やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2009年06月10日
XML

 深い川ではなくちょっとした溝があるのだ。

 わたし達戦中に生まれた者と、戦後すぐに生まれた者とに。戦中と言ってもいわゆる昭和ひとケタではなく昭和16年ごろから19年ごろまで。わたし達は 忘れられた世代 だ。ひとケタの人達は戦争状態の前を知っているので、やはりわたし達とは溝があると思う。

 まあ、はっきり年代を区切らなくても近い年代で下記のような条件がある場合、 忘れられた世代 だ。

  • 自己認識をしたとき非常事態(戦争)だった
  • 物資が乏しかった。何もないのが当たり前だった
  • 敗戦を経験しつつもその意味が理解できない年齢だった
  • 自己に目覚めた時形式的な民主主義だった
  • 物が出始めるといちいち初体験で愕いた
  • 間に合わせ、擬似物資、モノマネ商品に囲まれていた
  • でも、猥雑な環境だが活気があった

 「ばあばは0歳から3歳だったの、だからよくわからない、ひいばあちゃんに聞いてよ」

 と答えてしまったら、つまんなそうな顔をした。だから

 「ひいばあちゃんに聞いたけれども、...」と、後から本などで読んだ話を創作して終えてしまった。戦後の話ならリアルに話せるんだけどもと思いつつ。

 alexさんが 「戦争体験」 をブログにしていらっしゃるのを読んで思った。もちろん幼児でも周りの雰囲気から敏感に読み取って怖い思い、不自由な思いをしたのが体験と言えばいえるが、残念ながら(さいわいなことに)わたしには今ひとつピンとこない。

 わたしがその当時田舎の奥深いところにて育っていたので、怖い思いをしなかったと言う事情もあるが。

 さて、この 忘れられた世代 (その後の団塊の世代がとかく俎上に上がったりとか、昭和ひとケタが元気に発言しているいるようには光があたっていない)にも戦後の苦労という「戦争体験」がある。

 たとえば 学校篇

 「生めよ増やせよ」と人口を増やしたにしては団塊の世代よりは少ないし、昭和16年生まれからだんだん減っている。なのに学校が足りなかった。54、5人が一クラスというのが高校まで続いた。

 校舎も焼け残ったのは少ないからバラックだった。粗末な木板で作ってあるのですぐ壊れた。6年生の時同級生の女の子は、床板の割れ目に足指を挟んで切断した。高校の時2階の教室で、石炭ストーブのそばの床が抜けて1階が見えていた。

 焼け残った場合の校舎では理科室、音楽室、家庭科室、図書室が普通の教室になった。そういうものだと思っていた。バラック校舎にははなからそんな教室はなかったから。そういえば体育館もなくて、教室の仕切りを外して入学、卒業の講堂としていた。それも普通の事と思っていた。

 このように無いのが、不自由なのが当たり前というのがこの世代だった。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年06月10日 12時01分51秒
コメント(10) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

ばあチャル

ばあチャル

コメント新着

ばあチャル @ Re[1]:『時の扉』(06/23) todo23さんへ 邦生→邦生 ありがとうござ…
todo23@ Re:『時の扉』(06/23) 懐かしい名前を見かけ、私も久しぶりに読…
alex99 @ Re:2024年1月の読書まとめ(05/26) おひさしぶりです ご無沙汰しております …
七詩 @ Re:あれから(05/09) おかえりなさい ばあちゃるさんの読書日記…
イサムちゃん@ Re:『鬼怒川』有吉佐和子(03/28) お久し振りです❣ ずっとお待ちしておりま…

お気に入りブログ

週刊 読書案内 司… New! シマクマ君さん

東慶寺花だより:井… New! 天地 はるなさん

男と女の物語 New! alex99さん

4度目の読書挑戦で… New! analog純文さん

しなぷしゅ New! ひよこ7444さん

ホキ美術館(千葉県… New! 七詩さん

フリーページ

耽溺作家の作品群


山本周五郎の世界


清張ワールド


クリスティの手のひら


時代物の神様正太郎


宝石箱


子供の頃の読書


作家別読了記録【あ】行


【あ】 日本文学


【ア】 外国文学


【い】 日本文学


【イ】 外国文学


【う】 日本文学


【ウ】 外国文学


【え】 日本文学


【エ】 外国文学


【お】 日本文学


【オ】 外国文学


作家別読了記録【か】行


【か】 日本文学


【カ】 外国文学


【き】 日本文学


【キ】 外国文学


【く】 日本文学


【ク】 外国文学


【け】 日本文学


【ケ】 外国文学


【こ】 日本文学


【コ】 外国文学


作家別読了記録【さ】行


【さ】 日本文学


【サ】 外国文学


【し】 日本文学


【シ】 外国文学


【す】 日本文学


【ス】 外国文学


【せ】 日本文学


【セ】 外国文学


【そ】 日本文学


【ソ】 外国文学


【た】行


【た】 日本文学


【タ】 外国文学


【ち】 日本文学


【チ】 外国文学


【つ】 日本文学


【ツ】 外国文学


【て】 日本文学


【テ】 外国文学


【と】 日本文学


【ト】 外国文学


【な】行


【な】 日本文学


【に】 日本文学


【ぬ】 日本文学


【の】 日本文学


【ノ】 外国文学


【は】行


【は】 日本文学


【ハ】 外国文学


【ひ】 日本文学


【ヒ】 外国文学


【ふ】 日本文学


【フ】 外国文学


【へ】 外国文学


【ほ】 日本文学


【ホ】 外国文学


【ま】行


【ま】 日本文学


【マ】 外国文学


【み】 日本文学


【ミ】 外国文学


【む】 日本文学


【メ】 外国文学


【も】 日本文学


【モ】 外国文学


【や】行


【や】 日本文学


【ゆ】 日本文学


【ユ】 外国文学


【よ】 日本文学


【ら】行 【わ】行


【ラ】 外国文学


【り】 日本文学


【リ】 外国文学


【ル】【レ】【ロ】 外国文学


【わ】 日本文学


【ワ】 外国文学


【共著】【マンガ・コミック】


「読みたい本・注目の本」記事録


『世界の「今」に迫る10冊』


吉屋信子『私の見た人』の昭和の作家


ウェヴスター『あしながおじさん』に出てくる本


日本の作家(ちくま日本の文学全集収録)


昭和の作家(1962年 朝日新聞記事より)


カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: