森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.06.28
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カテゴリ: 認識の誤り
ロバート・マートンという社会学者が、「予言の自己実現」という話をしている。

最初の誤った考え方や予想に基づいて、実践や行動をすると、結果的に最初の誤った考え方や予想通りのことが現実の世界で引き起こされてしまう。

何の説明をしているのか、具体例を挙げてみよう。
今回の新型コロナウィルスの影響で、一時的に店頭からトイレットペーパーや紙オムツなどが消えました。食料の大量買いをする人もいました。
後で分かったことですが、国内で流通しているトイレットペーパーは、97%が国産で、中国との貿易が途絶えても、品切れになることはありませんでした。
それにもかかわらず、人々が買いだめに走り、品切れ状態になってしまいました。

これは、「トイレットペーパーが無くなる」という誤った状況判断が拡散し、多くの人々が買いだめに走り、結果的に本当に店頭からトイレットペーパーが無くなった。
品薄になるという事態が現実になったのです。
テレビなどで大量買いしている人が映し出されると、つい自分もそれに影響を受けてしまうのです。商品の供給は問題がなかったにもかかわらず、流言飛語に振り回されたのです。

このことを、森田先生は、森田全集第7巻の315ページから340ページに、「関東大震災時における流言飛語の心理」と題して詳しく説明されている。
よくないうわさが町中を駆け巡り、人々が疑心暗鬼になり、右往左往している状況が詳細に書かれている。これを見ると、事実の確認の取れないものを、先入観や決めつけによって間違いのない事実として取り扱う事の弊害は計り知れないという事が分かる。
ばかばかしい事なのですが、人間は事実とは反対の行動をとる生き物なのです。
事実の取り扱いについて知りたい人はぜひ読んでみてもらいたい。
「生の欲望」という本にも、一部分取り上げられています。

事実を捏造して、それに基づいて行動をすると、事態は解決するどころか、ますます混迷の度を深めていく。
他人の話をそのまま信じるのではなく、果たしてその話は間違いないのか事実の裏付けをとる態度が欠かせない。
森田では「かくあるべし」を少なくして、事実に立脚した生活態度の養成をお勧めしています。
その際事実を自分の目で観察する。自分で実験をして、間違いのない事実なのかを確認することから始める必要があります。事実の裏付けの取れないものは、安易に妄信してはならない。
これだけのことを実行するだけで、「事実本位」の生活にかなり近づいていきます。





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Last updated  2020.06.28 06:20:04
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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