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最近では、企業において、従来の年功序列が次第に崩れ、成果主義、結果主義が欧米にならって採用されるようになってきました。これは経済がグローバル化し、規制緩和等で競争が厳しくなったこと等と関係がありそうです。
これはこれで、歓迎すべきことかもしれません。努力し、成果を上げた人をそれなりに評価することは個人のやる気を引き出し、個人、企業、ひいては社会全体の成長につながってまいります。
ただどこの企業もはっきりとは明言しませんが、その成果主義を、厳しい経営環境を乗りこえるために人件費抑制に利用するというあまり表ざたにされない口実もあるようです。
だいぶ前になりますが、日本の有名な某会社が、日本でも最初の段階で、この成果主義を採用し、徹底しました。その結果、弊害ばかりがでてきて経営も危うくなったので、見直しを行ったとのことです。
(1)新製品が生まれにくくなったということ。
なぜかというと、すぐに結果を出す必要があるために、皆が長期的視点に立った 会社の経営や利益をあまり考えなくなったからです。
誰でもが目先の利益だけを考えて、評価されようとしたからです。
(2)協調性が失われた
成果で評価されるために自分の仕事だけをするようになった。
その結果、チームや組織全体のことをあまり考えなくなり、また、人の仕事を 手伝ってやるということがなくなった。
以上のような弊害が生じたということを聞きました。
このような弊害は、よく考えてみれば当然といえば当然と言えるかもしれません。
人間というものをよく知っていれば、予想できることでしょう。
さらにこの成果主義を継続していけば、人間の特性から考えてどのような弊害が生じることが予想されるでしょうか?
私は次のように考えます。
(3)何か失敗しても、すぐに人や、組織といった他の責任にする。
責任のなすりあいが行われる。素直に自分の責任と受け止めないために、失敗から学ぶことがない。
その結果、成長することがない。それは個人にとっても、企業にとっても損失となる。
(4)成果さえあげればいいとなると、姑息な手段や、人をだますような手段、違法な手段をとりかねない。 これは個人レベルでも、企業レベルでも起こり得ることです。
やはり結果だけの成功ではなく、動機と成功に至るプロセスも重視する必要があるようです。 いずれにしろバランスが大切でしょう。どちらかの両極端に走ると無理がきてひずみが出るようです。
日本の年功序列もいい面があります。現代の日本社会のシステムでは、結婚して中高年になるにしたがって、お金がかかるようになっています。 こどもの教育費や住宅費等などがそうです。
やはり成果・能力主義と年功序列制度の両方のバランスをとるのが大切だと思われます。
(本テーマ完)