星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

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2023.09.09
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​ 小説に何度も登場する「薪ストーブ」北海道の山崎ワイナリーを思い出しました。

今年4月に刊行された村上春樹著「街とその不確かな壁」をじっくり時間をかけて読み終えました。刊行前に前知識として1980年に雑誌「文学界」にほぼ同じタイトルで掲載されたけれど村上氏の意向から単行本化されなかった幻の作品の存在やこの作品が四作目である 1985年に刊行された「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の原型となる小説である事を3月に知りましたが、私としては全く新しい作品として読み終えました。

著者自身の「あとがき」が巻末の5ページにあり具体的に1980年「文学界」に掲載された中編小説が四百字詰めの原稿用紙に150枚程度で内容に納得がいかず唯一書籍化されなかった作品である事、「三部作」の後の1895年に刊行された四作目「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」で色合いの違うストーリーを加えて二本立ての小説を作り上げたと説明があります。この作品は30代の作家としては大江健三郎著「万延元年のフットボール」に次ぐ2人目の「谷崎潤一郎賞」を受賞しています。

そして「文学界」での掲載からほぼ40年経ち(村上氏は31歳から71歳に)作品の未完成さや未熟さにしかるべき決着をつけたいという思いから日本でコロナ禍が猛威を振るう年に書き初め3年ほどで完成させたそうです。

あとがきに引用された言葉「1人の作家が一生のうちに真摯に語る事が出来る物語は基本的に数が限られている。我々はその限られた数のモチーフを、手を変え品を変え、様々な形に書き換えていくだけなのだ」には村上氏が小説を書き始めた時からのブレない「信念」のような物を感じます。

実は「世界の終わり~」を読んだ後で二部作で進行しながらも全く違和感のない物語の展開にも驚き「この作家は将来ノーベル賞を受賞する作家になるんだろうなぁ」と思った事を思い出しますが、改めて検索してあらすじを読むと内容を全く覚えていない事にも驚きます。ハルキストの友人からも「街と~」を読み終えた後「世界の終わり~」をもう一度読んでみたくなりましたとメールがあって、私も同じ気持ちになっています(出来ることなら幻の作品も・・)村上氏が著書の中でよく使う「職業作家」という言葉の意味をこの一冊で知った気がします。今年のノーベル文学賞の発表は10月6日(金)で果たして結果は・・とこちらも興味深いところです。





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最終更新日  2023.09.14 12:36:24
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