Serendipity

2017.11.16
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カテゴリ: 翻訳について
​​​​​​​翻訳者を目指している方に向けて書いている記事の第2回目です。

前回の記事 ​で、杉田敏先生の文章を引用しました。

今回はその中で杉田先生が指摘されていた 「自分の現在位置を知る」ためにできること について、私の考えを提案したいと思います。

前回の内容を振り返りますと、まず、杉田先生は次のようにおっしゃっています。



・・・そのためには、まず「現在位置」を知らなければならない。つまり自分の現在の力量を客観的に把握することだ。​
 ロシアの街角には「案内図」があまりないそうだ。日本なら鉄道の駅の前やショッピングセンターなどに必ずある掲示板式の地図のことだが、たとえあったとしても「現在位置」を示す印(英語ではYou are here.→ などと書く)がついていないので、役に立たないという。​どんなにきちんとした地図があっても、自分が現在どこにいるのかがわからなければ、目的地にたどり着くことはできない。

(*​DHCのホームページ​より引用しました)



そこで、私が思いつく 自分の現在位置を知るための方法 なのですが・・・


①資格試験を受ける


②翻訳コンテストなどに応募する(おすすめは、アメリアの定例トライアル)



のふたつがよいのではないかと思っています。以下に私の考えを詳しく記します。



​①資格試験を受けることについて​​


翻訳者を目指している人の間でよく聞かれる疑問のひとつに、 「翻訳者になるために必要な英語力は?」 という問いがあると思います。

その問いに対しての答えは、主に、「資格試験で高得点が取れる=うまい翻訳ができるとは限らない」という説と、「いやいや、ある程度の資格は取っておいた方がよいでしょう」という説があるのですが・・・

私の実感としては、 英検1級とTOEIC900点以上は持っていた方がよい と思います。

まず、これらの資格を持っていると、 書類選考で有利 です。
たとえあなたに名訳をつくれる腕前があったとしても、書類選考の段階で振り落とされてしまっては、トライアルでその実力を発揮することすらできないでしょう。
あなたに翻訳に関する経歴がなくても、採用担当者に英語力で興味を持ってもらえればしめたもの。

次に、これぐらいの英語力は 翻訳の仕事をしていく上で必要 だろうと思うからです。
言い換えれば、最低でもこれぐらいの英語力がないと、最終的には自分が困る局面が出てくるかもしれません・・・つまり、プロとしていろいろな文章を訳さねばならない中で、英語力が足りないばかりに、どうしてもわからない・訳せない場面が出てきてしまうのではないかと危惧します。これはけっこう恐怖です。

(ただ、ウェブなどで翻訳に関する情報を読んでいると、実務翻訳の中でも技術分野の英語は比較的簡単であるといった説もあるようです(他にも医療分野なども英語自体は簡単だとしているサイトもありました・・・かなり難しそうなイメージがあるのですが )。また、その分野に関する背景知識のあるなしで翻訳の難易度が変わってきたりもするので、目指す分野とご自分のバックグランドなども考慮に入れた上で、どのぐらいの英語力を持つべきか結論付けるべきかもしれません・・・。)

まあ、いずれにせよ 資格は持っていて損はない と思います。
ご自分の英語力の現在位置を知るためのよい目安 ともなるでしょう。



②翻訳コンテストなどに応募することについて

英語の資格試験でご自分の英語力の現在位置がわかったとしても、翻訳力はまだわからないでしょう。

翻訳の通信講座を受講したり、翻訳学校に通ったりするのもひとつの手ではありますが、 もっとビビッと自分の力を知る方法 があります。

それが、 「応募する」 ということ。

何に応募するのかというと、世の中にはいろいろな翻訳のコンテストがありますよね。
英字新聞やウェブ上で開催されているものもあれば、翻訳関連雑誌でのコンテストもあるでしょう。
また、NHK実践ビジネス英語のテキストにはThe Writers' Workshopというコーナーがあり、ここでは課題文の英訳を投稿することができます。(このThe Writers' Workshopには私も過去に2回応募したことがあり、2回目の投稿を佳作に選んでいただけて、とてもうれしかった思い出があります。その時の日記は​ こちら ​です。)

・・・とまあ、そういうのも楽しいですし、雑誌などに自分の名前が載るのはとてもうれしいことなのですが、私が「自分の現在位置を知る」という目的で特にお勧めしたいのは、 アメリアの定例トライアル です。​

これは、 アメリア ​という翻訳団体が毎月分野を変えて開催している有料の模擬トライアルです。その審査基準は 「仕事として通用するレベル」

この定例トライアルに応募することで、自分の訳文を実力ある現役翻訳者の先生に評価していただくことができ、 自分の翻訳の客観的な価値が明確にわかる のです。
​​​

出題ジャンルは以下のとおり。

◎実務分野:IT・テクニカル、特許、メディカル、日英メディカル、金融、ビジネス、日英ビジネス
◎出版分野:フィクション、ノンフィクション
◎映像分野:字幕


唯一のネックは、 多少費用がかかる ことでしょうか。

アメリアの定例トライアルに応募するには、まずアメリアの会員になる必要があります。通常入会金5,400円 (税抜 5,000円)と年会費16,200円 (税抜 15,000円)が発生します。
(*入会金が無料になるキャンペーンをやっていることがあるので、そのときに入会するとお得です。)

また、定例トライアル1回につき1,620円(税込)の応募料が発生します。


さて、定例トライアルに応募すると、開催月から2ヶ月後の下旬(例:5月開催なら7月下旬)に郵便で訳文・成績の返送があります。

訳文は添削こそしていただけないのですが、採点してくださった先生が 恐らく問題視したであろう箇所に下線 が引かれていたり、先生によっては 問題のある箇所の近くの余白に一言アドバイスとなるようなメモ書き を残してくださったりすることもあります。

また、 AA・A・B・C・D・Eという6段階の総合評価 に加え、 以下の4項目についてAからEまでの5段階で評価 してもらえます。

・原文の理解度
・日本語表現
・用字・用語
・専門知識・調査力


これらの評価結果は、かなり参考になります。
良い評価がいただければ自信とモチベーションアップにつながりますし、悪い評価だった場合は自分の訳文の問題点を洗い出すきっかけとなるでしょう。


・・・ただ、この定例トライアルで良い評価をいただくのはけっこう大変だと思います

どうせやるなら、目指す評価はAAでしょうし、せめてAは取りたくなるのが人情です。・・・しかしながら、​ アメリアの公式ブログ ​では定例トライアルの評価についてこんな見解がなされています。



「定例トライアル」の審査基準はかなり厳しく設定されているため、
AAやAを取得してクラウン会員になるレベルでなければ翻訳会社の
トライアルには合格しない!とは言いきれません。

安定的にB以上の成績を修めることができれば、
翻訳会社のトライアルに合格する可能性はぐっと高まる と思いますので、
一つの目安としてお考えくださいね!



実際のところ、私が過去7回ぐらい応募した中で、AAの評価を受けたことは一度もありませんでした。また、Aを取れたのも実は1回だけでした。(これは10年ぐらい前に、ビジネス(和訳)で取りました。)

ですから、 まずはコンスタントにBが取れることを目標に応募するぐらいでよい のではないかと思います。そもそもの目標は自分の現在位置を知ることですしね。


・・・・・・


資格試験を受けたり、何かに応募して評価を下されたりするのってけっこう嫌なものですが、やはりそこは避けては通れない関門なのではないかと思います。

私個人のことを書き添えますと、英検1級とTOEIC990点を取ったのは2010年で、かれこれもう7年前のことですし、そろそろ再挑戦して自分の資格を更新せねばなあと感じています。これはけっこう憂鬱な試みでもあります。TOEICに至っては、よくて現状維持で、さもなくばスコアが下がるだけという状況・・・やだなあしょんぼり

また、2017年度はアメリアの定例トライアルにも何度か応募しており、結果発表の日は毎回ものすごく緊張します・・・。自分でも何もそんなに深刻にならなくても、と思うのですが。


・・・そんな感じなのですが、自分を鼓舞してこれらに挑戦することを通し、まずは 自分の現在位置を知り 、次に それを基に戦略的に今後の計画を立てていく のが目標へ近づくための近道なのではないかと思います。

ご一緒にがんばりましょう!スマイル





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最終更新日  2018.04.23 21:32:01
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こんにちは!bonaと申します。

これまで翻訳業界を中心に、英語を用いていろいろな職業を経験してきました。

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