戸惑ったこと、あまりの広さに館内で迷子状態だったこと、そして一番印象に残る絵はゴッホが亡くなる前年に療養所の生活の中で描いた「アイリス」です。 「ゴッホ週刊美術館」には「スケッチをしに外に出ることも容易に出来ない窮屈な環境の中で、そこの小さな庭の中に絵画への意欲を再び掻き立ててくれる題材を見つける。その1つがアイリスでした。そしてひまわりの情熱に対してアイリスは静寂を表している」と書かれています。ギフトショップで買った絵葉書 何枚もこの絵葉書を買ってアメリカ旅行の感想を書いて友人達に送りましたが、書き損じのあったこの1枚だけが残っています。 窮屈な環境というのが少し眞子さんにも繋がって・・。絵画により深く接して、絵画を通して多くの癒しが得られることを願っています。
2021.11.01
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