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タイガース脇役物語(4)福間納
福間 納 (ふくま おさむ)
1951(昭和26)年7月13日生
出身 島根県大田市
経歴 県立大田高校~松下電器
ロッテ( 1979~ 1981)
阪神( 1981~ 1990)
左投左打 投手
背番号 12 (阪神在籍時)
福間は大田高校3年の時、阪急ブレーブス(現オリックス)から7位指名されたが拒否。松下電器に入り、10年を経て1978(昭和53)年秋のドラフト会議でロッテオリオンズに1位指名されてプロ入りしている。ちなみに同年のロッテのドラフト3位は落合博満である。二人が同期入団で、しかも福間の方が順位が上だったことはあまり知られていない。
福間は175センチで69キロ、剛腕投手ではなく、コントロール主体の地味な感じの投手という印象だった。プロ生活12年間で、通算451試合に登板しているが、先発はわずか14試合なので、ほぼリリーフ専門である。
オリオンズ時代は故障もあって1勝もできず、バッティングが良かったため野手転向も検討されたが結局投手のまま泣かず飛ばす。1981(昭和56)年のシーズン途中に、深沢恵雄との交換トレードで阪神に移籍することが転機となった。この年の監督は中西太さん、投手コーチが高橋重行さん。福間は先発が一度もなく、もっぱらショートリリーフとして使われている。
実力を発揮したのが移籍3年目の1983(昭和58)年だ。69試合に登板したが、先発は2度だけ。残りはすべてリリーフなのに130回2/3を投げて規定投球回数に到達し、なんと防御率2.62でタイトルを獲得している。前年までと違い、2イニング以上のロングリリーフを任されたことが要因だが、コントロールが良く安定していてスタミナもあった。この年はルーキー木戸克彦や助っ人ランディ・バースが加わって、優勝への足場が固まってきた年であり、福間の役割が定まった年でもある。
この年を皮切りに翌1984(昭和59)年が77試合119回1/3、優勝した1985(昭和60)年が58試合104回1/3と、3年連続で100イニングを超えている。2011年の榎田が62試合で63回1/3だったのと比較しても、リリーフ専門に近い状態で、このイニング数は驚異的だろう。84年の77試合登板は、当時のセリーグ新記録で、稲尾和久のもっていた 日本新記録にもあと1と迫るものだった。
福間は球威がある投手ではなかったので手痛い一発を浴びることがあった。最たるものは1985年、西武との日本シリーズ第4戦だろう。第3戦まで阪神の2勝1敗。王手をかけるか追いつかれるかの大事な一戦だった。
阪神は先発の伊藤(文隆)が6回表スティーブに先制2ランを許したが、その裏、真弓のソロで1点差に。さらに8回裏には弘田の犠牲フライで同点に追いついた。ところが、9回表二死二塁の場面で、8回からリリーフしていた福間が、途中出場の西岡に手痛い勝ち越しの2ランを浴びてしまう。9回裏を3人で抑えられた阪神は敗れ、2勝2敗に追いつかれてしまった。敗戦投手はもちろん福間である。
ただし、ひょうきんで、物事に動じないタイプの福間は、次の第5戦ですぐさま借りを返す。この試合、阪神は初回に掛布のシリーズ1号3ランなどで4点を先行した。ところが先発の池田が3回までに2点を失うなど不安定で、4回表にはヒット2本で無死一二塁のピンチを招いてしまった。
吉田監督はここで福間をリリーフに送り込む。辻が送って一死二三塁になると、続く石毛を敬遠して満塁策をとり、左打者の金森との勝負を選んだ。しかし、短期決戦を知り尽くした広岡監督も黙ってはいない。前日福間から2ランを打ってヒーローになった西岡を代打に送ってきたのだ。
まさに大ピンチ。ところがそんな空気をよそに、落ち着き払った福間は西岡をショートゴロ併殺に仕留めて何事もなかったようにピンチをしのぐと、7回まで飄々と4イニングをゼロに抑える見事なロングリリーフで勝利投手になってしまう。
このしびれる勝利で、対戦成績は阪神の3勝2敗となり、王手をかけたわけだ。試合後、広岡監督は「捨て試合」とうそぶいた。しかし、もう流れは阪神! この大事な一戦の大ピンチで、福間に賭けた吉田監督の思い切った采配が良い結果につながったということ。そしてこの年の福間に、それだけの信頼感があったことの証明でもある。
福間の良いところは、度胸の良さ・・・というか飄々としたところだった。ピンチをピンチと思わせないところに魅力があり、福間が投げていると、守っているチームメートもリラックスしている感じがしたものだ。1990(平成2)年を最後に現役を引退。1998(平成10)から2001(平成13)年まで4年間は阪神で、2011(平成23)年はオリックスでコーチを務めた。
福間さんは今年2012(平成24)年から、日本女子プロ野球機構の新チームである「大阪ブレイビーハニーズ」の初代監督に就任されました。
ご健闘を祈ります。
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