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2025.09.28
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カテゴリ: I whisper
アクセス記録を見ていたら、
昨年に書いたブログが読まれていて、
何を書いたのかと読みに行ったら、
怖い主治医が少し登場 ​していた。

そう。
怖い主治医と出会ったときから
「運命」という感覚を持っていた。

そのときも、もちろんいまでも、
その根拠はわかっていない。

今回の入院で、怖い主治医が虫けらの病室を訪ねてくれたのは
5回だった。

そう聞くと、「えー、そんなに何度も?」
と思われるかもしれない。
が、それぞれに理由があって、

1回目〜手術翌日。
    この日は怖い主治医が休暇に入る前日で、
    術後の様子見と、今回の入院日と重なったために延期した
    CVポート手術日のリスケの打ち合わせだった。

2回目〜朝:手術日の日程調整前の打診と仮決定。
3回目〜夕:手術日の決定。
     昼間に怖い主治医と整形の担当医が手術室で会い、
     虫けらの入院日程を聞いたり、朝に仮決定した
     手術日に実施可能かを打ち合わせたらしい。

4回目〜手術前日。同意書の取り付けと打ち合わせ。

5回目〜手術後(怖い主治医の診察時間後)。
    傷口のチェックと虫けらへの慰労。


無理も無駄もない。

怖い主治医はそういう人なのだ。

しかし、3回目の病室訪問の帰り際だったか、

怖「ここに来るのが楽しみなんや」

と言いながら、部屋を出て行った。
どんな理由かは言わなかったが、
虫けらの部屋に来るのが嫌ではなかったようだ。

虫けらも怖い主治医も、余り自分の話はしないのだが、
ふと見た怖い主治医の手と虫けらの手に
共通項があったので、

虫「体質が似てるのかもしれませんね」

怖「そうやな」

虫「私、先生とは、前世でも何かの関係があったんじゃないかと
  思っていました」

怖「え?」

虫「きょうだい(姉弟)だったのかも」

怖「きょうだい? ちゃうやろ」

虫「年齢的には私が姉ですけど、先生の方が上だった
  ように思います」

怖「そうやろな」

「そうやろな」の意味はわからないが、
怖い主治医も「そんな気がしている、
しかし、兄弟ではなく、違う関係だろう」
ということかもしれない。


前回の入院時に、優しく抱き締めてくれたという話を書いた。

そのひと月後の外来診察のとき、

怖「僕、9月で退職するんや」

と聞かされ、虫けらはいつになく動揺した。
その話になったとき、

虫「あの日、自宅に帰って呆然としました」

と、多分悲しそうな顔をして虫けらが言った。
すると怖い主治医が大変申し訳なさそうな顔をした。
そんな顔を見たのは初めてだった。
いつもポーカーフェイスで、
感情を表情に出さない人だし、
声も冷静そのもので、口調もトーンも変えない
(何度か、イラついたり、怒ったりしているような
声を聞いたことはある。が、それは、虫けらが
そう仕向けたとも言える。そのときとて、
表情は変わらなかった)

怖「ほんとは、あのとき(前回の入院時)それを言いに行ったんや。
  でも、言えんかった」

そう言ったときの怖い主治医の表情は、
生涯忘れられないだろう。
本当に気の毒そうに、憐れむように言い、
哀れみの表情を浮かべる。

なぜ言えなかったのか。
それを言ったら虫けらが悲しむだろうと
推察したからにほかならない。

その気持ちが「優しく抱き締める」という行動につながったのだと
理解できた。

しかし、なぜ虫けらが悲しむと思ったのか、
ということは聞けなかった。

ところが後に、何かの会話の中で、
虫けらの気持ちの話になった。

怖「(怖い主治医は虫けらに)嫌われてはいないやろうと思ってた」

と言った。
これは微妙な言い回しだ。
人間の評価は、嫌いか、好きかの判断だけではない。
大抵は、ほとんどの人に対して、どちらの感情も持っていない。

多分、怖い主治医は虫けらが怖い主治医のことを
好きだと思っていると感じていたのだろう。

どこでそう思ったのかは謎だ。

怖「さーけど、あなたはそういうことは言わん人やと
  思った」

これは、ふた通りの意味がある。
⚫︎「そういうことは言わん人」だから、
 そう言わなかった。
⚫︎「そういうことは言わん人」なのに、
 好きと言った。
ということだ。

もしかしたら、怖い主治医は虫けらが怖い主治医が好きだと
言ったと思ったのか。

虫けらは言っていない。

「好き」ではないからだ。
そんな単純な言葉で表現できる気持ちではないと
「怖い主治医と虫けら」 ​に書いた。

感情のみを表す短絡的な言葉に込められるような
簡単な思いではないのだ。
決して「好き」などとは口に出していない。

しかし、虫けらの何らかの言動によって、
怖い主治医はそう思った(解釈した)のかもしれない。

虫けら自身も最近まで、自分の気持ちが理解できていなかった。
今回の入院以前に、中途半端な言動をしていたやもしれぬ。

もしそうならば、大変申し訳ない。


虫けらの性格についても、怖い主治医が分析してくれた。

⚫︎大変真面目な人
⚫︎男女のややこしいことと対極にある人
⚫︎人に寄りかからない強い人
⚫︎達観している人


実に的を射ている。
虫けらの実像と寸分違(たが)わない。
よくも正確に見抜いてくれたものだと思う。
やはり、運命の人だったのかもしれない(こらこら)。

いや、冗談はさておき、
怖い主治医は、長年臨床をやっているだけに
人を見る目はすごいのかもしれない。
聡明で、感性も経験も豊かな人だから、
患者の性格や特性を見抜いてしまう。

対して、虫けらの怖い主治医に対する理解は中途半端だ。

半分以上は妄想だし、勝手につくりあげた人物像を
都合のいいように理解しているだけだ。
それでよかったのだ。
自分の最期を看取ってくれる人が
生々しい人間である必要はないのだから。

常に虫けらはそういう認識で怖い主治医に接してきた。
怖い主治医は虫けらの本質を見抜いていた。
齟齬が起こってしかるべきである。

怖い主治医が病室を訪ねてくれた間に交わした会話は
大した量ではないが、何度も齟齬があるな、と感じた。
それは、昨年⑥くらいまで書いたと思う
「怖い主治医の謎の言葉の言葉の答え合わせ」
でもわかるとおり、
怖い主治医と虫けらの根本的な認識の違いが
「謎」と「齟齬」を生み、
ズレた理解の上に次の事実を重ねるから、
余計に互いを理解困難な人間にしていたのかもしれない。

しかし、虫けらにとって、怖い主治医の誤解は
別に修正するべきものではないと考えた。

間もなく虫けらの前から消える人である。
怖い主治医にとっていいか悪いかはわからないが
(もしかしたら、きちんと修正した方が
よかったかもしれない。誤解が怖い主治医を
苦しめたり、悩ませたりするものだったら
申し訳ない。が、いまとなっては後の祭りである)、
その誤解を認識したまま接し続けた。

結果、それはそれでよかった。虫けらにとっては。

大変優しくしてもらったし、
怖い主治医の本当の姿が少しだけ見られらように思う。
怖い主治医の言葉遣いも、友達にするそれのようにやわらかく、
親しみのこもった、心地いいものだった。

虫けらを見つめる視線や表情も、
外来の診察室では見たことのない、
とても優しくて温かいものだった。
もしかしたら、ペットや小さな子供に対する
慈しみの表情と同じかもしれないと思った。

しかも、また抱き締めてもらった。
大きく、深く。
その気持ちよさは、最初のときと変わりなかった。

これらを思い出しながら、一人ぼっちで死んでいこう。

怖い主治医と会うことはもうない。
怖い主治医の勤務最終日に虫けらは病院に行った。
リハビリの指定日だったからだ。
待合室にいるとき、怖い主治医の呼び込みの
アナウンスを聞いた。
あれが最後の怖い主治医との接点だった。

あっけない別れの瞬間だったが、
いつも人との別れはそんなものだった。

長い人生で経験した、多くの別れの一つとなった。


怖い主治医に対して虫けらが抱いていた感情を
「好き」以外のものだったと理解してもらうべく、
最後に部屋を訪ねてくれたとき、

虫「先生には、最期を看取ってもらえると思っていました。
  その心算(こころづもり)がかなわないから、
  悲しんだんです」

と伝えた。
これで、少しは修正できたのではないかと思っている。

運命だと思ったが、そうではなかった。

もし、本当に運命だったのなら、
再会のときが訪れるかもしれない。


……ないない。


怖い主治医のことを考えるとき、
「ないない」と思ったことは、本当になかった。
だから、「ないない」だろう。


                 臨 終





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Last updated  2025.11.21 15:40:25
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